奈良町かいわいの黒猫
奈良町かいわいの猫
奈良町かいわいの猫
奈良町かいわいの猫
「猫段」と呼ばれる東大寺境内の石の階段=奈良市雑司町
古い町家が並ぶ奈良市の奈良町かいわいを散策していると、外でひなたぼっこをしている猫をよく見かける。町には猫カフェがあったり猫グッズの展示会が開かれたり。「にゃらまち」なんて言われることも。でも、そもそもなぜ多いの? 大まじめに猫たちを追いかけているうち、奇妙な説に巡り合った。
猫の暮らしを見てみようと、猿沢池にほど近い空き地で取材開始。飲食店や古民家が立ち並ぶ一帯に、6匹が一緒にすむ寝床があった。茶色の毛並みをなびかせる太った猫や黒っぽい猫など、種類も大きさも様々。日なたで首元あたりをかいたりするなど、まったりムードだ。
観光客の写真撮影にも気軽に応じていたが、記者が近づくと軒下に隠れてしまった。えさはキャットフードやちくわ、残飯など。どうやら近くの住民からもらっているようだ。
最近は奈良町の外に寝床を構え、えさだけもらうためにやって来る猫も増えているとか。確かに、路地などにキャットフードが置かれている場所がちらほら。地元の女性は「キャットフード代でお金がどんどん飛んでいくけど、とにかくかわいい」と話す。
ただ、一方でフンの被害もある。市生活衛生課には多いときで週に4、5本の苦情電話があるという。
では、実際に何匹くらい猫はいるの? かいわいで飲食店を営む野村修司さん(55)は05年から毎年、猫の写真や陶器、木彫り、絵画などの作品を展示・販売する「にゃらまち猫展」を開催している。疑問をぶつけてみたが、「分かりません」。ほかにも商店主らに話を聞いたが、「多いのは確かだけど……」と頼りない返事。猫の数も30匹〜100匹と、人によってまちまちだった。
市の担当者は「市全体で飼い猫は3、4万匹。外にいる野良猫はそれとほぼ同数では。奈良町周辺は3けたはいかないと思うが、2けた台がいるのは間違いない」。