君に届けでエロパロ
- 1 :名無しさん@ピンキー[]:2008/04/13(日) 15:35:19 ID:nv9kcXoC
- 椎名軽穂作品「君に届け」でエロパロを書こう!
- 2 :名無しさん@ピンキー[]:2008/04/13(日) 15:36:42 ID:nv9kcXoC
- 職人さん大募集です!
- 3 :名無しさん@ピンキー[]:2008/04/13(日) 17:37:57 ID:nv9kcXoC
-
触れたくちびるは涙の味がした。
すこし強く押し付けるとビクリ、と小さく反応して、はぁ、と息を吸うのがわかった。
二人きりの部屋には窓から差し込む西日が眩しく感じて、彼女が着ている白いワンピースが鮮やかなオレンジ色に染まっているのがチラリと目に入る。
「―――か、ぜはや、く…」
最後まで言い終わらないうちに再び唇を塞ぐと、驚いた彼女が2、3回まばたきをする音が聞こえた。
これだけ近くに寄れば、そんな微かな音も聞こえるらしい。
どうしようもなく、愛しかった。
キスしたい、と思ったときにはもうすでに身体が動いていた。
テーブルの上に広げた教科書とノートに目を落としていた彼女の頬に触れると、
「どうしたの、」というように彼女が目を上げた。
目が合う。カチリ、とそれがなにかのスイッチのように強く腕を引いた。
グラリ、とゆっくり揺らいだ彼女の身体を抱きとめる。
一瞬、彼女の長い髪からシャンプーの香りと思われる甘い匂いが鼻をくすぐった。
- 4 :名無しさん@ピンキー[]:2008/04/13(日) 17:56:22 ID:nv9kcXoC
-
されるがままに俺の胸に顔を埋めたままの彼女は、びっくりしているのか、
どうしたらいいのかわからないのか、なにも言わずに抱きしめられたまま。
「……あのさ」
「…うん…」
抱きしめていた腕を少し緩めて、彼女の顔を覗き込むと、
紅潮した頬が視界に入った。それからうっすらと涙が溜まった瞳が見えて、
一瞬ドキリと胸が高鳴るのを感じた。じっと見つめてくる目線がくすぐったくて思わず目を伏せる。
鼻先が触れそうになるまで顔を近づけて、
「……キス…してもいい?」
返事を聞かないうちに唇に触れていた。はじめてにしては上手くできたんじゃないか、
と自画自賛していると、彼女の目に溜まっていた涙がポロリと頬を流れた。
「―――ん…、ごめ…な、さ」
唇で涙を拭うと、びくんと瞳を閉じる。なんかもう、可愛すぎてどうしよう。
「…いや、だった?」
「ち、ちがうの!あの…き、緊張…して…」
ごめんなさい…と俯いてしまった彼女の頬に漆黒の長い髪がかすめる。
しばらく気まずい沈黙が続いて、どうしようか、先走ってしまったかな、と
先ほどの自分の行動を半ば後悔し始めたところで、彼女がふいに顔を上げた。
「―――でも、うれしかった……」
恥ずかしそうにはにかんだ笑顔が、夕陽に照らされて眩しく輝いていた。
- 5 :名無しさん@ピンキー[]:2008/04/13(日) 18:26:29 ID:nv9kcXoC
-
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「――勉強、あんまり進まなかったね。ごめん、せっかく黒沼がノート持ってきてくれたのに」
「あっ、いいよ!あの、また、今度で…」
ぶんぶん、と片手を振る彼女を尻目に、なんとなく目を合わせられなくて、
不自然に目が泳いでしまっているのが自分でもわかる。
お互いに、意識していた。まだ、心臓の鼓動が治まらないくらいに。
はじめて触れたくちびるの感触。シャンプーの甘い香り。涙の味。
すっかり習慣になった恋人繋ぎも、ちょっとだけぎこちなくなるほどに。
「―――さわこ」
めったに呼んだことのなかった名前呼びも、今ならすんなり口にできた。
さりげなく強く手のひらを握る。3回目のバレンタインデーに貰った手編みの手袋に、深々と降ってくる雪が融けていく。
「―――しょうた、くん」
二人きりの時だけ、呼んでくれる、特別な呼び方。
好きだよ、と小さく呟いた。聞こえていないかもしれない。
すっかり暗くなった夜空から粉雪が降り積もる。
「愛を捧げよ」
あのおみくじを引いた日も、確かこんな雪が降っていた。
あれから僕たちの距離は少しだけ縮まって、彼女は僕によく笑いかけてくれるようになった。
これからも、このさきも、となりで笑ってくれるなら。
ふいに彼女と目が合った。ふわり、と彼女が微笑む。
僕も小さく笑い返して、もう一度、夜空を仰いだ。
星空は、あの日と同じように僕らの上に降り注いでいた。
- 6 :名無しさん@ピンキー[]:2008/04/13(日) 18:27:54 ID:nv9kcXoC
- とりあえず投下してみました…。
ちょっと関係が進展した二人。もっと甘酸っぱさを出したいorz
- 7 :名無しさん@ピンキー[]:2008/04/13(日) 19:40:43 ID:gb4v2iDj
- ,.,.,.,.,.,.,.,..,.,.
,;f:::::::::::::::::::::::::::T
i:::/' "  ̄ ̄ ヾ:::i
|/ ,,,,_ ,,,,,,_ ヾ|
/`l ,.-┐ | = (三)=(三)= | 「\ /`i
r‐、 { { l / { :::(__..:: | ヽ ヽ j ノ _
ヽ. \ヽ. ヽ } ./ _,. . -´ ! トェェェェェイ |`--、 l }、_/ / / ノ
r-、 \ ヽ}、 V {__.. -― ´ ', | ,r-r- 、| / ` -, ___| ′' ヘ./ /
\ `ー-′ __ ! \ ヽ| | |ノ / ` ̄´ } ‐ 、 く. -‐ フ
` 丁 - ´ { ーヽ=⌒) ,ィ´ ̄`ヽ `-`ー'ー'''´ ::::::/ヽ /⌒ ー┴‐ 、 , --‐ ´
ヽ 廴_, --='-‐' i :::::i `ヘ、 ー―- 、 `¨´ {
`¨¨´ ノ :::::( `  ̄ ̄ ̄`  ̄` ー ´
/ ,-‐‐-、 ::::ヽ
/ / ヽ :::\ ー僕も小さく笑い返して、もう一度、夜空を仰いだ。
ノ:::::ブ´ `ーく ::::::ヽ
{_::/ \::_:}
- 8 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/04/13(日) 22:29:06 ID:h8r+Y6gt
- GJ!
キュンキュンするね
- 9 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/04/14(月) 19:43:39 ID:HoaEt3+a
- きゃ〜!爽子が可愛い♪
3回目のバレンタインって言うことは、高3のお話かしら?
もしかしてファーストキス?
本誌の二人ならそれもありえるかも・・
- 10 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/04/20(日) 01:24:07 ID:huUM198v
- gj!!
書こうとしたけどいざ本番ってなると
どうしてもキャラ崩壊
この二人はピュアすぎるからなぁ
- 11 :名無しさん@ピンキー[]:2008/04/20(日) 10:43:08 ID:75f+HGyL
- 期待あげ
確かにピュアなままでのエロは難しいよね
- 12 :名無しさん@ピンキー[]:2008/04/27(日) 10:32:14 ID:3e5eaatg
- 前に立ったときと同じ展開w
職人様待ってます
- 13 :名無しさん@ピンキー[]:2008/04/29(火) 22:13:01 ID:LWBWSpOA
- 神待ちあげ
- 14 :名無しさん@ピンキー[]:2008/05/01(木) 07:27:57 ID:ww2/T4xW
- 私は龍と千鶴のが見たい…萌え
- 15 :名無しさん@ピンキー[]:2008/05/02(金) 09:03:58 ID:P9BbN3X+
- 私も龍と千鶴で。
- 16 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/05/02(金) 22:39:08 ID:cvEQZQTo
- さわこ達は婚前交渉は無いかもわからんね…
- 17 :名無しさん@ピンキー[]:2008/05/02(金) 23:22:33 ID:X8n1qpTR
- 普通にエロい風早が我慢できるかはわかりませんが(笑)
- 18 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/05/02(金) 23:27:37 ID:LJ9dmoWz
- 爽子って貧乳ってより美乳じゃね?
- 19 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/05/03(土) 03:51:56 ID:3spNlR5r
- 美乳かはしらんが微乳ではある
隠れ巨乳な爽子なんて、おばあちゃんは見たくありませんよ
- 20 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/05/08(木) 08:08:58 ID:sux7jpXw
- さっちゃんと赤星君がみたいなあ
- 21 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/05/13(火) 04:31:16 ID:s2bn2oAh
- 発売日wktk(`・ω・´)
誰か職人さん来んかのう…
- 22 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/05/14(水) 23:26:57 ID:1PQJZor+
- 前の時書きかけでも良いのあったのにね
職人さん頑張って!
- 23 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/05/18(日) 16:43:30 ID:5FnUbVNW
-
エロなしギャグ系ですが投下します。
このくらいのスケベ度なら風早でも許される範疇かなと思い書きました。
苦手っぽいと思われる方は
NGワード「風早くんの憂鬱」でお願いします。
- 24 :風早くんの憂鬱 1[sage]:2008/05/18(日) 16:44:15 ID:5FnUbVNW
-
「翔太!これ、特別に貸してやるからな、特別だぞ、トクベツ!」
帰りがけの路地で急に呼び止められ、誰だと思って振り返った先には担任のピンがいた。
返事をする間も与えられず、特別を連呼して無理やり渡されたのは、くしゃくしゃの紙袋だった。
「じゃな!あんま頑張りすぎるなよ!」
意味不明な言葉を残し、風神のような勢いで走り去っていく担任の背中は、いつもどうり俺様モード全開だ。
「むちゃくちゃだな、ピンのヤツ」
風早はそう呟いてから、渡された紙袋の中身を取り出そうとして、―――
「――――!!!!」
出しかけて、慌てて再び紙袋に仕舞い込んだ。
『…………あのヤロウ!!』
家に帰ってからも、その中身は袋から出されようとしなかった。
その一方で、彼は自分の部屋で枕を敵に見立てて闘っていたのだ。―――彼自身の煩悩という敵と。
ひとしきり枕との戦闘を終えると、今度は眉尻を下げて悩み始めた。
「アイツは悪魔かよ」
そう呟いた相手は、2人居る。
一人は言わずもがなのピンその人だが、もう一人は。
まっすぐな黒髪と、真っ白な白い肌。真面目で努力家で、その割りに泣き虫で。
あまり見せないその笑顔がやたらと可愛くて、独り占めしたくなる。
瞳の色は漆黒で、それを縁取る睫毛が長くて―――。
「くそっ」
誰に見られるわけでもないのに、布団に突っ伏して赤くなった顔を隠す。
そう、彼女は悪魔だ。俺の気持ちをかき乱す、可愛いアクマなんだ。
そう思って少し開き直ると、風早は袋から中身を出した。
袋からは、あられもない姿の少女がカバーを彩るDVDが出てきた。
さっきまで風早が思い描いていたアクマを彷彿とさせる容姿のその少女。
さほど似ているというわけではないが、黒い髪と白い肌というだけで、風早の心拍数を上げる効果がある。
そしてそのカバーガールはとかく印象的な瞳を持っていた。
『……黒沼みたいに、綺麗な目だ』
その瞳に惹かれるように風早は中身を取り出して、DVDプレーヤーにディスクを収めてしまった。
- 25 :風早くんの憂鬱 2[sage]:2008/05/18(日) 16:45:25 ID:5FnUbVNW
-
俗に言う、セクシービデオと呼ばれる類のその内容は、単に少女がポースを取ったりしている内容で、特にキワドイ訳ではなかった。
特に大胆なポーズをとるわけではなく、常に恥ずかしがって頬を染めているだけなのだが、そんな内容だからこそ、風早のキモチを揺れ動かしていく。
「くっそっ…………んだよ、これ!」
そうは言うものの、再生を止められるわけはなかった。
頬を染めながらも魅せるその印象的な瞳は、彼を捕らえて離さなかった。
まるで、爽子が自分を見つめてくれているような、そんな錯覚すら覚える。
その艶やかな唇は、まるで自分を誘ってくれているのかと思えた。
聴こえるはずのない声が、風早の鼓膜を振るわせる。
『…………風早くん……』
その空耳と同時に、画面向こうの少女の笑顔が風早の理性も狂わせた。
「……爽子……」
今はまだ口に出来ない彼女の名前を呼んで、風早は自分の布団に潜り込んだ。
その日、彼は夕食の時間になっても部屋から出てくることは無かったという。
翌日、したり顔のピンが風早に近づいてきて囁いた。
「抜きすぎは身体に毒だぞー、このエロガキ!あ、あれは返さなくてもいいかならー!俺は巨乳が好きなんだ、巨乳が」
だったら何であんなもの買ったんだよ、と反論できない自分を歯がゆく思いながらも、風早は少し安堵していた。
ピンに返却するとなると、あの映像はピンの部屋においておかれることになる。
爽子本人のものではないにしても、気分的に落ち着かなくなることを風早は知っている。
しかし、そんな彼も、ピンがこれを風早をからかう為に購入したことを、そしてこれをネタにまたパシリをやらされることになるとは、まだ知る由もなかった―――。
了
- 26 :風早くんの憂鬱[sage]:2008/05/18(日) 16:47:16 ID:5FnUbVNW
-
少しおふざけが過ぎました。
ついカッとなってやった。今は反省している。
次回はエロシーン書けるようにがんばるよ。
- 27 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/05/18(日) 17:45:57 ID:Q1oMuYlp
- GJ!!。゚+.(・∀・)゚+.゚
楽しめたよw
風早かわいいよ風早
- 28 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/05/19(月) 19:52:32 ID:4cP+hDW8
- 風早かわいい〜!
普通にエロビデオだと思ってました!
- 29 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/05/20(火) 00:24:25 ID:tGpavNnp
- 風早くんはいつも私に何かをくれる
それは言葉だったり行動だったり
全部が私にとって嬉しいことで
私も何か返さなくちゃと思う
何が欲しい?って聞いたら変かな?
「欲しいものなんて、一つしかないよ」
思い切って聞いてみると、彼は少し照れながらそう言った
「黒沼の…爽子の全部が欲しい」
少し驚いたけど…意味はわかる
答えなんてとっくに決まってるのに
恥ずかしくて…何て言ったら良いかわからない
「心だけじゃ…抱きしめるだけじゃ足りないんだ」
「…爽子」
彼のきれいな声が震えている
彼のきれいな目が泳いでいる
いつもと違う、完璧じゃない彼が
愛おしいと思った
…いつも以上に
「風早くん…」
私の声も、震えていた
「爽子…?」
彼の手が私の頬に優しく触れる
無意識のうちに、うなずいてしまったみたい
ぼーっとしてる間に
風早くんは私を抱き上げた
以上。
- 30 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/05/20(火) 21:02:25 ID:h+36pZ8Z
- 龍×千鶴書きたいんだけど、ここにいる住人的に
あの二人は既にカップリング済み?
それともカップリングになる経緯も書いた方がいいの?
誘い受けっぽくてイヤだけど、前スレ読めなくて困ってるので、
どうなのか聞かせてクレイ
- 31 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/05/21(水) 22:28:34 ID:FsuCyHZ8
- >>24
風早かわええw
やっぱエロって言ってもこの程度が微笑ましくて似合ってるんだよなぁw
あの二人だと結婚するまでキス以上の行為に及ぶのが想像できません( ´ω`)
>>30
個人的にはもう「付き合っちゃえよ」カップルなので問題ナッシングです
自由に素敵に書いておくんなまし
- 32 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/05/22(木) 02:19:40 ID:kOBVfCWS
- >>30
個人的には付き合う経緯も読みたいです!甘酸っぱいのすきだから。
もちろん、すでにくっついてる設定でもウエルカムっす
- 33 :sage[]:2008/05/30(金) 00:01:20 ID:S76I6HG3
- ピンとあやねってどう?
- 34 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/05/30(金) 01:47:11 ID:TkZK89xZ
- バカだアホだと騒ぎながら、挿入してやっと素直になる二人。
「俺はガキは嫌いなんだよ!」
「あたしだって、あんたなんか冗談でもゴメンだからっ」
……(想像にお任せ)
「うぐっ」
「ひゃっ」
ひぃっ、萌ゆる。
- 35 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/05/31(土) 11:55:20 ID:pbV+UZ5W
- >>34
ちょw想像にお任せの部分がハードル高いwww
- 36 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/06/02(月) 02:43:00 ID:KfLWV63T
- >>30
どちらでも大歓迎
あの二人は付き合ってる雰囲気を出してる幼なじみだからどっちでもいけると思ってる
- 37 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/06/10(火) 21:44:35 ID:xvLP/1Hq
- 爽子を想像してもんもんとする風早
ニヤニヤ
- 38 :名無しさん@ピンキー[age]:2008/06/13(金) 02:37:58 ID:pqctWqu9
- 職人待ちage
龍×千鶴萌え
- 39 :名無しさん@ピンキー[age]:2008/06/22(日) 01:55:26 ID:1OmHRdmg
- 期待age
小ネタ(?)を思いついたので思い切って投下してみる
大学生くらいの年齢の風爽で、どちらかの自宅デートの最中にやのちんから爽子の携帯に電話が。
二人きりの時間を邪魔されてこっそりむくれる風早(ww
風早の顔色が急変したことを彼の表情を見ただけですぐに察知して、
一瞬、どうしようか悩むも、結局電話に出てしまう爽子ww↓
爽「あ、もしもし…あやねちゃん?どうしたの?」
風(……矢野の襲来ってなんでいっつもこんなに間が悪いんだ…?)
爽「…えっ?…うん…うん…そっかぁ…」
風(……………)
爽「うーん…でも、きっと大丈夫だよ。…うん…あ、真田くんは、そのこと知ってるのかな?」
風(……………………)
爽「そうそう。真田くんの前だと、ちづちゃん強がったりしないもんね!…うん…うん…」
風(…………………………)
―――以下、延々30分間ずっと爽子を独占するやのちんww
爽「―――うん、じゃあ、またね!…はーい……(電話切って)
か、風早くん!ごめんね!わたしどのくらい電話……えぇっ!?30分も…!?」
風「……あぁ、大丈夫大丈夫。俺そういうの全然、これっぽっちも気にしないから」
爽「よ、よかったぁ…!ごめんね、ありがとう…!!」
風「ところでさ、黒沼」
爽「?」
風「……――――俺のこと、愛してる?」
一応、男のプライドとして平静を取り付くろうとするも、
内心では今すぐ泣き叫びたくなってる若干涙目な風早くんでしたww
- 40 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/06/22(日) 02:11:42 ID:1OmHRdmg
- 書き込んでから言うのは反則かもしれんが
…ゴメン…エロパロでもなんでもなかっ…た…orz
エロパロを書くには原作がピュアすぎて変に手をつけたくない気持ちもあるけど、
一方で、思春期特有の好きだからこそ意中相手に対して焦って空回ってしまう風早や龍を見てみたい自分もイル…
みんなはどうなんだろう?出来れば意見を聞かせてほしいです。
やっぱり、この作品でエロパロって厳しいのかなぁ…;;;
- 41 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/06/23(月) 21:15:22 ID:oNQUH5EA
- ぴゅあなのは原作で楽しむとして、ここではそれ以上を期待してるんだよね
せっかく書いたんだからもっとカモーンヽ(・∀・。)ノ
- 42 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/06/24(火) 22:19:17 ID:3BuIt9TK
- 爽子「風早くん、あ、あの、テコキしてもいいかな?」
- 43 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/07/14(月) 00:55:02 ID:W2O8U/Uc
- h
- 44 :名無しさん@ピンキー[]:2008/07/26(土) 12:25:52 ID:JcvVN3K4
- 誰か、龍と千鶴のつくって欲しいな…
- 45 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/08/04(月) 01:30:46 ID:1x7xT7R7
- 風早と爽子の初めて話とか書いてみたい
- 46 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/08/06(水) 00:04:38 ID:egbYKmVp
- >>45
でわ、おねがいします
- 47 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/08/08(金) 05:50:52 ID:mo9XcbTq
- 保守!
- 48 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/08/13(水) 03:08:50 ID:woKKtrNJ
- wktk保守
- 49 :名無しさん@ピンキー[age]:2008/08/15(金) 22:03:10 ID:fgPUpnAX
- 期待age
職人さん待ってます
- 50 :名無しさん@ピンキー[age]:2008/08/30(土) 00:31:43 ID:gD92+pTz
- ほしゅ
- 51 :名無しさん@ピンキー[age]:2008/09/08(月) 00:47:53 ID:23qJaQFL
- 保守
- 52 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/14(日) 03:06:31 ID:9CzE/Pvw
- ちょ、今月号風早どうしたんだよコレ・・・
今後は嵐のような風早。。。略して嵐早の始まりだなコレ・・・
- 53 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/14(日) 15:36:18 ID:fU79VouI
- 嵐早てwww
確かに「平等…?」の時の黒風早は萌えたよね〜。
- 54 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/14(日) 22:26:32 ID:FsNNLDkH
- 黒風で誰か作品プリーズ
- 55 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/15(月) 23:18:25 ID:ayPAGLNA
- 同じく黒風バージョン読みたい。
職人さん待ってます
- 56 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/16(火) 23:35:34 ID:F7qQNv4Y
- さわやかだと思われているのでやり難いムッツリ風早
でも意外と手が早そうな気がする
- 57 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/18(木) 03:01:47 ID:IAj8kwj0
- 寸止め、ぬるめ、べた甘な風早×爽子
黒風じゃなくてすみません…
- 58 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/18(木) 03:02:41 ID:IAj8kwj0
- 「いやだったら言って」
そう言って触れてくる手は微かに震えていた。
「風早く…」
最後まで言えなかったのは口唇を塞がれてしまったから。
触れるだけのキスを何度も繰り返して、抱きしめられれば何もいえなくなってしまう。
風早くんがすき
そう自覚して、ちづちゃんとあやねちゃんにいっぱいいっぱい協力してもらってようやく付き合うことになったとき、夢かと思った
普通に友達としての付き合いだけでも私には夢みたいに嬉しいことだったのに。それ以上は私には過ぎるくらいで、高望みすぎると思ってた。
だけど、
風早くんは私を見てくれた
好きだと言ってくれて
優しく、抱きしめてくれた
「さわこ」
そう優しく名前を呼んでくれる
名前を呼ばれる
爽子、そう呼ぶのは限られた人たち。お父さんとお母さん、それからちづちゃんとあやねちゃん。最近はトモちゃんとえっこちゃんも照れくさそうにそう呼んでくれるけれど
でも、風早くんに呼ばれるのは特別
他の人たちとは違う
名前を呼ばれるだけで嬉しくてすごく、どきどきする
- 59 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/18(木) 03:03:18 ID:IAj8kwj0
- 「…触ってもいい?」
じっと顔を覗き込まれてそう問われれば、なんて返したらいいのかわからなくて。顔を真っ赤にして小さく頷くだけで、それが爽子の精一杯で。
それから手を伸ばされて触れてくる手は今までとは明らかに違う。
躊躇いがちに伸ばされた手は前開きワンピースのボタンを上から1つずつ、ゆっくり外されていく。
恥ずかしくて、どうすればいいかわからなくてぎゅっと目を瞑る。
ワンピースの下からは一緒に買い物に行ったときにあやねが選んでくれた可愛い、レースのついたキャミソールとブラジャーが覗いていた。風早に見られているのかと思うと恥ずかしくてたまらなかった。
「可愛い…」
そう呟いて、それからそっとワンピースの中へと手を進めてきた。
薄い布越しに触れてくる手のひらの熱が伝わってきて、恥ずかしさがどんどん混み上がってくる。
「か、かぜはやくん…っ」
「翔太」
「えっ…?」
「翔太って呼んで。…こういうときくらいはさ」
言い終わるのとキャミソールの下に手が入ってくるのは同時だった。
途端にびくりと爽子の身体が震えた。
「っ!」
首筋にキスを落とされて、チリッと小さな痛みが走ったけれどそれよりもお腹のあたりを這い回る手が気になって仕方なかった。
そろり、そろりと探るような手はお腹から背中に回る。
触れる手は大きかった。
爽子よりずっと大きな手。
一瞬だけ、戸惑ったように止まってそれから背中のホックが外された。
「…脱がせてもいい?」
今更のような質問だったけれど、言葉で答えるのはどうにも恥ずかしくて。やっぱり爽子は黙って小さく頷くことしかできなかった。
ワンピースはもう全てのボタンが外されていたからほんの少し肩から滑らすだけで脱げしまう。
「腕、少し上げて?」
言われたとおりに腕を少し上げつと肩紐がずれて、あっという間にブラジャーが外された。
「あっ!」
「さわこ…」
キャミソールの下で大きな手がゆっくりと動く。
少しずつ、けれど確実に。キャミソールは気付けば首のすぐ下の辺りまで捲られていた。
- 60 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/18(木) 03:03:58 ID:IAj8kwj0
- 「きれいだ」
爽子には聞こえるか聞こえないかという程度の小さな声で呟いて、そっと胸に手を伸ばした。控えめだけど、形のいい膨らみは確かに女の子の持つもので自分にはない柔らかな感触が気持ちいい。
「んっ、あっ」
声が出るのが恥ずかしいのか、両手で声を塞ぐ。
それでも小さく「あ」とか「ん」だとか声が漏れて、その細く高い声は風早をより興奮させる。耳に爽子の声が届くたびにびりびりと電流が通り抜けるような錯覚。
その声をもっと、もっと聞きたくて胸の突起を口に含んだ。
瞬間、爽子の肩が大きく揺れる。耳まで真っ赤だ。
舌で突起を舐め上げて、押しつぶしたり、軽く歯を立てる。
「やっ、ぁ…っ」
ふるふると小さく首を振って、震えた手はなにかを我慢するかのように胸元にあった風早の頭を抱き締める。
感じているんだとわかって、そのことがなんだか、ひどく嬉しい。
胸への愛撫はそのままに下半身へと手を伸ばす。
布越し触れればそこは既に湿り気を帯びていた。
ごくっと思わず生唾を飲み込む。
無理もない。
こんなことをするのは生まれて初めてで、相手は生まれて初めて好きになった女の子なのだ。興奮しない方がおかしいだろう。
もっと触れたい
もっと、もっと
直接触れて、熱を感じたい
身体を乗り上げるようにして、爽子の耳元に口唇を寄せる。
首筋に強く口付けて、それから耳朶を甘噛みしてから舐める。
漏れ聞こえる声は一層大きくなっていく。快感が、理性を崩していっているのがよくわかった。
「あっ…しょ…たくん…」
掠れた、小さな声で。
けれど、確かに。
名前を呼ばれた。初めて、名前を呼ばれた。
どうしよう、すごく嬉しい
こんなときに、こんな状態で。
こんなの、反則だ。名前で呼んで欲しいと言ったのは自分なのに、そんな風に思ってしまった。今まで、どんなに名前で呼んで欲しいと言っても恥ずかしそうにするだけで名前で呼んでくれることなんてなかったのに。
- 61 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/18(木) 03:05:41 ID:IAj8kwj0
- 爽子からすれば、名前でほとんど無意識だった。
気持ちよくて、恥ずかしくて、どうすればいいのかわからなくて、ほとんど無意識に口から出てしまった。
本当はもっと、ずっと前から呼んでみたかったけれど呼べなかったのに。名前で呼ぶのがとても自然に思えて、そうしたらとても自然に。
「すごい、嬉しい」
「え…?あっ、やぁっ!」
下着越しに円を描くように撫でてから、直接触れた。薄い茂みをかきわけるように触れたその場所は熱く、濡れそぼっていた。中指で滑らせるように上下させると、それだけで淫猥な水音が聞こえる。
「やっ、だめ…っ」
「なんで?ここ、すごく濡れてるのに」
熱い粘膜が指先に絡んで、濡らしていく。
そっと動かせば、粘膜はどんどんと増えて更に指は濡れていく。
けれど、反応していく身体に反比例するように爽子はいやいやと首を振った。目元からはぽろぽろと涙が零れて頬を濡らしていた。
「さ、爽子っ?」
「ふ、ぅ…」
驚いて、慌てて見やる。
「爽子?痛かった?嫌だった?」
俯いて涙を流す爽子の頭をそっと撫でながら聞いてみても、爽子はただぽろぽろと涙を零して首を振る。
「こ、こわい…」
こわいのだと。
触れられるのが嫌なのではなく。
優しく施される愛撫が痛いのではなく。
「風早くんが、怖いわけじゃない…の。だけど、こ、こわい…」
涙を流してごめんなさいと謝りながら、気持ちいいことがこわい。
そう言った。
この期に及んでこんなことを言って、嫌われたらどうしよう。嫌われたくない。
そう言った。
「な…んだ〜、よかったーーーー」
「か、ぜはやくん?」
「よかった、嫌がっての無理強いしちゃったのかと思った…」
「え?」
「嫌われたらどうしようって思った」
「そ、そんなことあるはずないっ」
「うん、知ってるけど。だけど不安になる。爽子が、どんどん可愛くなるから不安になる」
「風早くん」
「無理しなくていいから。爽子がこわくないって思えるまで俺、待つから」
- 62 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/18(木) 03:06:46 ID:IAj8kwj0
- 言うなり、回れ右をした。
「これ以上そのカッコでいられたら我慢できなくなるから!」
「え…?あっ!」
照れているような風早の言葉で今、自分がどんな格好をしているのか思い出して慌てて身支度を整えた。さっきまではもっとすごいことをしていたというのに、恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
身支度を整えた後もどうしたらいいのかわからなくて、どんな顔をしたらいいのかわからなくて二人揃って黙り込んでしまう。
なんて言ったらいいのかわからない。けど一緒にいたい。
それはたぶん、二人とも同じで。
俯いたまま、どちらからともなく手を繋ぐ。
伝わる温もりに安心する。
触れたい、抱き合いたいと思うのは事実で、それはお互い様なのだけど無理をしたいわけじゃないから。
だから今は、まだ。
- 63 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/18(木) 03:08:55 ID:IAj8kwj0
- 以上ですー。
今月号の展開にwktkして書きかけで放置してたのを一気に書き上げてしまった。
本当は最後まで書きたかったけどエロが思った以上に難しかった…orz
2ヶ月は長い…
- 64 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/18(木) 18:09:50 ID:2jGcgaWj
- ぐっじょぶ!きゅんきゅんしましたーごちそうさまです!
63さんが素敵な風爽話を上げてくれた流れに乗って
ちょっと自分も頑張って書いてみようかと思います
出来上がり次第、上げにきますー
- 65 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/18(木) 19:58:55 ID:9uyRmSCf
- >>63
GJGJ!!!!風早がちょっとかわいそうだけど、萌えた!
二人とも可愛いな
>>64
待ってます
- 66 :63[sage]:2008/09/18(木) 20:50:19 ID:IAj8kwj0
- 訂正箇所発見
>>61の1行目
○ 名前を呼んだのは
× 名前で
なんで気付かなかったんだ私orz
GJありがとうございます。
>>64さんが投下されるのwktkしながら待ってます!
- 67 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/18(木) 22:42:19 ID:uNWH5V1w
- >>63 GJ かなり良かったです!!
- 68 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 00:41:01 ID:Ic+/Pyn9
- 64です。途中まで書いたのでとりあえず投下してみます
最終的にどのくらいのエロさになるかは自分でもわかりません…;すいません!
