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【主張】代表質問 政権選択に資する議論を
麻生太郎首相の施政方針演説に対する各党代表質問で本格的な国会論戦が始まった。来年度予算案や当面の経済対策に加え、2011(平成23)年度からの消費税増税も重要な論点になる。
しかし、民主党は衆院解散を先送りした首相の判断が間違いだと重ねて批判し、自民党は民主党の政局優先主義を指摘するなど、政策以前のレベルの内容も目立ち、政権交代を懸ける決戦の年に二大政党が行う国会審議としては、きわめて物足りない。
たとえば麻生首相が施政方針で述べた世界の新秩序創(づく)りへの参画を、民主党はどう考えるのか。国民の政権選択に資する深みのある議論は、両党の責務である。
代表質問のさなか、政府は基礎年金の国庫負担割合を来年度から2分の1に引き上げる国民年金法改正案を30日に閣議決定した。2年間は財政投融資特別会計から特例的に財源を充当するものの、その後の手当ては未定だ。
国庫負担は恒久的に引き上げるのに、安定財源は確保されていない無責任な状態だ。まさに与野党で早急に答えを出すべき課題といえるだろう。
政府・与党は消費税増税を盛り込んだ中期プログラムを作ることで、かろうじて税制抜本改革の方向性は示したが、引き上げ幅などは明確にしていない。一方、民主党は「なぜいま消費税なのかわからない」(鳩山由紀夫幹事長)と政府を批判するばかりだ。政権交代は目前だと考えているなら、消費税への明確な見解が必要だ。
民主党会派として衆院代表質問に立った無所属の田中真紀子氏は、消費税増税に際して複数税率を導入する可能性についてただしていたが、民主党の議論は消費税増税は当面、必要ないというところで止まっている。中期プログラムへの具体的対案を示さなければ、議論はかみ合わない。
官僚が天下りを繰り返す「渡り」の禁止について、例外を容認していた首相は「認める考えはない」と答弁で修正した。例外を認める政令自体を見直すことはしない構えだ。天下り禁止の法律の趣旨を官僚が政令で覆すものだと自民党にも異論が残っており、「政と官」の問題を象徴するテーマとしてなお議論が必要だろう。
代表質問に登壇しなかった民主党の小沢一郎代表は、予算案審議中にも党首討論などで麻生首相と国のかたちを論じ合うべきだ。