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サンプル作者インタビュー 「Masterpiece Note」参考データ

2008年03月07日

kawasihma.gifこんばんは、アーツ川島です。

今日は初回特典に同梱されている「Masterpiece Note」、その参考データを制作していただけた天羽昇輝くんへのインタビューをお届けします。


MPnote2.jpg

作品名:The last hope Symphony 〜終わりなき曲〜
作者名:天羽昇輝

ゲーム制作用のネタ帳として使っていただくことを目的に作られた「Masterpiece Note」。その巻末には、天羽氏の脳内に展開されるゲームのネタがサンプルとして掲載された。天羽氏の起用は突然である種のチャレンジではあったものの、スタッフの予測を超えた成果を提出してくれることに。
読むことで妄想力の強かった学生時代の自分の姿すら蘇ってくるという、癒し効果さえ感じる内容。その年代でしか生み出せない純粋な想像力は、思わず質問を投げかけたくなる衝動にかられるほどです。
名前も年齢もすべてが謎に包まれた天羽昇輝くんに、今回のお仕事について色々とお聞きしました。


――まずは読者に向けて、自己紹介からお願いします。

はじめまして、天羽昇輝(あもん しょうき)と言います。自分の作品がエンターブレインさんの商品に使ってくれるなんて思いませんでした。今でも驚いています。


――緊張していますね。ムービーで流れるとか、そういうのではありませんから、もっとリラックスしてくれて構いませんよ。

大丈夫です。


――では最初の質問ですが、今回描いていただいたサンプル、そのデキについてはどのように思っていますか?

実力が出せたと思います。好きなように書いていいと言ってたので、とにかく全力を出して書きました。


――部内でも好評でした。予想以上の仕上がりにシビレましたよ。

ありがとうございます。でもあれはまだ第1章なので、その後にもっと増えるんです。たぶん全体にしたら60%ぐらいですよ。


――えーと…、何が60%なのでしょう?

完成度です。あれからもっと話がふくらんで、今度は天界での話が待ってます。今考えると実力としては半分ぐらいでしょうね。今は2章の途中まで考えているので、まだまだ全力が出せます。


――あの話はまだまだ続くというわけですね?

そうです。なんとなくですが4章ぐらいまで考えています。いえ、まだハッキリとは言えませんが、でも4章だとなんとなくキリが悪いので頑張って5章まで考えようかなと思っているんです。
あのときは渾身の作品だと思ってましたが、あれからどんどんアイデアが溢れてくるんで。次もどこかで出す予定とかは無いですか?


――天羽くんの作品をですか? 残念ながら今のところは掲載する予定はありません。

あー、仕方ないですよね。あまり時間をあけるのも良くないなーと思っただけです。大丈夫です。あの話以外にも暖めている物語があるので。


――まだあるんですか? 創作力が止まらない感じですね。

いっぱい出てきます。最後まで形にできるのは少ないですが、ああいうネタはたくさんあります。小説にもしてみたいですし、ゲームも作ってみたいです。でも時間が無いんですよね。ネタはたくさんあるのに完成できるのは少ないです。だからいくつかのネタを重ねて1つにしてみたり、マンガにしたかったものを文字だけにして挿絵を入れて、そういう時間のかからない形で作って努力して世に出します。


――世に出すんですか?

あ、ネットに出すとかではないです。それは無理。もっと完成度が高いものじゃないと納得できませんし。たぶん出しても、実力から見ても応援されることはありませんから。だから自分が見るための形になるというか、何か形にできたら世に出たような感じになるじゃないですか。


――あ、うん。……ごめん、もうちょっと詳しく。

えーと、自分だけが見るのでもいいんです。読者は自分だけ。恥ずかしいし。
頭の中で考えていたものが形になって、それを後で見返せるような状態になっていれば、なんか世に出たというか、その作品に生命が宿ったような気分になります。


――天羽くんとしては、考えたものを自分で形にした段階で、世に出るというイメージになるわけですね。

そー…いう感じ、かなぁ?


