福岡市西区小戸で19日、登校中に飛び降り自殺した市立内浜中1年の男子生徒(13)が、担任の男性教諭(37)から体罰を受け、昨年6月にも自殺しようとしたことが分かった。体罰は自殺の3日前にもあり、携帯電話には「先生がまたなぐった 電話していい?」と友人に相談しようとした未送信メールが残っていた。遺書はなく体罰と自殺の因果関係は不明だが、同校の薄(すすき)公治校長(55)は「指導が自殺の要素の一つだったとも考えられる」としている。
校長によると担任は08年6月、生徒が同じ学級の男子をいじめた疑いを持ち、放課後2日間にわたって理科準備室などで「(男子の)上履きを隠したのはお前だろう」と問い詰めた。その際、生徒の頭をげんこつで殴り、ひざをけるなどした。
両親によると生徒は泣きじゃくりながら帰宅し母親(39)が事情を聴いたところ、体罰を受けたことを明かし「やっていないと言っても信じてもらえない」と話した。さらに「帰り道、車に飛び込んで死のうとしたけど、足が動かなくて死ねなかった」と明かした。母親は担任に「息子が死にたいと言っている」と連絡。駆け付けた担任は「すみません」と体罰を認めた。
また今月16日には、担任は生徒が忘れ物をしたとして、クラス全員の前で頭を1度たたいた。携帯に残った友人あての相談メールは翌17日付だった。
自殺当日、生徒は母親の携帯電話に10回以上かけたが、勤務中だったためつながらず、留守番電話に泣き声だけ残していた。
学校は自殺後に体罰の問題を市教委に報告したが、校長は19日の会見で「(自殺の理由は)心当たりがない」と話していた。薄校長は体罰を市教委に報告していなかった理由について「生徒の様子に変化が表れれば報告しようと思っていた」と話している。【朴鐘珠、高橋咲子】
毎日新聞 2009年1月29日 2時30分(最終更新 1月29日 3時14分)