連載現役医師がズバリ回答:質問1 かかりつけ医って必要ですか? (1/2)医師不足! 病院倒産! 医療崩壊! といった報道が後を絶たない今、どう病院と向き合えばいいか分からない――。こうした不安を軽減するため、患者からの素朴な疑問に、現役医師ドクトル・ピノコが医療現場のリアルな目線でお答えします! 全10回連載スタート。2009年01月29日 18時00分 更新
医師不足! 病院倒産! 医療崩壊! といった医療に関する悪いニュースが次から次へと伝えられています。実際、医療従事者は大変で、もういっそこっちが入院したいくらいなんですよ。 ただ患者さんからすれば、こんな報道をしょっちゅう目にしていると、どう病院や医師と向き合えばいいか分からなくなるかも。そんな不安を少しでも解消できれば――ってなわけで、しばらくの間、医療従事者の声をお伝えする連載を始めることになりました。 あっ、申し遅れましたが、私は仁科桜子(にしな・さくらこ)という女医です。最近、『病院はもうご臨終です』(ソフトバンク新書)という本を書いた者です。買ってください(笑)。前にドクトル・ピノコとして「プチ元気の薬」も連載していました。 さて、最初にいただいた質問はこちら。 質問1:かかりつけ医はいた方がいいですか?信頼していたかかりつけの医師が病院を辞めてしまいました。これを機に新しくかかりつけ医を探した方がいいか迷っています。やはり、かかりつけ医は持っておいた方がいいですか? もしそうならいい病院、いい医師の見分け方を教えてください。 ご質問ありがとうございます。まずはすごくシンプルな「かかりつけ医はいたほうがいいの?」というご質問に対してですが、「YES!!」と即答しちゃいます。 とはいえ、かかりつけの医師という表現は漠としたものです。病気の種類や個々の状況によっても一概にはいえないという点はご了承ください。ただ、かかりつけ医がいて損することはほとんどないと思います。 そもそも、かかりつけ医って何?かかりつけ医とは言葉の通り、「普段から自分がかかりつけている医師(または医療機関)」という意味で、その患者さんの健康状態や病気のことなどを普段からある程度知っており、困った時には身近にいて適切なアドバイスをくれる医師や医療機関のことを指すわけですね。患者からすれば、自分は「一見さん」の客ではなく、ちょっと顔を出しただけで「まいど!」と言ってもらえるような顔なじみの存在なのだと思ってください。 大きな病院などでも、受付のお姉さんから、可愛いナース、そして担当の医師まで、「おお、○○さん、久しぶり。今日はどうしたのよ?」といったノリで(実際の現場でのセリフはもう少し医療者っぽい感じだけど)、こちらも患者さんの顔色を見ただけで「あれ? 今日は何かいつもと違うね」なんて思うこともあります。 しかし、当然ながら、このように医師と患者がお互いに良い関係を築くということは、まさに一見さんではなかなか難しいのです。最初は患者さんも身構えるでしょうし、医師としてもその患者さんの特徴や個性を探っているのです。 キャバクラ嬢と固定客の関係=かかりつけ医と患者の関係!?このあたりの機微は、一般的な接客業と思っていただけたら分かりやすいですね。もうちょっと踏み込むなら、「キャバクラ嬢(もしくはホスト)とお客さんの関係」に似た一面もあると思います(そこまで詳しく水商売について知らんけど、分かりやすそうだからこの例でいかせてもらいますよー!)。 有能なキャバ嬢は、初めて来たお客さんとのちょっとした会話の中で、客の食べ物の好みや好きなブランドなどをさりげなくチェックし、次回来た時には「そういえばこの前、これが好きっておっしゃってましたよね〜」と言ってみるそうだ。そうすると客の方も、「僕のことを覚えていてくれたんだ! またここに通おう」と固定客になってくれるといいます。 いや、もちろん業種は違うんですけど、何というのか雰囲気としては似たところがあります。患者さんがどういう仕事をしていて普段どんな生活をしているのか。家族構成なども参考になります。人間それぞれ体も性格も違うわけですから、それを知っていけば治療がしやすくなるのは当たり前。 さらに慣れてくると、薬や治療法の向き不向きまで分かってきます。「あー、この人はきっと飲み薬より点滴して帰りたいんだろうな」とか、「この人は薬飲むといつも胃が痛くなるから、胃薬も一緒に出しておこう」とか。もちろん、選択の余地がない状況の時にはそんなことは言っていられないけど、医師サイドとしては、できる限り個人の嗜好(しこう)を尊重したいと思うもの。結果としてそれらがスムーズな治療につながることも多いのです。 だから、かかりつけの医師を見つけるのは、お気に入りの店を探すのと同じような感覚でいいと思うんですよ。キャバ嬢だったら固定客がつけば自分の売り上げにもつながるけど、病院に属している医師はいくら固定患者が増えても収入が変わるわけじゃないのが痛いところ……。いや、それでも、たくさんいる医師の中でわざわざ自分を選んで通ってくれる患者さんがいるというのは本当にうれしいことなんです。 とまあ、かかりつけ医の存在について私見を述べさせていただきましたけど、何よりも大事なのは、かかりつけ医を持つことで患者がメリットを得られることです。 [仁科桜子(企画:ソフトバンククリエイティブ),ITmedia] Copyright© 2009 ITmedia, Inc. All Rights Reserved. 新着記事
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