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国連「弱腰」アラブ不信感 潘事務総長、痛手続き

2009年1月29日8時10分

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 【ニューヨーク=松下佳世】イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ攻撃で、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は14〜21日、中東入りして事態の収拾を目指した。だが、歴訪中に「停戦」が実現したものの、「事務総長の手柄でなく歴訪のタイミングが良かっただけ」(国連外交筋)との冷ややかな見方が一般的で国連への評価は低い。事務総長就任後初めて直面した中東危機は、多くの課題を残した。

 潘氏は21日の国連安全保障理事会への報告の中で、ガザの被害状況を調べ、近く国際社会に対する緊急支援の要請を行うと発表。復興支援に向けた本格的な取り組みが始まった。だが停戦の決め手は、米新政権誕生をにらんだイスラエルの外交戦略にあったのは明らか。むしろ停戦に直接貢献できなかった国連への失望感が広がっている。

 痛手だったのが、イスラエルによる度重なる国連施設への攻撃。事務総長がイスラエルに入った15日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の現地本部が砲撃された。潘氏はオルメルト暫定首相らに強く抗議したが、2日後には国連が運営する学校が攻撃されて避難中の子供らが死傷した。さらに、面目をつぶされながらイスラエルには「説明と関係者の責任追及」を求めるにとどまり、「イスラエルに弱腰な国連」を印象づけてしまった。

 アラブ諸国では、23日間続いた人道危機を止められなかった国連への不信感が強い。潘氏に対し、レバノンでは抗議デモの参加者から「事務総長は帰れ」の連呼が起き、ガザではハマス幹部から「事務総長はイスラエルの肩を持ち、ガザの窮状を理解していない」と非難された。

 米国の強い後押しで事務総長に就任した潘氏は、イラク戦争などをめぐって米国との対立を辞さなかったアナン前事務総長に比べて「米国寄り」と見られていることも批判の背景にある。

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