19日午前8時40分ごろ、福岡市西区小戸3のマンション「ホワイトパレス姪浜」(10階建て)の敷地内で、近くに住む市立内浜中1年の男子生徒(13)が倒れているのを住人の女性が見つけ110番した。男子生徒は間もなく死亡が確認された。死因は全身打撲とみられるという。福岡・西署は飛び降り自殺とみて、家族や学校関係者らから事情を聴いている。
西署によると、足跡などから男子生徒はマンションに外付けされた非常階段6、7階の間の踊り場から転落したとみられる。制服を着た状態で、マンションの防犯カメラに男子生徒と見られる人物が非常階段を上る様子がうつっていたという。1階非常階段に通学用カバンがあった。
同日午前8時15分ごろ家族が家から送り出したという。マンションは自宅と学校の途中にある。遺書は見つかっていないが、現場で争った形跡や着衣の乱れがないことなどから自殺の可能性が高いとみて調べている。
現場マンションは福岡市営地下鉄姪浜駅の西約1キロの住宅街。マンションの階段は外部から自由に出入りできる状態だった。転落場所とみられる6、7階の間の踊り場の塀は約1メートル程度。マンション出入り口近くの敷地には血痕が残り、署員が目撃情報がないか住民から話を聴いていた。6階の踊り場付近に住む女性は「物音も何もなく家族も誰も気付かなかった。救急車が来て初めて分かった」と驚いた様子で話した。
生徒が通う内浜中の薄(すすき)公治校長は亡くなった男子生徒について「まじめな子で目立った欠席もなく、金曜日も登校していた。剣道部に所属し部活もがんばっていった。いじめなども聞いておらず、特に大きな問題があったとは聞いていない。心当たりがなくびっくりしている」と話した。
学校では昼過ぎから全校集会を開き、生徒が亡くなったことを伝え「命を大事にするように」と指導したという。生徒たちは「信じられない」といった表情だったという。薄校長は「消防から連絡を受けた時は本当にウソだろうと思った。こういうことになって胸が痛みます。子供たちには命の大切さを再度伝えていきたい」と話した。市教委は同校にスクールカウンセラーの派遣を検討する。
【夫彰子、高橋咲子、朴鐘珠、島田信幸】
2009年1月19日