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神戸市立中の在日韓国人講師:人権救済申し立て 韓さん「引き下がらない」 /兵庫

 ◇外国籍の子どもたちのため 一日も早い解決、韓国政府も支援

 「後に続く外国籍の子どもたちのためにも、日本人教諭より低い立場に置かれている外国人教員の問題を一日も早く解決させたい」--。外国人教員が管理職になれないのは憲法違反などとして28日、日本弁護士連合会(日弁連)などに人権救済申し立てを行った神戸市立中学校教員、韓裕治さん(43)。その訴えを受けて韓国政府は来月、アジア大洋州局長会議で日本政府に差別撤廃を申し入れる。会見には韓国メディアも訪れ、関心の高さをうかがわせた。【中尾卓英、山田泰蔵】

 神戸市教委との交渉が膠着(こうちゃく)状態になった昨年10月末、韓さんは祖国の世論に訴えようと訪韓。同国内では「全国教職員労働組合」や市民団体が支援を申し出たほか、国会での記者会見で民主労働党の李正姫(イジョンヒ)議員が政府見解をただすことを約束。新聞もトップニュースで報じた。

 その後、韓国外交通商省は「常勤講師として採用し校長や教頭になれないのは、日本人と在日韓国人を差別すること。国際人権規約にも違反する」と李正姫議員らに回答。毎日新聞の取材に対し韓国外交通商省は「(来月上旬の)局長会議を通じて、国籍を理由にした差別を撤廃するよう日本政府を説得したい」とした。

 公立学校の教員は91年の日韓覚書で国籍条項が撤廃された。全国の教壇に立つ在日外国人教員は200人を超える。しかし、文部省(当時)は局長通達で「公権力の行使、公の意思の形成への参画には日本国籍が必要」との「当然の法理」を理由に外国人教員を「常勤講師」に制限。学校教育法施行規則で「主任は教諭を充てる」と規定していることから、外国人教員の管理職任用が閉ざされている。文科省の「『当然の法理』に基づいた91年の通知を変更する予定はない」というかたくなな姿勢は、学校現場に無用な混乱をもたらしている。

 だが、韓さんも所属する日本教職員組合(日教組)は副校長、主幹教諭、指導教諭など教員の序列化を進める学校教育法改正に反対する立場から、外国人教員任用問題への関心は高くない。教育者として「人の痛みへの想像力の欠如」という大きな問題が横たわる。

 一方、人権救済申し立てには、岩手から沖縄まで全国71人の弁護士が代理人として賛同した。代表の白承豪(ペクスホ)・県弁護士会人権擁護委員は「法律にも根拠がない『当然の法理』を盾に外国人排除、人権侵害を続ける国の姿勢をただし、多くの市民と共に考える機会にしたい」と話す。

 この問題について神戸市教委の児玉成二・教職員課長は「(職員会議で副主任の欄から)名前を削除されたのは事実で、配慮が足りない行為だった」とした上で「申立書を見ていないので、具体的なコメントはできないが、今後調査があれば、経過などを十分説明していきたい」とコメントした。

〔神戸版〕

毎日新聞 2009年1月29日 地方版

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