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被告の目前「実刑を」 被害者参加裁判で交通事故の遺族(1/2ページ)

2009年1月24日3時0分

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写真交通事故で夫を失った妻は、公判参加後に遺影とともに記者会見に臨み、目元をぬぐった=23日午後、東京・霞が関、細川卓撮影

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 犯罪の被害者本人や遺族が同じ法廷の中で被告と向き合い、じかに言葉を交わす。日本の刑事裁判ではかつてない光景が23日、東京地裁の二つの法廷で展開された。ひとつは恐喝未遂・傷害事件。もうひとつは交通死亡事故をめぐる事件だ。交通死亡事故の法廷の様子は――。

 自動車運転過失致死罪に問われている男性被告(66)の初公判。昨年8月、東京都内でトラックで右折するとき、対向車線のオートバイと衝突して男性(当時34)を死なせたとして起訴された。

 被害者参加の裁判では、被害者・遺族は検察官側に座る。検察官の横には、男性の兄(35)と付き添いの弁護士が並び、男性の妻(34)がその後列に座った。

 被告が罪状認否で起訴事実を認めた後、検察側が冒頭陳述と証拠の説明をした。被告が、事故後に前触れなく遺族のもとを訪れたとき、焼香を断られると、遺族に向かって「2時間もかけて来たのに」と口にしたことも明かされた。

 被害者・遺族には被告人質問が認められる。机に両ひじをついて顔を伏せ、怒りをこらえていた様子の兄が、検察官との短い打ち合わせの後、質問に立った。

 兄「なぜ事前連絡をしなかったのでしょうか」

 被告「断られちゃうと思いまして」

 兄「現場で手を合わせたことはありますか」

 被告「毎日、車で通っております。赤信号だと止まりますから必ず気持ちでやっております」

 兄は、被告の反省や謝罪の姿勢が本物かをただした。

 兄「逆に青信号だったらしないんですか」

 被告「頭下げる程度で」

 兄「あなたが考える誠意とは何なのでしょうか」

 被告「んー、ただお線香あげさせて頂いて。謝るしかないです」

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