日本の屋根 4 【瓦屋根】 | 7338|共感56
53341| JAPANrindoh | 2006.06.05 21:47:12
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日本の屋根 4 【瓦屋根】

瓦 kawara という名称は甲冑の加和良,
サンスクリットの kapala からでたともいわれるが,定説はない。

最初に大陸から導入された形式の瓦は,いわゆる本瓦
現在も寺院や城郭において普通に見られる。
本瓦は平瓦と丸瓦を交互に葺くもので,
源流は東南アジアの竹屋根,
あるいは年輪に沿って割った板を使う屋根に由来するとも考えられているらしい。
しかしいずれにしろ本瓦は日本には完成した形で導入された。

元興寺に葺かれている現存日本最古の瓦葺きは,
台形のそりのある平瓦に,下が広い円筒を縦に割ったような丸瓦を
重ねて葺いた屋根で「行基葺き」と呼ばれる。
現在の本瓦葺きは下写真の左側のように丸瓦の上部を小さくし,
重ね合わせたときに上側の丸瓦が出っ張らないような構造になっている。

 

江戸時代の延宝二年(1674年),瓦の歴史としては画期的な考案がなされた。
近江大津の西村半兵衛(NISHIMURA Hambee)による桟瓦の発明である。

本瓦は,重厚で重く,
桟瓦は,軽快で軽い
といった特徴を持つ。

本瓦と桟瓦の断面イメージ
 

本瓦(左)と桟瓦(右)

数奇屋建築などでは軽快な屋根が求められるが,重い本瓦は使えず杮葺であった。
ところが杮葺には耐火性はない。
その点桟瓦は防火の役割も果たし,造形的にも数奇屋にふさわしいものとなった。
面白いことに京都の町屋のほとんどが桟瓦屋根であるのにたいし,
すぐ近くでありながら奈良・大坂や瀬戸内地方の民家は本瓦屋根であった。
すでに江戸時代には桟瓦は相当に普及していたようである。

 


現在の写真
寺社仏閣,民家は重伝建(重要伝統的建造物保存地区)の町並みを中心に日本の伝統的な瓦屋根を見てみましょう。
重伝建とは,周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的建造物群のこと。
つまり,歴史的な風景を保存している町並みのことです。

【本瓦葺】

法隆寺(国宝) 奈良県斑鳩町 7世紀末-8世紀初頭

元興寺(国宝) 奈良県奈良市 1244年
飛鳥~奈良時代の古瓦が使用されていることで有名。
赤い色をした瓦が飛鳥時代(6世紀末),白い色が奈良時代(718年)らしい。

薬師寺 東塔(国宝) 奈良県 730年

三十三間堂(国宝) 京都府京都市 1266年

千畳閣(国重要文化財) 広島県廿日市市 1587年(未完)
軒瓦に金箔瓦を使用。 

姫路城(国宝) 兵庫県姫路市 1601-9年

大坂城(国重要文化財) 大阪府大阪市 1620-19世紀半ば

東大寺 大仏殿(国宝) 奈良県奈良市 1709年 

東本願寺 御影堂 京都府京都市 1882年
世界最大級の木造建築。

今西家(国重要文化財) 奈良県橿原市今井町 1650年

古市金屋の商家町 山口県柳井市

竹富島の民家 沖縄県竹富町

【桟瓦葺】

二条城 本丸御殿 京都府京都市 1847年

馬場家 長野県松本市

蔵造りの商家 埼玉県川越市

ひがし(Higashi)の茶屋町 石川県金沢市

上賀茂神社の神官の屋敷 京都府京都市

八坂の塔および東山界隈の民家 京都府京都市

石州瓦の町並み 島根県大田市(大森銀山)

 


昔の写真

三十三間堂 明治時代

京都・祇園四条通り 1872年以前

東大寺 大仏殿 明治中期

大坂城 明治初年

江戸の細川藩邸 19世紀中頃

八坂の塔 明治時代

米屋と土蔵 明治時代?

正月の酒屋 明治時代?

 


【付録】朝鮮の瓦屋根
朝鮮には日本起源の瓦屋根,桟瓦葺きの伝統建築はありません。

中国伝来の,本瓦のみです。

漢城 崇礼門(南大門) 1890年

 CLOSE

漢城 昭義門(西小門) 1880年

平壌 普通門 

 

朝鮮では,両班以上の家でしか
瓦屋根を使うことができませんでした・・・

 

両班の屋敷(退渓宗家,サンパンsangbangの裏) 安東上渓 1973年

両班の屋敷(両班宗家)安東 1973年

両班の屋敷(退渓宗家門カン) 慶北安東郡土渓 1973年

両班の屋敷(退渓宗家アンチェ) 慶北安東郡土渓 1973年

 

(=´ω`=)y─┛~~

 

