さまざまな木剣 | 2591|共感0
41599| JAPANrindoh | 2005.07.15 01:06:54
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さまざまな木剣 (bokken)

 

江戸時代,日本には数百とも千ともいわれるほど多数の剣術流派が林立していました。
人間の性格が十人十色であるように,個々人の性質,戦闘概念,
あるいは地域文化の違いによってこのように分化・多様化したと考えられます。

このような古流剣術の諸流派では稽古で木剣を用いていましたが,
その木剣にも流派のスタイルに合わせて多様なバリエーションが見られます。
そこでさまざまな木剣を見ることで,日本の多様な伝統的武術文化の一端をのぞいてみましょう。






■ 日本剣道形 (現代剣道で用いる形式) の木剣


日本剣道形
オーソドックスなスタイル。重さも形状も手ごろです。
赤樫・白樫が一般的ですが,いろいろな材質があります。
私もこれを主に使ってます (ただし,先を削って重心を手元寄りにカスタマイズしてます)。 

 
 
赤樫                         白樫
樫は硬く豊富にあるため,もっともポピュラーな素材。



 
イス                         すぬけ  
イスノキ Distylium racemosum は主に西日本に自生する木です。示現流で使ったりします。軟らかい。
すぬけは,南九州霧島山脈の山奥で,樹齢300年以上のイスノキ科の老木が風化し,残った芯の珍木。独特の色と風合い。


 
黒檀                         鞘付木刀
黒檀は重くて硬い。高級品。





■ 諸流派 (古流剣術) の木剣


 
香取神道流 (香取神道流 Katori Shintoh-ryuu)    97cm 約520g 白樫

正式には「天真正伝香取神道流」。武神・香取神宮のお膝下,600余年の歴史を有する流派。日本近世剣術の源流の1つ。
室町時代の武将,飯篠長威斉家直 (1387-1488) を流祖とし,千葉県の香取に伝承する。
家直は60歳にして香取大神に千日の大願をたて,齋戒沐浴して鍛錬を重ね,粉骨砕身の修行の後,
香取大神より神書一巻を授けられたと伝えられる。



重さは普通。切っ先を直線的に切り落としてます。



 
鹿島新当流 (鹿嶋新當流 Kashima Shintoh-ryuu)
   
鹿島新当流は別名卜伝流と云われる通り,開祖は塚原卜伝で,新当流とは心を新たにして敵に当たるという意味らしい。
鹿島神宮に参拝したときに悟ったと言われる「一の太刀」の秘技で有名。
37回にも及ぶ戦場での戦いに19回の真剣勝負,うち斬った敵の首の数は212。
6ヶ所の矢傷以外刀傷槍傷も受けなかったという卜伝の伝説を生み出した。



反りのない直刀です。鹿島神流など,鹿島系の剣術に共通していると思われる。鹿島神宮で売ってます。神宝「経津御霊剣」をかたどっているらしい。


 
示現流 (示現流 Jigen-ryuu)   102cm (3.35尺) 約800g 白樫

薩摩藩の門外不出の剣術。
示現流の特徴はその猛烈な初太刀にある。
稽古において丸木をトンボの構え (右側頭部に剣を突き上げる構え) から左,右と斬る事を何度と無く繰り返す。
練磨に習熟すると,一太刀の斬撃のみで二の太刀を振るうことなく敵を倒すことができるという。




 
柳生新陰流 (柳生新陰流 YAGYUU Shinkage-ryuu)   99cm 550g 白樫

上泉信綱によって創始された新陰流を学んだ柳生但馬守宗巌を祖とする。
一般にに流儀を柳生と冠して名を「柳生新陰流」と呼ばれる。
江戸時代初期に息子の柳生宗矩が徳川幕府に兵法指南役として迎えられ,その名を大いに高めることになった。
流儀としては尾張名古屋の嫡孫・兵庫助利巌が第3世を継ぎ,
第4世・柳生連也巌包と以降尾張藩の「御流儀」として伝承され,現在は第21世・柳生延春師に伝わっている。