大学生の風早と爽子の初体験話です。
- 69 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 00:41:50 ID:Ic+/Pyn9
-
肩に掛けていた鞄の中から、携帯のバイブ音が発信を知らせた時、
二人は休日のデートを終えて帰宅している途中だった。
「あっ…私だ」
爽子が慌てて携帯を覗くと、それは母からのメールで、
昨日から父と二人で結婚記念日のお祝いとして行っていた温泉旅行が
一日延びるという知らせの内容だった。
明日の夕方には戻るから、それまで留守番を頼むとも書かれている。
「お父さんたち…明日帰ってくることにしたみたい」
「定山渓に旅行中だったっけ?」
「うん…お留守番、お願いねって」
そう言って微笑んだ爽子の顔を見て、翔太が表情を曇らせた。
不思議に思った爽子が、翔太くん? と呼びかける。
「…一人で…大丈夫?」
心配そうに問いかけてくる翔太に、爽子は笑って片手をぶんぶん振った。
「平気だよ!もう大学生なんだし…火の元と戸締りさえ気をつけていれば…」
「……そっか」
まだ納得していなさそうな顔をしていた翔太だったが、
先に歩き始めた爽子に続いて足を歩めた。
- 70 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 00:43:41 ID:Ic+/Pyn9
-
しばらく爽子の家に続く道を並んで歩いていたが、
ふと翔太が足を止めて、口を開いた。
「爽子」
急に名前を呼ばれて、爽子が振り向く。
翔太はなにかを言いよどむように口をぱくぱくしていた。
「あのさ……」
「え?」
心なしか赤らんだ頬を片手で隠すようにするのは、昔からの彼の癖だった。
「今日、父さんと母さん、親戚の法事でいないんだ。弟は、野球の試合で旭川に遠征してるし…」
まだ翔太がなにを言いたいのか読めない爽子は、ぽかんとした表情で翔太を見つめている。
「―――今晩、うちに泊まっていかない?」
決定的な一言が翔太の口から告げられた。
一瞬、二人の間に妙な静けさが漂う。
爽子の返事を待つ翔太の顔は、耳まで赤かった。
「……え、っと………」
明らかに戸惑いの色が隠せない爽子は、目を泳がせながら言葉を捜している。
ええと、それは、要するに。
「…ふ、ふたりきり……?」
知らない間に口から出ていたらしい。
言ってしまったあとに、なんともいえない恥ずかしさで顔が赤くなる。
- 71 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 00:45:17 ID:Ic+/Pyn9
- 「…嫌…なら、いいんだけど」
翔太が俯きながら呟く。前髪で隠れてよく見えないが、
その瞳はどこかいじけているように見える。
「い、嫌じゃないよ!」
慌てて否定したが、素直に翔太の誘いに頷けないのは理由があった。
だって、それって……。
想像して、また赤くなる。
どこかぎこちなかったキスをやっとスムーズに交わせるようになったのは、最近のことだ。
彼の指先が頬に触れた時、びくつかなくなったのはかなりの進歩だし、そうなるまでに軽く1年はかかった。
―――そんな調子の二人だから、それからのことは、まだずっと先のことだと爽子は思っていた。
「爽子が嫌だっていうなら、無理強いはしない。だけど……――」
―――俺は、もうキスだけじゃ足りない。
消え入りそうな声で呟いた翔太の台詞は、爽子の決心を固めるのに十分の効果があった。
- 72 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 00:47:37 ID:Ic+/Pyn9
-
「お、おじゃまします…」
しんとした家の中に、爽子の遠慮がちな声が静かに響いた。
居間に続く廊下を翔太のあとに続いて歩く。冬間の床は、室内でもかなり冷たい。
靴下越しに感じるひやりとした感覚に、少しびくりとした。
「やっぱ、だいぶ寒いな。今ストーブつけるから、適当に座ってて」
翔太が居間の電気を点けて、カーテンを閉める。
爽子は言われた通りに、カーテンが引かれた窓を背に置かれたソファの隅っこに腰を下ろした。
部屋の真ん中にある背の低いテーブルの上には、ゲーム機が置かれている。確か、PHPといっただろうか。
前に一度、風早家に訪れた時に、翔太と弟がこれで対戦ゲームをしていたのをふと思い出した。
あれは高校3年の冬休みの出来事だったように記憶している。あれからもう2年も時が過ぎていた。
何年も前のことなのに、何故かつい最近のことのように思い、なんだか感慨深くなった。
「夕飯はどうしようか?」
物思いに耽っていた爽子を、翔太がふいに現実に引き戻した。
見上げた彼の顔は、高校時代と比べるとだいぶ大人びている。
そんなことをぼんやり考えながら、爽子が返事を返した。
「わたし、なにか作るよ。冷蔵庫の中、見せてもらってもいいかな?」
- 73 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 00:49:03 ID:Ic+/Pyn9
-
慣れた手付きで調理する爽子の姿を見ていた翔太は、思わず数年後の新婚生活を夢見て、顔を赤らめる。
この流れでこの妄想は危険すぎると気付いた彼が、大急ぎで思考をストップさせた頃には、
爽子お手製のグラタンがオーブンの中で焼き上がっていた。
冷蔵庫の中の余り物で作ったにしては、上出来な仕上がりだ。
美味しそうにグラタンを頬張る翔太を見て、爽子は嬉しそうに顔をほころばせた。
―――新婚さんって、こんな感じなのかな。
いつのまにかそんな想像をしていた自分が恥ずかしくなって、
慌ててそれをごまかすように、持っていたスプーンでグラタンの皿を突っついた。
夕食を食べ終えた頃には、時計の針は夜の8時を指していた。
満腹になった二人はソファに並んで座り、テレビを眺めていたが、
ふと思い立った翔太が立ち上がる。
「風呂、入るよね? お湯溜めてくる」
爽子が返事をする前に、翔太は風呂場に向かって行ってしまった。
翔太の何気ない一言で、今晩はここに泊まるのだということが、
急に現実味を帯びてきたのを感じた。爽子の胸が、どくん、と高鳴った。
- 74 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 00:50:52 ID:Ic+/Pyn9
- しばらくして、ジーンズの裾を少し湿らせた翔太が戻ってきた。
腕に捲くったパーカーの袖を戻しながら、わざと爽子の顔を見ないように言う。
「もうあと15分くらいで溜まるから、先に入って」
うん、と返した声が少し裏返っていた気がする。
なんとなく爽子も翔太の顔が見れなくて、不自然に自分のつま先を見つめていた。
それからの15分はあっという間だった。
バスルームに続く洗面所の引き戸を閉めて、着ていた服を脱いで丁寧に畳み、バスルームに入る。
上手く回らない思考回路をそのままに、爽子はシャワーの蛇口をひねった。
濡らした髪に、シャンプーを絡ませて泡立てる。
シャンプーの泡を流し終えて、ボディシャンプーで体を洗おうと左腕に泡を滑らせた時に、
そのボディシャンプーの香りが、翔太に抱きしめられた時に鼻をくすぐる香りだと気が付いた。
抱きしめられた時のドキドキが一瞬でよみがえって、爽子の思考をぐちゃぐちゃに掻き乱す。
頭の中の混乱を断ち切るように、急いで体を洗い流し、バスルームの戸を開いた。
事前に教えてもらっていたバスタオルが入った引き出しから、
ふかふかのバスタオルを一枚拝借し、体の水滴を拭き取る。
ほとんど拭き取ってから、そういえば、と爽子があることに気付いた。
- 75 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 00:52:02 ID:Ic+/Pyn9
-
遠慮がちに洗面所の引き戸が開かれて、小さな声が翔太の名を呼んだ。
「……あの、翔太くん……」
もう上がったのかと翔太がソファに座ったまま振り向いて、顔を強張らせた。
バスタオルに身を包んだだけの姿で、爽子が顔を覗かせていた。
長い黒髪を上にまとめた首筋から流れる一筋の水滴が、妙に色っぽく翔太の目に映る。
「…ごめんなさい、わたし…着替えとかなにも持ってきてないの…」
「えっ……え? 着替え?」
「うん…翔太くんのお古でもなんでもいいので…なにか、貸してもらえないかな…?」
- 76 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 00:53:30 ID:Ic+/Pyn9
-
爽子の頼みにとりあえず頷き、二階の自分の部屋に戻った翔太は、
まず落ち着きを取り戻すためにその場にうずくまった。
体中の血が煮えたぎったように、熱い。頭に血が昇って、思考が上手くまとまらない。
目を閉じて深呼吸をしようにも、瞼の裏に先ほどの爽子の姿がしっかりと焼き付いていて、
翔太は思わず「あぁあぁ…」と喉の奥から搾り出したような唸り声を上げた。
少し落ち着いた頭で、確か箪笥の奥に小さくなったパジャマがしまわれていたはずだと思い出す。
確かめてみると、確かに引き出しの奥に、青色がベースになったギンガムチェック柄のパジャマ上下があった。
それをひっぱり出して、広げてサイズを確かめる。
爽子には少し大きいかもしれないが、とりあえず持っていってみることにした。
階段を下りて、洗面所から顔を覗かせたままだった爽子に持ってきたパジャマを手渡す。
「少し大きいかもしれないけど…無いよりマシだから」
まともに爽子の目を見れない。不自然に目が泳いでいた。
「…あ、ありがとう…」
「早く着ないと、風邪引くよ」
こんな時にも、そんな気の利いた台詞が口から出る自分の冷静さに少し驚いた。
- 77 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 00:56:59 ID:Ic+/Pyn9
-
とりあえずキリのいい所はここまでです。
中途半端でごめんなさい;
続きはただいま急ピッチで書いてますので、しばしお待ちを…!
- 78 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 00:59:21 ID:B9L5tEat
- ちょう萌えました!GJ!!
初めての雰囲気がすごい伝わります。
続き、楽しみに待っています!!
- 79 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 01:13:53 ID:Ic+/Pyn9
- >>78さん、ありがとうございます!
続きは出来れば今週中に投下したいと思っていますが、
どのくらいの長さになるか検討がつきません…;
えらく長い話になってしまったらごめんなさいorz
- 80 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 11:28:24 ID:zUa1HDJN
- うわあ!お二人とも乙です!
スレが立って落ちること二回・・・
二年ぐらいロムったかいがあったw
(自分は書けないので)
- 81 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 20:57:02 ID:Ic+/Pyn9
-
再び爽子が洗面所から姿を現した時、翔太は彼女に
自分が昔着ていたパジャマを手渡してしまったことを死ぬほど後悔した。
目に映った爽子の姿は、翔太の平常心を脅かすのには十分の威力があった。
全体的に大きすぎるサイズのパジャマは、明らかに彼女の体系にミスマッチだ。
首元は襟が大きすぎて、真っ白い肌の鎖骨は丸見え、危うく胸元が見えてしまいそうになる。
肩のラインはパジャマの縫い目に合っていないし、両袖からは申し訳程度にちょこんと指先が覗いている。
腰元のあたりまで隠れるパジャマの上の下には、ぶかぶかのズボンを穿いていた。
………やばい。すげー、かわいい。
自分のお下がりを着ているというところが、ポイントが高かった。
どれくらい見つめていたのだろうか。
翔太の熱視線に気付いた爽子が、どうしたのだろうと小首を傾げる。
そんな些細な仕草でさえ、翔太の胸をときめかせた。
爽子がいそいそとソファに腰掛ける代わりに、翔太が風呂に入るために立ち上がった。
先ほど、爽子の着替えを取りに行った時に、自分の着替えも一緒に持ってきていた。
いつもの寝巻きスタイルであるTシャツと中学時代のジャージの下を抱えて、洗面所に向かった。
- 82 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 20:58:08 ID:Ic+/Pyn9
-
翔太が風呂に入っている間、爽子はだんだんと心拍数が上がってきていることに気付いていたが、
そのことをなるべく意識しないように勤めることに必死だった。
だけどそう思えば思う度に、この後の展開が気になり始めて、もうどうにも赤面してしまう。
もっとちゃんと、体を念入りに洗ってくればよかった。
一度は風呂に入ったのだから汗臭くはないだろうが、異様に自分の匂いが気になった。
確かめるように片腕に鼻先を近づければ、ボディシャンプーのほのかな香りが鼻をくすぐった。
そうだ。この匂いは、翔太くんの匂い。
どうやら墓穴を掘ってしまったらしい。真っ赤に火照った顔が、更に熱くなった。
風呂に上がって爽子の元に戻ってみれば、びっくりするくらい赤面している爽子がこちらを振り返った。
自分が居ない間になにかあったのだろうか。そう不思議に思うほど、爽子の様子は尋常じゃなかった。
- 83 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 21:30:28 ID:Ic+/Pyn9
-
風呂に上がって爽子の元に戻ってみれば、びっくりするくらい赤面している爽子がこちらを振り返った。
自分が居ない間になにかあったのだろうか。そう不思議に思うほど、爽子の様子は尋常じゃなかった。
「……あ、もう10時になるんだ……そろそろ寝ようか」
なるべく意識しないように言ったつもりだったが、思ったより大きな声で口から出ていた。
爽子がびくり、と肩を震わせた。すぐに頷いて、立ち上がる。
二人とも黙って、お互いを見つめていた。
どくどくと波打つ心臓の音が相手に聞こえてやいないだろうかと、やきもきしながら。
翔太の自室に入り、とりあえず二人ならんでベッドに腰掛けた。
なにをどうすればいいのかわからなくて、お互いに無言のまま、時間だけが過ぎていく。
- 84 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 21:31:44 ID:Ic+/Pyn9
-
しばらく気まずい沈黙が続き、我慢できなくなった翔太が小さく呟いた。
「………やっぱり、やめようか……?」
えっ、と、面食らったような顔をして、俯いていた爽子が翔太の顔を見上げる。
ひどく不安そうな顔で、翔太は爽子をじっと見つめていた。
ひょっとしたら、こんな表情をした彼は初めて見たかもしれない。
「…しょ、…翔太くんの…したいようにして…いいよ…」
まさかそんな答えが返ってくるとは思わなかった。
どんどん消極的な考えが浮かんできていた思考回路が、ぴたりと動きを止めた。
じっと自分の瞳を見つめてくる爽子の瞳は、驚くほど綺麗に澄んでいた。
- 85 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 22:18:57 ID:Ic+/Pyn9
-
「―――爽子、」
いつもキスする前にしているように、彼女の右頬に優しく触れる。
触れてくる翔太の指先が、小刻みに震えていた。
どちらからともなく瞼を閉じる。ゆっくりと触れた唇は柔らかかった。
何度か触れるだけのキスを交わして、翔太が少しずつ体重を傾けた。
いつのまにか、押し倒される体制になっていたことに気付く。
見上げた翔太の顔が、まるで知らない男の人のように思えた。
真剣な眼差しで自分を見下ろしてくる翔太の瞳に、爽子はすっかり捕らえられていた。
「……すき」
突然、ぽつり、と爽子が呟いた。
その声は小さくて、もう少しで聞き逃してしまいそうだった。
- 86 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 22:20:08 ID:Ic+/Pyn9
-
気持ちが溢れて、どうにかなってしまいそう。
胸がいっぱいになって、苦しくて、息がつまる。
こんなに、愛しい。
目の前にいる彼のことが、愛しくて、愛しくて、仕方がない。
この気持ちは、一体なんだろう。
いつのまにか視界が潤んできて、彼の顔がぼやけて見える。
ぼろぼろと涙が溢れて爽子の頬を伝っていく。
「どうしたの? どこか痛い?」
驚いた翔太が慌てて問いかけると、爽子はふるふると首を横に振った。
翔太の指先が爽子の涙を優しく拭う。
それでも止まらない涙は、じんわりと翔太の指を湿らせた。
- 87 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 22:21:07 ID:Ic+/Pyn9
-
「ちがうの…ごめんなさい…そうじゃなくて…」
触れられた翔太の右手を思わずぎゅっと握り締めて、爽子はそのまま彼の胸に顔をうずめた。
「…わたし…翔太くんのこと…すごく、すきだよ…」
今更、なんて当たり前のことを言っているんだろうと自分でも思った。
だけど、知らないうちに言葉が溢れ出ていた。
この状況でこんなこと言ったら、きっと笑われるに違いない。
恥ずかしくて、翔太の顔を見れない。
呆れられたかな、と心配になってきた時、ふいに翔太の両腕が背中にまわった。
そのままぎゅっと強く抱きしめられて、爽子はまたあのボディシャンプーの香りを感じた。
- 88 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 22:21:58 ID:Ic+/Pyn9
-
「……もー…そういうこと言うの、反則だろぉ……」
赤い顔をした翔太が、半分笑いながら、爽子の顔を覗き込んだ。
笑った顔はまだ少し幼さが残っていて、高校生の時から何も変わらない。
「俺だって、同じだよ」
額にかかるまだ湿った前髪を掻き分けて、そのままキスを落とした。
爽子の肌は驚くほど白い。唇が触れた時に、シャンプーのいい香りが鼻をくすぐった。
「この気持ちは、きっと一生変わらないと思う」
爽子が少し恥ずかしそうにふわりと笑った。もう涙は流していなかった。
抱きしめ合ったまま、二人はベッドに横になる。
なんとなく気恥ずかしくて、二人でふふふと笑いあった。
お互いの体温が心地良くて、暖かいまどろみの中に居るような気がした。
最高に幸せな気分を感じながら、二人はいつのまにか深い眠りについていた。
- 89 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 22:39:41 ID:Ic+/Pyn9
-
先に目を覚ましたのは爽子だった。
ぼんやりとする視界の中で、最初に目に入ったのは翔太の顔だった。
まるで子供みたいに幼げな寝顔だ。微かに規則正しい寝息が聞こえてくる。
前髪が少しかかった瞼のふちから伸びた睫毛はしっかり閉じられている。
こんなに至近距離で翔太の顔を見たのは初めてだった。
意外と睫毛が長いんだな。新たな発見に、爽子は嬉しくなる。
瞼にかかった前髪を気付かれないようにそっと払う。
触れた前髪は思ったよりサラサラしていた。
その感触が気持ちよくて、爽子はしばらく意味もなく指先で前髪を弄んでいた。
触れる指先の気配に気付いたのか、翔太がゆっくり瞼を開けた。
「んー…」と眠たげな声をあげて、それから「爽子、」と名前を呼ぶ。
- 90 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 22:40:23 ID:Ic+/Pyn9
-
「なにしてんの…?」
「起こしちゃってごめんね…あんまり気持ちよかったものだから、つい…」
とりあえず口ではそう謝っておいて、でも心の中ではちょっぴり残念に思う。
もう少し、あの感触を楽しんでいたかった。
「え?なにが?」となんのことだかわかっていない翔太が不思議そうに呟いた。
なんでもないの、と心なしか嬉しそうに爽子が返す。
まるで、いたずらを見つかってしまった子供のように小さくはにかんでいる。
「…あぁ、忘れてた」
ふいに、翔太が爽子の唇にふわっと自分のそれを重ねた。
急にふいをつかれた爽子は驚いて目を丸くする。
「―――おはよう、爽子」
カーテンの隙間から、朝日の光が差し込んでいた。
- 91 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 22:45:05 ID:Ic+/Pyn9
-
以上です。長々と続けちゃってすいませんでした…!;
それと、83の上二行がかぶっちゃってました…投下ミスです。すいません…
最初はがっつりエロを書こう!と意気込んでいたはずが、
いつのまにやら脱線して、本番も無しでアッサリ朝を迎える展開に…orz
自分で自分にガッカリです(苦笑)
でもこの二人のエロは本当に難しい…!
最後まで付き合ってくれた方、ありがとうございました〜。
またネタが下りてきたら投下してみようかと思います。
- 92 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 23:03:00 ID:B9L5tEat
- GJです、お疲れ様でした!
投下二回ともリアルタイムに遭遇できてわくわくどきどきが止まりませんでした。
そのまま寝ちゃうとかこの二人ならありえる…!とすごい萌えました。
本当にこの二人のエロ難しいですよね!?
63なのですが、未遂ネタの続きをその内に投下できるように私も頑張りますので
64さんに再びネタが下りてくることを楽しみにお待ちしております!
- 93 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 23:26:51 ID:4FCokVqN
- おはようのちゅーにキュンっ
- 94 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 23:29:57 ID:YsWqf71L
- >>63さん、>>91さん乙でした!!
楽しかった!!きゅんきゅんした!!
また期待してますwww
- 95 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/19(金) 23:45:45 ID:z6yFCnP0
- お二人とも、GJです!!!
楽しませて頂きました!!
- 96 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/20(土) 16:39:22 ID:b0ruxmvG
- 乙です!
次は是非とも最後まで・・・・
- 97 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/20(土) 21:38:56 ID:9906VyTs
- 風早おあずけ。。。かわいそす
- 98 :名無しさん@ピンキー[]:2008/09/21(日) 18:16:21 ID:Rle04sBA
- 龍ちづとか誰か書いてくださいっ!
- 99 :名無しさん@ピンキー[]:2008/09/21(日) 21:55:52 ID:Rle04sBA
- もう書いちゃいますね;
駄文ですが・・・どうぞ
あまりエロくないです
「...千鶴?」
部屋に戻ってくると千鶴は寝ていた。
今さっきちづるは家に
「ゲームするぞー!!!」
と言いながら急に押しかけてきたのだ。
来たとき、
俺は見かけでは迷惑そうな顔をつくりながらも
心の中では少し嬉しかった。
前みたいに徹目当てではなく、俺に会うために来たのだから。
一通り盛り上がったところで俺は親父に呼ばれて下へ行った。
そして戻ってきたら千鶴がベッドで寝ていたのだ。
「...よく寝るやつ。」
少し笑うとちづるが動いた。
起こしたかと思ったが、また規則正しい寝息を立て始めた。
久しぶりにまじまじと千鶴を見る。
...いつこんなに女らしくなったのか?
背が高いといわれてるが俺と比べるとやっぱり小さくて細くて。
小6までは千鶴の方がまだ高かった。
けど中1のある日、いつのまにか千鶴を見下ろしてることに気付いたんだ。
千鶴の寝息を聞いてると、
急に理性が崩れてきた。
熱いものが胸の中ではじける。
- 100 :名無しさん@ピンキー[]:2008/09/21(日) 22:24:23 ID:Q2Tlsvnf
- 100
- 101 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/23(火) 08:33:37 ID:45V0x81p
- え〜と・・・
終わり?続くの?
終わりなら、そう書いてほしいんだけど・・・
- 102 :名無しさん@ピンキー[]:2008/09/24(水) 19:35:33 ID:q4nHdyDq
-
俺が千鶴の枕元に手を置くとベットがぎしりと音を立てた。
俺は顔を千鶴の顔に近づける。
もうこれ以上の我慢はできない。
千鶴の寝息が伝わってきた。
無防備なこいつをめちゃくちゃにしてしまいたい。
だけど。
・・・やっぱりまだだめだ。
こんな形でしても虚しくなるだけだ。
そう思いベッドから離れた。
相変わらず千鶴は良く眠っている。
起こさないようにそっと部屋を出た。
「いつまで耐えれるかな...」
呟きは低く消えていった。
終わり
- 103 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/25(木) 22:52:01 ID:FaWBiI+p
- ほす
- 104 :名無しさん@ピンキー[]:2008/09/27(土) 23:24:50 ID:gUdkDyBK
- 保守します
- 105 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/09/30(火) 15:14:09 ID:B+6N62bQ
- 自分も頑張ってかいてみてんですけど
他の職人さんとどーしてもカブっちゃうは、文才ないわで
へこむを通りこして笑いが止まりません
はー
がんばってみまーす
- 106 :名無しさん@ピンキー[]:2008/09/30(火) 20:26:38 ID:ntnIM4hL
-
頑張って下さい。
楽しみにしてます^^
- 107 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/01(水) 14:05:16 ID:hVPGp2GK
- >>105 です
できあがったんですけど・・・
なんかショボイくせにやけに長くなってしまいました
きわどい表現が苦手なのでソフトな感じにしたつもり・・・なんですけど
わかりずらいかも・・・?雰囲気的に察していただければ、これ幸です・・・^^
ひまつぶしにでもしてください
投下しまーす どーん
- 108 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/01(水) 14:07:00 ID:hVPGp2GK
- 「どうぞ、あがって」
玄関のドアを開けて出迎えた風早が言った
「あっ・・・はい。お邪魔します・・・」
「どした?」
いつもより緊張した面持ちの爽子に風早が聞く
爽子は手をぶんぶん振って
「ごめんねっ・・・あの・・・なんか・・・緊張して」
「ははっ。いーよ。誰もいないから緊張することないって」
風早は笑顔でそう言い、爽子を部屋まで案内してくれた
その言葉で爽子はよりいっそう緊張する
風早と爽子が付き合いだして数ヶ月が経とうとしていた
今日は来週に迫ったクリスマスを前に、2人で計画を立てようと風早が提案して、爽子を家に誘ったのだった
爽子が風早の家に遊びに来たのは初めてだった
部屋に案内され小さなテーブルの前に座る爽子
必要なもの意外置いていないというシンプルな部屋がいかにも風早らしい部屋だった
爽子は辺りを見廻し、ドキドキしながらも嬉しい気持ちになっていた
-----風早くんの部屋だぁ・・・
部屋を見渡している爽子に風早が言う
「あんま見ないで。部屋汚いから」
「そ、そんなことないよっ。全然キレイだよ」
「そーだ黒沼。来週のクリスマスこんな所どうかな?すげー面白そうだよ」
風早が、ジョーからもらったという雑誌のページをめくりながら爽子の横に座る
「こことかどーかな?」と言いながら風早は楽しそうに話しかけるが、爽子は至近距離に風早が座ったことで先ほどの緊張がよみがえってきていた
しばらくして風早も、心ここにあらずの爽子の様子に気づく
- 109 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/01(水) 14:08:28 ID:hVPGp2GK
-
「黒沼?どーかした?」
ハッとする爽子
今まで雑誌の一点だけをボーっと見ていたのだ
「あっごごごめんなさい。えっとどどどこだっけ?」
少し不安げな顔の風早
「あんまり気乗りしない?」
そう爽子に言ったと同時に風早の携帯が鳴った
着信画面には『吉田』の名前
風早が電話に出ると、電話口にはちづではなく、あやねが出たのだった
『あー風早?今日爽子そっち行ってんでしょ?』
「うん。来てるけど・・・何?」
『・・・あのさぁ。爽子に余計なこと言っちゃったからさ、気まずくなってないかなーと思って』
その後もいろいろと畳掛けるように弁解するあやね
意味が分からず少しイラつく風早
「で、何言ったんだよ?」
爽子に、今度風早の家に遊びに行くことを聞いたあやねが
爽子もとうとう大人の世界を知るんだとか、風早もきっとそのつもりだとか
冗談でそのような類のことを言ったようだ
その後、あやねは爽子の性格からして、冗談と捉えられなくて本気で悩んでんじゃないかと思って電話したようだ・・・
爽子は、まさにその通りの様子だった
『爽子さ。どーしたらいーかわかんなくなっちゃってると思うんだよ。ごめん風早。自分で言うのも何だと思うけど爽子の誤解といてやってよ。』
風早が爽子へ視線をむける
不安そうに見つめる爽子
風早自体そういう事をまったく考えたりしないわけじゃないけど、今日は特にそういう意味合いで誘った訳じゃないから、実際自分の知らないところでそういう話が出ていることに少し困惑した
それと同時に、そういう事で悩んで緊張している爽子を可愛いと思い照れた
- 110 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/01(水) 14:09:19 ID:hVPGp2GK
-
「・・・ん。わかった。サンキュ」
そう言い、携帯を切る
「・・・ちづちゃん?」
変わらず不安そうな顔の爽子が聞く
「ん。矢野からだった」
『矢野』という名前に爽子が微かに反応する
意を決して風早が切りだす
「あのさっ。・・・矢野が・・・何か・・・言ってたんでしょ?」
「えっ・・・」
爽子の頬が赤らむ、そしてそのまま俯むく
つられて風早も赤くなる
「別に・・・そーいうんじゃないから、今日は。なんつーか普通に・・・さ」
「普通に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・笑って。黒沼」
風早が照れながら笑顔をみせる
爽子は、何度も好きだと思ったその笑顔にまた胸を熱くする
- 111 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/01(水) 14:10:54 ID:hVPGp2GK
-
----------あやねちゃん。私・・・
『えっえぇぇぇぇぇ!?あああああやねちゃん!?おお大人の世界って!そんな!まさか!!』
『まーあるかもしんないってことよ』
『・・・!?』
赤くなって声の出ない爽子
『でも風早のことだから爽子がイイって言うまでしないと思うけどさ・・・』
『爽子がイイって思ったその時はちゃんと爽子から言ってあげないと、風早わかんないと思うよ』
『・・・・・・風早だって男の子なんだから』
あやねとの会話を思い出す爽子
---------自分がどう思ってるか、考えてるかは言わなきゃ伝わらないよね
爽子はずっと思っていたことを口にしてみた
「風早くん。私の名前呼んでみてくれないかな?」
「くろぬま?」
爽子が小さく首を振る
頬は赤くなったままだが、風早を見つめるその瞳は真剣だった
- 112 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/01(水) 14:12:24 ID:hVPGp2GK
-
「下の名前で呼んでほしいの」
風早が俯く
頬がみるみる赤くなっていく
そして小さく唸った
「ずりー・・・」
改めて顔を上げ、爽子を見つめ直す
「爽子」
風早が爽子の名前を呼ぶ
爽子から笑顔がこぼれる
「ずっと・・・そう呼んで欲しかったの」
今日初めて見せた笑顔だった
風早もやっと爽子の笑顔が見れてホッとする
「俺だって・・・ずっとそう呼びたかった!」
少しスネたふうに風早が言う
そして、またいつもの笑顔をむける
そんな姿にまた爽子は胸が熱くなる
自分の中で、気持ちが固まっていくのがわかった
新たに生まれた感情も、相手がすきなのだから当たり前のことだと・・・
- 113 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/01(水) 14:14:59 ID:hVPGp2GK
-
「風早くん。・・・私、大丈夫だよ」
「え?」
何のことか解らず、風早が聞き返す
「嫌だったら・・・今日ここに来れなかったと思う」
「爽子?」
「あ、あやねちゃんが言ってたこと・・・私、嫌じゃない」
爽子が話している意味を、ようやく風早は理解した
風早は、爽子をやさしく見つめる
見つめた先には、頬を赤らめ声を震わせながら一生懸命気持ちを伝えようとしている爽子がいる
爽子も目をそらさず、まっすぐ潤んだ瞳をむける
「私、風早くんがすきだから・・・私、風早くんのこともっと・・・」
愛しくてたまらなくなった風早は、爽子を引き寄せ抱きしめていた
「爽子・・・」
抱きしめた腕の力を緩め、右手で爽子の髪を撫でた
爽子の馨りが、風早の鼻をくすぐる
ゆっくりと爽子の体を離し、そしてゆっくりと唇を重ねた
触れるだけのやさしいキスと甘く溶けそうなキス
それを繰り返していたら、いつのまにか爽子の視界には風早と部屋の天井だけになっていた
もちろん、こんな体勢でお互い見つめあうのは初めてだった
少しの沈黙のあと、風早がもういちど爽子に確認する
- 114 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/01(水) 14:16:25 ID:hVPGp2GK
-
「・・・無理してない?ほんとに・・・・・・嫌じゃないの?」
その問いかけに爽子は小さく頷く
風早はやさしく微笑み、爽子の唇から頬に、そして首筋にキスをしていった
耳元でやさしく名前を囁かれ、胸がぎゅっとしめつけられた
この恋愛特有の胸の痛みは、なかなか慣れるものじゃないけど・・・でも、嫌いではない
普段触れられる事のない身体の部分を触れられ、キスされていく
ひとつひとつの動作に胸がしめつけられ熱くなってゆくのがわかる
初めて見られる自分の身体、本能的に出てしまう声、今の自分はどんな顔をしているのか
相手にはどんな風に見えるのか、映るのか、感じるのか
全てが恥ずかしくて、気になって・・・そんな気持ちが爽子をいっぱいいっぱいにしていた
いつの間にか、着ていたものはすべてなくなり、2人の身体は1枚の毛布に包まれていた
お互いの体温を感じるせいか、冬の寒さは感じない
風早の指先が爽子の曲線部を伝い熱い部分へ触れてゆく
指先でやさしく撫でていくと温かいものを感じる
爽子の身体が反応するのがわかる
ふと風早が爽子の顔に視線を戻すと、爽子が目をぎゅっと固く瞑っていた
右手は毛布の端を握り締めている
その姿を見て、我慢しているのではないかと思い風早が声をかける
- 115 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/01(水) 14:17:18 ID:hVPGp2GK
-
「爽子?・・・ごめん痛かった?・・・嫌・・・だった?」
爽子が首を振る
「・・・痛くないよ」
「やっぱ・・・やめとく?」
爽子が大きく首を振る
「ちがうの。嫌じゃないの・・・・・・でもやっぱり恥ずかしいし、胸のドキドキもおさまらなくて・・・」
「ごめんね。おかしいよね・・・自分が大丈夫って言ったのに・・・」
風早は毛布を握り締めていた爽子の手をとり自分の胸に当てた
爽子は、ハッとした
手のひらから、風早の鼓動が伝わってきた
自分と同じくらい・・・いや、自分よりも遥かに速い鼓動だった
「俺もさっきからこんな感じで死にそーなんだけど・・・」
そう言いながら顔を真っ赤し、顔を横にそらした
爽子は照れている風早の横顔を見ながら
------自分だけじゃないんだ・・・と思っていた
風早が爽子に視線を戻し、爽子の手を握り締めた
「・・・・・・一緒だよ」
風早のそのひと言で、爽子は心が解きほぐされたような気がした
- 116 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/01(水) 14:20:41 ID:hVPGp2GK
-
再び2人はキスをする
さっきよりも穏やかな空気が流れた
お互い何かが変わったかのようだ・・・
爽子は素直に身を任せ、恥ずかしいと思っていた声も素直にだせた
胸元にキスをされた時、小さな痛みが走ったように思えた
なんだろうと、自分の指で触れてみて確認しても傷らしき痕にはたどり着かない
爽子が胸元に気をとられていると、それを忘れてしまうほどの熱いものを感じた
それと同時に今までに感じたことのない快感の波が押しよせた
風早が爽子のなかに入ってきたのだった
未だに訪れる恥かしさと、それさえ、その理性さえ吹き飛ぶ快感の波が交互に押しよせる
その波に身を委ねると、いつしか海の奥底へと沈んでいってしまうのではないのかとさえ思えた
溺れてしまわぬよう、風早の背中に手をかける
風早も爽子の甘い声を聞き、一緒に溺れてしまいそうになる
心で何度も何度も互いの名前を呼び続けていた
自分にとっての、とくべつな存在を確認するかのように--------
過度の緊張から解放された2人は、いつのまにか眠ってしまったようだ
爽子が先に目を覚ます
自分の横で風早が寝ている
先ほど見た「男の子」の表情とは懸け離れた無垢な寝顔だった
今さっきまでの自分たちは本当に自分たちだったのだろうか・・・
嬉しさはあるものの、夢だったのではないかと信じきれない気持ちもあった
爽子は風早を起こさないようにそっと上半身を起こした
さっき感じた痛みの先を見る
「あれ?赤くなってる・・・」
胸元の肌がインクを一滴たらしたように赤く染まっていた
「ひとりじめ」
下から声がした
風早が頬杖をつき、上目遣いに爽子を見ていた
「ひとりじめ?あれっっ?お、起きてたの?」
「うん。今起きた」
- 117 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/01(水) 14:21:58 ID:hVPGp2GK
-
風早も上体を起こし、爽子の隣に並んで座る
爽子をじーっと見つめる
「えっ?えっ?」というように、爽子がどぎまぎしていると
「これ」
風早が爽子の胸元のキスマークを指し
「ひとりじめ・・・の、しるし」
と、言った
爽子は、自分が風早の彼女であることと、
さっきの自分たちは決して夢ではなかったんだということを再確認した
嬉しさがこみ上げてきて、自然と笑顔になった
そんな爽子を見て、風早も笑顔になる
「俺も、ずっと思ってたことあるんだけど」
「うん?」
「俺のこと、名前で呼んで」
「翔太くん!」
風早の名前を呼んだ爽子には、いつもの戸惑いの感じは見られなかった
そう言われるのを待っていたかのようだった
「俺もずっと、そう呼んで欲しかったんだよ」
「私も・・・そう呼びたかった」
2人は寄り添って笑いあった
いつしか手を繋いでいた
風早が繋がれた2人の手を見つめキスをした
--------離れることがないように と、願いを込めて
以上でーす。何卒よろしくお願いしまふ
- 118 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/01(水) 22:04:27 ID:zRFM5+Oz
- >>105さん
GJ!GJ!
有り得そうな展開にきゅんきゅんしました。
素敵な作品ありがとうございます。
- 119 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/01(水) 22:45:05 ID:wo3Tmh8o
- GJ!!
きゅんきゅんした!
名前呼び、なかなかできないのが二人っぽいと思いました。
- 120 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/02(木) 15:14:39 ID:cuqq+b2+
- >>105 っす。
あざーす。
君届にとって「きゅんきゅんした」は
最高の誉め言葉だと思っているので(自分は)
とってもうれしーです。
読んでくださってありがとうございます。
しかし、難しかったっす^^;
- 121 :名無しさん@ピンキー[]:2008/10/02(木) 15:20:21 ID:f88qm4FY
- ひとりじめ
っていうの上手いですね!
心理描写にキャラ読みも素晴らしく、できそうで自分には書けないな、こんなの。
しかし、前のお泊りの初体験版も読みたかったです。またお願いします〜
- 122 :名無しさん@ピンキー[]:2008/10/07(火) 10:40:26 ID:YGr4qh2h
- ほ
- 123 :名無しさん@ピンキー[]:2008/10/08(水) 23:24:11 ID:rqZ7VOQp
- ほしゅがてら何か投下したいと思います。駄文なのはご愛嬌w
///
夜の学校の薄気味悪さもさることながら、やはり一歩外に出ると、その凍てつく様な寒さの方が遥かに深刻だった。
『寒みぃ!』…くそ、ピンの雑用のおかげですっかり遅くなっちまった…
しかもこんな日に限って、黒沼から貰った手袋は忘れてしまっていた。
今日は厄日だな‥
だって…
『‥黒沼と一緒に、帰りたかったなー…』黒沼は最初、待ってると言ってくれたんだけど、俺自身、用事がいつ終わるのかも分からなかったし、多分相当遅くなるのが目に見えていたので、黒沼には先に帰って貰ったのだ。
そうだ‥自分で断っておいて、何勝手な事思ってんだろ‥
俺はため息吐き、歩き出した。
ふと、夜空を見上げてみた。冷たい夜の空からは、ちらちらと雪が降り注いでいる。
地面にはうっすらと雪が積もっていた。
それらはどれも幻想的で、まるで自分が知らない世界に迷い込んだように感じられた。
その世界に‥
『………あ』
彼女はいた。
『か、風早君』
///
後半に続く
- 124 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/13(月) 23:43:07 ID:pbqG8neV
- 今続いてる途中かな?
先月黒風早に悶えた者です。
勢いで書いてしまったので、投下しようとおもいます。w
ただ、文章をかくのがはじめてなので、駄文注意と、
エロがだいぷ濃い目なので、苦手なかたはご非難ください。
あと一番重要なのが、風早がドス黒いので;;
本編のほんわかした爽やかな雰囲気を壊されたくない方は見られないようにお願いしておきます。
きゅんきゅんはないです泣
タイミング見計らって投下します〜
- 125 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/14(火) 00:27:33 ID:3+c2bZ4C
- >>124さん
超楽しみにしてますwww
- 126 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/14(火) 05:48:53 ID:lPtGAenh
- よし。
じゃぁ早速朝っぱらからいきます!
