さて、実態抜きで一枚の写真で野蛮だの洗練だの喚いてみたところで仕方が無い。「これはこの板の共通認識であろう」。実はもうちょっと若い頃、仕事で韓国には数週間滞在したことが有り、現地の仕事仲間（韓国人）には、結構いろいろと連れ歩いてもらった。ウォンの強さは対円で今よりもちょっと強い程度で、割安感は非常に有った頃である。晩飯で大体3000-4000円検討（飲料別）。昼飯で1000円と言ったところだろうか。高級とは言わないが、現地標準では結構「良い店」を選んで連れて行ってもらったのではないかと思う。まあ、多少、いろいろな土地の経験のあるサラリーマンの舌のレベルの話と思って、聞いていただければ幸いである。

　結論から言うと、非常に美味かったし、ある種の合理性も感じ取った。特に牛骨や筋の類からのスープの取り方が非常に上手で、いつも美味しくいただいていた。突き出しの中で、キムチは非常に辛くて、量の調整の必要が有るが、それ以外にも種類が豊富で愉しみである。金属性の茶碗の中の米の量は少なく、どことなく味気ないので、私はいつも残したスープの中に入れて、浮かし身としてスプーンですくって食べていた。いわばポタージュスープにクラッカーを割りいれる感覚である。正式の食べ方かどうかは良く分からないが、そういうふうに食べている現地の人も多かったように記憶している。肉類は常に大量の生野菜とともに供される。緯度が高いせいか野菜には風味があった。北海道ほどではないが、東京や大阪よりは遥かに美味い。肉サラダ的に食べていたが、繊維質が多く、毎日お通じが快適であった。炭水化物が少なめで、辛い食べ物が多いから、飲み物は甘いものが欲しくなる。ヨーグルトやら甘いインスタントコーヒーやらコカコーラがよくマッチした。苦いお茶はあまり合わないと思う。

　問題点としては、歯が駄目だとつらいことで、骨から筋をこそげとるのも、固い野菜を噛み砕くのも、強いあごがあればこそであり、今となってはもう駄目かもしれない。若干悲しい気持ちである。

　なお、その後、何度か訪れたが、海産物については全般的にあまり感心した覚えが無い。なかなか上手く日本式を取り入れている店も有るが、看板だけで全く駄目な店にも当たった。仁川空港近くの海岸の刺身屋も訪れてみたことがあるのだが、新鮮さ（かならず水槽から出して捌く）や歯ごたえ、種類の豊富さを求める傾向が強く、個々の味を充分に引き出していない印象があった。なにやら話題に上がることの多い海鮮湯については、あれを「餌」と評するのは要点を外していると思う。

http://www.enjoykorea.jp/tbbs/read.php?board_id=thistory&nid=1977539。

なにしろ、獣と言うのは、摂取する食物の種類が少ないわけで、あんなに多種類のものを盛り込むことはしないはずである。あれはむしろ、豊富さを演出する博物学的奉仕の精神が退廃を招き、調理の合理性を妨げている例であろう（むしろ「歪んだ文明化」と個人的には認識しており、もしあのまま調理するとなると確かに大問題。。。。）。いわば割烹で目玉がぴくぴくするわりにさっぱり美味くもない生け造りを食わされる感覚ではないかと愚考する。まあ、海産物については日本人は世界一うるさいわけで、それを基準にするなら、世界中結構「ひどい」のではあろうが。。。。。

　基本、私にとっての韓国料理とは、肉スープに大量の野菜（生だったり漬け込んでいたり。。。）、そして白甘い飲み物。。。といった風情の記憶である。