結構細身です。直線的に切っ先を切り落としている。



 
小野派一刀流 (小野派一刀流 ONO-ha Ittoh-ryuu)   98cm 600g 白樫

戦国時代末期に現れた中条流の剣客で「剣鬼」の異名を取る剛剣の使い手,伊藤一刀斎景久が開いた流派。
一刀斎は中条外他流の鐘捲自斎の門弟でその極意を受け継ぎ,諸国を巡って修行して一刀流を開いた。
一刀流は中条流の影響を色濃く受け,定寸の刀も二尺の細身の刀と一尺五寸五分の小太刀を用いる。
稽古は,新陰流が早くから袋竹刀を取り入れているため,その系列である柳生新陰流が袋竹刀を用いているのに対し,
あくまで木刀を用いて厳しい稽古を行ったためか,歴代将軍は柳生流を好んだ。
一刀流の中でもその正統を他と区別する為に名乗っているのが小野派一刀流である。
江戸時代には梶派,中西派,北辰一刀流,無刀流など分派を生み出した。
一刀流の極意は「切落」にあり,一刀のもとに敵を倒す。その一撃は高度な術理にもとづいた日本武道の精華でもある。



ちょっと太めです。つばを付けて使用している。



 
北辰一刀流 (北辰一刀流 Hokushin Ittoh-ryuu)   106cm (3尺5寸) 白樫

江戸末期,「鬼神を凌ぐ腕前」と言われた剣豪・千葉周作は,従来秘伝とされていた剣術技法の本質を抽出,
平易な動作へと改め,合理的で極めて即効性の高い剣術・北辰一刀流を作り上げた。門弟の数3千6百。
父・幸右衛門が北辰夢想流の名手であり,のちに松戸にて浅利又七郎や中西忠兵衛についてさらに修行を積んだといわれる。
そして独立すると北辰一刀流を開き江戸日本橋に玄武館道場を開いた。
その明快かつ実戦的な剣風は幕末の江戸を席巻し新撰組の藤堂平助や山岡鉄舟、坂本龍馬といった人材を輩出した。



一刀流系の木剣はおしなべて太めですね。


 
二天一流 (二天一流 Niten'ichi-ryuu)   102cm (3.35尺) 約350g 白樫

言わずと知れた江戸時代初期の剣豪宮本武蔵玄信が開いた流派。
刀法も古来より太刀勢法,小太刀勢法,小二刀勢法から五法の勢法,二刀の勢法等が伝承されている。



かなり細身で軽いです。形は剣道形と似ている。



 
天然理心流 (天然理心流 Tennen rishin-ryuu)   102cm (3.35尺) 約1.8kg 赤樫

武州多摩地域の限定された所謂一田舎剣術にすぎなかったが,
新選組の局長・近藤勇のおかげで全国的に有名になった流派で,近藤勇自身4代目の宗家であった。
幕末の無法地帯にあって尊攘派浪士達を震撼させた新選組の剣の原点とも云える流派で,いまだに人気のある流派のひとつ。
天然理心流は極めて実戦的な剣法であり,その鍛錬法も激しい。木刀もまるで丸太のようなものを使用する。



丸太です。(笑) 真剣よりかなり重い。





■ その他の木製の稽古用武器


 
杖 (杖 joh)     127cm (4.21尺)

合気道系でよく稽古されますね。



 
薙刀 (薙刀 naginata)     