今アク禁巻き添えくらってるので、携帯から失礼。
キャラ崩壊してるのは、ほんとごめんなさいです;
NGは黒風、でw
それではどうぞー↓
- 127 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/14(火) 05:56:45 ID:lPtGAenh
- てすてす
てすてす
- 128 :黒風[sage]:2008/10/14(火) 05:58:57 ID:lPtGAenh
- 俺だけのものにしたい。
大人しそうだけれど。本当は芯が強くて、眩しいぐらいに真っ直ぐな君。
あまり見せない花のような笑顔はとても愛らしくて。
思わず思い切り抱きしめたくなるんだ。
気がつけばいつも、君のことばかり。
影に。声に。
自分の感覚の全てが馬鹿らしいくらい「彼女」の存在に敏感に反応する。
いつからだろう。こんな気持ちを抱いたのは。
暗闇で瞳を閉じる。
浮かんでくるのは、もちろん彼女で。
「爽子・・・」
名前をそっと囁いてみる。
- 129 :黒風[sage]:2008/10/14(火) 06:00:39 ID:lPtGAenh
- −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「は、ずかしいよ・・・っ・・・」
目を瞑ったまま、うつむく下着姿の彼女。
両手を交差させ、赤い顔をしながら胸元を隠そうと必死な様子だ。
「爽子・・・俺のこと好き?」
子供じみている。
思わず失笑するが、聞かずにはいられない。
「ねぇ俺のこと、好き?」
彼女の答えを待ちきれず、首筋に唇をすべらせる。
「っ・・あっ・・」
小さくか細い声が直接俺を刺激する。
「もっと、聞かせて。その可愛い声・・・」
自分でも驚くような掠れた声が出る。
本当は。
触れたくて、たまらなかった。
彼女の細い足を見るたびに。綺麗なうなじを見るたびに。
透き通るような真っ白な躰を自分の思いのままにしてみたかった。
「爽子。手、どけて・・・」再び耳元で囁く。
「・・もうちょっと待っ・・あぁっ」
我慢できず、彼女の手を無理やりほどいてしまった。
可愛らしいレースに包まれた下着が現れる。
- 130 :黒風[sage]:2008/10/14(火) 06:02:19 ID:lPtGAenh
-
下着姿の彼女。
涙をためて、真っ赤な顔をしている。
たまらない。
今すぐにでも、自分の熱を埋め込みたい衝動に駆られる。
「これ、外してもいい?」わざとフリルを弄りながら、尋ねてみた。
彼女の胸の、その頂を想像するだけで、頭が変になるくらい興奮している自分がいる。
見たい。
顔をうずめて、思いのまま彼女を味わいたい。
彼女は戸惑いながらもおずおずと答えを返してくれる。
「ぅ・・・ぅん、でも自分で外すから・・・っ!?」
「だーめ。俺が外すの。」
彼女の手をそっと制し、少し意地悪に微笑んでみた。
本当は余裕なんかない。けど、彼女の全部、俺が触れたいんだ。
フロントホックに触れた手が震えるのがわかる。
瞬間
ぽろん、とはずみながらこぼれおちた彼女の胸
想像していたより意外に大きくて少し驚く。
真っ白で暖かく、柔らかい。
ぎりぎりに保っていた理性の糸が、少しずつ切れてゆく。
- 131 :黒風[sage]:2008/10/14(火) 06:04:53 ID:lPtGAenh
- 優しくなんかできそうもない。
怖がらせたくなんてないのに・・・
その想いに反比例するかのように、体は言うことを聞いてくれない。
胸を思い切り揉みしだきながら、乱暴なキスをする。
「っふん・・・あっ・・かぜはやく・・・ふぁっ」
お互いの唾液が混ざり合う音がする。
このまま本当に食べてしまいたい。興奮がどんどん高まっていく。
堪らず、桜色をした胸の頂上を口に含んだ。
「っひゃんっ!」
「気持ちいいの?爽子・・?」そう囁きながら、舌で弄り続ける。
「っふぁぁっ・・わ、わかんないけど、なんかっ・・・」
「へ、変なの・・・っっ」
頬を紅潮させ、あられもない姿で快感に浸る顔。
きっと、誰も見たことがない爽子の表情。
もっと、もっと、見てみたい。
「もっと変になってよ・・・。」
耳たぶをわざといやらしく舌でなぶりながら、手を下の方へ移動させる。
下着の上から、そっと、触れてみる。
- 132 :黒風[sage]:2008/10/14(火) 06:06:17 ID:lPtGAenh
-
くちゅ、という水音と共に
「っきゃっ!!!」という可愛らしい悲鳴が聞こえてきた。
「ここはどう・・・?」息がだんだん荒くなる。
「っやああっぁん!!!だ、だめ、やっ、やだっ。」
「何がやだ?・・爽子、好きだよ・・・可愛い。」
涙目の爽子。
ごめん。止めてやれない。
理性の糸が完全に、ぷつんと切れる音がした。
爽子の吐息にあわせて、中心部分を上から擦ってみる。
「・・っひゃん!!な・・・なんか、変っ!!!」
「か、かぜはやっくっ、やめ・・ふっぁああんっ!」
「爽子。すごい気持ちよさそうな顔してる。」
「ほら・・・。そんな顔見てるだけで、やばいよ、コレ。」
そう言って、スリットをなぞる様に、ゆっくりと腰を押し付ける。
「っっ。いやぁぁあぁっ・・・っふぇぇっ。」
ソレが、よほど嫌だったのか。顔を真っ赤にして、泣き出してしまった。
「どうして泣くの?・・・恥ずかしかった?」
こくん、と頷く彼女。涙と汗で、顔がぐしゃぐしゃだ。
「可愛い・・・。もっと、爽子が恥ずかしがることしたくなる。」
首筋で囁きながら、下着の外からそっと手を差し入れる。
「っふやぁぁっ、そこはだめぇぇぇ・・・。」
- 133 :黒風[sage]:2008/10/14(火) 06:10:18 ID:lPtGAenh
-
悲鳴のような彼女の声。 薄い茂みを掻き分けながら、たどり着いたその場所。
「ここ、ね。」
ぴんっと、蕾を優しく弾く。
「っぁんっ・・・。」同時に体が跳ねた。
ひとつひとつの反応が、嬉しくて、可愛くて仕方がない。
「あぁ。びしょびしょにしちゃったね。」
笑いながら蜜を手に絡ませ、しっとりと筋にそって塗りつけた。
「ゃぁあ、言わないで・・・。」
「嫌・・?俺のこと好きだから、ここ、こんなに熱くしてるんでしょう?」
指を溝に食い込ませ、するすると上下にスライドさせる。
「ちが・・・っ!」
その言葉にピクンと反応する自分がいた。
「違う?何が違うの?」
「俺のこと好きじゃないんだ・・・?」
「ち、っちがっ!か、ぜはゃ・・くんっ。あぁっ。」
ゆっくりと指を中に進入させ、軽くかき混ぜる。
「好きでもない男に、こんな事されて、喜んで濡らしちゃうなんて、爽子はやらしいね。」
冷たく微笑んで、細い足から最後の下着をすっと抜き取とる。
「そんなえっちな子には、お仕置きだよ。」
「!!?っ!!きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
足を両手で大きく広げ、その中心に思い切り吸い付いた。
舌を中に差し入れ、蜜を吸い出しては執拗に舐めまわす。
- 134 :黒風[sage]:2008/10/14(火) 06:12:01 ID:lPtGAenh
- 「あぁぁ、ぁんっ!!ゃ、やめてぇぇぇぇ、も、もう、だ、だめぇぇぇぇっ!!!。」
絶叫に近い叫び声を上げ、
腰をビクビクと震えさせ、両手を頭に回し、押し付けてきた。
そろそろ限界が近いのだろうか。
小刻みに動していた舌を一旦止めてみた。
「・・・俺のこと、好きだよな・・・?」
「はぁはぁ・・・」
爽子は、涙をためた瞳で、肩で息をしながらこちらを見ている。
今まで自分が何をされていたのか、まるでわかっていない様子だ。
「俺のこと、好きって言って・・・」
泣きそうな声が出てしまう。
- 135 :黒風[sage]:2008/10/14(火) 06:13:47 ID:lPtGAenh
- 「爽子・・・」
濡れそぼった秘所を両手で開き、その中心に、そっとキスを落とす。
「っ!!・・・ひぃん!」
焦らすように、ゆっくり、確かめるように指を動かして。
「うっ、っぁ、か、ぜはゃくん・すっ・・きっ!!」
「・・ん?何・・・?聞こえないよ・・・。」
だんだん速度を速めながら、中の壁を丁寧に擦ってゆく。
「あっ、あっっ、すきなの、すきぃ・・ずっと、すきなの・・・っ。」
「いい子。」
突起にある薄い皮を静かに剥いた。
瞬間、爽子の体が弓なりになる。
「ほら、爽子の一番可愛いとこ、見ててあげる。」
剥き出しの蕾を甘噛みし、指を突き上げてめちゃくちゃに擦る。
「あぁっぁっ!!!!すきぃいいいっぃっ・・・・・あぁぁっぁぁぁ。」
「俺も。」
「ああぁぁっぁっあぁぁぁぁぁぁ・・・!!!」
爽子の声を聞きながら、その瞬間の顔を見ながら、
俺は、自分の欲望を吐き出した。
- 136 :黒風[sage]:2008/10/14(火) 06:16:35 ID:lPtGAenh
- 「ふぅ・・・」
完全に自己嫌悪だ。
終わったあとにはいつも、罪悪感と虚しさが襲ってくる。
真っ白で無垢な爽子をまた自分の妄想で汚してしまった。
「ごめんな黒沼・・・。」
好きだと思う気持ちが大きくなるにつれ、自分の中の黒い欲望がどんどん膨らんでいく。
最近はもう、どうしようもないところまで来ていた。
誰にも、誰にも触れさせたくない。
鍵をかけて閉じ込めておきたい。
「風早くん。」
笑いかけてくれるその笑顔も。声も。全部全部。何もかも。
俺だけのものにしたい。
- 137 :黒風[sage]:2008/10/14(火) 06:19:16 ID:lPtGAenh
-
初めから予感はあったんだと思う。
君が好きだ。
本当に、君が好きなんだ。
だからお願い。
俺のこと、好きって言って。
「爽子・・・」
暗闇の中、彼女の笑顔を脳裏に浮かべながら。
布団をきつくだきしめたまま、俺はいつの間にか深い眠りに落ちていた。
- 138 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/14(火) 06:29:10 ID:lPtGAenh
- お粗末さまでした!/(^o^)\アチャパー!
ほんとなんかエロ全開で申し訳ありませんでした;;
来月まで長いよう
- 139 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/14(火) 21:41:52 ID:i9ekHjte
- 黒風きたわーー
次回作も期待してます
- 140 :名無しさん@ピンキー[]:2008/10/14(火) 22:01:20 ID:3+c2bZ4C
- 乙でしたー!!かなり楽しめた!!黒風嫌いじゃないなー!!
また楽しみにしてます!
- 141 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/14(火) 22:02:49 ID:3+c2bZ4C
- あげちゃった…すいません。。
- 142 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/15(水) 13:34:53 ID:WDUw6QJQ
- GJ!
黒風いいね〜
また、楽しみにしてます
- 143 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/16(木) 14:50:03 ID:q/6ONJyz
- >>105です
風爽の初ちゅー話があるんすけど
この前の「ひとりじめ」話ができたから投下するのをやめました
けどなんとなくヒマなので投下してみます
ぜんぜんまったくエロくなくてすみません・・・
どうしたらエロくなるんだか・・・勉強不足っす^^;
風早視点で書いてみました
爽子がすきなんだなーってのが伝わればいいんだけど
- 144 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/16(木) 14:50:49 ID:q/6ONJyz
- 「こっち」と手を引き、連れて行く
これで2度目だ。最初は体育祭の時
黒沼が龍と2人で話しているのをみて、気になって、どーにもガマンができなかった時
龍のことがすきなのかもしれないと思ったら、いてもたってもいられなくなった・・・
今日もあの時とたいして変わらない
ほんっっとに自分は進歩のないヤツだと思う
短気で、自分勝手で、独占欲が強くて・・・ほんとに、いつか嫌われないか心配だ
せっかく想いが届いたのに・・・やっとの思いで付き合うことになったのに・・・
- 145 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/16(木) 14:51:41 ID:q/6ONJyz
-
学祭の少し前、俺と黒沼は付き合うことになった。彼氏・彼女として
黒沼も同じ気持ちでいてくれてたことが、すごく嬉しかった
何があっても大切にしていこうと思った
これから2人が、彼氏・彼女になるということに『信じられない』という黒沼に、何度も『本当だよ』と言った
自分にも夢ではない事を、言い聞かせていたのかもしれない
付き合ってから初めての学校のイベント
できれば一緒に楽しみたかったけれど、お互い忙しく、今はすでに後夜祭の時間だ
後夜祭になっても、なかなか2人になれるチャンスがない
どうにかして2人になりたかった
ほとんどの生徒が校庭に集まっていた
これからキャンプファイヤーが行われるからだ
カウントダウンが始まり、みんなの視線が一点に集中する
火があがる瞬間、歓声がおこる
それと同時に俺は黒沼の手を引き、みんなの視線とは逆の方向に走り出していた
- 146 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/16(木) 14:52:53 ID:q/6ONJyz
-
校舎裏まできて足を止めた
そして気づいてしまった・・・『一緒にイベントを楽しみたかった』のに、
イベントの場から連れ出してしまったことに
確かに2人にはなれたけど・・・自分の勝手さが嫌になってくる
まわりが見えなくなるとすぐコレだ・・・
「ごめん黒沼。せっかく・・・」
黒沼は首を横に振った
「ううん。びっくりしたけど・・・大丈夫だよ」
黒沼は気を遣って言ってくれてるわけじゃなく、いつも素直な気持ちを伝えてくる
そういうところも、すごくすきだ
黒沼の後方に人影が見えたような気がした
「ピンだ!」そう認識した時には、また黒沼の手を引き建物の影に隠れていた
2人になれたからには、邪魔はされたくない
まして、あのピンなら尚更だ
ピンが校庭の方角に引き返していくのを確認し、視線を戻すとかなりの至近距離に黒沼の顔があった
手を引いたときに、身体が密着するぐらいまで引き寄せてしまったようだ
- 147 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/16(木) 14:53:59 ID:q/6ONJyz
-
「ごっごめんっっ。見つかりたくなかったから・・・」
そして2人で、黙ってしまった
きもち身体を離したものの、それ以上は離さなかった。離れたくなかったから。
黒沼は壁と俺の身体に挟まれるような形でいる
距離が近くて戸惑っているのか、黒沼は俯いていた
視線に気がついたのか、チラっと上目でこっちをみた
「今日、忙しかったもんね・・・風早くんと一緒にまわれなくて残念だったな・・・」
そう言いながら残念そうな顔をする
ほんとに、こういうところもカワイイと思う
ひとつひとつの言動が、こんなにも自分の心をわし掴みにする
「ずるいなー」心の中で何度思ったことか・・・
- 148 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/16(木) 14:55:23 ID:q/6ONJyz
-
「俺もそー思ってた・・・だから、がまんできなくて・・・気がついたら手引いてた」
黒沼は、何て返したらいいのか分からないらしく顔を赤くして俯いていた
「休みの日も準備とかで学校きてたし・・・付き合ってるのに、それらしーことできないし・・・」
「・・・うん」
「つーか、俺なに言ってんだろ」
自分でふっといて赤面する。なんか愚痴ってるみたいでかっこ悪い・・・
頭では納得したつもりだったが、そうでは無かったようだ
学校でも、休みの日でもできるだけ傍にいたいんだ
もう、付き合う前みたいに携帯をもってずっと悩んで躊躇したり、遠慮したりすることもないんだ
「電話っ。とか・・・するから・・・これからさ。あとメールもするし・・・」
「うん。私もする・・・家でも・・・声きけるんだね」
「休みの日も・・・会いたいんだけど・・・。どっか行こーよ」
「うん。行きたい・・・あっ・・・ちづちゃんたち・・・」
「ダメ」
黒沼が喋り終わらないうちに言っていた
「ダメ。2人きりがいいって言ってんの」
- 149 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/16(木) 14:56:08 ID:q/6ONJyz
-
黒沼は気がつくと吉田と矢野といる
相手が女友達でも、やきもちは何度妬いたか分からない
まして三浦だった時は・・・・
あー。ほんっと独占欲が強くて嫌になる
「いや、たまには、みんなでってのもイイけど・・・できれば2人きりで会いたいし」
「・・・うん。2人でどこか行こう」
これから先も独占欲が強くて嫌われないだろうかと思っていたら、「ごめん」と口に出していた
「・・・?すごく嬉しいよ?楽しみにしてる」
笑顔で応えてくれた
嬉しいって楽しみって言ってくれたことにすごく安心した
さっき反省したばかりなのに、また『この笑顔をひとりじめしたい』という思いが湧きあがってきた
- 150 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/16(木) 14:56:59 ID:q/6ONJyz
-
「先に吉田たちと、どっか行ったりしないでよ?」
「うん」
「ほんとに?」
「うん」
黒沼を下から覗き込むような姿勢になる
黒沼の前髪が自分の顔にかかり、自分の前髪が黒沼の顔にかかる
キスをした
そっとやさしく重ねるだけのキス
黒沼の身体が、ビクッと反応するのがわかった
「予約・・・したから」
黒沼は何が起きたか分からない顔をしていたが、途端に顔を赤くして両手で顔を覆うようにし
「・・・うん」
と、頷いた
その仕種の可愛さと、自分のさっきの行為を思い出して
顔から蒸気が上がっていくのが分かった気がした
「まじ。ごめん。自分からしといて恥かしくなってきた・・・」
- 151 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/16(木) 14:57:55 ID:q/6ONJyz
-
暫く、恥かしさと格闘した
恥かしさもあるけど、やっぱ嬉しくもあり、幸せな気持ちで心が満たされていく
黙り続けている俺のシャツに、黒沼が手をかけて言った
「・・・・風早くん。きっと・・・これから楽しいことばかりだね」
「楽しくて、嬉しいことがたくさんあるんだよね」と続けた
「私、風早くんが傍に居てくれるだけで、すごく・・・嬉しい」
心臓が潰れそうになった
また心の中で「ずりー」と連呼した
「ぜったい!・・・・・・」
「幸せにするから!!」と続けそうになったが、
さすがにプロポーズみたいで恥かしいので口に出すのをやめてしまった
何を言われるのか分からず、黒沼が俺の言葉の続きを待っている
その時、ふと、ある言葉を思い出した
- 152 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/16(木) 14:58:47 ID:q/6ONJyz
-
「・・・・・・・ぜったい楽しいことばかりだよ。・・・・・・・・・ちゃんと・・・・・・捧げるから・・・」
「・・・捧げる?」
「うん。覚えてる?初詣の時のおみくじに・・・その・・・書いてあったんだ」
「・・・・・・あ!風早くんの!」
黒沼は思い出したようで、すごく嬉しそうな顔をした
『愛を捧げよ、倖せあり』
おみくじには、そう書いてあった
あの時の楽しくて、もどかしかった思い出が頭をよぎる
「また・・・行こーな。」
黒沼が笑顔で頷く
またその笑顔が可愛かったので、結局、口にしてしまった
「倖せにするから」
- 153 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/16(木) 15:04:18 ID:q/6ONJyz
- 以上でーす
自分の中で風早はどんどん犬化してゆく・・・
爽子にちゅーして、マーキングしてるみたいwww
駄文ですみませんでした・・・
>>123さんの続き、楽しみにしてます^^
- 154 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/16(木) 20:42:42 ID:p1Mv4SdH
- 百ry
- 155 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/17(金) 01:34:51 ID:E5BtsFHi
- 乙です!!
最近職人さんいっぱいで嬉しいなー!
次回発売まで長すぎる…
- 156 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/17(金) 10:43:39 ID:QKuH1MOS
- そうなんだよねー
来月まで長いから、妄想しちゃうんだよねー
- 157 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/17(金) 20:56:50 ID:1SDsDkKS
- 初ちゅう話キュンキュンした!乙でした〜
- 158 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/18(土) 21:18:27 ID:ALh0aXkc
- >>138
ありがとう!ほんとありがとう!
- 159 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/21(火) 02:33:19 ID:DkiDgOnO
- ほしゅついでに駄文投下します。
初書きなので、他の方とかぶってたり、変だったりする。
ちなみに携帯からなので読みにくいかも。。。
暇潰しにどーぞーってことで。
ではすたーと!
- 160 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/21(火) 02:35:25 ID:DkiDgOnO
- 『しょ、しょーたくん…?』
まだ状況が読めない爽子の顔はあからさまに動揺していた。
何故なら今、爽子は自分のベッドに押し倒されていたからだ。
期末試験が近いということで、翔太と二人きりで勉強していたはずだった。さっきまで普通に勉強をしていて、一息いれようと思い、お茶を入れる為に部屋から出ようと立ち上がった瞬間、翔太に腕を掴まれベッドに押しつけられのだ。
『ど、したの…?』
と聞くが翔太は何も答えない。
何か気に障る事でもしたのかと、不安になったその時、翔太が口を開いた。
『なんでそんな無防備なの?』
切なそうな声で尋ねられ、爽子は困惑してしまった。
『えっ、な、なにがかな??』
『誰もいない家に誘うなんて俺、我慢できないじゃん…』
一瞬なんの事かわからなかったが、言葉の意味がわかって、一気に顔が赤くなるのがわかった。
- 161 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/21(火) 02:39:04 ID:DkiDgOnO
- 付き合って3ヶ月。抱き締めあったり、キスをしたり。
爽子もようやくそういった行為が普通にこなせるようになってきた。
ただ、恋愛に疎いのは相変わらずだったので、今日翔太を家に呼んだのも、特に何も考えないで提案しただけだった。
ただ、一緒に勉強して、役に立てたらいいなぐらいにしか思っていなかったのだ。
『もう、無理。我慢の限界…』
そう呟くと、翔太は無理矢理唇を重ねてきた。
『んっ…!!』
いつもの優しいキスとは違い少し荒々しいキスだった。長い事、口を塞がれ、爽子は息苦しくなり、反射的に口を少し開けた瞬間、柔らかく暖かい何かが口のなかに入ってきた。
『!!!』
それが翔太の舌だとわかるのにそう時間はかからなかった。
ゆっくりと爽子の舌に優しく絡んでくる。そして爽子も少しづつ遠慮がちに舌を絡ませていた。
- 162 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/21(火) 02:41:57 ID:DkiDgOnO
- 『はぁ……』
唇を離すとお互い甘いため息が漏れた。
『嫌だった?』
息苦しさのせいか、恥ずかしさのせいか、爽子の顔は真っ赤だったが、ぼーっとしながらも首をふるふると横にふる姿が堪らなく愛しくて可愛かった。
『すきだよ…』
そう言いって翔太は爽子の髪に額に、頬にキスをしつつ、淡いピンク色のブラウスのボタンを少し乱暴に外し脱がせてしまう。そのまますべすべとした肌に手を這わせていく。
びくっと爽子の体が一瞬反応するが、お構いなしにお腹の辺りから徐々に上へ指先を進めるとレースに触れた。それを包みこむように優しく愛撫する。
『っ…やっ』
微かに抵抗する声が聞こえてきたがそのままブラジャーを少しずらし直に触る。
びくんと爽子の体が震えたが唇からは押さえきれない声が漏れていた。
- 163 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/21(火) 02:43:59 ID:DkiDgOnO
- もっと触れたい。そう思い、ブラジャーを外し、ピンと固くなったものを優しく舐めあげる。
『あっ…!!』
快感からか体を捩って逃げようとする爽子の腕を逃がさないように頭の上に片手で 押さえ付ける。 そしてスカートの中にもう一方の手を侵入させた。
柔らかくて白い、すべすべとした肌を味わう様に、ゆっくりと手を進める。下着越しにそっとなでると、すでにしめっているのがわかった。
我慢できず、直接下着の脇から指先を滑らし直に触る。そこはかなり熱く、湿り気を帯びていた。
『凄い濡れてる…』
ゆっくりとさすりながら、暖かい感触を楽しむ。
- 164 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/21(火) 02:45:37 ID:DkiDgOnO
- 『やだ…あ、んっ…』
『嫌じゃないでしょ?こんなになってるのに』
そういいながら、上の方にある固いものをさする。かなり濡れているのでするすると指が通る。
『あぁっ…はぁ…っ!…しょ…ぅたく…ん…』
気持ちいいのか声が絶え間なく漏れるようになってきている。
『かわいい…ここがいいの?』
爽子の反応が感じているものだとわかり、擦る手を更に早くする。ぐちゅ、ぐちゅと卑猥な音が聞えて更に興奮する。
『あ、ぁぁ…っ、ダメっ、変!ゃだぁ…』
と爽子が声を上げた瞬間、びくびくっと体が震えた。
『ふっ…ぅ…』
『もしかしていっちゃった…?』
優しく声をかけると恥ずかしそうに手で顔を隠してしまった。
『すげーかわいいー……』
強く爽子を抱きしめた。愛しくて愛しくてたまらなかった。
- 165 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/21(火) 02:48:11 ID:DkiDgOnO
- 『もっと気持ち良くしてあげるからね…』
最後に身にまとっていた下着を取っていく。
『ゃっ…』
と、小さく声を上げて抵抗するが簡単に脱がせる事ができた。
『良く見せてよ…爽子の全部ちゃんと見たい。』
折れそうなほど細い足を強引に広げ顔を寄せた。
『やだやだっ…!!!』
よほど恥ずかしいのか今までで一番の抵抗を受ける。だが、足をしっかりと押さえ付けていたので足が閉じられる事はなかった。
『すごいエッチだよ…びちょびちょになってる…』
軽く息を吹きかけると、びくっと爽子の体が跳ねる。達したばかりだからなのか、先程より敏感に反応してくれる事が嬉しくてつい、意地悪をしたくなる。
- 166 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/21(火) 02:49:58 ID:DkiDgOnO
- 『ねぇ、どうして欲しい?』
濡れている秘所を優しくなぞりながら問い掛けてみる。
『ぇっ…!なっ、どうしてって…そ、そんな…』
『言わなきゃ続きしないよ…』
もっと誰も見たことのない爽子が見たい。そう思いつつピンと固くなっている部分を避けるようになでまわす。
『んっ、ぁっ…』
『ほら、このままでいいの?ちゃんと言ってくれないと俺、どうしたらいいのかわからないよ?』
やりすぎかな?と思うが止める事はできなかった。
『ゃ…っ!!あぁ……!きもち……て……くだ……さい……』
だんだんと息が荒くなっているのがわかる。触れるか触れないかの位置で指をゆっくりと動かしていく
『何?ちゃんと言ってごらん?』
『き、きもちよくして下さい……』
恥ずかしいのだろう。消える様な小さな声だったが聞き逃す事はなかった。
- 167 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/21(火) 02:51:19 ID:DkiDgOnO
- 『良くできました。』
にっ、と笑い固くなった部分に口づける。
『あぁぁぁ…!!』
びくびくと体を震えさせながら感じる爽子が愛しくてたまらない。さらにゆっくりと指を出し入れする。動かす度にぐちゅぐちゅと卑猥な音がもれ、高ぶらせていく。
『やぁっ…!!また、まただめぇ!!!』
『我慢しなくていいよ…エッチなとこいっぱいみせて…』
出し入れする指の速度を早め、赤く固く突き出した物を甘噛みする。
『つっ……きもち…ぃの……しょーたく…だめぇ…あぁぁぁぁっ!!!!』
2度も達した爽子はぐったりしてしまっていたが、自分が我慢の限界に達してしまった。
『すきだよ…』
あられもない姿で横たわっている爽子にゆっくりと自分の体を重ねていく。
- 168 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/21(火) 02:53:25 ID:DkiDgOnO
- 『い、痛っ!!!』
『ごめん、もうやめるとか無理…ずっとこうしたかった…』
涙をためながら訴える爽子に、申し訳ないなと思いつつ、体を止める事はなかった。なかはキツく、全部入るかなと内心思っていたが『はぁ…っ…!!!』
爽子が深いため息を付いた瞬間、奥深くまで入る事ができた。
『やっと一つになれた…』
ゆっくりと、少しづつ腰を動かしていく。
『あっ…あぁ…』
苦しげに声をあげる爽子だったが、だんだんと慣れてきたのか先程とは違う反応を見せはじめた。
『まだ痛い?』
顔を覗き込みながら問い掛けてみる。
- 169 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/21(火) 02:55:09 ID:DkiDgOnO
- 『ちょっと痛いけど、私、しょうた君と一つになれて嬉しい…』
(ちょ、それは反則…)
優しく微笑む爽子に、どきっとして思わず手を顔にあてて顔をそらしてしまう。
『うん…ずっと一緒だから……』
ゆっくりと腰の動きを再開させつつ、優しくキスを送る。
『ぁ…っ…すき……』
『俺も…すき…だよ…』
幸せをお互いに感じながら二人は快楽に溺れていった。
- 170 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/21(火) 02:57:08 ID:DkiDgOnO
- 『ごめんね…なんか、その…』
口ごもりながら、事が終わり今は自分の腕の中にすっぽりと収まっている爽子に声をかける。
『えっ?!何がかなぁ??』
無邪気に尋ねかえす爽子に、自分の欲望をむき出しにぶっけてしまった事を今更後悔していた。
『いや、なんつーか無理矢理…あんな事とかこんな事、しちゃったりしてさ…』
恥ずかしすぎて上手く顔が見れない。思わず枕に顔を埋めた。
『えっ…ううん…また、知らなかったしょーたくんを知れて嬉しかった…私だけの特別なしょーたくん…』
一瞬、ビックリした様子を見せた爽子だが、素直に自分の気持ちを伝える。もちろん、顔は真っ赤だったが…
『そっかー……俺も俺しか知らない爽子を知れて良かったかも…俺だけの特別な爽子…』
ちらっと顔を見ながら呟くと茹でタコの様な爽子がいた。
目があってそのままクスクスと笑いながら優しいキスを繰り返す。
お互いの特別に酔いしれ幸せを噛み締める二人なのだった。
おわり。
- 171 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/21(火) 02:58:54 ID:DkiDgOnO
- 以上です!!無駄に長くてすんません。
失礼しました。
- 172 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/21(火) 09:14:06 ID:Io6mQTu6
- 萌 え た GJ!
- 173 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/21(火) 21:29:31 ID:EFlviMVJ
- イイ(・∀・)!!ありがとうございます。
- 174 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/22(水) 21:34:20 ID:TlgMmsLn
- あら いいですねー。
次回作も期待してます
- 175 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/23(木) 23:29:15 ID:LwvwZ/f9
-
以前お泊り話(未遂)を投下した68です。
職人さんたちが素敵なお話を投下してくださるので、
かなり楽しませてもらってます!いつもごちそうさまです…!
またふっとネタが下りてきたので、書いてみます。
皆さんきゅんきゅんな最中の話を載せてくださってるので、
私は事後のドギマギ二人を書いてみようと思います〜。
(たぶんまったくエロさは無いかと思いますが…;)
- 176 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/23(木) 23:48:39 ID:LwvwZ/f9
-
カーテンの隙間から微かに覗かせる朝日が、一筋の線になってベッドに伸びている。
部屋の中に微かな明かりが差し込んでいるのを感じて、翔太が目を覚ました。
最初に視界に入ってきたのは、安らかな顔で眠る爽子の寝顔だった。
小さく寝息が聞こえる。瞼にかかった前髪を手ではらってやると、
しっかりと閉じられた瞼のふちから伸びた睫毛が、微かに震えた。
少しずつ覚醒していく頭で、昨晩の出来事を反芻した。
明かりを消した部屋の中で、見えたのはカーテンの隙間から映った満月の光。
その光が爽子の肌をぼんやりと照らして、ひどく色っぽく感じる。
初めて触れた女の子の肌は、マシュマロのように柔らかくて、
乱暴に扱うとすぐに傷つけてしまいそうだった。
それと同時に鼻をくすぐるのは花のような甘い香り。
だんだんと、脳内がくらくらしてくるのを感じた。
熟したリンゴのように顔を真っ赤に火照らした爽子とキスを交わすと、
理性の糸がプツンと途切れてしまったのを思い出す。
あとは本能のままに彼女の体に触れて、感じて、交わった。
- 177 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/24(金) 00:12:39 ID:NfD/KOQv
-
腕の中からは、まだゆっくりとした寝息が聞こえてくる。
そっと覗いた爽子の顔には、頬に微かに涙のあとが残っていた。
たくさん、泣かせてしまった。
きっと、我慢できないくらいの痛みだったのだろう。
男の自分には到底分からないが、きっと自分の想像以上に激痛が走ったに違いない。
だけど、腕の中の愛しい彼女は、涙を流しながらも微笑んで、「だいじょうぶ」と言ってくれた。
それよりもずっと、自分とこうしていられる幸せの方が大きいから、と。
「……しょうたくん…おはよう……」
気付けば、腕の中の爽子が上目遣いでこちらを見上げていた。
その表情は反則だ、と思いながらも、平静を装ったつもりで返事を返した。
「…いま、何時くらいかなぁ…?」
「さっき時計みたら、7時ちょい過ぎてた」
まだ眠かったら寝ててもいいよ、と問うと、
ううん、と首を振って、爽子が上半身を起こした。
「…あの、…シャワー…あびてきてもいいかな?」
布団の中から両足を出して床に下ろし、立ち上がろうと爽子が腰を上げると、
「……きゃ、」
ぺたん、と尻餅をつくように座り込んでしまった。
「えっ…どした?」
驚いた翔太が慌てて声を掛けると、振り返った爽子は微かに頬を染めながら小さく呟いた。
「あ…足に、ちからが入らなくなっちゃって…」
- 178 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/24(金) 00:45:17 ID:NfD/KOQv
-
かああ、と瞬く間に爽子の顔が真っ赤に染まっていく。
つられるように翔太も赤くなった顔を片手で隠し、思わず「ごめん…」と呟く。
「あ、ううん…翔太くんのせいじゃないよ!」
「いや、でも…なんか色々、無理させちゃったし…」
ふと気付いたように翔太が布団の中から片手を伸ばして、
床に投げ捨ててあった自分のジーパンを引っ掴むと、それを素早く穿いてベットから這い起きた。
「しっかりつかまってて」
そのままヒョイと爽子の体を軽々と抱き上げて、爽子は慌てて両腕を翔太の首にまわした。
「あああああのっ…しょ、翔太くん……!」
「動いちゃダメだって。落ちちゃうよ?」
「そうじゃなくてっ…あの、服…!」
抱き上げられたまま、翔太の肩越しに無造作に脱ぎ捨てられたワンピースを指差した。
「あ、そっか…ゴメン」
先ほどのジーパンと同様に、無造作に脱ぎ捨てられた彼女のワンピースを拾って、
前開きになっている為にボタンが全て外されたままのそれを、ふわっと彼女の細い両肩に掛けてやった。
「あ…ありがとう…」
- 179 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/24(金) 00:59:23 ID:NfD/KOQv
-
慌てて掛けられたワンピースに袖を通しながら、ふと感じた視線に目をやると、
翔太が愛おしそうにこちらを見つめている。
「ど、どうしたの?」
「んーん…かわいいな、と思って」
そんな恥ずかしいことをさらりと言わないでほしい。
さっきから顔の火照りが静まらないというのに、更に顔が熱くなるのを感じた。
「ううぅ…あんまり、みないで……」
「ははっ…なんで?」
「は、はずかしい…から…」
うーーっと喉の奥から搾り出したような唸り声を上げながら、
爽子は翔太の胸に顔を隠してしまった。
「……いまさら?」
にやり、といたずらっぽく笑い、
顔を覗かれれば、もう何も言えなくなってしまう。
「そうだ、シャワー、俺も一緒に入ってもいい?」
畳み掛けるように耳元で囁かれて、爽子は勘弁してくださいとばかりに、
さっきよりも強く翔太の胸に顔を押し付けた。
「…しょ、翔太くんの…いじわる……!」
- 180 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/24(金) 01:03:50 ID:NfD/KOQv
-
以上です。…しかし、我ながらなんて中身のない…orz
すいませんすいません、風早に「一緒に入ってもいい?」って言わせたかったんです!
そして爽子に「翔太くんのいじわる」って言わせたかったんです…!
見事に書いた自分だけが楽しい文章を投下してしまいました…うぅ、すいませんっした!orz
…でも、楽しかったです(笑)
- 181 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/24(金) 11:25:55 ID:ZQe3v05T
- GJ!GJ!!
