海の男が山で遭難者を救助--。青森署は28日、青森市の八甲田山中で遭難者を助けた青森海上保安部救難係長・金沢真さん(40)=青森市=に感謝状を贈った。金沢さんは「本業の海でも頑張りたい」と笑顔で話していた。
金沢さんは今月11日午前9時ごろ、八甲田山で山スキーを楽しんでいた時、新雪の上でコースを外れていった足跡を偶然、発見。スノーボードをしていた米国人男性の遭難事故が前日にあったことがよぎった。
足跡を300メートルほどたどると、「ヘイ、ヘイ」と呼ぶ声が聞こえた。近付くと、遭難した男性が木の根元に穴を掘って座っていた。金沢さんは110番通報をし、捜索隊を誘導。米国人男性は低体温で体力を消耗していたが、けがもなく無事に下山した。男性は「何か食べるものはないか」と話したため、金沢さんは「まだ元気がある」とホッとしたという。
金沢さんは「仕事で海ばかり見ているから」と、休日は山に行って趣味のスキーや登山を楽しんでいるという。金沢さんは工藤重春・同署長から感謝状を贈られると、「遭難者が元気で何よりです」と照れながら応えていた。【鈴木久美】
毎日新聞 2009年1月29日 地方版