福岡市西区小戸3丁目のマンションから19日、転落して死亡した市立内浜中1年の男子生徒(13)が、昨年6月に担任の男性教諭(37)から体罰を受け、母親に死にたいと話していたことが分かった。福岡西署は転落は飛び降り自殺とみており、その3日前にも担任からげんこつを受け、携帯電話には「先生がまたなぐった」と友人に相談しようとした未送信メールが残っていた。体罰と自殺の因果関係は不明だが、同校の薄(すすき)公治校長は「何らかの影響があったと考えている」としている。
校長の説明によると、担任は昨年6月、生徒が同じ学級の男子をいじめた可能性があるとして、2日間にわたり「(男子の)水筒のお茶を捨てたのか」などと問い詰めた。その際、生徒の額をげんこつで突いたり、ひざをけるなどしたという。
その後、母親から「息子が死にたいと言っている」と電話連絡を受けたため、担任が自宅を訪問し謝罪。翌日に校長と担任が母親と面談し、体罰の事実を確認した上で再び謝罪、校長は「考えて指導するように」と担任に伝えていたという。
今月16日には、生徒が忘れ物を2日連続でしたため、担任はクラス全員の前で、他の生徒2人とともに頭をげんこつでたたいた。校長が母親から聞いたところでは、生徒の携帯電話には「部活さぼった 先生がまたなぐった 電話していい?」との友人へ未送信メールが残っていたという。
母親によると、当日朝、父親に「行ってきます」と言って家を出たふりをした後、家の2階に上がって母親の携帯電話に電話をかけたという。仕事中で出ることができなかったが、着信が10回以上残っていた。留守番電話にはすすり泣くような声が入っていたという。
薄校長は「中学では担任と生徒のつながりは非常に強く(体罰が)何らかの影響があったと考えている」と話している。
●体罰と関連考えにくい 福岡市教委
福岡市教委学校指導課は、男子生徒の自殺について「昨年6月の担任の行為は明らかな体罰で不適切だが、生徒のトラブルに対して真摯(しんし)に対応したことは間違っていない。今月の行為は懲戒指導の延長と考えている。この2件が、生徒の自殺に直接結び付いたとは考えていない」としている。山田裕嗣(ひろつぐ)教育長は「さらに事実関係の調査を行い、適切に対応していきたいと考えております」とコメントを発表した。
=2009/01/29付 西日本新聞夕刊=