いいね!いいね!!いいね!!!
すごーく楽しめました(^-^)
自分も言わせたい言葉を軸に、話を肉付けしてくので
その気持ち分かります。
また、楽しみにしてます!!
- 182 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/24(金) 16:23:32 ID:ZQe3v05T
- 途中だったのを急いで書き上げてみました
急いだので誤字があるかもしれませんが・・・
襲う風早です
- 183 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/24(金) 16:24:19 ID:ZQe3v05T
- 気がつくと天と地が逆になっていた
さっきまで、玄関の前で俯いて翔太が出てくるのを待っていたが、
今は、翔太の部屋のベッドの上で押し倒された体制になって、天井が見えるかたちになっていた
こうなるのに、まるで早送りをしたかのようだった
玄関の扉が開いたと思ったら、無言で手を引かれ、靴も脱ぎ捨てるようなかたちになった
「えっ?翔太くん?どうしたの?」
爽子の問いにも返さず、無言で部屋まで連れて行く
部屋に入った途端、ぎゅっときつく抱き締められた
そのまま押されるように後退していったら、
膝の裏がベッドの縁に当たり、そのまま2人ともベッドの上に倒れた
未だ無言のまま、翔太は爽子の上に覆いかぶさるような姿でいる
「ごめん。今日いいかな?」
「え?」
今、やっと翔太が言葉を発したが、爽子は言葉の意味が何のことだかまだ分からなかった
翔太が上体を起こし、馬乗りのような状態になる
- 184 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/24(金) 16:25:01 ID:ZQe3v05T
-
「まじでごめん。もうどーにも我慢できなくなって・・・待ってる間にすごくしたくなってきちゃって」
そう言うとキスをしてきた
いつもより少し乱暴なキスだった
指先がするりとスカートの中に忍び込んできた
その瞬間、爽子は翔太が何をしたいのかわかった
でも、『今日はできない』それを伝えなきゃ・・・と、思い爽子は翔太の身体を引き離した
「ご、ごめん!今日は・・・無理なの」
「え?どうして?」
「ごめん・・・なっちゃったの・・・」
その言葉の意味は翔太にもすぐ分かった・・・
どうやら生理になってしまったらしい
身体から何かが力なく抜けていくのがわかった
「まじかよ・・・」翔太は心の中でそう呟やき、
自分のこの性欲をどう処理するべきか悩んだ
先週は、龍やちづ達と出掛けたためできず、
来週は、爽子の家の用事があるとかで会えない予定だったからだ
再来週まで、待てる自信があるわけないのだ
もう既に爽子の身体に触れてしまっている
もう引き返せない
- 185 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/24(金) 16:25:49 ID:ZQe3v05T
-
「待てない。このままじゃ、学校で襲っちゃうよ」
爽子は「えっ?」というような表情だった
無論、翔太は冗談でなく本気だった
最悪の場合そういう所でもしてしまいそうだ
「・・・なったばかり?お腹痛い?」
「・・・うん。さっき家でる時になったばかりだから・・・お腹もそんなに痛くないよ」
爽子はいつもと違う翔太の様子に戸惑いながらも素直に答えた
その爽子の言葉を聞き、翔太は「ほんとにごめん」と思いながらも
欲望に負けてしまう自分を抑えられずにいた
「ごめん爽子。許して・・・」
翔太はそう言い、さっきスカートの中に入れた手をさらに奥へ進ませる
「ま、待って!翔太くんっ!!」
爽子は翔太の腕を掴み、奥へ進ませるのを阻止しようとしたが、
力ずくでは勝てる訳がなかった
その手は、爽子の下着までのびて行き、それを掴み脱がしてゆく
「待って!やだっ!・・・よ、汚れちゃうよっ」
爽子は、恥かしそうな顔をし、シーツが汚れるからと、
まだ翔太の腕を掴み抵抗している
そんな姿がよりいっそう、欲情させる
- 186 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/24(金) 16:27:17 ID:ZQe3v05T
-
「かまわないよ。だって爽子の・・・でしょ?」
翔太は少し意地悪な笑みを作りそう言った
下着を脱がした手で、スカートを捲りあげ、
もう片方の手はいつのまにか爽子の右手を押さえ付けていた
まるで強姦だ
潤んだ瞳と紅潮した頬と、
未だ俺の腕を掴みささやかに抵抗する爽子を見てそう思わずにはいられなかった
「ごめんね。爽子」
襲ってるのは自分なのに、翔太は今にも泣きそうな寂しげな表情だった
爽子の足をひろげ、随分前から熱くなっていた自分のモノを侵入させる
「やっ・・・」爽子が辛そうな表情をみせる
それでも、爽子を見なかったように翔太は激しく突き上げてく
いつもの優しさなどはまったく感じられないほど、荒々しかった
- 187 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/24(金) 16:28:04 ID:ZQe3v05T
-
「すごいよ・・・すごい濡れてる。俺の足にも血が混ざって流れてくるよ・・・」
「・・・いや・・・やめて・・・」
「やだ。やめない・・・」
「爽子だって気持ちいいはずだよ・・・こんなに濡れてるし」
「我慢して声を出さないようにしてるけど、さっきからやらしい声が漏れてるよ」
いつもは決して言わない、意地悪でいやらしい言葉がでてくる
力ずくで爽子の身体を返し、後ろからも激しく突いた
生理のせいもあって分泌液が多いせいか、卑猥な音がやけに部屋に響く
ビデオなどで見たことのある体位もいくつかし、
やらしい姿の爽子に、何度となく興奮した
爽子は涙目のまま、されるがままだった
翔太は突きながらも
心の中で「ごめんな。ごめんな」と謝り続けた
「嫌われたかもしれない」という恐怖もあった
罪悪感と葛藤しながらも、爽子と身体を重ねる快楽に溺れていく
独占欲・・・これがこんな歪んだ行為に変わってしまうなんて・・・
- 188 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/24(金) 16:28:50 ID:ZQe3v05T
-
爽子が来るのを部屋で待っていると、携帯からメールが来たのを知らせる着信音がなった
クラスのやつから、いくつかの画像付のメールだった
タイトルに『これ似てね?』と、入っていた
『この前、借りてみたやつなんだけど・・・』と、本分は続いていた
とりあえず画像を見てみることにした
画像を開いた瞬間、翔太は驚いた
爽子に似た女性が裸の姿で、あられもないカッコをしている
エロビデオの映像を写したものだった
もちろん似ているだけであって、爽子本人ではないのは分かっていたが心が騒いだ
自分だけしか見ることの出来ない爽子の身体を、
他の誰かが見ているのかと思ったら、いてもたってもいられなくなった
たとえ、似ている人であっても
まして友達なのだから、想像で爽子に置き換える事だってできる
そう思ってしまったら、苛立ちが抑えられなくなった
『俺だけだったのに・・・』
爽子を待っている間に、独占欲はどんどん歪んだ性欲に変わっていった
- 189 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/24(金) 16:29:30 ID:ZQe3v05T
-
歪んだ感情を吐き出した翔太は、爽子の身体に身を沈めていた
爽子の身体を自分の欲で汚してしまった・・・
という罪悪感に翔太は押しつぶされそうになっていた
そんな翔太に、ポンポンと小さな手をのせ爽子は翔太の頭を撫でた
「・・・だいじょうぶだよ」小さな声だったけど、爽子は確かにそう言った
翔太は、爽子の身体に顔を伏せて泣きそうになるのを堪えた
「ごめん・・・爽子・・・すきだよ」翔太は消え入りそうな声でそう呟いた
- 190 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/24(金) 16:31:07 ID:ZQe3v05T
-
以上です。
メール送った友達がいけてないわなww
エロさ足らなくてすみません
- 191 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/24(金) 21:01:57 ID:ap6x2+iL
- いやいや!かなり萌えました。
素敵な作品ありがとう。
- 192 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/24(金) 21:16:35 ID:+8HQPNhh
- すごい萌えたw爽子優しいなw
ここで職人さんたちのお話で萌えてる内に本誌発売まであと一ヶ月きったね。
- 193 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/25(土) 01:31:19 ID:OnII3Fk0
- いいねいいねえ
ほとんど男の人の作品なんだろうけど、文章が繊細でかわいい人が多いね
- 194 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/25(土) 01:49:53 ID:5WtXdUbP
- そうなのかな?男の人が多いのかな?
ちなみに1つ投下した者ですが女ですww
エロいこと考えててすいませんwww
- 195 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/25(土) 09:03:59 ID:gGCMowza
- 今まで3つくらい投下しましたが女ですww
同じくエロくてサーセンwww
- 196 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/25(土) 11:53:49 ID:xeXFfpV3
- 3つwGJ
お二方ともすごいいい!楽しめました!ありがとう!!!
- 197 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/25(土) 13:34:48 ID:rwH+xClH
- 作者のことが少し分かれて面白いねw
これからも良作をよろしく
- 198 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/26(日) 13:13:14 ID:yghxGysp
- というか、男性作品はないような…
- 199 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/26(日) 20:33:58 ID:fcFcJgVm
- 乙です、GJ!
ここは女性職人さんが多いと思う。
かく言う私も前に投下したけど女です。
- 200 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/27(月) 15:37:54 ID:5owneuGP
- >>183 です
なんかおもしろい会話になってますね^^
自分も3つほど投下しました
もちろん女ですwww
>>108とかも自分っす
妄想癖で、さーせんっすw
男性の方はいないと思ってました・・・けど、どーなのかな?
- 201 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/27(月) 15:43:27 ID:zS6ZHR7h
- 自分も男性はいないと思ってる
文章などから何となく
- 202 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/30(木) 23:57:59 ID:PU2BpWmM
- 職人さん待ちほしゅ
- 203 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/31(金) 19:14:19 ID:v06lDT4j
- 保守
職人さん来ないかなぁ…
- 204 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/31(金) 23:51:46 ID:PygZtdq7
- 過疎ってきたみたいなので、投下しますー
駄文&イメージ違うかもだけれども保守ついでに。。
ではこれから投下しますー。
- 205 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/31(金) 23:52:58 ID:PygZtdq7
- 夕方、日も陰りはじめたころ、爽子は一人黙々と誰もいない体育倉庫で作業をしていた。
事の発端は帰りのSHRの出来事。ピンの一声だった。
『今日誰か体育倉庫の整理をしろ!!一番嫌そうな奴にやらせる!!』
生徒は誰一人ピンの顔を見る事なくひたすら下をむいていた。
(はっ!皆が困っている!!)
瞬時に場の雰囲気を察知した爽子は即立候補し、体育倉庫の整理役は爽子に決定した。
爽子の親友のあやね、ちづは今日に限って予定があるらしく、申し訳なさそうに爽子に謝って帰路についた。
- 206 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/31(金) 23:55:19 ID:PygZtdq7
- 『ふぅ…案外大変だっかも…』
予想以上に体育倉庫は汚く、爽子は悪戦苦闘していた。
片付けても片付けても状況はあまりかわらず途方にくれる。
普段から貞子と恐れられている爽子を手伝ってくれるクラスメイトはちづ、あやね以外に誰もいない。
(私が引き受けた仕事なのだから、責任を持たなければ!)
と折れかけた心を励ますようにホウキに手をかけた。
その時、ガラっ!!とドアが開く音がし、ビックリして後ろを振り替える。
- 207 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/31(金) 23:56:36 ID:PygZtdq7
- 『良かった、まだいた!!』
声の主は想い人の風早だった。
『か、風早くん!?』
ビックリして目を大きく見開いてしまう。どきどきして上手く顔を見れない。
『もっと早く来たかったんだけどピンのあほに捕まっちゃってさー…』
と呟きながら爽子の持っていたホウキを掴んでしまった。
『一人じゃ無理でしょ!俺も手伝うよ!!』
いつもの様な爽やかスマイルで話し掛ける風早に感激しつつ素直にその好意を受ける事にした。
『お、お願いします…』
遠慮がちに頼みつつ、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
ただ、すきな人と一緒にいれる喜びの方が大きかったのだが…
- 208 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/31(金) 23:58:34 ID:PygZtdq7
- 黙々と作業をこなしていく二人だったが風早は心なしかそわそわしていた。
矢野から自分達は手伝えないから…と聞いた時は黒沼が一人で掃除なんて大変だろと思って来たが、ほぼ密室状態。
風早もいくら爽やかと周りから言われても健全な高校生だ。
ましてや、すきな女の子と二人きり。意識しない訳がなかった。
(やべー。。まぢやべー。。)
そんな風早の気持ちに気付くはずもなく爽子は棚の一番上にはたきをかけるために跳び箱によじ登っていた。
『黒沼平気??』
普通を装いつつ声をかけると、作業に集中していた爽子はビックリして思わず足を踏み外してしまった。
『きゃ…っ!!』
と小さな悲鳴が聞こえた瞬間、風早は本能的に爽子の体を支えようと動いていた。
『あ…ぶなー…』
間一髪、爽子は風早に抱き抱えられ、頭や体を打たなくてすんだ。
『だ、大丈夫??』
無事かどうか確認をする為取り敢えず声をかけてみる。
『は、はい…』
と小さい声で返事が返ってきて安心した。下にマットがあって良かったと思ったのもつかの間、自分の態勢にはっと気が付き、体が固まってしまった。
一瞬の出来事だったので上手く態勢を作れず爽子と向かいあって抱きあった状態だったのだ。
(やばい!これはまずい!)
一気に縮まった距離に心臓が早鐘を打つ。
すきな女の子と密室に二人きり。ましてはこんな状況だ。男として我慢できる訳がなかった。
- 209 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/10/31(金) 23:59:52 ID:PygZtdq7
- 『あ、あの…風早くん…ケガはありませんか?』
爽子はそんな状況に気が付かないほど、おろおろと動揺していたが、風早の無事を確かめなければ!と思い、声をかけた。
『………』
反応がない事に不安になり顔を覗き込むといつもの優しい顔とは違う、男の顔をした風早がいた。
『か、風早くん…?』
声をかけた瞬間、唇に暖かいものを感じる。何が起こったのか理解出来ず、なすがまま微動だにできない。
『っ…!?』
ようやく、意識が追い付き、ビックリして爽子は体を離そうとするが、強く抱き締められ動く事ができなかった。
『か、風早くん…今のって…』
抱きしめられた状態のまま顔をあげ風早を上目遣いで見つめる。その仕草は風早の理性を狂わせるのには充分だった。
『ごめん、我慢出来なかった。。俺、黒沼の事…』
言い終わる前に再び唇を塞ぐ。
先ほどより長く、全てを貪るようなキスをする。
『んっ…』
軽い酸欠状態になったのか爽子の頬は赤く染まり、息も荒く風早の目に色っぽく移る。
- 210 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/01(土) 00:00:54 ID:HXsCDngI
- こんな事するつもりはなかったが、動きだした欲望を止める事は出来なかった。
そのまま、まだ状況を把握できていない爽子の制服のリボンを解き、上から胸をまさぐる。
思わず爽子は声を出してしまう。
更に手は器用にブラウスのボタンを外し下着を上へずらしてしまう。
『つっ…!!!』
今まで感じた事のない快感が体を駆け巡る。ゴツゴツとした風早の手で胸の頂を摘まれたのだ。更にもう片方の胸に暖かい、柔らかい何かが這い回る。
『あぁんっ…!』
思わず甘いため息がもれる。優しく時に乱暴にいたぶられ頭の中が真っ白になるのがわかった。すきな人に体を触られている。恥ずかしいが嬉しい複雑な気持ちが爽子の中に渦巻いていた。
そんな様子に興奮しながら風早は余っていた手を下にすべらせる。
スカートの中に手を進め、一気に奥まで手を伸ばした。瞬間、今までにないくらい爽子の体が跳ねた。その反応に喜びを感じつつ、下着の中に手を勧める。
- 211 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/01(土) 00:02:54 ID:HXsCDngI
- 早くもそこは十分すぎるほど、熱く、ぬるぬると湿っていた。
『か、かぜはやく…ん…!!』
さすがに恥ずかしいのか、嫌がる素振りをみせるが、人差し指で上下にスライドさせると可愛い喘ぎ声がもれる。
そのまま秘所の頂きを優しくこする。するとさらにぬるぬるとした液体が風早の指を濡らしていく。
『黒沼かわいい…』
思わず声にだした時、外から集団の騒ぎ声が聞こえ、思わず、二人の動きも止まる。
今日の晩飯はなにがいいだの下らない会話が聞こえた。
最初はビックリした風早だが、まさかこんな時間まで体育倉庫にいるとは誰も思わないだろうと考え、悪い考えが浮かんだ。
いじめたい。。
そんな趣味は普段はないはずだったが、見たことのないかわいい爽子を猛烈にいじめたくなったのだ。一旦止めた手をまた動かす。ビックリして爽子は風早を見つめ口を押さえた。
- 212 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/01(土) 00:04:03 ID:HXsCDngI
- 『声だしちゃダメだよ…』
そういいながら指を中にゆっくりと差し込みながら硬くなった頂きをなでまわす。
『つっ…』
顔を赤くそめ快感に悶える爽子は普段からは想像付かないくらい妖艶だった。
『声だしたらばれちゃうよ?ばれたら黒沼のこんなえっちな姿見られちゃうね?』
口元に笑みを浮かべながら耳元でそっと囁く。
目に涙を浮かべいやいやとかぶりをふる姿に更にイタズラ心が芽生えてしまう。
『もしかして見られたいの?こんなに濡らしてるとこ見てほしいの?』
『ちがっ…いやっ…!!』
言葉とは裏腹に風早の指を濡らす液体は溢れてくる。
『体の方が正直だね…中もひくひくしてるよ…』
指を激しく動かすと先ほどより卑猥な音が聞こえ、風早の指を締め付けてくる。
『い…や…』
涙を浮かべながら意味のない抵抗をする爽子だが、言葉とは裏腹に快感がこみあげる。
『声、よく我慢できてるね…でもこれでも我慢できるかな?』
爽子が言葉の意味を理解出来ずにいると中に異物を感じた。
『いたっ…!!!いたい!!!』
- 213 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/01(土) 00:04:53 ID:HXsCDngI
- 中にめりめりとのめり混んでくる感覚に気を失いそうになる。
風早は風早で自分を締め付ける快感に気を失いそうになる。
『うっ…いゃぁ…』
ゆっくりと腰をふるとそのたびに結合部からいやらしい音が聞こえる。腰の動きを繰り返していると爽子もなれてきたのか、明らかに快感からくる喘ぎ声が漏れてきた。
『声、我慢できてないよ…ばれちゃうよ?』
『あ…っ、や…声、でちゃ…ぅよ…』
風早はもう外の声は聞こえなくなっていたのは知っていたが、わざと意地悪な問いかけをする。
『じゃあ、ふさいであげる…』
そのままキスをしながら激しくつきあげていく。
『ん…っ!!!』
お互い息ぐるしさと愛しさを感じつつ、そのまま快感を貪っていった。
- 214 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/01(土) 00:05:56 ID:HXsCDngI
- 『ほんとにごめんっ!!殴るなり蹴るなりしていいから!!』
頭を床につけんばかりに謝る風早に爽子はおろおろしてしまう。
行為が終わり、素に戻った風早は自分のした事にびっくりし、すぐに謝ったのだった。
『あ、あっ、あああの!だ、大丈夫なので!!頭をあげて…下さいぃぃ!!!』
爽子にそう言われたが、後悔に押し潰されそうだった。が、今更後悔しても遅い。
『ほんっとに!俺!ダメだ…』
打ち拉がれている風早に爽子は小さい声で呟く。
『嫌…じゃなかった…です…』
あまりに小さい声だったが、しっかり風早の耳に届いた。
『そ、それって…』
真っ赤になりながらも聞き返えしてみる。
『俺、期待しちゃってもいいんだよね…?』
頬を染めた爽子は静かに微笑んだ。
- 215 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/01(土) 00:08:35 ID:HXsCDngI
- 以上でーす。
携帯でぽちぽちと暇な時に作ったので誤字とかあったらすまん。
自分もどっちかと言えば、読む専なので職人さんまってますー…
- 216 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/01(土) 08:56:00 ID:y122120/
- GJでーす!
携帯から大変だったでしょう
乙です
- 217 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/01(土) 10:18:42 ID:L7ovZDhN
- GJだけど本当に21歳以上?
掲示板で「まぢ」とか使う人が21歳とはとても思えないんだが
- 218 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/01(土) 13:51:43 ID:0GHVp8t+
- >>215
乙
一応18歳未満禁止になったんじゃなかったっけ?
でもどっちにしろ自分も最近のこのスレの年齢気になってたんだよな
なんとなく幼い印象を受ける人がチラホラ…
- 219 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/01(土) 15:20:11 ID:HXsCDngI
- 215ですが…一応、自分は20代半ばですよ…
誤解与える様な書き方してすいません。
一応、癖みたいなのがあるんで…そんなの考え書いてなかったって言うのが正直なところです。
不快感を与えてしまったみたいですいませんでした。
- 220 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/01(土) 20:27:34 ID:MzLUz8Nq
- >>219
GJ!
よかったですよ。文章で年は分かりにくいし。気にしないで。
仕事関係で落ち込んでて、気分転換にここ覗いたんだけど、あなたのSSを読んで少し気が晴れたよ。
ありがとう。
- 221 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/03(月) 17:19:18 ID:Z+uBjMo8
- >>219
GJです!
黒風早イイヨイイヨー!
読み手専門の自分は書けるだけで凄いと思ってしまう
- 222 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/05(水) 19:55:37 ID:1Epnm70U
- 発売日近いけど、こっちも期待
- 223 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/11(火) 18:02:18 ID:bkH87+A+
- 保守
あと少し!
- 224 :名無しさん@ピンキー[age]:2008/11/13(木) 21:12:02 ID:iyyqRzdg
- 本誌もきたし!
お願いします神様!
- 225 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/13(木) 21:46:31 ID:xb+Q+IGB
- 幸せそうな二人が読みたい・・・
- 226 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/13(木) 22:20:23 ID:myjYRraX
- 同意…!
本誌であの展開だったから(号泣)
ここでガッツリ甘な二人を読んで糖分を補給したい…ww
- 227 :名無しさん@ピンキー[]:2008/11/15(土) 08:32:49 ID:jFkQa6PR
- このモヤモヤ感・・・・
- 228 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/15(土) 11:02:55 ID:MRzFvjJO
- ネタはあるんだがどうしても付き合ってる前提になる
- 229 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/15(土) 13:08:04 ID:6aY8nVyr
- >>228さん
読みたいです。普通に投下してくれるだけでありがたいよ。
- 230 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/15(土) 14:04:41 ID:DRxVM7LJ
- >>228
本誌があんな展開だからこそ、付き合ってる二人が見たいよ。
是非投下を!
- 231 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/15(土) 14:41:25 ID:N9WQdxjU
- >>228
そんなこといってたらパロ書けないよー
そのネタでぜひ書いて
- 232 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/15(土) 19:52:58 ID:MvJ9fbZW
- 本誌に移行したとたんあの展開orz
>>228
夢を見させて下さい!
- 233 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/15(土) 23:35:37 ID:ZiHrQwYY
- なんだか2ch見てると今月に禿萌えした自分は少数派…というか異端なのか?と思ってしまった
すれ違いイイヨー
でもエロパロも読みたい
誤解が解けた後はきっとものすごいラブが待ってると思うんだけど…
そのあたりを職人さん、お願いできませんかー?
- 234 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/16(日) 05:43:20 ID:h1/KOCHv
- >>233
本スレとか見てると萌えたというより切なすぎて泣くって人が多いよね。
自分も切ない二人萌える・・・
他力本願で申し訳ないけど今は職人さんの書く二人で癒されたい!
- 235 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/16(日) 21:59:24 ID:ViNZ52DQ
- 流れ読まずに投下。
龍ちづです。エロまで行かなかったよママン…。
エロ無し不許可なお方は、タイトルNGでお願いします。
- 236 :キミには到底敵わない。[sage]:2008/11/16(日) 22:01:04 ID:ViNZ52DQ
-
―――なんだってのさ、もう!
家に着くなり、千鶴は声にならない悪態を吐く代わりに、鼻息を荒くしてベッドに横たわった。
どうしてこんなに胸がムカムカするのか、ワケが分からない。
こんなに気持ちの悪い胸のむかつきは、未だかつて経験したことがない。
中学のときに図らずも巻き込まれた、楜沢梅が発端となった「みんなの風早くん」事件のときは、思春期の女子が持つ独特の集団意識に困惑したこともあったが、今回ほどムカムカした訳ではなかった。
こんな苛立ち感は、千鶴の知らない感情だ。
「なんだってのさ、もう!」
今度は実際に声に出すと、枕もとに置いてあるクマのぬいぐるみの頭をボコッと殴る。これじゃ、まるで八つ当たりだ。
さっきも教室で、思わず龍に八つ当たりをしてしまった。
―――悪いことしたかな。
そうは思うものの、本当に当り散らしたい敵がなんであるか、千鶴には見当も付かない。
思い当たることと言えば、あの、手紙を見てからだ。
幼なじみの龍宛てに届いた、可愛らしい封筒。
あれを見てからだ、こんな感情に苛まれたのは。
目を閉じると、自然と今朝の出来事が蘇ってくる。
今朝、千鶴は寝坊をして遅刻寸前だった。
駆け足で玄関に飛び込むと、いつもならもう既に野球部の朝練に出ているはずの龍の背中が目に映る。
千鶴と違って焦った様子がないことから、朝練が休みだったことが見て取れた。
息を切らしながら、千鶴は見慣れた広い背中を勢い良く叩く。
「よっ!龍、おはよー!朝練、休み?」
いてっ、と小さく呟くものの、龍が決して怒らないのは、確認するまでもなく叩いたのが千鶴であることを知っているから。
「……ん」
いつもながらに元気で大きな声に圧倒されながらも、答えながら自分の下駄箱を開く。
と、開いた扉の中から、何かがひらひらと舞い落ちてきた。
「……」
怪訝に思いながら視線を下に降ろすと、落ちた物体は手紙だと理解できた。
『真田君へ』
そう書かれた封筒は、龍だけでなく千鶴の目にも飛び込んできた。
その正体は訊くまでもない、可愛らしく飾られたその封筒は、明らかに差出人が女子であることが見て取れる。
―――なに、これ。
不愉快が一瞬、千鶴の脳裏を過ぎり、内心呟く自分に驚く。そして即座にその考えを否定する。
―――あたしには関係ないじゃんか。
そしてそれを態度に出してしまうのが千鶴である。
勢い良く右手を上げると、その手を龍の背中へ叩きつける。再び背中に走った痛みとともに、千鶴の声が龍の耳をつんざいた。
「……龍!これ、ラブレターじゃないの?」
背中を容赦なくバシバシ叩きながら、ひやかす千鶴の声が響く。
「やったじゃん!……そっかー、龍もそんな年頃かー!そっかそっか!」
自分の言ったセリフに悦に入りながら、千鶴は一足先に教室へと歩を踏む出した。
「……同い年だろ」
と呟いた龍の声は、もちろん千鶴には届いてはいない。
- 237 :キミには到底敵わない。 2[sage]:2008/11/16(日) 22:02:59 ID:ViNZ52DQ
-
昼休み、日当たりの良さと昼食の後からか、うとうとしかけていた龍に千鶴の声が落ちる。
「で、何て書いてあったのさ」
「……うん?」
何のことを言われたのか、急には判断できない龍に代わって千鶴が答えを告げる。
「今朝の手紙」
「あぁ」
そういいながら、当該の手紙をブレザーのポケットから取り出す。
「……これ?」
「そうそう!何て書いてあったのさ?」
「……知りたいなら、読めば?」
ぽい、と擬音が混ざりそうな勢いで机に投げ置かれた、既に封が切られた手紙を見て、千鶴はからかい半分で口にした言葉を唐突に後悔した。
その後悔の理由が分からないため、後悔は一瞬にして八つ当たりへと変化する。そしてその怒りは目の前の龍にぶつけられることになる。
「……なんでアタシがアンタ宛の手紙を読まなくちゃならないのさ!」
「だって、中身知りたいって……」
「んなもん、興味ないよっ!」
それでなくても大きな声を更に張り上げて龍のセリフを遮ると、千鶴は足音を響かせながら教室を出て行った。
台風のようなその経緯は、もちろん教室にいた全員が目の当たりにし、千鶴を追っていた目線は全て残った龍に注がれることとなった。
「ち、ちづちゃ……」
「ちづ!」
去っていく千鶴の背中を見送ったあと、一部始終を見ていた爽子とあやねが、その視線を龍へ向けた。
「どうしたの?アレ」
「……」
あやねからの疑問に答えることなく、龍が神妙な顔で千鶴が出て行った扉を見つめていたことなど、千鶴は知らない。
本当に、何と書かれていたのだろう。
龍に宛てられた手紙の内容が、本当は気になって仕方がなかった。
何気なく内容を訊いてはみたが、再び目の前に出されるとは思っても見なかった。封筒の中身を知りたかったクセに、いざ目の前に出された手紙を見た途端、柄にもなく動揺してしまった。
本当に読んでしまっていいのだろうか、そして読んでしまったら最後、それがラブレター以外の何物でもないことを知ってしまっていいのだろうか。
そんなことを気にする自分がもどかしく、そしてどうしてこんなにも気になっているのか、千鶴は自分の感情を持て余していた。
あの封筒はどう見てもラブレターだ。中身には、好きです、とか、付き合って欲しい、とか、そんな甘い言葉が並んでいたのだろうか。
「あの、龍に!?……はは、ありえないって!」
声に出して言っては見るものの、そうすることで妙な現実味が千鶴を襲った。
龍が、あのぶっきらぼうの幼なじみが、背の低い可愛い女の子を隣において、一緒に歩いている姿が目の前に広がる。
顔の見えない隣の彼女に、どうしようもない敗北感を感じずにはいられない。
「……やだよ、……そんなの…どうしよう……龍っ……」
胸が潰れそうな痛みに千鶴は思わず涙して、そのまま布団を被って泣きながら―――眠ってしまっていた。
- 238 :キミには到底敵わない。 3[sage]:2008/11/16(日) 22:05:34 ID:ViNZ52DQ
-
ふと、誰かの気配を感じて目覚めた。
布団を被っていたせいで視界は暗いままだったが、布団から顔を出すと蛍光灯が目を射した。
眩しさから目を背けて暫くした後、自室に龍が居ることに気付いた。
「……な、なにしてるのさ、人の部屋で」
声を出すと、自分でも驚くほどの鼻声だった。多分、目も腫れているだろう。
目の前の朴訥とした少年が、その鼻声や腫れた目を作った原因だと悟られたくなくて、千鶴は咄嗟にそっぽを向いた。
「……カバン。置いていったから、持ってきた」
そういえば、あの時感情に任せて教室を出てきてしまったので、カバンを持たずに下校してしまっていた。しかも、午後の授業はすっぽかしだ。
「ピンには体調悪くて帰ったって言っておいた」
千鶴の心配ごとを先回りして言う龍に、千鶴は悔しさを隠し切れない。
―――いつだってそうだ。龍には、あたしの考えていることを先に読まれてしまう。どうしてコイツには分かってしまうのか。
それが、悔しい。龍が考えていることなど、千鶴には分かりはしないのに。
「……なんて答えたのさ」
考えが読めないから、訊くしかない。手紙の相手に、どんな返事をしたのかを。
「……?」
千鶴の質問が分からなかったのか、龍は眉間に皺を寄せて考える風を装った。が、龍の思考は思ったより長かった。千鶴は我慢できずに聞きなおす。
「……だから、手紙の相手にさ!」
「…手紙?」
「今日、下駄箱に入ってた!」
「…ああ。アレ?…でも、返事って……」
「告られたんだろ?!」
ヤケクソで怒鳴ると、一瞬の間を置いて、龍が吹き出して笑った。
「な、な、な、なんだよっ!人がやっとの思いで訊い……」
からかわれたと思って叫ぶ千鶴の声は、龍の唇によって封じられた。
やけに柔らかいものが、自分の唇に当たっている。そして目の前には千鶴とは逆に目を閉じたドアップの龍の顔。
あまりの急な出来事に、驚きのあまり千鶴は龍を突き飛ばすことも目を閉じるのを忘れていた。
―――き、き、キス……してる?!……あたしと、りゅ、龍が?!
最初は目を見開いて固まっていたが、キスの感触は悪くなかった。こういうときは、やっぱり目を瞑ったほうがいいのだろうか。
そう思い当たると、千鶴はぎゅっと固く目を閉じて、重ねられた龍の唇の温かさを感じていた。
二人の始めてのキスは、ぎこちないながらも続いていた。
重ねるだけのキスは次第についばむように、軽く離れては深く重なっていく。
布団から顔を出しただけの千鶴に、体重をかけないように覆いかぶさる龍。その手が千鶴の髪や頬、首筋を撫でる。
その指は、いつもの幼なじみとしての指ではなくなっている。愛するものを優しくいたわるような、そんな愛情に溢れている。
一度唇を離すと、龍は千鶴を真っ直ぐに見つめると、口を開いた。
「……あれは、ラブレターじゃない」
思っても見なかった回答に、千鶴は二の句を繋げることができない。
「……もし、万が一そうだったとしても、俺が千鶴以外と付き合うなんてありえない」
「……りゅ……」
「好きだ。もうずっと前から」
そう言って再度千鶴の唇を奪う。今度は強弱をつけながら、愛しい唇を十分すぎるほどに味わう。少しだけ硬さのとれた唇から、吐息が漏れるようになった。千鶴がキスに慣れてきた証拠だ。
「ヤキモチ、妬いてくれてたんだろ?」
また離れた唇から零れた問いに、的を射すぎるほどのその言葉は、反射的に彼女の顔を赤く染めた。しかし、口では否定することを忘れなかった。
「そ、そんなわけ、ないじゃんっ!……な、なんであたしが龍に……」
言い噤んだのは、龍の顔が全てを知っているように微笑んだから。もう、きっとどんな誤魔化しも効かない。
「………そ、そうだよっ……ぜ、全部、龍が悪いんだからねっ!」
八つ当たりのように言うと、涙が溢れてきた。止めようと思うのに、止まってはくれない。
「……龍なんて、……あたし、……龍が、…手紙の子、と、付き合っちゃうん、じゃないかって……お、思っ、て……」
徹のときも辛かったけど、今日のはもっと効いた。
泣きじゃくる子供のように呼吸困難になりながら、千鶴は龍への想いをぶつける。そんな彼女が可愛すぎて、龍は横たわる千鶴にそっと添い寝をし、布団ごと千鶴を抱きしめて髪を撫でていく。
千鶴は龍の首筋に顔を埋めて、思う存分泣く。そんな千鶴の髪や、頬や、額にキスをする。
可愛い幼なじみが、愛しい恋人になった瞬間だった。
- 239 :キミには到底敵わない。 4[sage]:2008/11/16(日) 22:07:25 ID:ViNZ52DQ
-
「はああ?メンバー表?!」
翌日の教室に、こんな千鶴の驚愕の声が響いた。
結局あの後、泣き疲れて眠ってしまった千鶴は、結局手紙の内容がなんだったのかを訊きそびれてしまったため、翌日の教室で改めて龍に訊いてみた。そうして返って来た答えがコレだ。
「メンバー表って、野球の?!」
「そうだけど」
そう言って、龍は取り出した封筒の中身を広げて見せる。そこには、タイトルのように大きく明後日の日付が書かれており、その下には恐らく打席順だろうか、野球部員の名前が順々に記されていた。
休みがちだった野球部の女子マネージャーが、部員全員の下駄箱にその封筒を入れてまわっていたことが、龍の口から明かされた。
思いもよらない結末に、千鶴は穴を掘って自分を埋めてしまいたい衝動に駆られる。
あたしはこんな内容にヤキモチ妬いて、んでもって挙句の果てに恥ずかしいことをペラペラと龍に聴かせてしまったのかーっ!