――生命が宿るというのは分かる気がします。頭の中だけではなく、漫画や小説という形にすることで、頭から表に出す感じですね。…あ、そうか! それで世に出るってことか。

わかりましたか?


――わかったわかった! 言いたいことがなんか伝わったよ!

良かったです。




◆主人公について

――主人公のジークス。”本名は別”と書かれていますが、本名を教えてください。

謎です。それを言ってしまうとラストが分かってしまいますから。


――分かると何かまずいのですか?

そこはやっぱり隠しておきたいなって。


――でも…、いや、次にいきましょう。えーと、ジークスの通称が「闇の炎者」。このネーミングはどうやって生まれたのでしょうか?

闇のような怖さというか力を持っていて、強いんですよ。彼の使う炎は一般的な魔法使いが使う赤色ではなく、黒なんです。黒をそのまま表現すると単純なので、闇にしました。そんな特殊な炎を使うので闇の炎者と呼ばれています。


――属性の「紅き闇」というのも凄いネーミングですよね。闇なのに赤、赤ではなく紅にしたところなんかも天羽くんのセンスでしょうか。

そうですね。赤という字は直接的なので紅にしました。彼の使う炎は闇の部分を持つんですが、さらに邪悪な感じにしたかったんです。決して属性が炎ではないところがひねってます。
目で見れば暗い闇なんですが、赤いんです。赤って怖いイメージもあって、格好いいイメージもあるじゃないですか。闇よりもっと奥にあるのが”紅き闇”なんですよ。


――おっしゃることがよく……

闇の先にある闇ですね。それが紅き闇。


――なるほど。(←わかってない) では”左腕に隠された本当の心臓”の説明を聞きたいのですが、なぜ心臓が腕に?

ある場所のボスに、心臓を刺されて倒れてしまうんです。でもそこは偽りの心臓で、本当の心臓は腕にあるというドンデン返しです。死んだと思わせて、復活するのも主人公のパターンですからね。でも普通っぽい展開だとびっくりしない。だから別なところに置いてみたんです。


――なら、左腕を刺されたらやられてしまいますね?

だから普段は何気なく左腕をかばう動作をする癖があるんですよ。


――お、新しい情報ですね。

本当は全部書きたかったんですけど、入りきらなくて…
そういえばヒロインのデータも書いたんですけど、あれは載せてもらえなかったんですか? 仲間も全員分も後からお渡ししたんですけど、それは間に合わなかったからわかるんですけど。


――ヒロイン……ミュールですね! すみません、ページの都合で…

そうですか……なら仕方ないです。
ミュールのほうを出してほしかったな〜。かなり自信あったんで。


――うん、可愛かったですよ。性格にツンデレって書いてあるところがツボでした(笑)

自分でも可愛く描けたと思います。ツンデレ覚醒もこだわりのポイントなんです。


――ですよね。覚醒してました。

ツンもデレも突き詰めるとレベルがあるんです。そこを一気に開放するのが彼女なりの覚醒なんです。これが天空編へ向けての伏線にもなっていたりします。


――なかなか破壊力のある設定でした。えーと、天空編?

あ、そういえば髪を塗るのを忘れていました。彼女は一応、黒髪です。
クラウがそこに惚れてしまって、一時期はミュールもクラウに揺れそうになるという設定もあるんです。炎使いのジークスと、氷使いのクラウ。このあたりの恋愛模様もあったりするので、書かれていない部分で何度か恋愛の話がありますよ。


――クラウ……あ、氷の国の少年ですね。

そうです。氷の国の第一王子です。でも第一章のエンディングでミュールの謎が明かされることで、絶対にクラウとは一緒になれないことが判明するので、ジークスと結ばれるということになります。あ、実際にはきちんと恋人って感じではないですけど。2人とも照れ屋なので。


――照れ屋だと恋人にはなれませんか?

