ナレーター武田　広のブログ

先日、朝日新聞を見ていたら思わず椅子から転げ落ちそうになった。「ひと」という欄に同業のナレーター中村啓子さんが紹介されていたのだ。日本オーディオ協会の今年度の「音の匠」に選出されたという。僕にとっては敬愛する大先輩。その功績はもちろん、個人的にもとてもヒューマンな女性である。なんだか啓子さんがその場にただいるだけで、あたりが和んでくるから不思議だ。できれば「声の匠」というくくりで表彰されて欲しかったが・・・。啓子さんという名前とそのお声とが一致しないという人もいるだろうが、その声を聞いたことがない人は一人もいないだろう。ＮＴＴの時報。ＮＴＴｄｏｃｏｍｏの留守番電話サービス。モノレールやリムジンバスのアナウンス。さらには銀行のＡＴＭからも聞こえてくる。僕はもちろん啓子さんの声は大好きだが、ただひとつだけ困ることがある。お金を引き出そうとＡＴＭを操作していると、啓子さんの声で「カードをお取りください。通帳をお受け取りください。小銭がのこっています。」などなど矢継ぎ早に機械が催促してくるのだ。「千手観音じゃあるまいし、そんなに言われてもいっぺんにはできないよ！と文句の一つも言いたくなってしまうのである。もちろん啓子さんには責任はありませんよ。そのようにプログラムを組んでしまった方が悪いのだが・・・。中村啓子さん、どうかずっといつまでも現役でご活躍してくださいね。僕からのお願いです。