「うぎゃぁぁぁぁぁぁっっっ!」
人生で一番の羞恥心はココで来たらしい。千鶴は髪を掻き乱して声にならない叫びを上げ、キッと龍を睨んだ。
謀ったわけではなさそうだ。でも結果的には言わされた。あたしはきっと龍には敵わない。あの、全てを悟ったような微笑には。
「あたしは死ぬ!いま、ここで死ぬうっっっ!」
滝のように涙を流しながらシャープペンシルを喉元に突きつける千鶴を、必死で止める爽子。
あやねはあやねで、龍と千鶴の間に流れる空気の違いを怪しんでいる。
そんな様子を呆れたように見ている龍の、唯一の弱点が自分だなんて、千鶴には知る由もない。
いつもの教室に、いつもの喧騒。
だけど、昨日とは違う二人が、そこにはいた。
了
- 240 :キミには到底敵わない。 [sage]:2008/11/16(日) 22:09:55 ID:ViNZ52DQ
-
読んでくださった方、有難うございました。
抱きしめた後にエチーに持っていく予定が、千鶴に頑なに拒否されました。
エロはまた今度、千鶴を言いくるめてからで…。
……書ける様に頑張るよ…orz
- 241 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/16(日) 23:11:18 ID:qW6BErNO
- GJ!!
一人で空回る千鶴が可愛かった!
この二人も好きだけど、風早と爽子以上にエロに持っていくのが大変そうだな…w
龍の頑張りに期待しつつまた待ってます!!
- 242 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/16(日) 23:44:09 ID:X8LyJb7j
- 乙!!楽しめたよ。ありがとう。
- 243 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/17(月) 10:30:44 ID:j9/zM6ZG
- GJ!!
ちづカワイイねー
確かにこの2人は、風×爽より進展が遅そう・・・www
- 244 :228[sage]:2008/11/18(火) 01:59:29 ID:lLBIlxnv
- エロまで持っていけなかった
風早×爽子
- 245 :FUNDAMENTAL LOVE[sage]:2008/11/18(火) 02:01:15 ID:lLBIlxnv
- 「誤解が解けたつ、ついでに告白しても・・い、い?」
二人の間に出来た大きな溝を修復した黒沼爽子は、確かにそう言った。
「え?何の?」
「……告白は、告白以外はない……かと…」
その言葉を正しく理解した時の風早の顔は、面白いほどに崩れていた。
────────────────────────────────────────
「よかったじゃん爽子!!」
「おめでとー、長い道のりだったね」
二人で教室まで戻ると、あやねと千鶴がそう言って、笑顔で2人を出迎えてくれて。
「あー……うん……」
風早は、照れくさそうに視線を合わせられずに下へ向けたまま、しかし繋いだ手を離さずに そう言った。
「あれ、…爽子?」
「黒沼?」
ふと振り返ると、爽子はなぜか、沈んだように俯いていた。
「まさか…嫌なことでもされたのか貞子ちゃん?」
ケントも、いくらか怪訝そうにし、心配そうに爽子に訊ねる。
「え? あ……」
爽子は、はっと我に返ったように、顔を上げるが、
「な、なんでもないよ」
と、戸惑ったように言い、また、視線を俯かせてしまう。
「…………黒沼?」
爽子の様子に、風早もなんとなく、不安になってきてしまう。
その後開かれた龍の家で『ようやく付き合っておめでとう会』が開かれたときも、爽子の表情は相変わらず優れなかった。
- 246 :FUNDAMENTAL LOVE[sage]:2008/11/18(火) 02:04:31 ID:lLBIlxnv
- 「なぁ、黒沼……」
彼氏、彼女になった二人で始めて歩く、帰り道。
風早は、爽子に向かって、優しく問いかける。
「何か、黒沼だけじゃ解決できない事があるんだったら、教え
てくれない? 俺、そんなに頼りないかな?」
「……そうじゃ、ない…」
しかし、爽子は、普段以上にボソボソと言うだけだった。
「黒沼?」
風早が、再度名前を呼んで問いかけると、爽子は意を決したように、
顔を上げて、風早を見つめた。
風早は一瞬、たじろぎかけるが、踏みとどまって、笑顔を向ける。
「……風、早くんは──」
爽子は、不安そうな瞳を向けて、問いかける。
「これで、良かった?」
「え?」
爽子の突飛な言葉に、風早は一瞬、キョトン、と、呆気に取られてしまった。
「私で、良い?」
「うん、黒沼が良い」
風早は微笑んで答えるが、爽子の表情は、浮かないままだ。
「私…………付き合えない」
「えっ」
風早は、爽子の言葉に、驚いたように目を円くする。
恋人。ちづちゃんも体験したことの無い、大人な世界。
そんな事が、自分に出来るのか。彼女なんて大役が、自分に赦されるのだろうか。
そんな不安が、爽子の胸中に、あの瞬間から湧いていた。
あやね、千鶴、真田に祝われた時点で、一気に爽子の意識にのしかかって来たのだった。
「普通に、付き合えない……」
爽子は、風早から視線を離し、俯いた。
「爽子」
風早が、きっぱりとした声で、爽子の名前を呼ぶ。
「あ……」
爽子がちらり、と視線をやると、風早は、険しさを感じさせる表情で、爽子を見ていた。
「……名前」
爽子は、戸惑ったような色を見せつつ、風早の顔に視線を上げる。
「なあ、普通って何?」
「……え、と」
風早の問いかけに、今度は爽子が、キョトンとしてしまう。
「俺は、爽子が好きだから爽子の隣にいる。 爽子ともっと一緒にいたいから
ここにいる。それじゃ、駄目か?」
「……ううん……」
風早はそこまで言って、爽子が軽く頷くのを確認すると、顔をいつもの、穏和そうな笑みに戻した。
「何度でも言う。黒沼爽子が好きだ」
「風早くん……ごめんなさい。変な事言ってしまって」
爽子は感極まって涙を両目に湛えてしまいつつそう言った。
- 247 :FUNDAMENTAL LOVE[sage]:2008/11/18(火) 02:05:44 ID:lLBIlxnv
- 「……」
風早は、そっと、爽子を抱きしめた。
「…あ…」
それを感じた爽子が、風早におずおずと腕を回して。
風早にお礼をしたい時には、5秒目を瞑ってやれよ
ピンから以前教えられた『風早への』お礼を実行しようとして。
爽子は目を閉じて、2人はそのままキスを交わす。
数時間前に初めて体験した、重ねるだけの、甘い甘い、蕩けるようなキス。
「……風早くん、好き」
くちびるが離れると、爽子は微笑み、抱きついたまま風早を見据えて、はっきりと言った。
「俺も」
風早は腰に回していた左腕にぐっと力を込める。
────大丈夫……これから、何があっても、
私は今日のかぜはやくんの言葉を思い出したら、絶対大丈夫……
ぎゅっと抱きしめ返しながら、爽子は思う。
「風はやく……ん」
「爽子……」
2人して顔を赤らめ、しかしごく自然に、惹かれ合うようにもう一度キスをする。
「う…」
「ん……はぁ・・」
1分近く重ねていた唇を開放され、爽子は息を乱しながら脱力する。
「……キス、っていっぱい…あるんだ」
「……うん」
少し長いキスから離れると、風早と爽子の双方は目を合わせたり、
逸らしたり、見つめてみたり顔をさらに紅潮させてみたりしながらの
ウブコントを繰り返す。
「……日にち決めて、二人だけで遊びに行こう」
爽子は、こくん、と、肯定の頷きを返した。
その何気ない動作がたまらなく愛しくて。
もう一度唇を重ねた。
- 248 :228[sage]:2008/11/18(火) 02:09:42 ID:lLBIlxnv
- この後カラオケへ行って爽子がピンクレディーのSOS歌っちゃって
うっかり興奮する風早考えてたんだけどそこまで行き着かなくてすいません!
- 249 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/18(火) 21:38:25 ID:fkmz9PUQ
- GJ!
本誌の展開にえええええってなってたから余計にGJ!
2ヶ月も待ってあの展開かーって思わず本誌に突っ込んだ自分がいる。
- 250 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/18(火) 23:30:15 ID:wL8AJxBG
- >>248
GJ!!ピンクレディーにふいたwwwなんか可愛いwww
続きできたらまたお願いします。
- 251 :名無しさん@ピンキー[]:2008/11/19(水) 09:28:04 ID:03amCga3
- ごめん>>245->>247とかぶったやつでもいいのかな?
- 252 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/19(水) 10:43:28 ID:hSAentYq
- ドンと来い!!
自分も今月号の補完をちまちま書いてる
続きを妄想してしまうwww
- 253 :名無しさん@ピンキー[]:2008/11/19(水) 13:03:04 ID:03amCga3
- はじめてなんで、多少は目つぶってね
では
- 254 :名無しさん@ピンキー[]:2008/11/19(水) 13:04:03 ID:03amCga3
- 二人で歩いていた。
8時を回ってしまって、あたりはすっかり暗くなっている。
「ごめんなさい。…今日も手伝ってもらって、こんなに遅くなってしまって…。」
申し訳なさそうに彼女が言う。
今日もまた、ピンに押し付けられた雑用を、黒沼がやることになった。
最近ではピンも、最初から黒沼をあてにしているようだ。
−まったく、ピンのやつ…!また面倒なの押し付けやがって!−
結局、風早がナイトよろしく送り届けるのを承知の上でたのんでくるのだろう。
要求がどんどんエスカレートしていくように思われる。
しかし、風早はこんな時間が決して嫌いではなかった。
「風早くん、まだ少し残っちゃったけど、明日はもう一人で大丈夫だから。」
公認になった今でも、以前と変わらずどことなくよそよそしく遠慮がちな彼女に、自分はいらないといわれてる気がして風早は少しだけ落ち込む。
彼女は絶対にそんなこと思わないし、考え付かないことはわかっていても。
「だめ。彼女を送るのは、彼氏の特権だから!」
すねたように答えると、彼女はあわてたように「ごめんなさい。」とつぶやいて、
少し安心したように微笑んだ。
その笑顔にどきりと胸がなり、無性に愛おしさが増す。
ホントずりーよな…
「ねぇ、去年もこうやって歩いたの覚えてる?」
「えっ?」
「ピンのうち、行った帰り…」
「あっ、あのときも迷惑かけたんだよね…。いつも本当にありがとう…。」
そんな言葉が聞きたかったわけじゃなかった風早は少しだけいじわるしたくなってくる。
「うーん、お礼が欲しい!」
「えっ?お礼??…あ、あの何がいいのかな…?」唐突な言葉にあわてる黒沼もかわいいと思いながら、
「俺が一番喜ぶ方法!」と答える。少しだけ顔が熱くなってるのがわかる。…暗くてよかったな。
「えっ??何だろう…。」
「ピンから聞いたんでしょう?」
ちょっと考えて、あぁ…と彼女はつぶやいた。
そして、服をつかんで目を閉じた。
無防備すぎるよ。たぶん、何が起こるかわかってないよな…
そう思いながら、目を閉じた彼女の唇に、今度は間違いなく自分の唇を重ねる。
一瞬、彼女がびくりとしたようだ。体が反応する。
風早は気にせず、そのまま唇を重ね続ける。
…どれくらい時間がたったんだろう…
おもむろに、物足りなげに、ようやく離すと
そのままふわりと彼女の小さな肩は抱きしめて、
大すきだよ…とつぶやいた。
- 255 :名無しさん@ピンキー[]:2008/11/19(水) 13:08:33 ID:03amCga3
- 以上です。すみませんエロなしで。
なんか二次創作みたい…
- 256 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/19(水) 14:05:45 ID:JDMU1k80
- >>255GJ!GJ!!
えー!!いいよーいいよー^^
ありえるような展開がまたいいねー
本編でも早くこんなふうな2人がみたいねー
- 257 :名無しさん@ピンキー[age]:2008/11/19(水) 20:44:43 ID:+UxywEb2
- 二次みたいでもいいジャマイカ!
萌をありがとう
- 258 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/22(土) 00:37:43 ID:xNEhJaBX
- 保守がわりに書き出しだけ投下
一応、続く予定
気持ちが悪い。
頭が痛い。
泣きすぎたせいだ。
風早くんにとって、好きという言葉が友情を示す言葉だと言うことはわかっている。
わかっているのに、少しでもショックを受けてしまった自分が嫌だった。
「好き」という言葉の違いを突きつけられて、わかっていたのに泣いてしまった自分が嫌だった。
きっと、風早くんは困っただろう。
迷惑だっただろう。
謝らなきゃ。
謝っても許してくれないかもしれない。
もう、挨拶すらしてくれないかもしれない。
でも、謝らなきゃ。
怒らせてしまったこと、困らせてしまったこと、迷惑をかけてしまったこと。
明日、学校で会ったら……。
「爽子泣かせんなよ、バ風早」
「ほんと、バカじゃないの」
教室に戻った風早を待っていたのは、氷のように冷たい視線と「バカ」という言葉だった。
不機嫌を隠そうともしない表情で睨むが、元々目つきのよろしくない二人の迫力に負けて
視線をそらす。
「好き」という言葉を否定する返答。
自分の「好き」と爽子の「好き」は違うのだと、思い知らされた気がした。
それは理不尽な八つ当たりとも言えるだろう。
自分の感情がどうしようもなく爽子を求めている事も勝手な事で
爽子に受け入れろと強要することはできない。
泣かせたかったんじゃないのに。
笑って欲しいという感情と、独占したいという感情、泣かせてしまった罪悪感と、風早の
感情に気付かない彼女への苛立ちが渦巻いて、胸がちりちりと痛む。
今は誰と会話をする気にもなれず、乱暴に席について不貞寝を決め込んだ。
- 259 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/22(土) 01:03:28 ID:ffK+jpAY
- 続きが気になる…
わくてかして待ってます!
- 260 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/22(土) 19:07:10 ID:hswXtw2I
- >>236
遅い感想でごめんなさい!
龍と千鶴いい!
千鶴が可愛いすぎて何度も読み返してしまった
どうか続きをお願いします!
- 261 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/23(日) 00:36:01 ID:N7CD2TuT
- >>258
本当に今月号の続きっぽいww
いじける風早はとても可愛いと思う
続きを楽しみにしてます
ところで二次創作の定義がわからん
とりあえず、このスレに投下された作品って全部二次創作じゃないの…?
- 262 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/23(日) 11:21:12 ID:klmPi7p3
- いわゆるバッテンで括られるのが「二次」
あくまで”使用”してもらう為の触媒が「エロパロ」
ってことなのでは…よう知らんけど。
まあここのは使う気には一切ならないがw
- 263 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/23(日) 17:23:08 ID:lq1xEyRR
- >>258の続きを投下
まだ続く予定
「へぇぇ〜、それで風早を怒らせちゃったと」
「うん……」
「ちょっと!泣かないでよ、私が泣かせたみたいじゃないの!」
泣き出した爽子の隣に腰を下ろし、くるみはため息をついた。
まったく、何で自分がこんな目にあっているんだろう。
さっぱりわからない。
大体、この子をみているとイライラしてくるのだ。
何をうじうじと悩んでいるんだろう。
この子は自分に向けられる好意に対して鈍感すぎる。
自分が望んでも手に入れられなかったものを
この子はあっさりと手に入れられるというのに。
くるみは段々腹が立ってきた。
隣で泣いている少女にも、煮え切らない風早にも、ついでに「告白」などという理由で
こんな所に呼びつけた名も知らぬ男子生徒にも断った後ですぐに立ち去らなかった自分にも腹が立ってきた。
「あ〜〜、もう!!!」
イライラが抑えきれず、とりあえず手近な元凶、すなわち爽子に当たり散らすことに決める。
「結局あんた、風早に「好き」ってちゃんと言ってないんでしょ?!」
「うん……」
「何で落ち込んでんのよ。あたしは言ったわよ?ちゃんと言って、ちゃんとフラれたんだから!!」
「落ち込むなら、ちゃんと言ってからにしてよね!あたしが惨めじゃん!!」
感情が高ぶり過ぎたのか、頬が紅潮しているのがわかる。
目の前の爽子は少し目を見開いたまま、呆然とくるみの言葉を聴いていた。
びっくりしたせいか、それとも他の要因があったのか、涙は止まっている。
「くるみちゃ……」
「意見も謝罪も聴かないわよ。何か言うなら、同じ土俵に立ってからにしてよね」
肩で息をしながら立ち上がり、柳眉を逆立てたまま爽子に背を向けて歩き出した。
しばらく歩きながら頭を冷やし、ふとあることに気付いてもう一度ため息をつく。
「私、けっきょく後押ししちゃってるじゃん……」
- 264 :名無しさん@ピンキー[]:2008/11/23(日) 18:19:27 ID:d3tw9TWr
- ま、まさかくるみちゃんが出てくるとは!
GJ!続き期待〜
- 265 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/23(日) 23:06:58 ID:V1gPL+B3
- >>262
ほほー、二次的な創作だからエロパロも二次に含むんだと思ってた
だとするとこのスレでは二次創作以外の需要がそもそもなさそうだねw
>>263
乙〜
- 266 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/24(月) 01:38:48 ID:QoC/6ho3
- 保守がわりに宣言ー今の職人さんの投下が終ったころか
火曜深夜か水曜あたりに
ちょっとヤンデレな風早を投下します
黒風作者さんに習ってNGはヤン早でw
- 267 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/25(火) 18:08:03 ID:Icf+X898
- 8巻発売おめ!!
職人さん方期待してます!
- 268 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/25(火) 19:38:30 ID:s4iXmoUo
- >>266
楽しみに待ってます
- 269 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/25(火) 20:44:29 ID:h8FuHkHH
- >>258と>>263の続き
まだ続く予定
小出しですみません。
今月号の続きっぽいモノのつもりで書いてるので
来月号がでる前に、と五月雨式に投下してます。
>>266楽しみに待ってます。
風早くんと話さなくちゃ。
サボったまま授業時間は終わり、風早と顔を合わせることもなく
放課後をむかえた。
人の気配がなくなった頃を見計らって鞄を取りに教室へ戻ると
心配そうな鞄のあやねと千鶴が待っていた。
何もきかず、ただ普段通りに接してくれる二人がありがたかった。
二人は当然のように爽子を家まで送り、「また明日ね」と言葉を投げかけて帰って行った。
また明日……。
明日には、またいつも通りの生活が待っている。
明日、風早くんと話したら、また今日みたいに困らせて
迷惑をかけてしまうかもしれない。
謝るなら当日のうちがいい。
嫌な思いをさせてしまうのも一回でいい。
傷つくなら早めがいい。
玉砕して、一晩泣いて、明日はいつもの自分になる。
一晩泣けば、無視されても大丈夫な自分になれる。
でも、どうすればいい?
どうすれば、今日中に風早くんと話ができる?
自宅に電話をする勇気はなかった。
かといって、あやねや千鶴に頼るなど微塵も考えなかった。
部屋の隅でぬいぐるみを抱きしめながら必死で考える。
ふと視線を動かすと、風早から貰ったストラップが
鞄の端からのぞいているのが見えた。
携帯電話。
しばらくそれを眺めていた爽子は、大きく深呼吸をしてストラップに手を伸ばした。
- 270 :2/2[sage]:2008/11/25(火) 20:47:45 ID:h8FuHkHH
- 269に1/2を入れ忘れたorz
続き
自分の行為が相手に迷惑かもしれない、なんて、思ったこともなかった。
自分の言葉を相手が嫌がっているかもしれない、なんて、考えたこともなかった。
黒沼はいつもこんな気持ちだったんだろうか。
部屋に入ってベッドに倒れ込んだ体勢のまま
風早は三浦や千鶴の言葉を反芻していた。
自分が自惚れていたこと、爽子を理解するどころか
気持ちを想像すらできていなかった事を実感する。
自分の好意が相手に伝わらないこと。
こんなことは、彼女にとっては日常だっただろう。
それでも他人と繋がりを持とうとし、相手の喜びを自分の事のように喜べる彼女。
嫉妬、独占欲、苛立ち、罪悪感でいっぱいの自分。
自分の器の小ささを思い知った気がした。
カバンの中で携帯電話が鳴っている気がするが、今は手を動かすことすら億劫だった。
風早はぼんやりと開いていた目を閉じ、枕に顔を埋めた。
何もする気になれなかった。
- 271 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/25(火) 22:52:33 ID:Cd8i1q6k
- 266です
やばいっす、展開269さんとめさかぶるっす。
もう269さんと結婚するしかないっす。
そんな訳でかぶるけど、できたら投下します
ピュアな風爽カップルでエロむずかしいねえ
脳内で二人に謝りながら書いてるよ
- 272 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/26(水) 00:09:45 ID:C9a2i9ES
- >>266
自分は黒風もヤン早も好きなので楽しみしてます
- 273 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/26(水) 23:05:21 ID:Ewr4ueBf
- 266です。
ヤン早途中までできたんで投下。
後編は明日か、無理なら土曜日に。
永年規制巻き添え組なんでメモ帳→pk2ch経由
ので時間かかります
カプは風×爽 時間軸は12月号の続きと思ってください
- 274 :ヤン早1[sage]:2008/11/26(水) 23:08:17 ID:Ewr4ueBf
- 爽子は体中の水分が出てしまうのではないかというくらい泣いた。
そして眼と眼の周りと鼻がつんつんとやたら痛いことに気がついた。
気が付けばもう本日最後の授業も終わりに近い時間だ。
そっと洗面所に行き、鏡を見る。
…うわぁ。
自分がこれほど自分の不本意なあだ名に相応しい姿をしていたことはない。
爽子本人ですらそう思わざるを得ない。
(これじゃあ授業中に戻ったら、みんなを怯えさせちゃうな…)
そう考えた爽子は放課後、人の流れが途絶えた頃を狙って教室に戻った。
そっと自分の席に近付いたところで後ろから声をかけられた。
「爽子。」
びくっと振り返るとそこには爽子のかばんを持ったあやねと千鶴がいた。
「−クソ真面目なあんたのことだから、かばん取りに来るだろうなと思って。」
二人は爽子の泣きはらした顔をみて眼を見張った。
「「…何があったの?」」
爽子は1から説明しようと、口を開いた。
とたん、言葉の代わりに大粒の涙がぼろぼろと零れた。
- 275 :ヤン早2[sage]:2008/11/26(水) 23:09:51 ID:Ewr4ueBf
- すべての事情を聞いた二人は怒りを顕にした。
「あのバカ爽子を泣かせやがって…!」
千鶴に至っては勢いのまま殴りに行きそうだった。
慌てて爽子は言った。
「違うの!私が勝手に泣いただけなの。」
爽子に『俺の好きは黒沼の好きと違う』と言われたときの痛さが蘇る。
「私が勝手に…勝手に風早君を好きになっただけなの…」
単純に爽子を泣かせた風早に怒る千鶴とは違い、あやねは爽子にも厳しい眼を向けた。
(どうしてこの子はここまで自信がないの!風早に好きって言われてんじゃない!
焦れて自己完結して誤解して、爽子を泣かせた風早は大バカだけど、この子もそこまで卑屈にならなくてもいいでしょうに!)
あやねにしてみればお互い隠しようもないほどの両片思いだ。そこまで言われて風早の好きな子=自分と思いつかない爽子の卑屈さに苛々した。爽子が大好きだからこそ苛々した。
もうちょっと手を伸ばすだけであんたは幸せになれるのに。どうしてそこで諦めてしまうの。あの大バカ王子はあんたに夢中なんだよ?
あやねはひた、と爽子を見据えて言った。
「あんたはちゃんと好きって伝えたの?」
爽子は首を横に振った。
そしてぽつんと続けた。
「でも、風早君にはわか
- 276 :ヤン早3[sage]:2008/11/26(水) 23:12:53 ID:Ewr4ueBf
- そしてぽつんと続けた。
「でも、風早君にはわかってたの。
だから、私の好きとは違うって…はっきり…そう言ったよ。」
爽子は抑えきれずまたぼろぼろと涙を零した。
「…迷惑になっちゃった。風早君を傷つけた。
風早君はそれでも私をかばおうとしたよ。だからもうだめ。
勝手に好きになっちゃって、ひ、ひとりじめしようとして、
風早君の好きな人に誤解されちゃうから、もう好きでいちゃだめなの」
千鶴は複雑すぎる状況をつかめはしなかったが
哀しさのあまり支離滅裂になる爽子を痛々しげにみつめた。
そんな千鶴を尻目にあやねはぎゅっと爽子の頬を両方からひっぱった。
- 277 :ヤン早4[sage]:2008/11/26(水) 23:24:28 ID:Ewr4ueBf
- 千鶴は声を失い、両頬をおさえてきょとんとあやねを見る爽子と
眼が据わったあやねを落ちつかなさそうに交互に見た。
「だ、か、ら、アンタは好きってちゃんと言ったの?」
爽子は少し考えてから呟くように言った。
「…言ってない。」
「じゃあちゃんと言いな。
アンタの言葉で、あのバカ王子に伝えんの」
「バ、バカ王子って」
「風早に決まってんでしょ!」
あやねの言葉に爽子は少し黙り込んでから首をぶんぶんと横に振った。
「爽子!あんたまだ、傷つくのが怖いとか…」
あやねの言葉をいつになく激しい爽子の声が遮った。
「いやなの。風早君の迷惑になるのだけはいやなの…!」
搾り出すようなその言葉に
あやねは爽子今まで受けてきた傷の深さにあらためて気付いた。
- 278 :ヤン早5[sage]:2008/11/26(水) 23:29:34 ID:Ewr4ueBf
- 人に好意を示しても、誤解され、その好意は受け止められず空中に消える。
あやねの脳裏に最初の席替えの時のことがよぎった。
あの時、嬉しい、との言葉すらすべて言えずに涙を零した爽子。
この子はそんな些細な好意にすら飢えていた。
人に避けられる事に慣れてしまうのは、いちいち傷ついていたら身が持たないから。それだけの傷を受けてきた証明。
なのにこの子は人と交わろうとするのをやめようとはしなかった。
ひたすら生真面目にどうしたら受け入れてもらえるかと手を伸ばしていた。
だから人を傷つけるのが極端に怖いんだ。
人を諦めてしまわないから、この子は傷つき続けてるんだ。
そんな愚直さをどうして愛さずにいられるだろう。
あやねはぐっと泣きそうになるのをこらえた。
バカ王子。あたしが男ならとっくにこの子を口説いてるわよ。
いまだけ奇跡的にライバル不在なんだからね。
周りの男がガキすぎる幸運に感謝しなさいよ。
…まあそんなこととっくに気付いてるからこそ、焦れてたんだろうけど。
- 279 :ヤン早6[sage]:2008/11/26(水) 23:35:49 ID:Ewr4ueBf
- あやねは今度は優しい声で爽子に問うた。
「迷惑って、本人から聞いたの?」
少しの間の後、爽子は力なく首を横に振った。
「でも、風早君は優しいから、迷惑って思っても言わない…きっと。」
ネガ思考にひっぱられる爽子にあやねは溜息をついた。
「あのね爽…」と、そこに千鶴が奇声をあげてわりこんだ。
「うがー!もうわけわからん!
爽子も矢野ちんも何いってんのかわからん!」
千鶴は爽子の肩をガッシと掴んだ。
「爽子!あたしには色恋沙汰はよくわかんないよ!
でも爽子が泣いてるのはわかる!
爽子が哀しくて哀しくて死にそうに泣いてるのがあたしには我慢できないんだよ!
あたしはね!爽子、アンタが笑ってないとやなんだよ。
あんたが幸せじゃないのは、やなんだよ!」
千鶴はそれだけ言ってぼろぼろと泣き出した。
あやねはふわりと昇ってくる笑みを止められなかった。
(あーもう、あたしの友達はどいつもこいつも…ほんと綺麗で参るわ。)
呆然としてる爽子にあやねは柔らかく微笑んだ。
- 280 :ヤン早7[sage]:2008/11/26(水) 23:44:47 ID:Ewr4ueBf
- 何が言いたいのかわからず爽子はあやねを見詰めた。
「アンタが笑えるようになるために、風早が迷惑しても構わないの。
…アンタが大好きだから。」
「あ、あやねちゃん?」
「だからね、爽子。ちゃんと風早に言ってきな。あいまいな好きとかじゃなくて、
愛の告白っていうのをきちんとしてきなよ。」
「……でも。」
「成就させるためじゃないよ。」
成就しちゃうとは思うけど、今それをこの子に言っても信じないだろうしね。
それにそれを伝えるべきなのはあたしじゃない。
「風早に迷惑だろうが何だろうが、言って、ちゃんと玉砕してきなよ。
…爽子。アンタの恋心をちゃんと殺してもらわないと、アンタきちんと笑えなくなるよ。」
「……!」
「あたしや、ちづや、アンタを好きな人はみんな
アンタが幸せそうに笑ってくれるのを望んでるんだよ。」
あやねはしっかりと爽子の真っ赤になった眼をみすえた。
「アンタ自身が幸せになる努力をしてくれなくてどうすんの。
アンタが笑えなくなるなんてあたしもちづも許さないからね。」
- 281 :ヤン早8[sage]:2008/11/26(水) 23:51:54 ID:Ewr4ueBf
- 爽子は呆然と眼を見開きそして少ししてから大粒の涙をぼろぼろ零しながらあやねに抱きついた。
「…りが…と…やねちゃ…ちづちゃ…わ、わたしほんとに、
あやねちゃんやちづちゃんと…もだちになれて…うれし…」
ひっくひっくと涙の合間に途切れがちに零す言葉は
意味がはっきりと伝わるものではないけれど、それでも気持ちは十分伝わってきた。
ぽんぽん、と背中をなだめるように叩いてあやねは爽子に言った。
「さ、わかったら風早にこくは…」
そこまで言ってあやねはふと爽子の壮絶な様子に気付いた。
泣きはらした大きな眼は、ふだんより2割り増しできつめに見えた。
ただでさえ、怒っているように見られがちなのに。
さらに黒くて長い髪は乱れ、
白い肌が紅潮しているのはそれだけ単独で見れば美しいのだが表情とあいまって、
まるで憤怒のため紅潮しているように見える…。
- 282 :ヤン早9[sage]:2008/11/26(水) 23:54:13 ID:Ewr4ueBf
- いやいや、これはないわ。
これじゃあ愛の告白に行くというより、
白い着物を着て藁人形を持った方が似合う感じだ。
風早の愛がその程度で醒めるとは思えないが、
一大決心をして愛を伝えにいくのだからもう少しましな格好で行かせてあげたい親心だわよねえ。
…あの王子にも爽子を泣かせた罰として一晩くらいは悶々としてもらいたいしね…。
あやねはそう思うと爽子ににっこり笑った。
- 283 :ヤン早10[sage]:2008/11/26(水) 23:58:11 ID:Ewr4ueBf
- 『告白は明日にしなよ、ね?』
あやねにそう言われて爽子は素直に従った。
お風呂に入りながら今日の怒涛の出来事を思い返す。
『俺の好きと黒沼の好きは違うね』
そう断言したのは、風早の優しさだろう。
彼は勘違いしてしまいそうな私の想いが暴走しないよう釘を刺してくれたんだ。
彼が自分を友達としか見てくれない事実は針のように心を突き刺してく。
そして彼に好きな人がいるという事実はそれよりも何倍も痛くて、
また涙がこぼれそうになるけれど。
でも大切な友達が勇気をくれた。
その勇気で爽子は自分の中の想いを見つめなおしてみた。
『友達』としか見られなくても、やっぱり私は風早君が大好きだ。
独り占め、したいとか、
特別な人になりたいとか、
本当は下心いっぱいなのに口実つくって近付こうとしてたりとか。
自分の中のみっともない感情がたくさん溢れてきて、
抑えなくちゃと思うのにだけど諦めきれない。溢れて叫びだしそうになってる。
風早君が迷惑だと思っても、
どうしても私にとって風早君は特別で大切で大好きな人。
…それを変えることはできないよ…。
- 284 :ヤン早11[sage]:2008/11/27(木) 00:00:15 ID:Ewr4ueBf
- 『アンタがちゃんと笑えるようになるために、風早にその恋を殺してもらうのよ?』
あやねちゃんはそう言った。
私は大好きな風早君の笑顔を思い浮かべて、その笑みに心の中で謝った。
ごめんなさい、風早君。私が風早君を諦められないから、
だから風早君には大変な役割を押し付けてしまう事になるのだけど、
この償いはきっとしますから。
もし風早君の好きな人が誤解するようなことにでもなったら、また学校中まわって誤解をとくよ。もう誤解の解き方は知ってるから。
今は応援、できそうもないけど…話を聞くくらいならできるかも…。
そこまで考えてものすごく胸がちくちく痛んだのでやめた。
ごめんなさい風早君、私にはあなたの恋の応援も手助けもできません…。
いっぱい、いっぱい助けてもらったのに。
また涙がせりあがって来る。
ココがお風呂でよかった。…涙が全部お風呂にとけてしまうもの。
お風呂から出たら、あやねちゃんの言うとおり眼を冷やして寝よう。
どうか明日、腫れていませんように。
- 285 :ヤン早12[sage]:2008/11/27(木) 00:16:40 ID:wONVScW7
- 翌日、爽子は放課後に告白する事に決め、メールで風早を呼び出した。
放課後ならば時間を取らせても調整がきくだろうし、
校舎裏はほとんど人気がないから噂になって
風早君の好きな人に誤解を与える危険は少ないだろう。
爽子はそう考えた。
『放課後、校舎裏に来てください。お話したい事があります。』
それだけの文面を打つのにも緊張しながら、
風早にメールができるのもこれが最後かもと寂しくなった。
緊張のあまり、授業などほとんど耳に入らず、お昼も喉を通らなかった。
事情を知っている二人の友達はそんな爽子を励ましてくれた。
「事情はよくわかんないけど大丈夫だって。だって風早の好きな子って、さ…」
千鶴の台詞はあやねに遮られた。
「ちづ。」
「…あ、そっか。うん、まあ、そんなに緊張するなって。
どこの果し合いに行く気だよ。」
あははっと笑うちづの明るさに爽子は少し緊張を解いた。
そしてコブシを握りしめ思いつめた顔で言った。
- 286 :ヤン早13[sage]:2008/11/27(木) 00:20:36 ID:wONVScW7
- 「ちづちゃん、あやねちゃん。私、ちゃんと言ってくるよ。
そして見事砕け散って見せるよ…!」
爽子のどこかずれた覚悟にあやねは脱力しながら言った。
「う、うんまあ、頑張れ。」
爽子はコブシを胸の前で握ったまま続けた。
「そしたら、話…きいてくれる?少し…努力はするけど、
たぶん泣いちゃうと思う…けど。」
二人の爽子の親友はきょとんとしたあと、にっかり笑った。
「あたりまえでしょ」
「どんとぶつかって来な。何があっても受け止めてやるよ」
ちづの男らしい言葉に爽子はふんわりと笑った。
(この爽子プリンセススマイルが自在に出せるようになれば、
アホガキな周囲共に何も言われることはないと思うんだけどねえ)
意識すると怖くなる爽子の陰気バージョンスマイルを思い浮かべて
あやねはフウ、と溜息をついた。
- 287 :ヤン早14[sage]:2008/11/27(木) 00:29:17 ID:wONVScW7
- 爽子が急いで呼び出した校舎の裏に行くと、風早は既にそこで待っていた。
どこか心あらずにぼんやりと時折空をみあげ
暮れかけた日が薄く映る校舎の壁にもたれかかっていた。
「風早君」
爽子の声にゆっくりと風早は顔を向けた。
その顔にはいつもの心の底から温まるような笑みは浮かんでいない。
−あんな嫌な思いをさせたんだもの、仕方ないよね…。
振られた私は確かに痛くて泣いたけど、傷つける方がもっと辛いよね。
風早君はあんなに優しいもの。
爽子は風早の冷たい表情に怯みながらも、自分を叱咤した。
でも、言わなきゃ。
大好きな二人の友達がくれた勇気を握り締めて爽子は
『愛の告白』をしようと口を開いた。
「あ、あのね。私、言わなきゃいけないことがあるの…!
