東京地検特捜部に法人税法違反(脱税)容疑で逮捕された不動産会社「カーロ・ファクトリー」(東京都港区、現テールトゥシエル)元社長の遠藤修容疑者(48)が、東京・渋谷の再開発のための地上げを進めていたころ、地上げ資金を融資していた三菱東京UFJ銀行(旧東京三菱銀行)の副頭取(当時)を飲食接待していたことが、同行関係者の話でわかった。
遠藤元社長が同行との融資交渉で副頭取と親交があることに言及し、同行の融資担当者が対応に配慮していたことも判明。元社長が元副頭取との関係を利用し、地上げ資金を得る交渉を有利に進めようとした疑いが浮かび上がった。
遠藤元社長は03〜05年、渋谷区南平台町の商業地約6948平方メートル(約2100坪)を再開発するための地上げを進めた。この商業地にあったビルや土地を買い上げる際、都内の住宅販売会社経由で東京三菱銀行(当時)などから得た計216億円の融資金を使っていた。
関係者によると、遠藤元社長は、この地上げを進めていた時期より前に、相撲部屋の親方を介して元副頭取と知り合いになった。元社長はそれ以降、年に数回、都内の料亭などで、親方やその知人らとともに元副頭取と宴席をともにしていた。さらに、地上げの時期には、都内の飲食店で元副頭取と同行幹部の2人を接待したという。
一方、遠藤元社長は、渋谷の地上げで融資の窓口となった東京三菱銀行の新宿副都心支店と交渉した際、同支店の融資担当者らに対し、元副頭取の名前をあげ、親交があることに言及したという。この発言を聞いた同支店側は、元社長の機嫌を損なわないような対応を心がけたという。