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2009年01月23日
行政 ]
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 1月23日に公正取引委員会は、「アニメーション産業に関する調査報告書」を公表した。この調査はアニメの企画と制作時の小規模事業者との取引問題点を明らかにするために行った。
 公正取引によればアニメ制作は制作の再委託が多く、産業が多層構造にある。この結果、アニメ制作会社には小規模事業者が多い。
 今回の調査の理由は、小規模事業者が多い場合、仮に取引上に問題があっても問題が顕在化しにくいためだという。そして、独占禁止法や下請法の観点から取引実態や取引慣行などについて実態調査をした。

 調査の結果、公正取引委員会は、アニメ制作取引では制作会社は取引条件について十分な協議が行なってないケースが多いことを問題点、課題と指摘している。
 特に4割超の制作会社が発注者と十分に協議せず、また低い制作費を押しつけられた経験があることを問題点とした。また、取引条件については、十分な協議を行ったかについて制作発注者と受託制作会社の認識の差が大きい。
 そのうえで取引条件改善のためにも、制作発注者は発注時の取引条件について十分な協議をする必要があるとする。さらに個別の問題では、アニメ制作の再受託(いわゆる二次請け)の際に、発注書がないケース多いとし、発注書は確実に取り交わすべきと述べている。

 今回の調査で大きなテーマとなったのが、アニメの著作権についてである。調査の結果、制作会社は製作委員会に出資しない限りは、ほとんどの場合著作権をもてないことが判った。
 またテレビ局が制作会社に制作発注する場合、半数は著作権をテレビ局で単独所有している。こうした著作権の在り方や二次利用収益の配分方法に、元請制作の不満が多い。
 二次利用収益の配分では、収益配分を受けられる元請制作会社が半分以下になっている。制作会社が、なかなか著作権からの利益を得られない現実が明らかになっている。

 また、制作会社からテレビ局に対する不満が多く挙がっていることも特長だ。テレビ局が窓口業務の主体となること(窓口権の確保)を一方的に要求すること、この窓口手数料や局印税が高額であること、二次利用の営業活動が活発でないことなどが制作側の不満となっている。
 これまでも制作会社からテレビ局に対する不満は少なくないとされていたが、今回の調査は、そうした制作会社側の持つ不満の所在が明らかにされた点で興味深いものだ。

 しかし、公正取引委員会は、著作権法上の著作権の所在は現在は必ずしも明確ではないとする。だからこそ発注者は、権利の帰属、そして買い上げにする場合の対価について十分な話合いを行うことが必要と指摘する。
 公正取引委員会は、今回の調査結果から、業界企業に対し独占禁止法や下請法の問題がないかの点検をすること、制作発注時の取引条件の十分な協議と書面交付の徹底を求めている。
 また、独占禁止法や下請法に違反する疑いがあった場合は、調査をし法令に違反する場合は厳正に対処したいとする。

 今回の公正取引委員会の調査は、従来の慣例が多いとされるアニメ業界の制作発注における曖昧さを明らかにし、問題の所在を明確にしたことで意味があるものだ。
 こうした問題が取り上げられる背景には、昨今のコンテンツ産業、その代表としてのアニメ産業の育成という行政の方針が反映している。そして、コンテンツ産業の強化の障害として、クリエイターの弱体化、それを引き起こす制作現場の苦しい経営事情が挙げられる。制作会社の側面支援の調査という意図が伺える。

 一方で、これらの問題は、以前から度々指摘されてきたことでもある。アニメの権利収入の配分、著作権の所在、契約書の作成の有無の問題は、もう何年も前から繰り返し言われている。
 このためより重要なのは、こうした問題、課題に対して、公正取引委員会が今後どのような行動を取るかである。そして、おそらくこうした問題は、力による押し付けで解決するものではない。制作発注者と受託者がWin-Winで満足出来る仕組みが重要である。そうした仕組みの提案と構築が今後さらに重要になるに違いない。

公正取引委員会 http://www.jftc.go.jp/

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posted by animeanime at 2009.01.23
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