そこは、なんかストレートに書いてしまうと面白くないじゃないですか。照れ屋を理由にきちんと恋人にしないところが、この作品のポイントなんです。


――そして天空編になると。

オーディルが飛空挺の動力になって天空へ行きます。あ、古代人が作ったロボのことです。魔王を倒したあとにどうしても天空へ行かなければいけない事情ができます。これは内緒ですけど。そこから第二章の始まりですね。ミュールの新しい謎が解明されるんです。


――ミュールは天界人なのかな?

……。謎です。




◆スルトについて

――スルト、いいですねぇ。体半分が炎、もう片方は普通の体なのでしょうか?

いえ、氷です。


――ほ…ほぅ…。それだと氷が溶けて…

たぶんそう言われると思ってました。炎と氷が1つの体に一緒にあるのはおかしいですよね。でもこれはファンタジーですから。どうしても物理的な説明が必要ということなら、炎と氷の間には亜空間で仕切られていて、お互いに干渉しないようになっているということです。


――亜空間! よく体が真っ二つになりませんね。少し動いただけでも体半分がズレてしまいそうなイメージです。

彼の体をあの状態にしておくために必要なのが亜空間です。ズレません。それは大丈夫です。でもそこが弱点でもあるんです。ジークスが気づくのはだいぶ後になるので苦戦するんですけど。


――炎使いなのに体半分が氷……。深読みすれば、スルト生誕に何か謎が隠されている感じがしますね。スルトが生まれるきっかけには、実はすごいドラマが隠されている気がしますよ。

そこまで深読みしていただいてうれしいです。炎の力は彼自身が望んだ力ではないのです。これ以上はご想像にお任せします。
あ、実は天空編になってしまうのですが、敵をもう1つ描いてきました。


jya_death.jpg


――スルト?

違います!(笑)


――今度は顔半分が影……。半分テイストが好きですね。

あー…。なんか今言われて感じました。表と裏とか、反対のものが1つになっているという設定は好きなのかもしれません。


――あ、ここに裏設定が書かれていますが、読んでしまっていいのでしょうか?

いいです。そこがジャデスの生まれた設定なんです。光が父親の意識、影はその意識を浸食しようとするブラックデスの力なのです。


――まだ半分の侵食ってことですね。精神面において不安定なキャラになりそうですね。

そうです。とても強いんですが、ときどきすごく弱くなるんです。状態が不安定だからこそ発揮される強さというのを出してみたいなと思っています。


――この画像を記事に載せてもいいですか?

もちろんです! ぜひお願いします。
ミュールもいいですよ。どうせなら描いたもの全部載せてもいいですし、没キャラとかも持ってきました。えーと…ちょっと待ってください。


――あ、いえいえ、大丈夫です。とりあえずジャデスだけにしておきます。

そうですか? 別にボクはかまいませんので必要になったらいつでも言ってください。




◆タイトルについて

――タイトルの副題にあった”終わりなき曲”、これはどんなイメージですか?

イメージ? う〜ん…、とりあえず一度魔王を倒して、終わりだと思ったら新たな展開が待っている。そういう、まだここで終わらないということと、ある曲がターニングポイントになることを示しているんです。だから1章が”終わりなき”で、”曲”が2章にかかっているという謎なんです。


――謎を散りばめていますね〜

そういうの好きなんです。色々なところにヒントとか謎を隠して、あとでこういうことだって言われると驚くじゃないですか。やっぱり伏線って大事です。


――いや〜、天羽くんの創作力は本当にすごいです。そこまで考えられているところが驚きというか、これからの若い人たちにも期待できるという想いが生まれましたよ。

いつかはボクもゲームを作ってみたいと思っています。そのときはよろしくお願いします。


――こちらこそ、いつでも待っています。ぜひまたお話を聞かせてくださいね。今日はありがとうございました。

ありがとうございました。


投稿者 ツクールスタッフ : 2008年03月07日 19:18

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