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自殺生徒に担任が体罰、校長「要因の一つ」…福岡

謝罪し頭を下げる内浜中の薄校長(左、29日午前11時11分、福岡市西区で)=浦上太介撮影

 福岡市西区小戸で今月19日、登校中に自宅近くのマンションから飛び降りて自殺した市立内浜中((すすき)公治校長)の中学1年男子生徒(13)が、担任の男性教諭(37)から体罰を受けて「死にたい」と漏らしていたことが分かった。

 生徒は昨年6月に足をけられ、自殺する3日前には頭をげんこつでたたかれるなどしていた。校長は体罰について「死亡した直接の原因とは断定できないが、要因の一つだと思う」としている。

 薄校長や市教委によると、担任は昨年6月中旬、生徒が同級生をいじめているとして、理科準備室に呼んで問いただした。生徒が認めないため、担任は生徒のひざを4回けり、げんこつで頭を1回たたいた。

 生徒の母親(39)によると、生徒は「(同級生の)上履きを隠したのはお前だろう」と担任に問い詰められた。生徒は「否定したのに、先生に何を言っても信じてもらえない。帰り道で車に飛び込んで死のうとしたけどできなかった」と泣きながら母親に訴えたという。

 校長や市教委によると、2日後、担任と校長、母親で話し合い、体罰があったことを確認。生徒が所属していた運動部の顧問も務めていた担任は母親に「すみませんでした」と謝罪した。校長は内浜中の全教職員に体罰をしないよう指導した。

 その後、生徒はクラスでも部活でも変わった様子はなく、普段通りの学校生活をしていたという。

 だが、生徒は今月15日、初めて遅刻して登校し、音楽の教材を忘れた。翌16日も別の教材を忘れ、担任はこのクラスで「2回忘れ物をするとげんこつ」というルールを設けていたため、「帰りの会」でほかの生徒の前でたたいたという。

 生徒は今月19日朝、自宅近くのマンション駐車場に血まみれで倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。高校の臨時講師でこの日、早朝から出勤した母親の携帯電話には、生徒からの不在着信が十数回残っていた。生徒の自宅パソコンには、自殺法などをインターネットで検索した履歴があり、県警は現場の状況から自殺と断定した。

 19日夜、薄校長は記者会見で自殺の原因について「思い当たることはない」と繰り返していた。20日に営まれた通夜で、母親から「体罰と自殺の因果関係を調べてほしい」と要望されたことを受け、初めて市教委に体罰の事実を報告したという。

2009年1月29日  読売新聞)
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