女性がやる武器というイメージがあるが,古流で修練する流派は多い。



 
タンポ槍 (タンポ槍 tampo-yari)   赤樫  9尺

怪我を軽減するように,穂先の部分にクッションをつけた稽古用の槍。布に石灰を塗り,刺撃の有無の判定をすることもある。



 
十文字鎌槍 (十文字鎌槍 juumonji kama-yari)   赤樫  9尺


16世紀中頃に発明された槍。優秀さから瞬く間に普及した。






このように,木剣1つとってもさまざまなヴァリエーションがあります。
日本では長い年月にわたり伝統剣術が伝承,発展してきたことの証左でありますね。


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rindoh|07-15 01:13
Topは宮本武蔵(1584-1645)作の木剣。のちに、 熊本藩の家老となった松井寄之が若いころに、武蔵に「巌流島では、どんな武器を使って戦ったのか?」とたずねたところ、武蔵が自分で作ったのがこの木刀らしい。
rindoh|07-15 01:16
この時間帯の管理人は文化紹介スレッドも容赦なく削除しますね。大部分は日本の文化紹介で、洗濯風景の古写真と金弘道作の子供の絵の2点だけ添えてるだけなのに。(TωT)
jfk10|07-15 01:20
力作で御座いますね。私は最近、柳生新陰流の木刀を使っておりますよ。
kwt_tokyo|07-15 01:21
良スレですね。じっくり読んでしまいました。
rindoh|07-15 01:22
jfk10> それはそれは。鍔が付けられないやつですね。昔知り合いが一時期使ってました。。。
rindoh|07-15 01:24
kwt_tokyo> 本当はこの他にも野太刀自顕流、立見流、鞍馬流、直心影流などの木剣も載せる予定だったんですが・・・容量オーバーだったらしい。拒否されました。(TωT )
jfk10|07-15 01:26
私もはじめは日本剣道形 を使いましたが、反りがもっと少ない、柄が長い、細く、軽いものが使ってみたくなりまして、買ったんですが、ちょっと軽くて護身には向かないかなあという気がしてます。
rindoh|07-15 01:28
jfk10> 確かに新陰流のは(剣道形と比べて)反りが少ないですよね。鍔を付けないで使うには柄が長いほうがいいですしね。軽すぎるのも逆に使いにくい。
jfk10|07-15 01:31
二天一流の木刀も特徴があって買おうかと思いましたが、太めの杖を買ったほうが役に立つかな、という気がしてます。
rindoh|07-15 01:35
杖は普通サイズの赤樫を1振持ってます・・・二天一流の木剣は軽いですねー。缶ジュース1本くらいの重さ?(w
jfk10|07-15 01:36
野太刀自顕流(薬丸自顕流)といえば東京に支部ができまして、それを見学しに行ったのですが、行くと体験させてくれました。一回体験した限りで言いますと、あれが最高の剣術とは思えませんでした。他の武術への応用も難しい流派だと思われました。
rindoh|07-15 01:45
同感です。「抜き」とかいう逆袈裟に抜きつける技法があったと思いますが、姿勢がなんか変な気が。・・・東京に支部ができたんですか。本もでたしメジャーになってきたんですね。
rindoh|07-15 01:46
昔はすごかったのかもしれませんが。。。
jfk10|07-15 01:48
http://www.rivo.mediatti.net/‾hiken/←こちらですかね。抜きのあの姿勢は色々理由があるそうです。体に1度引き付け、抜刀するのは相手に攻撃を防ぐためだとか。宗家の技はさらに特別だそうでして。
guevara|07-15 01:50
rindoh さん、こんばんは!木剣にも、これだけ多くの流派の差があるなんて、初めて知りました。私が幼い頃、兄が修学旅行で、木剣を買ってまいりまして、以後私も、振り回したりして愛用いたしました。しかし、観光地の木剣、あれには何か意味があったのでしょうか・・(笑)。すいません、良スレにお邪魔をいたしました。
rindoh|07-15 01:53
なるほど、薬丸の宗家ですか・・・井谷さんとこじゃないんですね。実際見たことないから何とも言えないですが・・・東郷の方は見ました。
rindoh|07-15 01:56
guevara> とんでもない、こんばんは。流派ごとに微妙に違うと言っても過言ではないかもしれません。真剣なども微妙に違いますしね。◇観光地の木刀は何なんでしょうね。(w
jfk10|07-15 01:59
訂正です。体に1度引き付け、抜刀するのは相手の攻撃を防ぐためだとか。他にも理由はあるそうです。
rindoh|07-15 02:07
jfk10> ふむふむ。まあ、他流の批判は自粛します。(w 東郷の方は結構露出度が高いですが、薬丸も神宮や日本武道館の古武道大会に出る予定とかはないんですかね。見てみたい気もする。
jfk10|07-15 02:13
宗家の抜きは、斬り上げるように抜刀した木刀が技の終わりで、次の技へ移るため手の内で回転し、自然に持ち変えられるそうです。
rindoh|07-15 02:21
九品仏の浄真寺で稽古してるんですか。あの辺結構ハイソな住宅街だったと思うんですが、「エン叫」は大丈夫なんでしょうか・・・他人事ながら。
rindoh|07-15 02:22
サルという漢字自体使用禁止とは・・・。orz
jfk10|07-15 02:24
叫んでおりましたよ。横木もボカボカ叩いておりました。行きましたら誰でも見れますね。
rindoh|07-15 02:27
そうですか・・・世田谷と自顕流というのも妙な取り合わせ w さすがに首都圏はいろいろ集まってきますね。
