なんだか、私が出て行かないと収拾がつかないみたいですね。
韓国料理の話なのですから、韓国人が説明すべきであり、日本人の私が敢えて話す必要性もないと思っていましたが、殆ど言及していないみたいですし、仕方がないです。
まずは韓国料理のお話。外国ですので、日本人とは価値観や美的感覚が違いますから、「見た目が汚らしい」と思うのは自由です。しかし、「美味そう」と思う方もいます。
自己の美的感覚や価値観のみで「餌」などという前に、少し考えてみるのも大事かもしれません。
さて、日本で韓国鍋と呼ばれる料理は、大まかに分けて「チゲ」「チョ~ンゴル」「タン」「クッ」の四種類があります。今回は「ヘムルタン(海物湯)」の話。この料理は具材も食べますが、具材から出た出汁を薬念(ヤンニョン)でまとめて楽しむスープ料理。「鍋」と言われている方も多いですが、これは韓国の「ヘムルタン(海物湯)」な訳です。日本の「鍋」の基準で語るのは駄目だと思いますよ。特に批判の場合。
韓国料理は混ぜる物や包む物が多いですが、これは東洋医学の五行が大元と言われているようです。「五色五味(五味五色)」と言う言葉もある通り、韓国ではこれらの食材を均等に摂取することにより、精神と肉体の健康と調和を保つと言う考えがあります。合わせ調味料が「薬念(ヤンニョン)」という辺り、日本で言うところの「食」とは違うのが当然でしょう。
どちらかが優れているとか劣っていると言う訳ではなく、その食材に対しての表現方法の違いであり、それを理解しないで「小汚い」「洗練されていない」等というのは変な話です。そもそも「洗練」とは、何に対して「洗練」されているのでしょうか?とも思いますが、これも個人ごとの基準があるので深くは聞きません。
さて、件の海物湯の話をしましょう。
【海老】
さて、日本のとある業者さん曰く「見た感じ、食べても全然問題ないレベルですよ。腐りかけ?危険?どうしてそう見えるの?」とのことですが、一応説明。

海老は、空気に触れていると黒変を起こします。これはある種の酵素によるもので、鮮度以外の理由でも起こる現象です。
常温で放置された場合に起こるとよく言われますが、冷凍物の場合でも、冷凍期間中空気に触れるため、黒変が発生します。
「黒変=鮮度がよくない」と思われがちですですが、あくまで目安の一つになると言うだけで、鮮度を表すものだと、一概に言うことはできません。
また、黒変だけにとらわれると、黒変防止剤を使用している海老を新鮮だと認識する場合もありますので、その辺りは注意です。業者さんは黒変より、身の透明度や艶などで鮮度の判断をしているみたいです。
日本では「見た目が悪いから売れない」との理由で敬遠されがちですが、外国では日本ほど過剰に見た目を追求しないので、味がほとんど変わらないから使用している。それだけの話では?
「傷んでいる可能性があるように見える」なら良いと思いますが「腐りかけ」などと断定するのは駄目でしょう。(腐った食材云々とも言われていましたが)実際に現物を確認していない人が、写真を1枚見ただけで、安易に決めつけを行うのは危険です。
個人的な意見を言わせてもらえれば、火を通す料理に対して意見する時の根拠として、違う種類の海老、しかも生食できないと言う話を出し「食べて危険な状態」と断定するのは恣意的に何かを誘導しているようにしか見えません。
これが常温で長時間放置したことによるものなのか、冷凍、解凍時のものなのか、また他の理由なのかは写真一枚で判断できるのでしょうか?取りあえず、現地で再確認した方が良さそうなので保留としておきます。(食べた感想で言えば、腐敗臭や海老の劣化による臭いはしませんでした。)
【海老~その2】
この海老は韓国で「海のザリガニ」と呼ばれていますので、翻訳の関係上「ザリガニ」と書いています。それだけの話。手長海老でなかったことだけは言っておきます。
黒変に関しては同じ理由なので割愛。
【帆立】
変な汁って何です?ひもに見えますけどね。