それは風早君をまた困らせてしまうことだと思うけど、私ね」
「…何?三浦に告白でもされた?」
「−え?」
- 288 :ヤン早15[sage]:2008/11/27(木) 00:52:15 ID:wONVScW7
- 全く想定外の言葉に爽子は混乱した。
どうしてここに師匠の名が出てくるの?
爽子の混乱など気にも留めず風早は続けた。
「だから、俺にもう構ってほしくないとか…?
泣くほど、俺の気持ち迷惑だったんだもんな。」
め、迷惑…?確かにとてつもなく痛い事実ではあったけど…?
爽子の混乱はいよいよ深まった。
夕闇みたいな沈黙が空気を染めていく。
爽子が何か言わねばと口を開こうとした時、
風早が聴いたこともないような暗い声で言った。
「−…それで、三浦の彼女になんの…?」
爽子ははじかれたように顔を上げた。
「そんなわけない…っだって。」
爽子はこくん、と息を呑んだ。
これ以上私の勝手な恋心を押し付けて嫌われるのは怖い。
でも、誤解されたまま終るのは嫌だ。
その気持ちが爽子を動かした。
「だって、私は風早君が大好き…っだからっ…」
(い、言っちゃった!)
かあっと熱くなる頬で自分が夕日より真っ赤になってるのがわかる。
- 289 :ヤン早16[sage]:2008/11/27(木) 01:00:28 ID:wONVScW7
- 爽子にとっては、数時間にも感じられる沈黙の後、
爽子はそっと風早をみあげた。
風早はほんの少しだけ口の端をあげた、薄い笑みを浮かべていた。
その笑みに爽子は激しい違和感を覚えた。
その昏い笑みは爽子の中では風早に属すものではなかった。
「かぜはやくん…?」
戸惑う爽子の声に答える声はなく、代わりに冷たい指が爽子の頬を撫でた。
一瞬爽子はソレが何かわからず、
風早の指が自分の顔を辿っているのだと気付いた時には
その無骨な手はさらりと爽子の長い髪をかきあげていた。
その手はその感触を楽しむかのように指を何度か髪をさらりと通したあと
再び頬に戻ってきていた。
爽子は何が起こっているのか思考が追いつかず呆然と風早に眼を向けた。
風早はどこかぼうっとした顔で熱を孕んだ眼で爽子をみつめていた。
爽子はその視線に絡め取られるように動けなくなった。
- 290 :ヤン早17[sage]:2008/11/27(木) 01:03:53 ID:wONVScW7
- 「か…」
呼びかけようとした名前は言葉になる前に爽子の喉の奥に消えた。
何か熱いものが爽子の唇を塞いだからだ。
爽子の見張る眼には何故か風早の顔が見たこともないほどに近くに映った。
おしつけられたものが風早の唇だと気付くと、
爽子は反射的に風早の体を押し返そうとした
。
しかし、爽子の華奢な体では少年とはいえ
男の体を押し返せるわけもなかった。
思考がどんどん奪われ、爽子は酸欠で頭がぼうっとしてくるのを感じた。
爽子の瞳に涙が滲んだ時、唇はやんわり離れた。
すうっと新鮮な酸素が爽子の中に入ってきた。
- 291 :ヤン早18[sage]:2008/11/27(木) 01:08:31 ID:wONVScW7
- しかしソレを味わう間もなく爽子は再度唇を塞がれていた。
角度を変え、短く繰り返される口づけに爽子は何も考えられずただ、
これなら息がつけるとぼんやり思いながら瞳を閉じた。
その時爽子は口の中にもっと熱くやわらかいものがぬめりと進入してくるのを感じた。
「ふ…んん…っ」
それはにちゃりと音を立てながら爽子を侵蝕するかのように中を這い回った。
ぴちゃぴちゃと水音がやけに耳の中に響く
その熱い塊は少しすると口の中から惜しむように離れ、
爽子がほっと息をすると同時にまた爽子の唇をゆるりとなぞり入ってくる。
そして口の中で縮こまっている爽子の舌をみつけてはそれに絡まり
爽子の中を蹂躙する。
絶え間ない苦しさと共に背中にぞくぞくと熱い痺れが駆け上り、
爽子は滲み出た涙が頬を伝わるのを感じた。
飲み込みきれない唾液が顎を伝わり垂れていく。
何が起こっているかもわからず意識が熱く柔らかいものに覆われた唇と、
自在に動く熱いものに蹂躙される舌に集中していく。
膝はがくがくとして力が入らない。
与えられる熱に頭の芯が痺れるように麻痺していった。
- 292 :ヤン早19[sage]:2008/11/27(木) 01:12:21 ID:wONVScW7
- やがて口腔内からその柔らかいものは引き抜かれ、
冷たい空気が肺を満たした。
「っ…はぁ…ふっ…」
くたっとした爽子は
頬や髪、まぶた、そして再び口唇と顔のあらゆるところに風早の唇を感じた。
思考が麻痺した爽子はぼんやりと
ちゅ、ちゅ、と響く音がなんだか可愛いなあと考えていた。
すっかり力の抜けた体を目の前の体に預けていた爽子の耳に
熱く掠れた声がするりと忍び込んできた。
「爽子…。爽子は俺のだから、他の奴に目をむけちゃだめだよ。」
前半終り 次回より風早視点
- 293 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/27(木) 11:27:17 ID:wv3+Mwjo
- GJ!
ヤン早1−13は、本当に本編の続きっぽくて
ヤン早14からは、いつものココっぽくてちょっとウケタww
すごいイイです
続き楽しみにしてます
- 294 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/27(木) 15:10:14 ID:B3sBvTHW
- GJ!
お待ちしてました!!
黒風イイ(*´д`)
風早視点も楽しみにしてます
- 295 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/27(木) 19:31:28 ID:GOtol+8x
- GJ〜!!
風早病んでんなーw
続きもwktkして待ってます
- 296 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/27(木) 21:05:33 ID:bAUKZ14a
- GJ!!
最高です!!
続き待ってます♪
- 297 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/27(木) 22:45:22 ID:ZxL8FPLq
- 最初はほんとに本誌でありそうな展開すごい
乙です!!
土曜日が待ちきれん
- 298 :名無しさん@ピンキー[]:2008/11/27(木) 22:45:42 ID:rf8nIBWn
- 途中から急展開過ぎてwww
いいよいいよー!
- 299 :名無しさん@ピンキー[]:2008/11/27(木) 22:49:29 ID:mmVY9mDV
- きちゅだけでこんなにエロいなんてww
- 300 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/27(木) 23:22:54 ID:bVsQ3jUQ
- 今日は投下なしかな…
非常に続きが気になるよー!!
待ってます!
- 301 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/27(木) 23:45:42 ID:wONVScW7
- 266です
ヤン早今日は無理そうです
てか8巻(田舎なので今日入手)で解釈変わっちゃったよ\(^o^)/オウノウ>急展開すぎ
自分でもワロタ
- 302 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/28(金) 00:17:36 ID:9oL+d+Wj
- 結婚しに参りました ノシ
ヤン早の続きが激しく気になる……!
投下、楽しみに待ってます!!
>>258、>>263、>>269-270の続き投下
多分、あと一回で終わります。
日が暮れたのはわかるが、現在時刻はわからない。
視界が薄暗くなり、部屋の中にある物の輪郭しかわからない。
かろうじてカバンの携帯電話が、僅かに開いた隙間から
着信を示す光を断続的に放ち、その存在を主張している。
いつまでもこうしている訳にはいかない。
風早は砂袋のように重い体を起こし、部屋の電気をつけた。
眩しさに目を細め、先ほどから自己主張を続ける携帯電話を取り出す。
着信履歴の名前を見て、細めていた目を見開いた。
「黒沼 爽子」
着信があったのは、もう一時間も前だ。
まだ、間に合うだろうか。
焦りと緊張が入り混じった表情で、風早は電話をかけ直そうとした。
が、寸前で躊躇う。
自分が電話をしてもいいのだろうか。
これでお友達宣言をされてしまったら?
お友達ならまだしも「もう、私に構わないで下さい」と言われてしまったら?
嫌な思いが頭を掠めるが、いつかはハッキリさせなければならないのだから、と
自分を納得させ、思い切って発信ボタンを押す。
呼び出し音がいつもより長く感じる。
緊張しているのか、携帯電話を持つ手に汗をかいていた。
『……はい』
今日の昼に聞いていたはずなのに、何故か懐かしい気がした。
声をきくだけで嬉しくて、切なくて、緊張する。
「ごめん、電話くれたのに出られなくて」
『ううん!私こそ、急に電話してごめんなさい』
少し慌てたような爽子の声に、風早の表情が少し緩む。
きっと電話の向こうでは、爽子が必死で手を振っているだろう。
「連絡するために番号とアドレス交換したんだから」
いつでも連絡してよ、という言葉は続けられなかった。
その代わり、いつもと同じ口調で「何かあった?」と聞いてみる。
一瞬の沈黙のあと、少し緊張した爽子の声がきこえてきた。
『その……今から会えるかな、と思って』
特に大きな声で言われた訳でもないのに、やけに鮮明に聴こえた。
今から、という台詞に、部屋の時計を確認する。
六時を少し過ぎたあたりだ。
もし絶交宣言をされても、今日は家まで送り届けようと思いながら
風早は返事をかえした。
- 303 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/28(金) 00:55:27 ID:RRdvhaUc
- wktkし過ぎて気持ち悪い
続き待ってるGJ過ぎる!
- 304 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/28(金) 13:07:53 ID:iYX5NhKj
- ほんとに本編の続きみたいでドキムネすぎる
もはやカルピンの絵でしか思い浮かばん
GJ!同じく続き待ってます
- 305 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/28(金) 18:29:41 ID:CX87Gm4g
- ここってこんなに人いたんだね
結婚式は参列者がいっぱいだ…
- 306 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/29(土) 00:49:29 ID:CuUQz3YJ
- やばい、はげ萌えました…!
黒早に激しく萌えすぎてやばい…!
ちょうGJ!!
- 307 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/29(土) 13:06:45 ID:nKSk/AVE
- 夜勤明けにがんばって書こうかと思ったけど眠くて|ι´Д`|っ < だめぽ
このスレのみなさんに266は最後までキーボードを離さなかったと
伝えてやってください。ごめんね母ちゃんウソツキでごめんね>>302
幸せになろうね
そんなわけでヤン早は日曜日夜にたぶん。
- 308 :名無しさん@ピンキー[]:2008/11/30(日) 14:48:24 ID:ygXp9+TU
- 2chで一番GJ!!
- 309 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/30(日) 19:14:42 ID:E5k6a2nE
- マダー?AA略
- 310 :ヤン早の人[sage]:2008/11/30(日) 19:29:25 ID:WsEb6cdu
- 309タンの召還に答えやってきましたよっと。
例によって携帯経由なので時間かかります。
それと今回うぷ分で終るつもりだったけど無理だったので
中篇ということで。
次回は早ければ火曜深夜。無理なら4日深夜うぷ。
- 311 :ヤン早20[sage]:2008/11/30(日) 19:34:16 ID:WsEb6cdu
- 風早にとって爽子は奇跡の様にきれいで眩しい存在だった。
誤解されても人に手を伸ばす事をやめずに一途に頑張る健気さ、
避けられてもひたすら内省にむかい、人のせいにしない清冽さ、
人間に善意しか見いださない純粋さや
風の匂いや夏の夜の美しさをみつけ愛する豊かで瑞々しい感受性すべてが眩しくて
愛しくてたまらなかった。
だから守りたかったし、自分が一番に助けたいと思っていた。
それがどうも難しい事だと気付いたのは意外とすぐで、
彼女に最初に友達ができて、その友達と彼女が両想いになった頃からだった。
爽子が幸せそうなのが嬉しくて仕方ないのに、
胸に刺さる小さな棘にも気が付いた。
―俺だけの、だったのに。
その時に感じた棘は爽子の世界が広がるにつれて増えていった。
風早の中ではどんどんどんどん爽子の存在が増していくのに、
爽子の中では反比例して風早の存在が小さくなるような気がしていた。
もちろんそれがわがままな独占欲だと自覚してはいたから、
何も知らぬ爽子に押し付けるなんてできないと思っていた。
- 312 :ヤン早21[sage]:2008/11/30(日) 19:42:47 ID:WsEb6cdu
- それを後悔したのは三浦が現れてからだった。
『爽子の世界が広がって
爽子のほんとうを見たら
好きになる奴なんてすぐ出てくる。』
風早は自分の昏い予感に押しつぶされそうな気がした。
ー俺だけの、宝物だったのにー
爽子は予想通り三浦に懐いた。
もともと人の好意に限りなく弱い爽子は他意なく無邪気に、
そして無防備に三浦の好意を受け止めた。
三浦の視線の中には目下の者に対する見下し感が滲み出てはいたが、
常人に比べ極端に悪意の種を持たない爽子は
そんな事気付きもしなかった。
風早は三浦にも苛立ったが、それ以上に爽子に焦れた。
どうして?そんな奴と俺は、同列なの?
…俺が一番じゃないの?
風早は何度もそう問い詰めたい衝動に駆られた。
その暗い独占欲は知らぬ間に風早を蝕んでいった
- 313 :ヤン早22[sage]:2008/11/30(日) 19:50:43 ID:WsEb6cdu
- そしてあの日。
焦れた挙句の告白は見事に砕け散った。
本当は少し期待していた。
二人で過ごした時間には確かに
流れあう温かさを感じていたから。
『俺の好きと黒沼の好きは違うね…?』
祈るような気持ちで聞いた。
否定してほしかった。
けれど彼女の口から漏れたのは
絶望的な肯定の言葉だった。
その時風早の中で何かが砕ける音がした。
その夜はほとんど眠れなかった。
少しうとうとと浅い眠りに落ちた時
爽子が夢に出てきた。
- 314 :ヤン早23[sage]:2008/11/30(日) 19:55:26 ID:WsEb6cdu
- 『風早君、ありがとう、今まで助けてくれて』
助けてたんじゃないよ
俺がただ君に近付きたかっただけなんだ。
『いつまでも風早君は、私の憧れで、尊敬する人だよ』
俺はそんなできた人間じゃないよ
ただ君の特別な人になりたかったんだよ
いつの間にか爽子の側に三浦が立っていた
爽子は三浦を見上げた。三浦はへらりと笑った。
『今まで貞子ちゃんを助けてくれてありがとうなー。
もういいよ、これからは俺が貞子ちゃんを守るから。』
その言葉に爽子もにっこり微笑んだ。
『風早君、今まで本当にありがとう。
風早君のおかげで好きな人とも出会えたよ』
そこでようやく眼が覚めた。
頭が重くて何も考えられない。
ただひりつくような痛みだけが風早を支配していた。
そして爽子からの呼び出しメールを見たとき、
その痛みは鮮明によみがえった。
- 315 :ヤン早24[sage]:2008/11/30(日) 20:02:49 ID:WsEb6cdu
- 呼び出し場所に行くと、爽子はまだ来ていなかった。
風早は校舎の冷たい壁にもたれかかり、
薄曇の空をぼんやり眺めた。
やがて爽子がどこか思いつめたような面持ちでこちらに向かうのが見えた。
『三浦の彼女になんの?』
自分で言っておきながらこの言葉に痛みを覚えて
風早は苦い笑いを抑えられなかった。
そうだとしても俺には何を言う権利も無いんだ。
だって、彼女の口からはっきり俺に対する好意は
恋愛感情じゃないと言われたんだから。
そう思っていると爽子のか細い
でも鈴のような声がその内容とともに風早の心を突き刺した。
『そんなわけない。だって、風早君が大好きだから』
−思わず耳を疑ったけれど、確かに彼女はそう言った。
身のうちから熱いものがせりあがり
思わず爽子に手を伸ばそうとして、止まった。
- 316 :ヤン早25[sage]:2008/11/30(日) 20:05:44 ID:WsEb6cdu
- 黒沼は確かに昨日俺を振った。好きだけど、恋愛じゃないって。
なのにどうしてそんな事を言うんだよ。
気を使ってる?それとも同情?
俺のことは恋愛感情で好きじゃないんでしょ?どうして?
黒沼は嘘つかないから昨日言った事は嘘じゃないよね。なのにどうして?
…期待させてまたひらりと逃げるの?
風早は生まれてはじめて自嘲の笑みを浮かべた。
黒沼は綺麗だもん、
綺麗だから俺みたいな醜い独占欲なんて知らないだろ?
黒沼は綺麗で清潔で残酷だ。
風早の中を混乱と焦燥と独占欲が支配した。
どうしても目の前の爽子に触れてみたくてそっと手を伸ばした。
まず頬に触れた。
その滑らかな白い肌はまるで吸い付くように触れ心地が良かった。
徐々に指は艶やかな黒髪と瞳を辿り、頬に戻り、
そして小さいけれどふっくらした唇に触れた。
爽子の切れ長の大きな眼が風早を見つめた。
- 317 :ヤン早26[sage]:2008/11/30(日) 20:10:14 ID:WsEb6cdu
- そんな無防備な顔してちゃだめだよ、黒沼。
きれいすぎるうちは俺から遠いから
だから近づけないと。
だって、黒沼は俺の、だから。
風早は爽子の華奢な体を押さえ込んでその淡い桃色の唇を貪った。
…風早にとって爽子は世界で一番きれいで清潔な存在だった。
触れることをためらうほどにきれいで清らかで愛しい存在だった。
口付けしたときそのきれいなものが体の中に流れ込んでくる気がした。
そのきれいな淡い光は指先まで泡のようにひろがってはじけ
体中が幸福感で満たされた。
- 318 :ヤン早27[sage]:2008/11/30(日) 20:15:14 ID:WsEb6cdu
- 長い口付けの途中に爽子が苦しそうな様子になるのに気付いてそっと唇を外した。
爽子はふぅっと長い息をはいた。
それをみはからいもう一度こんどはやんわりと角度をずらして口付けた。
爽子が呼吸できるように角度を変えながら短い口付けを繰り返した。
爽子がほっとしたように眼を閉じた。
それを見たとき風早は体中が熱くなった。
−うけいれてくれてる。
そう思うとたまらなくなって爽子の唇を舌でこじあけてそのままそれをねじ込んだ。
爽子の中は熱くて良い匂いがした。
くらくらと眩暈すら覚えながら口腔内をむさぼり愛しい子の舌を探した。
中で縮こまるそれをみつけ、絡めるとその柔らかさに気が遠くなりそうだった。
もっともっとと餓えたように蹂躙した。
何度かそれを繰り返すうちに頑なだった爽子の唇は
ほんのり舌でなぞるだけで風早の乱暴な舌を受け入れるようになった。
- 319 :ヤン早28[sage]:2008/11/30(日) 20:19:19 ID:WsEb6cdu
- 「…ん…んんっ…ふ…っ」
短く爽子から漏れる甘い吐息に風早は熱病のように思考が麻痺していく
ああ、黒沼って全部甘い。
唇も舌も熱い息も唾液すらも甘い。
やがて力の抜けた爽子の華奢な体は
風早の体にすっかりその身を預けてきた。
風早は甘さの残滓を舐めつくすかのように
爽子の顔のあらゆるところに口付けを繰り返した。
爽子はもはや思考することを放棄したようにぼんやりし、
熱に溶かされた潤んだ眼で風早を見た。
風早は爽子の細い腰をしっかりと片手で抱きながら爽子の耳に囁いた
「爽子…。爽子は俺のだから、他の奴に目をむけちゃだめだよ。」
(後編へ続く)
- 320 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/30(日) 20:41:48 ID:iBD1jgOr
- GJ!!
切なくて涙が出そうになりました
- 321 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/30(日) 20:44:50 ID:jjuFJkQc
- GJGJ!!
黒風が痛々しいくらい可哀想だ…。
後編も楽しみにしてます!
- 322 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/30(日) 21:13:25 ID:E5k6a2nE
- 309ですありがとー!
文才あるよね続きが待てん
- 323 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/11/30(日) 22:56:37 ID:OB3KzJc+
- GJ!
らぶらぶものが好みなはずなのにすごい切なくてきゅんきゅんした!
後編、楽しみにしてます!!!
- 324 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/01(月) 00:55:21 ID:AWkWWXnz
- GJ!
後編正座して待ってます!
- 325 :ヤン早の人[sage]:2008/12/01(月) 01:09:40 ID:B7Z+/JWL
- |д゚)コッソリイウナライマノウチ…
今続き書いてる(UPは先述どおり後日になります)
最初に宣言しとく
エロいというよりしつこくねちっこい
そして無駄になげえ。レス大量消費ごめん。
- 326 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/01(月) 01:46:27 ID:3czWeN4J
- 風早の気持ちが痛いほど、手に取るように分かりやすい文なのに説明臭くない。文才あるよー。面白い。GJ!
- 327 :名無しさん@ピンキー[]:2008/12/02(火) 16:43:47 ID:APh23eNK
- 相当GJだな
- 328 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/02(火) 20:32:34 ID:6athhpfu
- マダー?wktk
- 329 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/03(水) 00:05:41 ID:zrD7si+k
- 気になって眠れない…
ワクテカしすぎて眠れない…
- 330 :ヤン早の人[sage]:2008/12/03(水) 00:34:08 ID:KZjzS+Sx
- もうちょっとかかります。2時くらいまでかな
総レス数はあと10〜15レスくらい
もし待ってくれてる天使がいたとしても明日早い人は寝てください
それとミスター爽やか風早王子が変態親父化しました
ごまんなさい
- 331 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/03(水) 00:36:53 ID:yymNF9nQ
- おぉ〜wkwkしてまってます
- 332 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/03(水) 00:37:47 ID:eOaR8qft
- wktkしながらまってますvv
- 333 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/03(水) 01:49:46 ID:etUSYqsj
- あと少し……
wktkが止まらない
- 334 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/03(水) 02:10:32 ID:eOaR8qft
- まだかなまだかな
wktkwktk
- 335 :ヤン早の人[sage]:2008/12/03(水) 02:15:32 ID:KZjzS+Sx
- 遅れてスマ
例によって携帯経由なので時間が(ry
エロすも中途半端だけど深夜のおつまみにどぞ。
さ、はじめるざますよー
- 336 :ヤン早29[sage]:2008/12/03(水) 02:18:33 ID:KZjzS+Sx
- 俺のことで頭いっぱいになればいいのに
そう思いながら風早がちゅ、ちゅと何度か頬やまぶたに口付けると、爽子はぼうっと潤んだ眼で短い息を繰り返した。
やっべ、めちゃエロイ…
風早は初めて見る爽子の官能的な顔に煽られて、
そのまま押し倒したい衝動に駆られた。
「かぜはやくん、やめっ…んんぅっ…!」
爽子の唇をもう一度貪り、やんわりと舌を入れると持ち主の意に関係なくなじんだ
柔らかな舌がマシュマロのような柔らかさで触れてくる。
乱暴に暴れまわるのではなく優しくなだめるような動きを繰り返すと
その舌は生き物のように風早の舌に絡んだ。
そっと引き抜くと光る唾液がつぅっと糸を引いた。
はぁ…と熱い息をひとつついて風早は爽子に囁いた。
「しょーた。」
涙の滲む大きな黒い瞳を、え、というように向けた
爽子の耳たぶを風早は柔らかく食んだ。
「…ひぁっ…んっ」
甘い嬌声は風早にどんどん火をつけていく。
耳の淵をとろりと舐めると爽子は身を小さく震わせた。
- 337 :ヤン早30[sage]:2008/12/03(水) 02:23:20 ID:KZjzS+Sx
- ウサギみたいだな…。
その小動物めいた反応に嗜虐心が煽られる。
「しょーたって言って。風早、じゃなくて。」
言うなり風早は爽子の細い首筋に唇を落とした。
ちゅ、と音がするほどに強く吸うと真っ白な肌に鮮やかな華が咲いた。
泣きそうな顔で弱々しく風早の体を押し返そうとする爽子に
嗜虐心はいよいよ煽られた。
そっか、いじめてるあいだは、この子は俺のことしか考えられないよな。
「そんな弱く押し返してもだめだよ。」
そう言うと風早は爽子の右手を自分の左手で絡めとった。
指の間に丁寧に一本一本指を絡め、
そのまま校舎の壁に縫い付けるように爽子の体を押し付けた。
抗議の言葉が出ないように唇は唇で塞いだまま。
爽子の抵抗が弱まるともう一度首筋へ唇を落とした。
「…あ…っん…!!」
自分の甘い声に羞恥心が煽られるのか爽子は真っ赤になり瞳を伏せた。
「爽子、可愛い…。」
爽子は風早の掠れた低い声にびくん、と体をはねさせ、
そして子供のようにいやいやと首を振った。
「かぜは…くん、おねがい、やめ…」
風早は爽子の耳たぶをもう一度軽く甘噛みしながら拗ねたように言った。
- 338 :ヤン早31[sage]:2008/12/03(水) 02:27:07 ID:KZjzS+Sx
- 「しょーた、って言ってってば。爽子、ずるいよ。」
そう、俺ばっか好きにさせてずるい。
風早は耳の中に舌を差し込んでぐちゅりとかき回した。
「んぁああん…っやぁ…っ!!」
その刺激にブルブル震えて爽子は風早にしがみついた。
泣きそうな顔なのに、どこかうっとりしたような眼で小さく喘ぐ爽子は
見たこともないほど淫らな印象を与えた。
風早はたまらなくなって爽子の小さな胸にそろそろと触れた。
そのまま服の上からやわやわと愛撫するとびくびくっと爽子の体がその度震える。
「ん…んく…っや…、だ…めぇっ」
「だめ…?ほんとに?」
風早の問いに答えられるはずもなく爽子はぽろぽろと泣きながらただ首を振った。
「やめてほしい?」
こくこくと爽子は小さく頷いた。
「しょーたって呼んだらやめてあげるよ。」
その言葉に朦朧とした顔で爽子は風早をみあげた。
「しょ…―た、くん、やめて。」
- 339 :ヤン早32[sage]:2008/12/03(水) 02:32:52 ID:KZjzS+Sx
- 爽子の唇から自分の名前が出た瞬間、風早の熱がぐんと質量を増した。
もっと呼んでほしい。
とろりと蜜を塗った様なその甘い声でもっと俺の名前を呼んで。
優しい愛撫をする余裕がなくなり風早は思わず爽子の胸を強く掴んだ。
「…!っいたっ…!」
その声に風早はぴくんと手を止めた。
傷つけたくない思いと、傷つけて独占したい想いが入り混じる。
風早はするりと薄い夏服のあいから手を差し込んだ。
風早の掌に爽子の汗ばんだ肌が吸い付いた。
そっと手を上に持っていくと薄いレースが指に触れた。
そして控えめなふくらみがそれに包まれている。
風早は左のふくらみに指を差し入れ、その頂に触れた。
瞬間爽子の体がびくんっと大きく跳ねた。
- 340 :ヤン早33[sage]:2008/12/03(水) 02:38:04 ID:KZjzS+Sx
- 「あっ…ああんっ…ぅ!!」
爽子は無意識に風早の体にしがみつく力を強めた。
風早はやんわりと二本の指で挟んだり転がしたりして愛撫を続けた。
「あ、あ、あっ…んんっ」
爽子は細かく震えながら甘く小さな喘ぎを繰り返した。
風早の手の中で爽子の胸の頂が形を変え、ぴんと起ってくるのがわかる。
「爽子、めちゃくちゃ色っぽい…かわいい…」
夢に浮かされたように風早は呟いた。
風早の熱い吐息と囁きに爽子はぴくんと体を動かし、またいやいやと首を降った。
まだ、俺のになってくれないの?
風早は泣きたいような気持ちで爽子に復讐したくなる。
黒沼は、そうやってきれいなままで俺から逃げようとするんだね。
風早は愛しくてたまらない爽子の純粋さが、二人を隔てる壁のような気がした。
黒沼も俺と同じくらい汚れればいいんだ。
- 341 :ヤン早34[sage]:2008/12/03(水) 02:40:59 ID:KZjzS+Sx
- 風早は爽子のブラウスのリボンをしゅるんと解いた。
そのままボタンをプチプチと外すと淡いブルーの下着に包まれた
爽子の真っ白な胸が露わになった。
「きゃっ…」
反射的に胸を隠そうとする爽子の両腕をひとつにまとめ、
校舎の壁におしつける。
空いたほうの手で爽子のブラジャーを上にずらす。
「あっ」
控えめだが形の良い白い乳房がふるりとこぼれた。
恥ずかしさのあまりか爽子は声も出ない様子でぽろぽろと涙を零し続けた。
風早はその痛々しい姿にちり、と胸が痛むのに
同時に爽子が自分の事で泣いている事実にどうしようもなく興奮してしまう。
「爽子のおっぱい、ちっちゃくて可愛いね。」
風早はわざと下卑た言い方で爽子に囁いた。
爽子は羞恥のあまり消え入りそうな表情で紅く染まった顔を伏せた。
しかし伏せたはずの顔が、再度の強制的な口づけで挙げさせられた。
- 342 :ヤン早35[sage]:2008/12/03(水) 02:46:16 ID:KZjzS+Sx
- 「だめだよ。眼を伏せちゃだめ。ちゃんと俺のこと見て。」
爽子は荒い息を吐きながら涙の残る眼で風早を見上げた。
風早は無意識に爽子の腕を掴んでいた手を外し、爽子の眼の淵に触れた
ほんとにきれいな眼
黒沼がきれいなものばかりみつけるのは、きっとこの眼がきれいだからだ。
この子の世界はきっときれいなものでいっぱいなんだろうな。
軽い抵抗を体に感じて風早が眼を向けると
爽子が細い手で懸命に風早の体を押し返そうとしている。
風早はくすっと笑ってその手を掴んだ。
「か…ぜはやく…」
「しょーた、だってば。」
爽子は怯えたような眼を風早に向けた。
「爽子はずるいな。…お仕置。」
そう言うと風早はカリッと爽子の左手の小指を噛んだ。
痛みに思わず顔をしかめた爽子に風早は満足そうに微笑んだ。
- 343 :ヤン早36[sage]:2008/12/03(水) 02:51:41 ID:KZjzS+Sx
- 「誰かから聞いたことがあるんだけどさ、
運命の恋人同士は赤い糸で結ばれてるんだってさ。」
風早は独り言のように言ってから、爽子をみて昏く笑った。
「爽子は、信じる?でもさ…あったとしても、
今噛んだからきっと切れちゃったよね。」
−おれのほかのだれかとつながってる糸なんてきれてしまえ。
爽子がこく、っと息を飲むのが見えた。
そしてその下の白い胸が息遣いにあわせて上下するのも。
無垢な白い肌。
俺と黒沼とを隔てる、きれいな壁。
風早は優しく微笑んだ。
しかしその笑顔はいつものように爽子に絶対的な幸せをもたらす
温かなものとは程遠かった。
「ああ、そっか。
名前…つけてなかったから、三浦なんかに目ぇつけられちゃうんだ。
ごめんな。きちんと書いとかないと。」
「な…まえ?」
風早は爽子の胸にちゅ、と音を立てて吸い付いた。
そしてそれを繰り返すと爽子の白い肌にいくつもの赤い花弁が散った。
「んっ…あぁ…っんっ」
肌に吸い付くたびに爽子は小さな喘ぎをもらし、
その声に恥ずかしげに頬を染めた。
- 344 :ヤン早37[sage]:2008/12/03(水) 02:55:26 ID:KZjzS+Sx
- 風早は白い胸の桜色の先端をやんわりと口に含んだ。
「!!ぁあああっ」
強すぎる刺激に爽子の体ががくがくと震えた。
「黒沼の味がする。」
風早はちゅぷちゅぷと音を立てるようにしながら
それを転がすように舐めたり甘く噛んだりした。
爽子は体の力をまったく入れることができず、風早の腕だけが爽子を支えていた。
「爽子、立ってられないんでしょ?」
爽子も既に思考はほとんど働いていない様子でこくこくと小さく頷いた。
風早はだらりと力を失った爽子の腕を自分の背中に回させた。
「じゃあ、つかまってなよ。」
その言葉にむしろほっとしたように、爽子は風早にされるがままになっていた。
しかし次の瞬間爽子の体がびくんっと強くこわばった。
風早の手がするっとスカートの下からさしこまれ、太腿をするすると撫で上げたかと思うと下着の中にまで進入してきたからだ。
「ああっんんっ…やっおねがっやめ…あぅっ…」
- 345 :ヤン早38[sage]:2008/12/03(水) 02:58:44 ID:KZjzS+Sx
- ちゅぷりと音を立て、風早は爽子の泉に指を浅く差し込んだ
風早は傷つけないよう柔らかく優しくなだめるように指の腹でそこを撫でる。
「すごい…濡れてる。」
風早は熱い息で囁くと爽子の耳を甘噛みした。
ただでさえ強すぎる刺激で半ば意識が朦朧としている爽子には
もう理性の声は聞こえなかった。
風早はゆっくりと指を動かした。
爽子は必死で風早にしがみつき、腕の力をこめた。
「あっあっ…あぁんっ!ぅあっあっ…かぜはやくんっあ…っ」
短く繰り返す荒い息と甘い喘ぎの中に自分の名前がまじっていて
風早はくっと息を呑み込んだ。
声だけで、達きそう…だ。
風早は爽子の中から指を引き抜くと、自分の背中にまわる爽子の腕を外した。
そしてうっとりとした眼で朦朧と風早を見る爽子に熱く掠れた声で囁いた。
「爽子、も、触って…?」
そう言って爽子の手を自分の熱に導いた。
「…んっ」
爽子の細い指が微かに触れただけでそこが痺れるように甘く疼いた。
風早は小さく息をつめ、そして吐いた。
- 346 :ヤン早39[sage]:2008/12/03(水) 03:02:11 ID:KZjzS+Sx
- 風早はその時確かに幸せだった。
しかしそれは絶望の中の刹那の幸せだとどこかでわかっていた。
不安と絶望と焦燥がよってたかって殺したはずの風早の理性は
それでも微かな声をあげていた。
くろぬまがおれのことだけみてる(黒沼に嫌われた)
だからもうくろぬまはおれの(違う、俺のじゃない)
このてをはなさなければいい(俺のじゃないのはわかってる)
だからおれいがいはみないで(だけど今だけ触れさせて)
爽子。
爽子。
爽子。
おれの
爽子。
爽子の白い柔らかな胸に祈るように風早は口付けを繰り返した。
その時風早の首筋に冷たい雫があたった。
見上げると爽子がはらはらと…
涙を拭おうともせずにはらはらと泣いていた。
それまでの羞恥によるものとは違う、絶望的な痛みを浮かべた涙だった。
見ているものまで哀しくなるような泣き顔に、風早は苦しそうに言った。
「泣くほど、俺が嫌…?」
ごめん、でも止められない。
手をはなしたら、もうにどときみは俺をみてくれない。
だからはなせない
- 347 :ヤン早40[sage]:2008/12/03(水) 03:06:25 ID:KZjzS+Sx
- 「違う…。」
爽子はゆっくりと言った。
それは風早に言うというより、
自分の内を確認するような独り言に近いものだった。
そして言葉は徐々に切実な色を帯びた。
「違うの。風早君が泣いてるのが哀しい…。苦しいの…。」
風早は言葉を失い、爽子を呆然と見た。
そしてその言葉ではじめて自分が泣いているのに気が付いた。
風早はせがむように爽子の細い体をかき抱いた。
「…っごめん、黒沼、ごめん…」
そしてそのまま壊れ物のように爽子の体をそぅっと離した。
風早はそのまま崩れるようにしゃがみこんだ。
できうるならそのまま消滅してしまいたかった。
- 348 :ヤン早41[sage]:2008/12/03(水) 03:14:22 ID:KZjzS+Sx
- 爽子の側の空気が動いた気がして、風早がそっと目を向けると、
爽子もしゃがみこんで風早の顔をのぞきこんでいた。
「…ごめん、謝って済まされることじゃないのはわかってるけど、
もう黒沼の好きにして良いから。」
「好きにって…?」
「どんな罰でも受けるから。…消えろっていうなら、もう二度と顔見せない」
学校を辞めるのは難しそうだけど、
黒沼が望むならそれも仕方ないかと風早は思った。
それで済まされないくらいの事を自分はしたのだ。
どんな償いでもするつもりだった。
しかしその時の風早は失うすべての何よりも
爽子の顔をもう二度と見る事ができないことがひたすら哀しかった。
「いや…。」
爽子はほろほろと眼を見開いたまま泣き出した。
「くっ黒沼!?」
風早の予想した罵倒の言葉ではなく、意外な言葉が爽子の口から漏れた。
- 349 :ヤン早42[sage]:2008/12/03(水) 03:19:15 ID:KZjzS+Sx
- 「やだよ、顔見れなくなっちゃうの、やだよぉ…」
爽子はいよいよ子供のようにわあん、と泣き出した。
風早も焦って子供をあやすように言った。
「黒沼がそうしてほしいって言えばだよ!」
「い、言うわけない…!絶対、いや。どこにも行っちゃ、やだよぅ。」
しゃくりあげながらも爽子は風早を真っ直ぐに眼をむけた。
『私が風早君を嫌いになる事なんて絶対にないよ』
いつかの爽子の言葉が風早に息吹を吹き込んだ。
愛おしさに胸が熱くなる。
ひっくひっくと泣きじゃくる爽子に風早はゆっくりと口を開いた。
「−俺、そんな事いったら、勘違いするよ…?」
「…え」
「期待、したくなるから。だから、逃げるんならいまのうちにして。」
涙の残る眼で風早をきょとん、と見ながら爽子は首を傾げた。
「逃げる?」
「たぶん、俺、我慢できないから。」
一度彼女に触れてしまったからにはもう抑えがきかない。
そんな自覚が風早にはあった。
- 350 :ヤン早43[sage]:2008/12/03(水) 03:22:35 ID:KZjzS+Sx
- 「我慢、しなくていいんなら、どこかに行ったりしないの…?」
少したじろいだ後風早は微かに頷いた。
爽子はふっと表情を緩め、泣き顔を残したまま花のように笑った。
「じゃあ、我慢しないで。」
風早はもう一度ちいさくあ〜とうめいて頭を抱えた。
「…だめ、もう、限界。」
言うなり風早は爽子の小さな唇にそっと自分の唇を重ねた。
さっきの熱をもった深い執拗な口付けとは違う優しい、
そよ風みたいな口付けだった。
風早は泣きそうな顔で笑った。
「側にいると、こういうことしたくなるから。」
爽子は紅くなって俯いた。
さっきはこんな軽い口付けなどよりもっと激しい事をされたのだが
変わらず爽子らしい純情な反応だった。
- 351 :ヤン早44[sage]:2008/12/03(水) 03:30:06 ID:KZjzS+Sx
- 「だから、逃げた方が…」良いと言おうとして風早は口を噤んだ。
震える小さな唇が風早の唇に重なり、刹那に逃げたからだ。
それはほんの一瞬の口付けだったが、風早には永遠に思えた。
呆然と爽子をみつめると爽子の真っ白な肌は湯上りみたいに
見えてるところすべてが桃色に染まっていた。
爽子は風早の視線にもう一度俯いた。
漆黒の髪からのぞく白い首筋までも桃色に染まっている。
爽子は俯いたまま羽のように小さな声で囁くように言った。
「…あ、あの、じゃあ、側に…いてほしい…です。」
終業のベルが鳴った。
「さわこー、矢野ちんかえろー、てかラーメンたべてこー」
「いい、太る。あんたのその燃費の悪い体に付き合ってられん」
つめてーなー矢野ちんのえすっこーなどと言う千鶴の嘆きを聞きながら爽子も言った。
「あ、私、花壇見てくるから…」
新しい種類の薬草を植えたばかりなので…との爽子の言葉に
千鶴はあっさりと答えた。
「そっか。じゃあ、待ってるよ」
じーん、と感動する様子をみせながら爽子はうんと頷き、
待っててねーと小走りで駆けていった。
- 352 :ヤン早45 終わり[sage]:2008/12/03(水) 03:33:54 ID:KZjzS+Sx
- そこにひょこんと明るい声が飛び込んだ
「あれ、黒沼は?」
「あー?花壇に行ったよ。薬草見てくるって。」
あそこ貞子ガーデンっていってなんか観光名所みたいになってんだぜーと
千鶴とあやねが笑いあってると風早はサンキュと短く言って風のように走っていった。
「…何あれ。」
「ああ、風早、爽子のおっかけだからね。ほら。」
王子様たいへーんとか笑いながらあやねが目線でさした先には窓から、
花壇の様子を見る爽子と駆けつけた風早が仲よさげに笑いあっているのが見えた。
「…ピンじゃなくても邪魔したくなる甘さだね。」
「まあいいけどね…爽子も幸せそうだし。」
半ば呆れ、半ば微笑ましく見守る爽子の二人の親友は次の瞬間固まった。
「…見た?」
「…うん。」
二人の視線に気付かなかったのか風早は周囲に人がいないのを確かめるように
少しキョロキョロすると爽子の頬に素早く口付けを落としたのだ。
「やっぱ、スケベだあいつ。だから髪が早く伸びんだよ。」
千鶴の呆れたような呟きにあやねは心の底から同意した。
<終わり>
- 353 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/03(水) 03:37:19 ID:eOaR8qft
- GJ!GJ!!GJ!!!