mukaetutu|07-15 02:36
まさかnaverで木剣の詳しい解説threadに出会えるとは思ってませんでした。naverに来なかったら、触れられないままだったろうなぁ・・・ rindohさん、乙です。
rindoh|07-15 02:45
mukaetutu> こんばんは。上は一部ですし、これに鍔をつけたりするんですがね・・・そこまで造船人に見せる必要もなし。(w
rindoh|07-15 02:46
もちろん剣術・古武術は木剣だけでなくさまざまな道具を使って修練する・・・がそこまで造船人に見せる必要もなし。www
peachboy|07-15 02:53
素晴らしい。一本、欲しい。神奈川に居た頃、安物を振り回していたら息子の担任が、お前の親父は右翼か、と。息子に祖国を捨てさせた不用意な一言でした。久しぶりに木刀を振ってみたくなりました。
rindoh|07-15 02:56
peachboy> こんばんは。日本の文化に無知なとんでもない教師ですね。東京なら水道橋や神保町の武道具屋に結構いろんな流派のものが置いてあります。(w
mukaetutu|07-15 03:02
rindoh>rindohさん、こんばんは。こんな機会ですので、水道橋、神保町の武道具屋がどこにあるのか教えてくださりませんか? ちょっと買ってみたくなりました・・w
rindoh|07-15 03:03
あと、こんなショッピングサイトもあります。>>> http://bokkenshop.com/jpn/style.html
peachboy|07-15 03:03
今回、家内が一人日本に行きます。その準備に追われていますが、買い物帳に一つ付け加えさせますかな。水道橋ですね。迷子にならなければいいが。(笑
rindoh|07-15 03:07
mukaetutu> その筋で有名なのは「尚武堂」です。JR水道橋駅を出て白山通りを後楽園遊園地を左に見ながら北上すると、右にあります。
jfk10|07-15 03:09
rindoh氏がお詳しいと思いますが同じ形の木刀でも、木の組織の密度は各々違いまして、重さや釣り合いが一本、一本違っておりますよね。
rindoh|07-15 03:10
同じ通りに「水道橋商会」ってのもあります。どちらも駅から近いです。あと、神保町で靖国通りをひたすら九段方向に歩くと左側(南側)に「陽明堂」って武道具屋があります。
rindoh|07-15 03:11
かなり九段よりです。ここは高いが物がいいです。わしが今愛用してるのもここの木です。(w
kwatcher|07-15 03:11
自国のこととはいえ、木刀にもココまで違いがあるとは……。そういえば学生時代、弓のお師匠のお宅で酔っぱらった時、お師匠が「黒い木刀」で持ち出して、下ネタを披露して喝采を浴びた記憶が。あれ、まさか黒檀の木刀だったんじゃ……(笑)
mukaetutu|07-15 03:12
サンクスです・・ 一振りは俺用、もう一振りは相方に護身用としてくれてやるか・・
rindoh|07-15 03:13
jfk10> そうですねえ。同じ赤樫で剣道形でも違う。本来自分の手で持って比較しながら選ぶのがよいようですよね。古木で柾目?がいいなんていうことも聞きました。
rindoh|07-15 03:16
実際、同じ赤樫でも安物の軽い木剣はすぐささくれ立ってしまいますが、目のつまった古木は多少凹みますがすこぶる丈夫です。。。
jfk10|07-15 03:16
私は店にあるものを全部振って見ました。密度が詰まっていて、重さが中心に集まっている、本物の刀に近いものを選んだつもりになっているんですが、実のところ選び方が分からないのですよ。
rindoh|07-15 03:18
kwatcher> 黒檀やすぬけなどは重いし値が張るが丈夫ですね。高級品です。(w
rindoh|07-15 03:21
jfk10> 木目が汚いのを選ぶのも1つの手のようです。真剣も板目が多いんじゃなかったっけな・・。大体剣道形は重心が切っ先よりなので、わしは先を削って使ってます。わしの師匠も木剣削りが趣味のようで。(w
rindoh|07-15 03:25
peachboy> 尚武堂ではマイケル・ジャクソンが剣道の打ち込み用の人形に興味を示して買っていたとか。噂なのでガセかもしれませんが。(w
prozokukoku|07-15 03:28
陽明堂で初めて天然理心流の木刀を見た時は驚いたなあ。
rindoh|07-15 03:33
prozokukoku> あそこはいろいろ品揃えが豊富ですよね。おやじさんは使い込んでベコベコの、ヌカかなんかでピカピカに磨いた神道流の木剣が自慢のようです。(w
prozokukoku|07-15 07:44
あそこは通勤の途中で通るんですよ。しかし天然理心流の木刀は、皆さんに是非見て欲しいですよ。本当に丸太みたいですよ。昔の人は手が小さかったから持つのも大変だったでしょうねえ。
prozokukoku|07-15 07:48
実戦で強かったという天然理心流や示現流の木刀を見ると、実戦では膂力がものをいったのかなあと思ってしまいます。
ionouesinkai|07-15 11:17
樫の杖と、赤樫の櫂型木刀なら持ってますよ。prozokukokuさん>池波正太郎の「剣客商売」で、剣術修行の最初に鉄製の箍をはめた棒を振らされるシーンを思い出しますな。
chihouroujin|07-15 12:34
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- さまざまな木剣 [50]
独断と偏見の人物評<寺内正毅>(韓国語) [7]