福岡市西区小戸3丁目で19日、市立内浜中学校1年の男子生徒(13)がマンションから飛び降り自殺した問題で、内浜中は29日夜、緊急の保護者会を開き、薄(すすき)公治校長は「(体罰と自殺が)直接結びついているとは考えていない」と説明した。同日朝の記者会見では「何らかの影響を与えたと考えられる」としていたが、発言が揺れた。家族は「学校が持つ情報をすべて知りたい」と話している。
学校によると、生徒は昨年6月、担任から同級生をいじめたのではないかと調べられた際、頭をげんこつで1回殴られ、ひざをけられた。今月16日にも、忘れ物をしたとして頭をげんこつで1回たたかれていた。
薄校長は昨年6月の担任の行為を体罰と認める一方、「生徒と保護者に謝罪し、部活動や授業などで担任から声をかけるようにしていた」と強調。体罰が影響しているとした発言については「いろんな要因の中の一つ、という意味で言った」と説明した。
学校の聞き取り調査では、自殺前日の18日に生徒と遊んだ友人が「(自殺した生徒に)変わった様子はなかった」と答えたという。16日にげんこつでたたかれた生徒はほかにもおり、自殺した生徒も照れ笑いを浮かべていたという。薄校長は「自殺につながるような予兆はまったく確認できていない」と話す。
一方、生徒は自宅では、学校での印象とは違う姿を見せていた。高校の数学講師をしている母親は昨秋ごろから、息子が甘えるようになったと感じていたという。
昨年10月に息子の部屋で見つけたノートには、塾や部活動で忙しく「お母さんといっしょにいられなかった」などと記されていた。このため母親は、冬休みに一緒に映画に出かけるなど、親子の時間を大切にするようにしていたという。
「男2人兄弟で厳しく育ててきた。体罰と自殺が直結したとは考えにくい」と母親もみている。しかし、「学校に行きたくない」と訴え、登校を嫌がる様子が自殺前にあったため、学校の指導に何らかの原因があると考えている。
「犯人捜しは望んでいない。悲しんでいる友人たちはそっとしてあげてほしい。ただ、自殺の真相を知るために家族と学校で持っている情報を共有し合いたい」
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