皆さんは、こういう文字列を見たことはありますか?
動物界 節足動物門 甲殻亜門 軟甲綱 真軟甲亜綱 ホンエビ上目 十脚目(エビ目) 抱卵亜目(エビ亜目) ザリガニ下目 ザリガニ上科 アカザエビ科 アカザエビ亜科 アカザエビ属 アカザエビ

これは、生物学における分類上の表現です。
昔、博物学華やかなりし頃よりも遙か前から、人間は知識を集め、分類し続けてきました。
新たな知見が高まるにつれ、分類が見直され、以前は近縁であるとされていたものが今は遠縁とされているなんてコトもよくある話です。
何故にそれが起こるのかと言えば、それは【「分類というもの」が人間が行っている行為】だからなのです。
だから、分類には分類する理由があり、分類する方法があります。
そして、分類する方法というものも場合により、変化します。
分類学者は分類の理由付けと方法の確立にしのぎを削っているのかも知れません。
さて、例で取り上げた十脚目(エビ目)ですが、以前は長尾亜目(エビ)、異尾亜目(ヤドカリ)、短尾亜目(カニ)と分けていたのですが、近頃はまずは、鰓の形態でクルマエビとその他に分けられます。クルマエビくん、さようなら。
次に形態からヤドカリ、カニ、イセエビ、コエビ、オトヒメエビ、アナジャコ、ザリガニに分けられます。この仲間たちは卵をお腹に抱えることで有名です。
では、簡単なエビとザリガニの見分け方を見て見ましょう。
ハサミを持っていて淡水棲であることがザリガニの証拠でしょうか?いえ、違います。
海の中に住むザリガニが居ます。有名なロブスターくんです。
ロブスターくんは和名はウミザリガニと言いますが、オマールエビと言った方が日本では通りが良いでしょう。
ハサミを持っていること?違います。ハサミは目立たないけど他のエビでも持っています。
イセエビの仲間たちはハサミでなくて「爪状」です。
では、何が違うのでしょうか?
確かに大きなハサミ、は一つの物差しです。でも、分類するに当たって困ったときに区別するポイントってアリマス。
これがエビの頭部のイラストです。

エビというと、頭と胸が一つの大きな殻でがっちりと守られていることが特徴です。
こっちの写真で見るとよく分かります。

こちらはザリガニ。さあ、何が違うでしょう?

分かりますでしょうか?
頭と胸と腹にパーツが分かれています。
このフレキシブルな構造こそがザリガニのわかりやすい決定的な見分け方法です。
でも、結局ザリガニというのはエビの仲間であることは確かです。ザリガニを「エビ」だと呼ぶことは大きな問題はありません。エビ目ですから。
分類とは、所詮は人間が作ったルールの一つでしかないのです。