それにしても貝柱が溶けるって何でしょう?あの写真の帆立が腐った状態だとしたら、強烈な腐敗臭がしますし、そんな店は普通潰れます。
(韓国ではインターネットブログ等の書き込みも、店を判断する大きな要素となります。)「溶けているとか言う前にちゃんと確認しましょうよ」と言いたいですね。
【トリ貝?】
この貝はトリ貝ではないですよ。
↓トリ貝の写真

次に今回の料理の写真。

殻が年輪みたいになっていますね。これは大浅蜊(ウチムラサキSaxidomus purpurata)ではないですか?貝殻の裏は紫色ですが、トリ貝でないことは確かです。
違う貝であるなら、調理方法で文句を言うのもおかしな話です。断定はされていなかったようですが、危険性を強調する書き方をされていますから、誤解する方も多いと思われます。
(余談ですが、千葉県ではトリ貝を丸ごと煮込んで佃煮にする料理があるそうです。)
【烏賊】
私は透明の烏賊なんか、そんなに食う機会がありませんが・・・
と言うか、これは烏賊の生殖器官ではないのですか?少なくとも烏賊の身には見えません。

ここで烏賊君の名誉のために、この「湯」(鍋ではない)に使われた烏賊君を公開しておきます。
これ↓ 蟹の上に烏賊の身があります。

半透明ですね。
【白子】
韓国ではあの状態で調理されることが多いようです。何回も言いますが、これは白子を日本人好みに調理して食べる料理ではありません。
韓国料理に、豚の血と餅米の腸詰め(スンデ)や、牛の血を固めた物(ソンジ)がありますが、彼らは血も含めて楽しむようですね。実際、内臓や血合いを好む人が多い国ですから。
【バイ貝】
これに関しては、茹でてあったような気もしますが、食べた時にちゃんと確認していないので保留。
別に茹でてなくても食べますけどね。これも機会があれば確認することにします。
(食べた感想ですが、汁のぬめりはありませんでした。)
【蟹】
「これは日本の蟹鍋ではありません」だけです。食べる人は身も食べるみたいですが、普通は出汁用でしょう。韓国では蟹を茹でると旨味が逃げると言われていますので、蟹を食べる料理の場合は蒸すことが多々あります。
【感想】
どうでも良い話ですが、勘違いばかりではないですか?大元の写真は投稿用に写真をリサイズしていますし、写真の発光の関係もありますが、確認も取れていないものを、推測だけで「腐りかけの食材」「生ゴミの山」であると決めつけ、それに対して意見を述べた者に対し「知識の差」などと、よくわからない理由で誹謗を行うのは如何なものでしょうか?当然、それなりの理由があって言われていると思いますから、言うこと全部が勘違いなどとは言いませんけどね。
日本人の視覚、味覚で判断するのも個人の自由ですが、食べたこともない上に、よく知らない外国の料理にまで、自らの基準で言及し、あまつさえ「基本的な処理ができていない」等と言うのは早計と思います。
しつこく私見ですが、食というのは、他人から何か言われて判断する物ではありません。
自分が食べて「美味い」と感じたか「不味い」と感じたか。それが一番大事であると考えます。
(「これはあり」「これは駄目」でも可。当然普通もあります。)
苺大福って、最初見た時「何これ?下手物?」と思いました。しかし食べてみたら「結構美味い」になりました。嫌な物を無理して食べる必要はないですが、食べずに「これは不味いに決まっている」等の判断はどうかと思います。(鮮度とは別の話です。)
日本人が生卵を食べる行為にしても、外国人から見たら「基本的な処理(加熱処理)ができていない物を食べる日本人は、悪食の極み」とか思うらしいので、常識の違いとは面白いものです。
【終わりに】
さて、色々書いた訳ですが、今回受けた指摘の中には、私も反省すべき点があり、それは真摯に受け止めて、次回に生かせればと思っています。
私が敢えてスレを立てたのは、私の投稿に対して色々言われたことに対してではなく、投稿が誤解されて、一部の食文化に歪んだ印象を与えては駄目だと言うことであり、中途半端な印象批判に対して訂正を行う必要があると感じたから、こうして出てきたと言うことは明言しておきます。念のため。