自殺した男子生徒が友人に送ろうとしていた未送信の携帯メール。2日後に生徒は自殺した(画像の一部を加工しています)
福岡市西区小戸3丁目で今月19日、マンションから飛び降りて死亡した市立内浜中1年の男子生徒(13)が、担任の男性教諭(37)から昨年6月に体罰を受け、家族に「死にたい」などと話していたことが学校や両親への取材でわかった。県警は生徒の転落は自殺と断定している。学校によると、生徒が死亡した3日前にも担任から体罰を受けていたという。薄(すすき)公治校長は当初「(自殺に)心当たりはない」と話していたが、29日は「何らかの影響を与えたと考えられる」と話した。
校長によると、担任は08年6月、生徒が同じ学年の別の生徒をいじめていると聞き、放課後に理科準備室に呼び出した。1時間以上にわたって「木刀で額を突いただろう」などと尋ねながら、生徒の頭をげんこつで1回殴り、ひざをけるなどしたという。
帰宅した生徒が母親に「死にたい」と訴えたため、母親が学校に連絡。担任が生徒の自宅を訪ねて謝罪した。その後、学校で母親、担任、校長の3人が面談し、校長から担任に「行き過ぎた指導をしないように」と注意したという。校長は体罰を市教委には報告していなかった。
また、担任は生徒が死亡した3日前の今月16日、生徒が忘れ物をしたとして、教室で生徒全員の前で頭をげんこつで1回たたいた。担任は忘れ物を2回するとげんこつでたたくというルールを決めていたという。校長は生徒が死亡した後に両親から指摘を受け、この体罰を知ったという。
校長は、生徒が死亡した19日の会見などで「全く心当たりがない」「生徒の行動に変わった様子はなかった」と話していた。母親はこれらの発言に関し、「昨年の体罰の件は知っていたはず」と校長に訂正を求めていたという。校長は29日、「隠す意図はなかった。生徒が亡くなったということで、昨年6月のことが頭に浮かばなかった」と説明した。
福岡市教委の担当者は「昨年6月の件は報告されるべきだった。ただ、行き過ぎた指導であったが、対応は適正だった。昨年6月と直前の指導が、自殺と因果関係があるとは考えにくい」と話している。
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