すごく萌えました。胸きゅんでした!!黒早のえろさにきゅんきゅんでした!!!
素晴らしい萌えを有難うございました!!!
- 354 :ヤン早の人[sage]:2008/12/03(水) 03:40:01 ID:KZjzS+Sx
- 以上です。
書くのと、UPに予想以上に時間かかってあいすまぬ。
そして風早よ、普通にスケベ程度の君を変態親父レベルにしてすまぬ
皆様おつきあいありがとうございました。
- 355 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/03(水) 12:34:50 ID:yymNF9nQ
- GJGJ!!!
- 356 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/03(水) 13:54:27 ID:MknWtyJK
- もうGJすぎます…!
本編でも二人がうまくいくのを願いつつ読ませて頂きました
- 357 :名無しさん@ピンキー[]:2008/12/03(水) 17:33:44 ID:UDzdRSAW
- GJ。。。本編もこんな感じになりそう。
- 358 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/03(水) 21:55:13 ID:SETOM8A3
- GJGJGJ!!!
続きも書いてくれないかな…
最後まで見た過ぎる
- 359 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/03(水) 22:48:39 ID:yymNF9nQ
- 神キター
- 360 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/04(木) 21:27:32 ID:twXFxcNO
- 流れ切ってアレだが、君届の女キャラに似合うエロシチュを考えてみた。
基本爽やかピュアキャラばっかりだからHを想像しにくいけど
風と爽はSとMカプだからwやっぱMシチュが似合う
個人的には爽子の色白の肌に赤い紐などが映えると思うので
緩く縛る、手を拘束などのシチュを見たい。
黒髪を乱しながら涙眼で「やめて」とか弱々しく言ってほしい
やのは女王さまっぽい正直踏まれたい
ちづは想像つかん。正直爽以上にエロむずかしいよ
くるみはヘタレ天然(爽の男版みたいなん)に恋をして焦れて逆レイプすれば良いと思う
- 361 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/04(木) 21:55:56 ID:8ipFMcGt
- あー縛るのいいかも
なんか本当、爽子ってどんなことされても許しそうだよなあw
本誌で黒風降臨してくれたおかげでこんな妄想まで出来るようになったよ・・・
- 362 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/04(木) 21:58:36 ID:URaqOmsP
- 龍ちづは今妄想中だから、ちょっと待っといて
- 363 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/04(木) 22:19:33 ID:IczRDSzK
- 原作がピュアすぎてエロパロは無理とか言ってたのにこの盛り上がりはなんだw
自分も縛りプレイちょっと読んでみたいかも
ところで風早がSってのは確定なんだw?
>>362
お待ちしてます
- 364 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/04(木) 22:20:20 ID:twXFxcNO
- >>361
そうそう なんか爽子って仙女っぽいっつーか寛恕の塊みたいな
とこあるからさ。特に大好きな風早相手ならゆるりと何でも許しそうなw
ピンあたりに余計な事吹き込まれてHな事を練習してくんないかな
風もヘタレSで苛めてる最中は夢中だけどあとで罪悪感に悩まされる
ちゅうのが萌える。
爽子の清らかさは尋常じゃないからこそ汚す事に背徳感があって
あれだけ純情な子なのに激しいエロスを感知する
>>362
待つよ待つ待つ!
- 365 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/05(金) 01:20:51 ID:bn5mIhIa
- >>352
爽子が風早に恋をした場所でハッピーエンドってのがいいですね!GJ!!
- 366 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/05(金) 06:53:43 ID:mNyxnSC8
- >>363
ほんとだよね。それが理由でスレ二回落ちたのに。
神降臨に感謝
- 367 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/05(金) 16:22:12 ID:MClx3OGv
- 空気読まずに呟き
上のほうのレスで二次創作とエロパロの違いについて触れてる
レスがあったね。
どっかで見たんだけどエロパロには萌えるエロと抜ける(ぬっちゃけ
オナヌ用)エロがあるのだそうな。
前者はエロのある二次創作という感じかな。
このスレは前者のが需要多そう。爽子で過激なエロ(陵辱もんとか
ハードSMとか)もできんことはなさそうだけどね。
その辺スレ住人的にどうよ。後者は需要あり?
自分は爽子が可愛くて仕方ない方だから爽子可哀想系エロは書けんけどね
- 368 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/05(金) 19:59:34 ID:1EqyycPd
- 自分もいわゆるラブエッチ?の方が好きだけど、>>360が言うような話もそれはそれで楽しむだろうから
投下してくれる職人さんがもしいるのならあってもいいと思う。
でも原作が王道ピュアだから過激なのは受け付けられない人も多いだろうし、
鬼畜凌辱その他特殊な傾向は注意書きを徹底すべきだろうけど。
と、あくまで一住人の個人的意見。
実はネタ的な雑談でも耐えがたいって人も多いんだろうか…?
- 369 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/05(金) 20:10:38 ID:sVYXBWuL
- 最終的に爽子が風早に愛されていれば、
鬼畜でもハードでもOK
- 370 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/05(金) 22:03:13 ID:a0ifxjDZ
- 同じく愛があれば良いと思う。
そして、ちょっと読んでみたいと思う自分がいる…
- 371 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/05(金) 22:26:01 ID:z8udnR8X
- 愛ゆえに、とか嫉妬のあまり酷くしてしまうとかなら全然オッケー。
むしろ黒風はそれがいいw
爽子をモノのように扱ったり、痛いだけとかは嫌かな
- 372 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/05(金) 23:03:19 ID:MClx3OGv
- 嫉妬魔王黒風降臨も大好きですがw
どうしても自分の中では挿入までいけん
風早にとって爽子は聖域というか、卒業までは、とか
無駄な我慢してそうなイメージがw
寧ろケントとかのが陵辱ならありそうだなあー
いつのまにか爽子にマジ惚れしてたのに
風早とくっついちゃって、なのに爽子は無邪気にケントに懐いてる。
そんなに無防備なのはひどいんじゃない?みたいな感じで。
爽子かわいそ系エロだけど
あと爽子は努力家だから風早のためにエロ勉強をして、実践みたいな
爽子積極系はどうだろう
そんなわけで3つほどネタがあるわけだが書ければ投下します
1)嫉妬魔王黒風様による華麗なるSMショー、ただし寸止め
2)そんなに無邪気だと食べられちゃうよ仔ウサギちゃんなケント師匠の陵辱もの
3)私がんばるよ風早君、あなたがすきだからーしぬほどーの爽子積極エロ
これ先に書いてってのがあったら教えてくれると嬉しいです
誘い受けしちゃうけどモチベがあがるんで
- 373 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/05(金) 23:27:45 ID:sVYXBWuL
- わぁ全部いいなぁ!
今までにない、3番爽積極的がいいです!
「風早くんが喜んでくれてる」
「役に立てた」
と純粋に喜びつつ、かなり積極的な爽がみたいです
でも1と2もみたい。
2で危うく健人に犯されそうになって、
嫉妬に狂った風がお仕置き(もちろん愛のある)で1というのはどうでしょう?
- 374 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/06(土) 00:02:53 ID:uX2qnd/a
- 全部いいなー
>>373 のやつもイイ
- 375 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/06(土) 01:00:30 ID:uX2qnd/a
- 連投ごめん
今日きゅんきゅんしてる間に一つできたから置いてきます
一応、途中までは黒風なのかな?
自分にノーマルカプがかけるとは思わんかった
しかもこれで書き上げたの2つ目だから拙いけど、他の職人さんに感謝をこめてドゾー
- 376 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/06(土) 01:01:25 ID:uX2qnd/a
- ▼<爽子side>
見慣れた机、ちょっと毛羽立ったカーペット、どこか懐かしい匂い、少しずつだけどこの場所に慣れてきた自分に喜んでいたのに。
知っているはずのこの部屋を西日がくっきりと半分に隔てる。
照らされた自分側と、この部屋の主である風早くん側。
向こう側だって同じ部屋で見知った場所なのに。
ここは、あの人はだれだろう?
友達から彼氏・彼女になれた時、風早くんの隣にいてもいいよって言ってもらえた気がした。
涙が止まらないぐらい嬉しかったのが今から3ヶ月前の桜が散る頃だった。
いつでもそうだ、
「いっしょに帰ろ?」
「…うち、寄ってく?」
誘ってくれるのは風早くんので。
今でも緊張や戸惑いはするけど、やっと、やっと誘われても素直に頷けるようになったのに。
今日もそういう、いつも通りの夕方だと思ってた。
<風早side>
友達から彼氏・彼女になれた時、黒沼の笑顔がぜんぶ自分のものになった気さえしてた。
嬉しくて嬉しくてどーしようもなっかた。
桜がきれいで、笑ってくれた黒沼もきれいだった。
もう何度目か分からない誘いにも、頬を染めながら少しうつむき加減で頷いてくれる俺の彼女がもう愛おしかった。
でも今日は違うんだ。
ぜんぜん違う。
真っ黒で、こんな自分は俺だって知らない。見たこともない。
知りたくないのに、…抑えられない。
- 377 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/06(土) 01:03:29 ID:uX2qnd/a
- 「爽子」
陰った場所からそう呼ぶと、黒沼の肩がビクッと揺れた。
日差しの中でカーペットの上に座る黒沼
いつもなら嬉しそうに振り向いてくれるはずの顔に、たくさん不安の色が見える。
自己嫌悪。
でもそんな気持ちじゃ今の自分は変えれない。
俺を変えるのはいつも、君だけ。
「…風早くん…?」
「名前で呼んで。」
抑揚の無い声が静かな部屋に響く。
俺の声ってこんなんだっけ?
「っ!…ごめん…、翔太くん…大丈夫?」
「なんで?」
視線が外れる。
出会ったときはただ顔を上げて欲しかった。一緒に前を向いて欲しくて。
でも、今は違う。
俺をちゃんと見てよ。君が思うほど綺麗でもなんでもない。
「なんだか…いつもと違うから…。」
ただのちっぽけな男なんだよ、黒沼。
「そうかな?」
俺の回転椅子がきぃっと鳴る。
「爽子。…キス、して?」
「えっ!?」
困っているのを見るのは好きじゃない。
でも今は嬉しい。もっと困って。
「…う、ん…」
ゆっくりと立って黒沼が近づいてくる。
俺の頬を包む震える手が赤い。
目はもう瞑っていて、上から降りてくる黒沼の揺れる睫をただ見てた。
キスは本当に一瞬、触れるか触れないか。
でも絶対にしてくれないと思ってたから正直びっくりした。
…俺の顔もぜったい赤い、今日は死んでも見られたくない。
「今日」
少し視線を下げて目の前にある二つの小さな手を握る。
「親遅いんだ、弟も部活でまだまだ帰らない。……する?」
迷わないで。
えらんで。
「嫌ならいいんだ。」
「嫌じゃないっ。…嫌じゃ、ないよ。」
- 378 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/06(土) 01:04:37 ID:uX2qnd/a
- 握っていた黒沼の両手を机横の自分のベッドへ強く導く。
崩れ落ちるように自分ごとベッドへ身を任せるとマットが大きくしなる。
黒沼は驚きからだろう。声も出せずにじっとしている。
今までこんな風に黒沼を扱ったことなんて一度もない。
「翔太くん?」
何も言わない俺に不安になったのか、黒沼はうつ伏せのまま上半身を上げ顔だけをこちらに向けようと身を捩る。
俺はそのまま背後から被さるように黒沼の細い背中へ顔を埋める。
「だめ。こっち向かないで。」
見ないで。
黒沼の返事も待たないで、両手を前に回し素早くブラウスのボタンを外す。
前をはだけさせ襟元を掴むと一気にずらすが、肘に引っかかりブラのホックがやっと見える程度だ。
恥ずかしそうに漏れる吐息を聞きながら、長い髪の隙間から見える白い首もとに噛み付く。
「あっ!」
下から上へ舌を這わし甘噛みしながら、ブラの上から小ぶりな胸をやわやわと揉む。
「ん…ふっう…」
初めて触れる乳首がすでにブラの中で窮屈そうなのが両の指先から伝わる。
「感じた?…ここ。」
俺の意地の悪い笑いを含んだ言い方に、白い背中や肩、首もとが淡く染まる。
首もとから小さなキスを幾つも降らせ、ぴくぴく震える黒沼を見つめる。
表情は見えないけど、仰け反る後頭部から想像がついた。
- 379 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/06(土) 01:06:20 ID:uX2qnd/a
- 「ぁ…ぁっ」
小さな喘ぎが俺の部屋を満たしていくのが堪らない。
右手でわき腹を撫で上げると黒沼の腰が浮く。
自然と尻を突き出す形になり、俺の体と密着する。
「!!」
「わかる?…俺も黒沼の乳首と一緒だね。」
黒沼の尻に俺のモノがあたり、密着した場所から熱が移る。
咄嗟に惹かれた腰を両手で引き寄せ、スカート越しにぐりぐりと腰を押し付ける。
「…んっ。」
「やっ、ぁあ……しょーたくん…」
「気持ちい?爽子。」
顎を引き、耐える姿がいじらしい。
抱き竦めるように身を寄せて、右手を黒沼のそれに重ねる。
俺の顔のすぐ右横に彼女の苦しげな顔がある。
離す気もないし、逃がす気もない。
左手を脇から前に回しこみ、蒸れたスカートの中へ差し入れる。
「もう、濡れてる…」
耳元に近づき小声で囁き、薄い布地の上から擦っていく。
指の動きを早め、そのままショーツの中へ手を進める。
ヌルつくそこに円を描くように、左右の壁を押し広げるようにくちゅくちゅと蠢かす。
ふと俺は聞きなれない何かが落ちる音がして、視線を右に向けた。
白いシーツの上にぽたぽたと灰色のシミがふたつ、みっつ、よっつ。
- 380 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/06(土) 01:07:35 ID:uX2qnd/a
- 「…っ……っ…ひっ」
「…爽子?…苦しい?手、痛かった?」
「…ぉ……かお、が…みたいの。…しょーたくん、の顔がみたい………」
自分の黒さがだいっきらいだ。
大好きな人を黒い嫉妬で塗り潰して、なにがしたいんだよ。
「ぇ…?」
黒沼をぐいっと起き上がらせて、向き合い抱き寄せる。
「ごめん、…………ごめん。」
肌蹴た肩を手の平で温めて、俺の手も温まる。
黒沼の手がゆっくり俺を押し返して目が合う。少し困ったような微笑みで、涙はもうなかった。
安堵した俺のシャツの胸元を掴んで、黒沼がキスをくれる。
触れるだけのキスじゃない。
恐る恐る入ってくる舌にも、ちゃんと体温を感じるんだから。
「ふっ!、んんぅ…」
応えた舌が黒沼の舌を絡め取って紅く色づく目元が、煽る。
「ん!ぅ!」
ブラのホックを外し片手を添えて優しく押し倒すと、俺は口付けを深く深くする。
苦しそうに目元を光らせる黒沼、喘ぐ黒沼。
ぞくぞくする。
- 381 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/06(土) 01:08:46 ID:uX2qnd/a
- 「ふぁ!!…あっ、んあぁ」
「……っ…」
唇を離し、引き抜いたブラをベッドの隅へ押しやりショーツも同じようにする。
ふっくらとした胸の中心に、乳首に舌を絡めて吸い上げる。
自分の制服のズボンの前も開き、先走りの溢れる隆起したモノに隠してあったゴムを付けてしまう。
声を我慢して、口元を押さえる黒沼の右手を自分の左手に握る。
「だーめ。」
にっと笑ってみせる。
空いた左手を秘部にあて、一気に奥まで入れ抜き差しを繰り返す。
「ぁ、ぁ、あ、ぁ…ひぁあ!…あっ…も……あああ!!」
「『もう』、何?」
「はぁっ、ぁ…もう……指は…」
まっかっか。
ああ、もう。
- 382 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/06(土) 01:10:56 ID:uX2qnd/a
- 「ぁ…」
モノの先が入り口に宛がわれて、にちゅっと卑猥な音がした。
黒沼の右手に力が入る。
「ふっぅああ!!あっあっあっ!!!」
ずぶずぶ自身を埋めたら、気が飛びそうに気持ちがいい。
無我夢中で腰を振る。
「あっ…しょーっ!たくんぅ、ひっ、ぁあ!!…やっ、」
何度も何度も。
「っ…イきそっ、なの?…さわこっ…」
激しく揺さぶられながらも黒沼は必死にこくこくと頷いてみせる。
君の右手と、俺の左手は繋いだままでお願い。
「じゃっ、いっしょっ、にっ…イこ…?」
「あぅんあっあっあっぁっあーーーー!!!」
「…んっっぅ…」
胸に溢れかえる言葉で僕は窒息するだろう
そうだ
呼吸の仕方を忘れる前に
いつまでも吐息を言葉にかえて
愛し君へ
君に届け
【おしまい】
- 383 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/06(土) 01:12:43 ID:uX2qnd/a
- ageてしまってすみません
気が向いたら読んでやって下さい
おやすみなさい
- 384 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/06(土) 01:19:44 ID:a052FSHL
- うおお、GJ!超リロッた
場面浮かぶ。顔みたいっていう爽かわいいよ爽
黒風エロす 最後の風の呟きが好きだ
- 385 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/06(土) 09:00:01 ID:G5BT69uY
- >>302です
今日か明日の夜、最後を投下しに来ます
ごめんね、カーチャンへたれでごめんね
エロどころかちゅーしたのかも曖昧な終わり方だよ……orz
- 386 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/06(土) 09:19:51 ID:1WtR2GOI
- >>383
すっごい萌えました!!
ずっと手を握り合ってるのがいい!文才のある人多いなあ・・
>>385
楽しみに待ってます!
- 387 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/06(土) 11:55:43 ID:O5RHBVgx
- GJ!!!
自分からキスしたり、顔がみたいとか爽可愛い〜
- 388 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/06(土) 20:52:08 ID:a052FSHL
- >>385
めちゃくちゃ待ってます
ずっと楽しみにしてました
- 389 :>>383[sage]:2008/12/06(土) 23:27:58 ID:uX2qnd/a
- GJありがとです
自分のなかのきゅんきゅんが伝われば嬉しいです
今見直すと、言い回しが変な部分や色々抜けてるところを発見して
…うわああああああああ、ってなりますがキニシナイ
また近々書きにきます
- 390 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/07(日) 07:53:55 ID:VuT392cj
- 新参者ですが、職人さんに触発されて
書いてみました。
初めて書いたので、おかしなところは多々あると思いますが、
よろしくお願いします。
少しだけ爽積極的verです。
- 391 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/07(日) 08:01:00 ID:VuT392cj
- 「何やってんだろう、俺…」
付き合い始めるようになり、何度か体も重ねた。
爽子は俺だけのモノだと感じているのだが、
まだ、
−君の全てを、独り占めしたい−
独占欲の黒い塊が、俺の中にある。
今日は、二人きりで初めての旅行にきた。
君の澄んだ瞳は、初めて見る町並みや、きれいな景色を映し、
素直に感動しているのに、
俺は、君の横顔ばかりを見つめ、
君を振り返り見つめる、遠い町の知らない旅行者にさえ嫉妬してしまう。
観光もそこそこに、早く二人きりになりたくて、
早々にホテルに着いてしまった。
- 392 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/07(日) 08:03:18 ID:VuT392cj
- 「翔太クン、疲れたの? 大丈夫?」
観光の途中から、何となく元気がないように見えた。
「うん、大丈夫だよ。ごめんね、爽子。もっと見たい所とかあっただろ?」
「ううん、大丈夫だよ。また明日も見れるし、
翔太クンの体の方が大事だよ」
爽子は、俺の体を気遣い、優しい言葉をかけてくれる。
本当は、そんなんじゃないのに。
明るく旅の様子を話す君の姿に、自分の中の黒い塊が嫌になり、
つい、言葉に出てしまった。
「何やってんだろう、俺…」
知らない町の、遠い町の雰囲気が俺を弱気にさせる。
自分の黒い塊が脆くなって、ホロホロと言葉が零れ落ちる。
- 393 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/07(日) 08:05:30 ID:VuT392cj
- 「俺、爽子のことが好きで好きで、たまらないんだ」
「ずっと、俺だけを見て、俺のことだけを考えて…って思ってしまうんだ」
「何やってんだろうね、俺、こんな所まで来て…」
自嘲気味に笑ってしまう。
爽子は、俺の顔をまっすぐに見つめ、
「私はもう、翔太クンのモノだよ? 他の人なんて考えられないよ」
頬を赤く染めながらも、はっきりと答えてくれる。
「うん、分ってるよ」
「だけど、爽子が、新しいモノに触れ、いろんなことに興味を持って、
どんどんキレイになっていくから…
いつか、俺の腕の中から、スルリと飛び立っていきそうな気がするんだ」
俺は、ベットの端にストンと腰掛けた。
なんて情けないことを言っているんだろう。
爽子は、そっと俯いてしまった。
また、泣かせてしまったかな。。。
彼女に、あんなことまで言わせてしまって。。。
胸がチクリと痛んだが、脆くなった黒の塊は止まらなかった。
- 394 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/07(日) 08:08:36 ID:VuT392cj
- どうして翔太クンは、あんなことを言うのだろう。
あなただけを見つめているのに、
いつもあなたのことばかり考えているのに。
私には、翔太クン以外なんて考えられないのに。
どんな言葉をかければ、私の全てが伝わるのだろう。
私の気持ちを感じてもらえるだろう。
爽子は、一瞬のうちに、いろんな想いを巡らせていた。
私は、翔太クンから何をしてもらうと嬉しい?
どんな時に翔太クンの気持ちを感じる?
ふわり
情けなく俯いていた肩が、暖かいモノに包まれた。
それが、爽子の腕だと分ると同時に、
唇にも優しい温もりを感じた。
俺のすぐ目の前に、爽子の澄んだ瞳がみえる。
爽子は、まっすぐに俺を見つめ、
「私は… 翔太クンから、こうしてもらうと…
いつも、暖かい気持ちになるの。
大切にしてもらってるんだな…って感じるの」
「だから… 私の気持ちが届けば…と思って。
私の想いを感じてほしくて……」
爽子の頬は、真っ赤だったが、俺から瞳をそらさず言葉を続けた。
「私の前では、無理をしないで…。
ありのままの翔太クンでいて…」
「いつもの爽やかな翔太クンも好きだけど……
あの…今日みたいな翔太クンも好きだよ」
「私は、翔太クンの全部が大好きなの」
- 395 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/07(日) 08:15:29 ID:VuT392cj
- 優しく抱きしめられて、自分の中の黒い塊はフッと消えていった。
何に不安を感じていたのだろう。
爽子には、もっと素直に自分を見せてよかったんだよね。
どんどんキレイになっていく爽子に不安を感じていくなんて、
ホント、俺ってまだまだガキだよな…
キレイになってくれて、一番うれしいのは俺なのに。
「ありがとう、爽子…」
「爽子の気持ち、ちゃんと届いたよ」
翔太は、いつものとびきりの笑顔で微笑んだ。
「でも、爽子にそこまで言わせてしまって…
かっこわり〜な、俺」
すっかり恥ずかしくなってしまい、手で顔を隠す。
そんな! かっこわるいことなんて全然ないのに!
真っ赤な翔太クンが可愛くてたまらない。
男の人に、可愛いだなんて、失礼かな?
触れたい、翔太クンに触れたい。
私の気持ちを、もっともっと感じてほしい。
私は翔太クンの頬に手を当て、唇をそっと重ねた。
そして、そのまま体重を預けていった。
続く
■
とりあえず、ここまでで。
続きは明日か明後日か。
お付き合いありがとうございました。
- 396 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/07(日) 09:07:09 ID:FswjseRb
- GJ!
朝からきゅんきゅんした。
積極的な爽子もいいな〜。
- 397 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/07(日) 13:38:09 ID:XHSVggSf
- キター
積極的な爽子イイ!!
続き楽しみに待っています
- 398 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/07(日) 13:44:15 ID:gtv56PC/
- GJです
いいねー積極的
待ってます
- 399 :1/4[sage]:2008/12/07(日) 14:36:51 ID:pDllCQtD
- 積極的な爽子かわいい!
続きを楽しみに待ってます
>>258、>>263、>>269-270、>>302の続きを投下
エロなしどころかキスもなしorz
今回の投下で完結します
息を切らせて待ち合わせ場所へ行くと、爽子は既に到着しており、風早が来るのを待っていた。
初めてマルをひろった河川敷。
一年生の頃のことを思い出しそうになり、下唇を噛む。
あの頃はまだ、彼女の隣に自分以外の男が立つ可能性すら考えていなかった。
自分が彼女の一番近くにいると確信していた。
余裕というより、油断と言うべきかもしれない。
彼女のよさを知っているのは自分だけという、安心感にも似た自惚れ。
自己嫌悪に陥りそうな頭を振り、意識を切り替える。
黒沼、と名前を呼ぶと、俯いていた爽子がこちらを向いた。
振り向くと、肩で息をしている風早がいた。
走って来てくれたのだろう。
額にうっすらと汗を浮かべたまま、頬は紅潮し、しかし彼の表情は穏やかとは言えなかった。
笑顔の風早を思い出し、涙が出そうになる。
奥歯を噛みしめて涙をこらえ、風早を見つめた。
「ごめんね、こんな時間に呼び出しちゃって」
「いや、こっちも電話に出られなくてごめん」
普通といえる会話の内容だが、雰囲気はぎこちない。
今までは自然にできていたことが、いかに贅沢なことだったかを改めて感じた。
ついこの前までは笑い合っていたのに、今は視線すら合わない。
言わなくちゃ、ごめんなさいって。
言わなくちゃ、風早くんのことが好きですって。
胸が締めつけられるような息苦しさを感じる。
爽子は必死に声を絞り出した。
「あ、あのね、私ね、風早くんのことが好きなの」
- 400 :2/4[sage]:2008/12/07(日) 14:38:06 ID:pDllCQtD
- 「風早くんが私のこと、友達だって思ってくれるのは凄く嬉しい。
でも、私の「好き」とはやっぱり違うから……」
語尾が消えてゆく。
泣ききそうな顔を見られないように、俯いて言葉をつむいでいた爽子は
風早の目が驚きで見開かれていることに気付かない。
スカートの裾を握り締めたまま、必死で言葉を探し続けていた。
「今日もいっぱい困らせちゃって、迷惑もかけてしまって、ごめんなさい。私……」
「……ほんとに?」
「え?」
予想していなかった風早の台詞に爽子が顔をあげると
真剣な表情でこちらを見ている風早の視線にぶつかった。
「それって、恋愛感情で「好き」ってこと?」
念を押すように言葉をかぶせ、爽子の反応を窺う。
爽子は真っ赤な顔で一度だけ頷き、小さく「ごめんなさい」と呟いた。
今まで頑張って堪らえていたのに、涙が零れ落ちてしまいそうだった。
「なんで謝んの?」
風早の言葉に、爽子は身体を震わせた。
嫌われてしまう。
涙を堪らえるため、必死で握り締めた手に力を込める。
「かっ……風早くんに迷惑を……」
それでも溢れてくるものに耐えきれず、涙の一すじが頬を伝った時だった。
今まで一歩離れた距離にいたはずの風早に抱きしめられていた。
- 401 :3/4[sage]:2008/12/07(日) 14:39:16 ID:pDllCQtD
- 「好きって気持ちは迷惑なの?」
「俺のこの気持ちも迷惑?」
「俺は、友達とかじゃなくて黒沼が好きって言ったら、迷惑?」
信じられなかった。
今、風早の腕の中にいる事実も、風早の言葉の意味も
考えたり受け入れたりする余裕がなかった。
頬を伝う涙は一すじでは止まらず、次から次へと溢れ出てくる。
「迷惑……じゃ、ない」
嗚咽をこらえながら応えると、爽子を抱きしめる風早の腕に力がこもった。
爽子の言葉が信じられなかった。
「友情じゃなくて好き」と言う言葉が、彼女の本心だという確信が持てなかった。
彼女は困って嘘をついているのではないか。
また自分の勘違いじゃないだろうか。
そんな不安と疑念が心に渦を巻き、風早は思わず「ほんとに?」と呟いていた。
その言葉に反応して、今まで俯いていた彼女が顔をあげる。
今にも泣き出しそうな濡れた目、赤くなった頬と耳が
先ほどの言葉を雄弁に裏付けていた。
それでもまだ念を押してしまうのは、勘違いと言う可能性を否定しきれないからだ。
自分の情けなさを認識しつつ、それでも「恋愛感情で好き」なのかと
確認をせずにはいられなかった。
頷いた後に続いた爽子の言葉に、彼女が今までどれほど嫌な思いをし、
泣いてきたかが窺える。
風早は思わず、彼女の身体に手を回して抱きしめた。
最初は身体を硬くしていた爽子だが、風早が言葉を重ねる間に徐々に力が抜けてゆく。
嗚咽に震えていた身体が落ち着き、爽子が顔をあげるまで
風早は彼女を抱きしめ続けていた。
- 402 :4/4[sage]:2008/12/07(日) 14:40:11 ID:pDllCQtD
- 「……帰ろっか」
「うん」
ようやく泣き止んだ爽子は、風早の腕の中でこくりと頷いた。
恥ずかしさと嬉しさで、頬が赤く染まっているのが自分でもよくわかる。
それでも精一杯の笑顔で風早に笑いかけると、風早の頬が瞬く間に紅潮した。
顔を背けられてしまったが、爽子も耐えきれずに視線を落としてしまったので
お互い様といったところだろうか。
風早は名残惜しそうに手を離し、爽子を解放する。
今まで自分を包み込んでいた腕が離れていってしまうことに
爽子は少し寂しさを感じた。
また抱きしめて欲しい。
もっと風早くんに触れたい。
無意識に風早に手をのばすと、その手をそっと握りしめられた。
「家まで送るよ」
いつもの爽やかな笑顔で、いつもより嬉しそうな声で爽子に囁く。
爽子の顔に笑顔が浮かんだのを確認し、風早はその手を引いて歩き出した。
爽子の家にたどり着くまで、二人は終始無言だった。
ただ繋いだだけの手が、お互いの存在を確認していた。
家の前に立ったとき、離れる手に一抹の寂しさを感じてしまったのは仕方のない事だろう。
「じゃあ、また明日」
「うん、今日はありがとう」
家を出てからまだ一時間も経っていないと言うのに、この感情の変化はどうだろう。
風早に電話をかけた時には、この世の終わりのように感じるほどの悲しさと
吐き気すら感じるほどの緊張感だったというのに。
今は幸福としか表現のしようがないほどの高揚感に包まれている。
明日は普段の自分になると決意して告白をしたのだが、別の意味で難しそうだった。
どう考えても、明日の自分は浮かれてしまっているだろう。
「あ……」
手を振って去ろうとする風早に、爽子は無意識に手を伸ばしていた。
前に先生に言われたことが、頭の片隅でよみがえる。
爽子は伸ばした手で風早の服の袖をつかみ、そっと目を閉じた。
おわり
- 403 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/07(日) 20:35:28 ID:S/b6oJb7
- 仕事してつかれて帰ったらUP天国
なんだなんだ祭りか?キャッホゥ>>390
積極爽子かわいいなあ。そして爽やか。嫉妬風もカワユス。GJ
>>399
本編の続きを見てるようです。寸止めで終ってるのが逆に
らしくて爽やかエロスだーキュン死する
>>363
激しく亀レスだけど、風早がSというよりは(いや潜在Sなんだろうけど)
爽子がS気質を引き出しわしづかみにするタイプなのだと思うw
くるみも対爽ん時Sっぽくなってたじゃんw
- 404 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/07(日) 23:20:10 ID:hvpjT8m+
- >>399
続っぽくてめっちゃいいです!!GJGJ!!