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rindoh|06-05 21:48
Topは川越の蔵造りの商家。
waldron|06-05 22:24
沖縄の瓦は漆喰で固めているようですね。台風の多い地域らしい工夫です。
 → rindoh|06-05 22:30
姫路城や熊本城も目地漆喰を施してあったりします。ぜいたくで手間がかかってるw 姫路城の屋根>>> http://www.shirofan.com/shiro/kinki/himeji/image/52.jpg
jpn1_rok0|06-05 22:46
danbokkが喜びそうなw
 → rindoh|06-05 22:48
danbokkの実家が写ってますかねww
irogu|06-05 22:53
推薦しました。
 → rindoh|06-05 22:53
多謝w
waldron|06-05 22:56
二条城の本丸御殿って意外とこじんまりしているんですね。
 → rindoh|06-05 23:02
これ,本来は御所内にあった公家・桂宮の御殿を明治に移築したものらしいです。まあ,本丸の敷地の広さからいっても元々大きくなかったようですが。。
 → waldron|06-05 23:05
二条城といえばやはり二の丸御殿なんでしょうね。
 → rindoh|06-05 23:12
waldron>でしょうね。個人的には米蔵とかの土蔵にも要注目だと思うんですが・・・他の城にはほとんど残ってないw
mammalia|06-05 22:57
推薦、推薦っと
salsero|06-05 22:58
推奨しました。凄い探求心ですね。こういうqualityの高い投稿を尊敬します。
rindoh|06-05 23:04
mammalia,salsero>最後が余計という意見もあると思われますが・・・まあ,K国人相手なのでww
 → waldron|06-05 23:06
日本の瓦の宗主国を無視するわけにはいかないでしょうw
gozome|06-05 23:12
日本の瓦のクオリティーとは比べようが無いな、韓国の寺院を見てごつい屋根にいつも違和感を覚える、洗練さがない
 → rindoh|06-05 23:13
朝鮮の寺院は新しそうなのになぜかつっかえ棒をしてますねww
uc2003|06-05 23:14
なるほど、日本、朝鮮、共に良い瓦を見る事が出来ました。
nue004|06-05 23:15
おお、凄い、勉強になります。(って、おいらって瓦師やんw情け無いorz)うちの会長はサンスクリットの kapala って言ってましたっけ。今は東○願寺さんの瓦製作中~。
 → waldron|06-05 23:17
おお、凄い。差し支えなければお話聞かせてください。
 → rindoh|06-05 23:27
おー,すばらしい。そういえば平城京・大極殿復元にも携わってらっしゃいませんでしたっけ?職人・匠の方は尊敬します。。
waldron|06-05 23:25
このシリーズを見て思ったこと。好みの問題は別として、朝鮮の仕事は雑だ。
waldron|06-05 23:33
桟瓦が軽快というお話ですが、川越の蔵造りはかなり重厚な感じでした。(つい最近行ったばかり)
 → rindoh|06-05 23:51
蔵造りってのもあるでしょうね。断熱・蓄熱・防暑・防音・防水・耐火使用で本体自体が厳重ですし。
nagara_river|06-05 23:47
川越は明治時代の建物が多いですからね。江戸時代に佐原などで発達した、軒を埋める鬼瓦を構築するというのが極まった関東蔵造りの最終形態ですね。重圧な見た目より軽く丈夫で地震や火事に強いのです。
 → rindoh|06-05 23:53
なるほど。佐原の方がよかったかな・・・。確かに倉敷など西日本の蔵とはまた違った印象を受けます。
 → nagara_river|06-06 00:06
軟弱地盤の関東平野で関東蔵造りは発達しました。いっぽう、堅固ゆえ関東タイプの蔵は強度地盤で地震に壊れやすいということもある。関東大震災で下町の蔵は壊れなかったが山手の蔵造りが壊れたのは有名。蔵造りの最終形態は関東だがそれは関西の蔵に比べて優れることではないです。つまりは適材適所なのです。
 → rindoh|06-06 00:12
nagara_river>固有周期の違いということですね。佐原や日本橋近辺などの東京南部の沖積低地は確かに軟弱ですね。まあ沖積平野はどこでも東西を問わずあるわけだが・・・。個人的には関東タイプのスタイルが好きw
 → waldron|06-06 00:12
重厚な感じが強く出るのは黒漆喰の塗りこめ壁のせいもあるな。
nue004|06-05 23:51
waldron さん、語るような才能ありませんよ。でかい瓦なので体力的にきつくてよれよれです。○願寺さんの瓦の写真です→雁振 と修理中の獅子口http://www42.tok2.com/home/nue/051215_1112~0001.jpg http://www42.tok2.com/home/nue/CA280019.jpg rindoh さん、大極殿の依頼はまだ来てません。たぶん作ると思います。
 → waldron|06-05 23:58
お写真拝見しました。以前、唐招提寺大修復のドキュメンタリー番組を見て、瓦職人の仕事に関心を持ちました。お仕事頑張ってください。
nue004|06-06 00:10
waldron さん、ありがとうございます。唐招○寺の瓦はもう作り終えました。でも、色が悪いと言うクレームがちらりとあるのでまた作り直すかもかもorz
shidenkai|06-06 00:15
やっぱりrindoh氏の投稿には城がよく似合う。推薦。
 → rindoh|06-06 00:19
多謝。城を必ずあげてしまう,わしでした・・・w
tarochan|06-06 00:52
推薦(^^
kimpo|06-06 00:55
東大寺大仏殿の屋根につっかえ棒がしてあるのが面白い。
mazmatna|06-06 02:31
姫路城の瓦には、大陸風の「滴水瓦」(軒先の逆三角形の瓦)が使われていたり、また、瓦の継ぎ目を漆喰で塗り固める等、大陸のデザインが見られる。池田輝政は朝鮮の真似をしたnida!
pleasure108|06-06 03:46
三十三間堂の板戸と障子が全部開かれてるΣ(゜□゜) 見てぇ!
dongju5895|06-06 12:47
我が国はするように乞食のように出る.. チォムソングダンが急に思い出すのね..
v7099|06-06 13:44
ウリナは外敵の侵入が多くてああなことがすべて仏陀なくなったんですあらら
村上のパトロン Orix宮内 在日 [18]
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