TAO計画の1メートル反射望遠鏡=東京大天文学教育研究センター提供
チャナントール山=東京大天文学教育研究センター提供
東京大天文学教育研究センターは1月中旬から南米チリ北部アタカマ砂漠のチャナントール山山頂(標高5640メートル)に口径1メートルの赤外線反射望遠鏡の建設を始める。完成は3月下旬の見込み。世界でもっとも高い場所にある設置型の大型望遠鏡となる。
東京大学アタカマ天文台(TAO)計画の第1弾。赤外線は大気中の空気や水分に吸収されやすいため、約0.5気圧と空気が薄く、乾燥している同山頂に目をつけた。これまで地上からの観測は不可能とされた波長の長い赤外線(0.02〜0.03ミリ)の観測には最適で、宇宙のはてにある超遠方の銀河や惑星誕生の様子を探る。望遠鏡は、直径6メートルのドームとともに船便で10日にチリに到着する予定。望遠鏡の製作費などを含め、予算は約10億円。
TAO計画では、東大がハワイに設置していた口径2メートルのマグナム望遠鏡も補修してから同山頂に運ぶ。さらに、約70億円かけて6.5メートルの望遠鏡をつくり、6、7年後に3台体制になる。
天文センターの吉井譲教授らは、チリ政府から研究用に無償で土地を借り受け、山頂までの約6キロの道路をつくり、山頂の約1万平方メートルも整地した。大気の影響を避けるには天文衛星を使う方法もあるが、予算が巨額なうえ、望遠鏡の大型化が難しく、修理ができないなどの欠点がある。(鍛治信太郎)