高崎市八島町の「高崎哲学堂」(旧井上房一郎邸)を所有する財団法人高崎哲学堂(原浩一郎理事長)は27日、土地・建物を売却するため市と具体的交渉に入ることを決めた。建物は市景観重要建築物に指定されており、市はこの土地・建物を取得する方針。
高崎哲学堂は群馬音楽センターなどを設計した建築家、アントニン・レーモンドさん(1888~1976)の東京の自宅をモデルに、井上房一郎さんが52年に建てたとされている。木造平屋建て148平方メートルで、敷地は現在1670平方メートル。
税金の滞納で競売となり、02年3月に同財団が3億1000万円で落札した。購入に際して市民から1億2000万円の寄付が集まったが、2億1000万円は金融機関からの融資を受けた。この返済が重くのしかかり、施設の維持が難しくなったため、市に売却を要望していた。土地の実勢価格などから売買価格は2億円程度になると見込まれる。
同財団の熊倉浩靖常務理事は「市民の寄付だけでは持ちこたえられなくなった。より多くの市民の共有財産にしてほしいと思い、市に購入をお願いした」と話している。
市は「哲学堂は高崎の文化、建築の両面で価値がある。隣接する市美術館とあわせた活用を考えていきたい」としている。【増田勝彦】
毎日新聞 2009年1月29日 地方版