- 405 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/08(月) 00:00:53 ID:S9DLMLVT
- >>390です。
GJありがとうございます。
>>399
早く、本編でもそんな二人を見たいです。GJです。
そんなGJなお話の後に投下して、申し訳ない。
ご期待に添えますか分かりませんが、よろしくお願いします。
- 406 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/08(月) 00:03:02 ID:xrhFLAwY
- 翔太に体を預けていけば、もちろん爽子が上になる。
翔太のおでこに、瞼に、頬に、そして唇に、
優しく口付けを繰返す。
い…勢いで押し倒してしまったけれど、この後どうしたらいいのだろう。。。
翔太クン、引いてないかな?
ふと、目が合う。
「爽子……」
彼の大きな手のひらが、私の頬を優しく包む。
「すごく嬉しい…… 感じてるよ、爽子の気持ち…」
爽子は、ふわりと微笑む。
「もっと…感じさせて? 爽子の気持ち……」
翔太の声が、優しく響く。
一緒だ…私の気持ちと。嬉しい。
翔太クンが、私の気持ちを感じてくれている…
私の思うようにしていいんだよね?
翔太クンは、やっぱり すごい。
私に動く力を与えてくれる。
翔太クンが傍に居てくれれば、私は何だってできるよ。
- 407 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/08(月) 00:05:01 ID:S9DLMLVT
- 口付けを繰り返し、唇を首筋へとすべらせる。
彼の喉仏が大きく動く。
さらにその下へ唇を動かしたとき、
服… どうしよう。。。
「…脱がせて?……」
掠れた、甘えるような声が自然に出てしまう。
彼女の細くしなやかな指が、シャツのボタンを一つずつ、ていねいに外していく。
俺も、彼女のワンピースのボタンに手をかける。
上体を起こしているので、肩から少し滑らせるだけで、
それはスルリと落ちてしまう。
白いキャミソールが眩しく映る。
「あっ…」
可愛い声を出しながら、俺の首筋に、胸元に優しいキスを落としてくる。
爽子の背中に手を回し、ブラのホックを外し、一気にはがし取る。
二つの小さな突起が、肌を心地よくくすぐる。
二人の呼吸が、だんだん早く、熱くなっていく。
「…っ…、俺の全部を感じて?……」
爽子の手を、ジーンズのベルトまで誘導する。
ベルトとジーンズのボタンを外すのに、少し手間取っているようで、
彼女が作業をしやすいように、腰を浮かせる。
スッと足元が軽くなる。
トランクスは、先走ったモノで、すでに湿っている。
彼女がそっと手をかける。
ビクン!!
熱いもう一つのオレは、大きく跳ねる。
もうダメ…
見つめられるだけで、いきそうだよ。。。
- 408 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/08(月) 00:06:33 ID:xrhFLAwY
- 俺は、爽子の体をグイッと引き上げる。
二つの膨らみが、顔のところにくるように。
桃色の突起を口に含み、舌を絡め、甘く噛む。
「あ…、っあ…ん…」
俺の頭上から甘い吐息が聞こえる。
いつもとは違う角度からの彼女の声、ゆれる膨らみ。
爽子の体が、ビクビクと震える。
快感で力が抜けていくのか、体の全てを俺に委ねてしまっている。
二つの膨らみが俺を圧迫する。
このまま、窒息してもいいかも。。。
「あ……っふぅん……」
彼女の泉から溢れる蜜が、俺の肌を湿らせていく。
そっと触れると、そこは十分すぎる程、濡れていた。
「爽子……」
指を優しく動かす。
「あっ……あ…んっあ…翔太…ク…ン…」
爽子の暖かい蜜を味わっていると、下半身に甘い刺激を感じた。
- 409 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/08(月) 00:08:23 ID:xrhFLAwY
- 翔太クンとこうなってしまうと、いつも私が気持ちよくさせてもらうの。
今日は、翔太クンに私を感じてほしかったのに…
翔太の優しい指づかいに、熱い吐息に、痺れる中、
爽子の手は、無意識に翔太の下半身へと伸びていった。
爽子のしなやかな手のひらが、翔太の熱い部分を優しく包み込む。
「……わ…私の…き、気持ち…感じる?」
彼女がそっと手を動かすと、ビクビクと翔太の熱いモノが溢れてくる。
「…爽子っ!… 感じるよ!… もっと…感じさせてっ…」
彼女は腰を滑らせると、オレを優しく包み込んでいった。
爽子、感じるよ…。君の全てを!
翔太クン、あなたの全てを感じてるよ…
このまま一緒にいこう。
いつまでも、どこまでも。。。
終わり
■
なんだか最後が訳わからなくなってしまいました。
ん〜、もっと勉強せねばですね。
駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
- 410 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/08(月) 00:14:28 ID:pVd/9Qc7
- GJ!!
- 411 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/08(月) 00:24:08 ID:+TSjhE5T
- おぉ〜GJGJGJ
積極的な爽子いいです!
最近たくさん神降臨で嬉しいです!
- 412 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/08(月) 00:54:23 ID:blXP9Qyz
- エロなはずだけど可愛い二人だなあGJ>>373
1と2のコラボいいですね。
長くなりそうだけど、書けたら投下します。
3も書けたら投下します
けっこうまとまったら投下予定。遅筆なんでちょっと潜りますw
- 413 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/08(月) 22:01:01 ID:ioZMPzvV
- >>412
楽しみに待ってます!!
- 414 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/09(火) 23:36:22 ID:91pP8SBv
- 龍ちづマダー?
- 415 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/09(火) 23:53:22 ID:2HN56xgu
- エロなしでも桶?
- 416 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 00:04:08 ID:2J7FAQqs
- >>415
おkおk!待ってます!
- 417 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 00:08:14 ID:JPmSVOFY
- 涙が止まらん。
「龍、なんでいま私が泣いってっか……わ゛がる゛?」
あ、鼻水でた。
「…うれし泣き?」
「な訳ね゛ー!!」
「じゃ、俺がなぐさめたほう?」
真顔で言うなよ!!
徹にミニスカートで逢えた日は、龍になぐさめてもらった日。
近いようで遠い寒かった日。
忘れられないけどさ。
何もこんなクソ暑い日に結婚式をやらなくてもいいと思う。
なあ、徹。
「違うわっっ!!!」
うるさいほどの拍手喝采の中、目の前を幸せそうに歩く新郎新婦。
「…ちょっと、切ない気がしないでもないけど」
夢みたいな花道に、花びらを放り込む自分も夢みたいだ。
「今日はいっぱい徹に幸せになって欲しくて、泣ける。」
結婚式なんて泣くための日でしょ。
……野球馬鹿め、笑ってないでなんか言えよ!!!!!
「もっかい、なぐさめてやろっか」
喋っても腹立つ。
くっそーーーーーーーーーー、殴ってやりたくなってきた…。
「じゃーそうする。」
手を少し広げて笑う龍に、どーしてもやり返してやりたくなった。
肩に頭を少し乗せたら、新品のスーツのにおいがする…。
「…、なんちゃって。」
ばっと顔を上げるとたった12センチ差。
他の奴が見た所で分からないだろう龍の驚きを発見する。
してやったり!!
「……。」
「驚いただろー?」
笑いながら言ってやる。
返事にはまた腹立つこと言うんだろうなあ。
どうせ今日も帰って祝ってラーメン食って、明日もゲームして、あさってもラーメン食って、しあさっては馬鹿話して、そん次も一緒にラーメン食って。
どうせ、次も次もそん次も。
しゃーねー。
めでたい今日だけは、もう何言ったって広い心で許してやろう。
おっちゃんのラーメンに免じて許してやろう!
- 418 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 00:16:25 ID:JPmSVOFY
- 待たせといて、こんなんでごめんねーーーーーーorg
エロなしだし、短いし
本当は風早と爽子の拘束プレイと一緒に投下するつもりだったんだけど、そっちが上手く締めくくれなくて
気になるところとか、変なところとか、こうした方がいいとかあったら言ってください
リアルじゃ誰にも見せれないし、自分のHPに載せるぐらいなんだけど
意見とかあまりもらえないから言ってもらえると何でも嬉しい
- 419 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 00:41:39 ID:2J7FAQqs
- GJ!
徹の結婚式とは思いつかなかった。
本編を見てるような二人の自然な会話がよかったよー
ちづ可愛いなーもう。
欲を言えば、もっとちづに振り回される龍が見たいですw
- 420 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 00:51:31 ID:JPmSVOFY
- ありがとー
私も書きながら、ちづが可愛くて仕方なかったよ
あーー、振り回したいしエロも書いてみたいんだけど
考えてると、どーしても千鶴がエロをスポーツにしてしまうんだorz
- 421 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 01:07:12 ID:WmtGKejX
- >風早と爽子の拘束プレイ
龍ちづとの爽やかさのギャップにワロスw
気になる
それはともかく龍ちづ可愛いなあ
つかちづが可愛い。もう爽子とセットでぐりぐりしてやりたい
HP持ちなのも納得のこなれた文でイメージわきやすいね
どうしても龍→ちづのイメージが強いから、そんで龍が黒風のように
激情に身を任せるイメージがないからエロ難しいよ
前のレスで爽子が風を押し倒すのがあったけど龍ちづでも見たいw
押し倒したはいいがどうしていいかわからずに固まってると
いつの間にか逆転みたいなw
ここはエロパロスレだけどエロなしもいけるからいいね
いっそ難民あたりに二次スレでもほしいかも
- 422 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 01:21:25 ID:JPmSVOFY
- そんなに褒めてもらえるとくすぐったいぃぃぃぃ
HPはまだ作って1週間も経ってないからまだ何もないし公開もしてないw
自分の書くのは、くどい気がして読み直すといらいらしてくる
その龍ちづ、いいねーっ
書きたくなる
自分語りばっかりだとあれなんで
なんとか締めくくった風爽おいてくよ
>>360さんのシチュから膨らませたものです
>>360さん、ありがとうございます
- 423 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 01:28:49 ID:JPmSVOFY
- 「風爽」です。
拘束とおもちゃ有りなんで苦手な方はお気をつけください。
――――――――
「翔太くん…」
「ん?」
「…」
「さっちゃん?どうかした?」
「あの、ね…」
「??」
眺めていただけの雑誌から横に座る彼女へ向ける。
少し俯く顔にさらさら髪がかかって、顔がよく見えなかった。
「…耳、あかいよ?」
あ、またあかくなった。
「えーっとね…」
だめだ。…かっわいー!
横から手を伸ばしてぎゅーっと抱きしめて顔を覗き込む。
「可愛いけど、ほんと、どうしたの?」
目の前のくりくりとした瞳は言いにくそうに視線を泳がしては、反対側の茜空の映る窓ばかりを見やる。
「なんでも言ってよ、気になるし。」
「ね?」と後押ししてやると、彼女は深呼吸一つと少し間を合けてやっと口を開いた。
- 424 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 01:29:48 ID:JPmSVOFY
- 「翔太くん、…せっせ!」
ゴクッと唾を飲み込んで、もう一呼吸。
「sexするとき、無理してないっ??…ちゃんと気持ちいい?いつも私ばかりしてもらってて、嫌なの。私だって……翔太くんに、気持ちよくなってほしいよ…」
早口の最後の方は蚊の泣くような声だった。
でもちゃんと、俺にだけ聞こえた。
「…翔太くん?」
やっと顔を上げて目が合う彼女。
腕を解いた俺は、すっごい変な顔をしてたんだと思う。たぶん。
「お、れ…無理なんかしてない。」
「でも私のことばっかり気にしてくれてる。」
「それは…」
確かに、そう。
可愛くて泣かせたくなくて大事に大事にやり過ごしてきた。
気づかれるなんて夢にも、思わなかった。
「翔太くんが大事だと想ってくれるように、私も翔太くんを大事に想ってて、」
心臓の音が煩い。
「翔太くんを大事にしたいの。」
誰かが胸の中から叩くんだ。
「やなことばっかりするかもしれないんだよ?」
「うん。」
「…きっと泣かす。」
「うん。」
「いっぱい泣かすよ?俺。」
「うん、大丈夫。」
そんな嬉しそうに微笑えまないでよ。
「大丈夫。」
全部ぜんぶ歪ませたくなるから。
- 425 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 01:31:09 ID:JPmSVOFY
- 「服」
体の中は騒々しいのに、自分の声は逆に静かで。冷静で。
「脱いで。…全部ね。」
ベッドに座る彼女をじっと見つめる。
清潔なブラウス、柔らかそうなスカート、深緑のタイツ。
そうっとそっと。
しなやかな肢体が露わになる。背中の白の壁やシーツがくすむほど綺麗。
眩暈が止まらなくて、俺の手から零れた紅い毛糸玉が彼女のまわりに幾つも転がった。
「あの…できた…」
「じっとしてて。」
恥ずかしそうに隠す手足を無造作に解いて、くるくるくるくる毛糸を巻きつける。
両足の親指から足首、もも、臍の上を通って、乳房に脇、首には執拗に何度も巻いた。
も一つ、毛糸を手にとって。
中指に薬指、手首から肘へと首へと、反対側の肩からまた小指までおりる。
彼女はされるがまま、擽ったそうに目を細める。
「ん…」
巻き終えた手の甲に吸い寄せられる。
舌を尖らして糸ごとなぞるように舐めると、赤が汚く濡れる。
「ぁ」
暫くざらざらした感触と、滑るような肌を交互に味わう。
真白い柔肌に喰い込む紅が、空に消える風船のようで切なくなる。
「…膝立ちしてくれる?」
余っていた糸の端を自分の左手首に巻いて、最後の1メートルを彼女の首と繋げる。
馬鹿げてる。
のに、高ぶるのも現実で事実。
「もし泣きたくなったら」
膝立ちに目線を合わせて。
「泣いて、ほしい……。やめてはあげられないけど。」
- 426 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 01:33:06 ID:JPmSVOFY
- 彼女の揺れる瞳から逃げるようにキスをしてしまう。
彼女の両手首を掴んで後ろ手に縛る。
首と同じように何度も巻いて、固結びでおしまい。
眉間のしわが深くなっていく様に、嬉しくなる。
浮いた秘部と乳房を攻めると、糸の軋む音が水音と一緒にながれはじめた。
「んふっ…むっぅ、ん」
ほぐれた秘部に隠していたローターを密着させる。
低い温度に体を強張らせたのと、ぐぷっと押し込まれるのは同時だった。
「ぁっ!しょうた、くん…これ…なにっ…」
「なんだろうね?」
かちり。
「ん゛ん゛ーーーーっ!!!」
電源が入り、震えだした異物に身悶える彼女。
噛まれた下唇と、内腿が必死に体を支えて引き攣っている。
「気に入ったみたいで良かった。」
不意に立ち上がり、彼女を見下ろすと縋るような目に追われる。
嬉しくて薄ら笑いが出た。
「さっちゃんの、感じてるのみてたら…興奮しちゃった…」
ジーパンのチャックを下げ、ぶるりと飛び出したモノが彼女の鼻先を掠める。
雄臭い匂いがひろがる。
- 427 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 01:36:11 ID:JPmSVOFY
- 「俺も気持ちよくしてよ。」
鼻をきゅっと掴み上げる。
呼吸のためか拒否か、開いた口にモノを捩じ込む。
「ぉっ…っ…」
彼女は驚きでそのままだ。
「ああ、ナカがよすぎたかな?」
ローターのメモリを最大にして反応をひとしきり眺めてから、最弱にする。
口の中で声がモノに潰される。
「――――――っ!!!」
「……イった?」
荒々しく繰り返される息、悩ましげに閉じられた瞳や表情が返事をする。
左手をぴっと引くと、1メートル先の喉が絞まる。
「ん゛っ!ぅ゛………はっ…ぅ」
まだ彼女のナカで微かに震えるローターに体は余韻を感じ続けているみたい。
「さっちゃん、俺も…イかせてよ。」
必死にチロチロと舌を這わせ、壁との狭い空間の中で奉仕し始める彼女。
頭を前後させるのと同じリズムで、吐息と水と空気の混ざる音がする。
「ふっ…んっぶ…ぐ…」
(ぢゅ…ぢゅぶ…ぐぷ…)
目も耳も君に犯されていく。
舌もにおいも感覚も遠くなって、ただ君にもっと乱れて欲しい。
「っ!…さっ、ちゃ…」
快感から腰が揺れる。
壁についた自分の両肘も笑ってる。
彼女の目から涙が落ちて、たくさんの一粒が輪郭をなぞるのを置いていかれないようにずっと目で追ってた。
「ん゛!む゛ぅ…んっ!ん゛っ!」
「…ぁっ…ふっ、んっ……いっしょに……イこ、っか?」
ローターのメモリを一気に最大に引き上げる。
自分だって余裕なんか最初からあるわけなくて、彼女の頭ごと自分の腰を壁に押し付ける。
一瞬、鈍い音と高いモーターの回転だけが聞こえた。
「――――――――――――」
「くっう!ぁあ」
お互い、朦朧と快感に意識を飛ばす。
白濁とした精液が彼女の喉の内と外を流れていった。
紅い糸の上を雲みたいにゆっくり、ゆっくり…。
- 428 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 01:41:33 ID:JPmSVOFY
- 終わりです
すみません本当に色々すみません
なんでもいいんで意見ほしいです、くださいorz
ではー
- 429 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 02:01:12 ID:WmtGKejX
- みなのものーS早じゃS早様が降臨されたぞー!
GJ
やっぱり爽子は苛められるとエロイ
もっともっと苛められてほしい 愛されながら苛められてほしい
ごめんねカーチャンSでごめんね
- 430 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 05:15:20 ID:WQkR9/xt
- >>428
GJ!!S風早キターw
痛過ぎないし愛がちゃんとあっていいよいいよー
さっちゃん呼びがツボにはまったw
- 431 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 12:24:55 ID:uz8NpPqf
- S早GJGJ!!
ちゃんと愛があるSは、イイヨーーー!!
S早読むの好きだけど、自分には書けんGJ!!
- 432 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 19:26:27 ID:914fd8ua
- GJ!!!
S早いいです!!
- 433 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 20:31:44 ID:Ieh9mK+X
- なんだかんだいって用意周到な風早w
あんまり余裕のないS早と一生懸命な爽子がかわいいー!
S早いいよ、S早
- 434 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 20:47:47 ID:moMM2ZvN
- やはり、ここは黒早やS早の需要が多そう?
>>390投下したモノですが、自分 ヘタレなので黒もSも書けなひorz>>431です。
黒でもSでもないのを、本編の流れ見て投下しようかと思ってますが。
- 435 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 21:05:54 ID:OAWOqCWG
- 甘々早と甘々爽もいいよ
- 436 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 21:35:22 ID:zh1sT4BA
- さっちゃん呼びは最初CRAZY〜と間違えているのかと思ったわ
- 437 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 21:53:08 ID:914fd8ua
- 黒風、ヤン早、S早好きだけど、
積極爽も好きですよ!
意外と積極爽は実際ありえそうだし
爽は愛する風の為なら、エロいことでも本読んで勉強したり、練習したりしそう(笑)
- 438 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 22:23:04 ID:2J7FAQqs
- S早な流れの時に空気も読まず、
初々しい二人を投下させていただきます。
付き合い始めて1ヶ月経つか経たないか、あたりの二人という事で。
エロどころかキスもありませんorz ヘタレでごめん…
- 439 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 22:24:28 ID:2J7FAQqs
- 「爽子、あんたのカレシ、浮気してるわよ」
「裏庭で!人目につかないところで!女子と二人でなんかやってた!」
とある昼休み。
昼食を調達しに購買に行っていたちづと、
それに同行したあやねが二人揃って教室に帰ってくるなり、
持参した弁当を机に広げて食事の準備をしていた爽子に向かってそんな事を言った。
突然の報告に、どんなリアクションをしていいのかわからない爽子は、
困惑した顔で二人を交互に見つめた。
そんな様子を見たあやねが怪訝な顔をして爽子に聞く。
「昼休みに居ないってのに、爽子何も聞いてないの?」
「あ…ううん、『お昼休みは用事があるから、先にご飯食べてて』って…言ってたから」
「…ふうん」
「用事ねぇ…。」あやねはそう言いながら空を煽り、何かを考えているようだ。
そして誰にもわからないくらいの微妙さでニヤリとすると、爽子に向き直して言った。
「あれね、多分ってか絶対告白されてるわ。」
「え!?告白…!?か、風早くんが…!?」
「そ。相手の子は見たことない顔だし下級生ね。」
- 440 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 22:25:32 ID:2J7FAQqs
- あやねの衝撃の発言に、ひたすらオロオロするだけの爽子を構うことなく
はきはきと、しかし何処か楽しげな調子であやねが続ける。
「まあ、今は爽子たち、ちゃんと付き合ってる訳だし。あのヘタレがOKする訳はないけど。
……でも、気にならない?風早に恋する、別の女の子の存在。」
さっきよりもわかりやすく、あやねの表情が動く。
ちづはその顔を見て、コッソリと「でた、やのちんの悪女顔…!」と呟いた。
爽子は「へ、ヘタレ…?」と、あやねの悪女顔を前に一層オロオロしている。
「気になるわよね?どんな子か見たいわよね?見たいでしょ?」
「そ、そんな、ことは」
「よっし、そんじゃ、野次馬してくるか!」
突然ちづが、思い立ったように立ち上がり、爽子に向かってニカッと笑った。
あやねは呆れたようにちづを見て、「言葉が悪いわよ」と吐き捨てる。
ちづは「え?そう?」ととぼけた声を出して頭を掻く仕草をした。
爽子はというと、そんな二人を見上げ、まだ煮え切らないでいた。
「でも…人の告白覗くなんてやっぱり…私できないよ…!
…し、失礼じゃないかな…」
「爽子」
- 441 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 22:26:05 ID:2J7FAQqs
- 俯いて、今にも消えそうな声でなんとか絞りだした爽子の答えは、
すぐにあやねに消されてしまった。
俯いたままの爽子は、あやねの厳しい口調に一瞬身体をこわばらせる。
あやねは、一度深くため息をついた。
「あのね爽子。……『気になる』って、『イヤだ』って……言っていいのよ?」
爽子が顔を上げた。
あやねが何処か悲しげな顔をしている理由が、爽子にはわからなかった。
―気になっても…いいの?
―『イヤだ』って言っても……いいの…?
―わたしは、言いたい…?風早くんに、『気になる』…って―
- 442 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 22:27:37 ID:2J7FAQqs
- とその時、教室の扉が勢いよく開いた。その向こうには風早が立っている。
「ごめん、黒沼、思ったより用事長引いて……」
そこまで言いかけ、風早は場の妙な雰囲気に気が付いた。
教室の隅で、矢野と吉田が立って、黒沼を囲んでいる。
その陣形は一見すると、イジメ現場にしか見えない。
振り向いた矢野の顔はいかにも不機嫌そうで、明らかに風早に敵意がある。
吉田はどうしていいかわからないといった表情で、風早に何か訴えている。
どうしていいかわからないのはこっちの方だ。
「え…なに?どうしたの?」
状況が全く掴めない風早を、爽子は顔をあげて見た。
その瞬間、爽子の頬が一様に赤く染まり、今にも泣き出しそうな顔になったかと思うと
突然立ち上がり、「わ、わたし、飲み物を買ってきます!」と言い捨てて、
あっという間に教室を出て行ってしまった。風早が止める隙もないくらいの俊敏さだった。
「ちょ…っ 黒沼…!?」
風早も、すぐさまその後を追いかけ教室の外に消えた。
そんな二人の後姿を見届けた、あやねとちづの二人は、一瞬の間をおいて
「やりすぎたかね」「…うん」
お互い顔をあわせる事なく言って、それきり黙った。
- 443 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 22:28:10 ID:2J7FAQqs
- 爽子は先ほどの宣言通り、確かに自販機の前に居た。
しかし飲み物を買う様子はない。そもそも手には財布も持っていない。
人気のない廊下の隅の自販機の前で、二人は何をするでもなく黙っていた。
沈黙を破ったのは風早だった。
「……えーっと……ケンカでも、した…?」
まさかな、とは思ったが、かといってそれ以外に爽子が泣いている理由も思いつかず、聞いた。
爽子は俯いて黙っている。長い髪に隠れたその表情は、風早からは窺い知ることは出来ない。
「……なんかあったの?」
尚も顔を上げない爽子。
「言ってくれなきゃ、わかんないよ…何があったの?」
しまった、口調がよくなかったかな、と、風早が後悔しかけたそのとき
「……言ったら、きっと、嫌いになる…」
やっと、爽子が口を開いた。
注意していないと聞き漏らしてしまいそうなほど、か細い声だった。
風早は、思ってもみなかったその発言に、「へ?」と、思わず間抜けな声を出した。
- 444 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 22:28:44 ID:2J7FAQqs
- 「何?どういうこと?俺が黒沼を?……なんで?」
「……」
「黒沼、こっちみて」
普段より少し低い、男性らしい声で風早が言うと、爽子もやっと顔をあげた。
真っ直ぐ爽子の目を見据える風早を前に、
爽子は金縛りにあったかのように身動きが取れない。
「どうして、そう思うのかわかんないけど…
黒沼、前に俺に言ったよね?『どんなことがあっても、嫌いになることはない』って。
それ、俺も同じだから。どんな事があっても、黒沼が何を言っても、
俺が黒沼を嫌いになることは、ないよ。」
「風早く…」
「だから、言ってよ。どうしたの?何があったの?」
しっかりとした迷いのない口調でそう言われた爽子は、もう俯くこともせず、
風早がそうしたように、今度は彼女の方がしっかりと風早を見据えた。
「うん、ありがとう、風早くん。……それじゃあ…一つだけ、聞いてもいい?」
「うん、なに?」
爽子はゴクリと唾を飲み込んで、搾り出すように言った。
「…………さっき。何、してたの…?」
「…え。さっき?」
「…裏庭で。」
- 445 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 22:29:34 ID:2J7FAQqs
- 風早の表情が、一瞬固まった…ように見えた。爽子は慌てて弁解をする。
「あ、あのね、あやねちゃんと、ちづちゃんが…
風早くんが、女の子と居たって…教えてくれたの。
それで、告白されてたんじゃないかって……だから、」
「…気になった?」
爽子は、ゆっくり、小さく頷いた。
風早は、力の抜けたように肩を落とし、バツが悪そうに下を向いた。
「あー……うん、それは、言わなくてほんとにごめん。…朝、呼び出されてたんだ。
…でも、断ることは決まってるんだし、わざわざ言うのも変かな、と思ってさ。」
「…ことわっ……」
「当たり前、でしょ?」
爽子の言葉を、最後まで聞くのは耐えられない、と風早は思った。
自分の彼女に、『他の女の子からの告白を断ったの?どうして?』
だなんて、普通は絶対に言われたくはない。
そんな言葉を聞いた日には、一生立ち直れないほどのダメージを食らうだろう。
改めてそう考えて、遮っておいてよかった、黒沼なら言いかねん、
と一人胸を撫で下ろしていると、黒沼が何か言いたそうな顔をしている事に気付いた。
- 446 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 22:30:17 ID:2J7FAQqs
- 「……あの、嫌いに……ならないの…?」
「何が?」
「……だって、こんな…風早くんがちょっと女の子と一緒だったからって、
気になって気になって、聞かずにはいられなくって……めんどうくさいでしょ?」
ああ、もしかして遠まわしに自分の事を咎めているんだろうか?
そんな風に思うほど、見に覚えのある話で、耳が痛い。
「なんで。黒沼がそんなことしたからって、嫌いにならないよ。
…寧ろ、俺はちょっと嬉しい、かも」
少々居心地の悪い風早は、後半早口に、あさっての方向を見ながら言った。
すると爽子は急に身を乗り出して、今にも零れ落ちそうなくらい、目に涙を浮かべた。
「う、嘘…ッ だって私、おかしいの…!
風早くんが他の女の子と喋るだけで嫌な気持ちになる…っ
さっきだって、告白されたって聞いて、どうしたらいいかわからないくらい、気になって……
すぐにでもその場所に行って、邪魔したいだなんて……こんな私…嫌われたって…ッ」
爽子の目からは、瞼に留まっている事の出来なくなった涙が、ついに零れ出した。
「黒沼」
「ごめんなさい、ごめんね、私、これからは頑張るから!
もっと心を広くして……強くなって、それで、
風早くんが別の女の子と一緒にいても、大丈夫なようにするから……だから」
- 447 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 22:30:51 ID:2J7FAQqs
- 「爽子」
急に名前を呼ばれたかと思ったら、次の瞬間には、爽子は風早の胸の中にいた。
あまりにも突然の出来事に、脳の処理が追いつかない爽子は、
石のように硬直するしかなかった。
「かぜはや、くん?ご、ごめんね…?」
「……なんで謝るの?謝って欲しくない」
「えっ、ご、ごめんなさ…あ、ええと」
風早は、爽子を抱く腕に一層力を込める。
「…それってさ、変なことかな。
俺は、爽子が俺以外の男子と喋ってたら、すっっごい嫌だよ。
……好きだから。…ひとりじめしたいんだよ。それは、変なこと?
爽子は俺がこういう風に思うの、嫌?迷惑?」
爽子が不自由な腕の中で、力いっぱい首を横に振る。
「い、嫌じゃない…っ迷惑なんかじゃ…ない」
「…うん。俺も。」
「あ…。」
- 448 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 22:31:56 ID:2J7FAQqs
- 爽子は、そこではたと気付いた。
先ほど自分が、彼を傷つける発言をしたことに。
『迷惑』とか、『嫌われる』とか…そんなことばかり。
私はどれだけ、彼の事を、そして自分の気持ちを、わかっていなかったのだろう。
少しの沈黙の後、風早が口を開いた。
「…あのさ。好きなら、いいんだよ。そんな風に思っても。
……『イヤだ』って、言ってもいいんだよ」
「……風早くん」
爽子の視界は風早の紺色のベストで埋め尽くされている。
まだ、少し。自分の中に今まで無かった感情に、困惑することはある。
こんな風に思ったら、そんな事を言ったら、嫌われてしまうんじゃないかと、不安になることもある。
だけど、いいんだよって言ってもらえた事が嬉しくて、なんだか、凄く幸せな気持ちだ。
「……うん…ありがとう……」
爽子はそっと目を閉じて、彼の暖かい胸に、頭を預けた。
そして少しの静寂の後、爽子を抱きしめる力がふと緩んだ。
再び身体に自由が取り戻された爽子は、しかし風早から離れることはなく、
そのままの位置から顔だけ上げて、彼の顔をおそるおそる見上げてみた。
風早はにっこりと笑っていた。
- 449 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 22:33:09 ID:2J7FAQqs
- 「…俺今、すっごい嬉しい」
「えっ?どうして?嬉しいのは、こっちだよ…」
「うーん、と……」
風早は、爽子の顔を一瞬見つめ、しかしすぐに恥ずかしくなって天を仰いだ。
まだ爽子の腰に添えられていた手に、再び力が篭る。
ひと時自由の身となり完全に油断していた爽子は、2度目の強い抱擁に不意打ちを打たれ、
先ほどと同じ硬直の後、今度はそっと自分の腕を風早の背中へとまわしてみた。
骨ばった背中の感触は初めて感じるもので、
そこで改めて自分が彼の『恋人』なのだという事を全身で感じ、
妙にこそばゆい気持ちになった。
風早は、これまでの爽子の言葉と表情と涙を頭の中で反芻し、
そして今までになく自分を受け入れてくれている爽子の身体を腕の中で感じ、
満足げに一言、呟いた。
「相思相愛ってこんな感じかって、思ったんだ。」
風早の腕の中で、ほんの一瞬爽子の頭が縦に動いたような、気がした。
おわり
- 450 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 22:50:29 ID:2J7FAQqs
- >>438です。お粗末様でした!
爽子にやきもち焼かせてみたい一心で書きましたが
なかなか可愛くなってくれず……爽子を動かすのって難しいと悟りました。
もっと勉強して出直してきます…!
- 451 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/10(水) 23:11:14 ID:WQkR9/xt
- >>450
すっごい萌えました!本誌でも爽子がやきもち焼くシーン見たかったので嬉しい
- 452 :名無しさん@ピンキー[]:2008/12/10(水) 23:59:14 ID:uo4Ex1pF
- GJ!GJ!!
- 453 :>>428[sage]:2008/12/11(木) 00:27:04 ID:INh92UYj
- GJありがとです
S早ww
そう、彼はきっといろんな物を用意周到にむっつり隠し持ってるはずです。叩けばもっと出てくると思います
“さっちゃん”は紛らわしかったみたいですみません
>>383では“爽子”って呼ばせてみたんですが、まだそう呼ぶ風早にどうしても違和感があってorz
>>450
GJ、GJ!!!
かわいーーーーー
なぜかリスやウサギなどの小動物を愛でる気持ちになった
やきもちって可愛いね
- 454 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/11(木) 01:31:35 ID:UmYmSZcD
- GJありがとうございます!
爽子って、まさに小動物というか、見守りたくなる可愛さがあると思うので
そこらへんをもっと表現出来ればなぁ…精進します!
- 455 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/11(木) 01:42:00 ID:uilOQ5B/
- >>450
爽子がかわいい〜!
Sだったり黒だったりなエロの後にこういう原作的なピュア話を読むと妙に照れるw
萌えさせていただきましたGJ!!
- 456 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/11(木) 18:08:37 ID:Pgu9eug7
- >>439やきもち爽かわいい!GJ!!
本編でも、ぜひ見たいシーン!
本編見てからと思ったのですが、
地方なので、待てない。
エロなしですけど、投下します。
ぶっちゃけ爽です。
本編でも、ぶっちゃけて欲しくて。
>>439さんと、台詞回しがカブルところが…すんませんすんませんorz
- 457 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/11(木) 18:09:37 ID:Pgu9eug7
- うちの田舎は正月帰省を利用して、成人式&同窓会をするので、
その設定でよろしくです。
■
成人式も無事に終わり、同窓会も盛り上がっている。
爽子は先日、二十歳になった。
爽子の振袖姿、艶やかだったなぁ。
もうちょっと見ていたかった。
まぁ、いいか。また、ゆっくり見せてもらおう。
「爽子もいよいよ大人の仲間入りだな」
ちづがガシッと爽子の肩を組む。
「よし、じゃ〜初めてのお酒といきますか!」
お猪口にちょっとだけ、日本酒を注いでもらう。
そっと口をつける。
「どぉ?」
「うん…おいしい…」
爽子の白い肌が、ほんのりと赤くなる。
「爽子、案外いける口なのかもね」
あやねも、ほんのりした爽子が可愛くて、少しお酒を足す。
「よしっ! 黒沼、俺の酒も飲めーー!!」
「ピン、あんま、からむなっ!」
すでに出来上がった者達が、爽子のお猪口に酒を満たしていく。
元クラスメートのノリは相変わらずだ。
賑やかで、とても楽しい。
素直な爽子は「みんなの好意を…」と勧められるまま
口に運んでいた。
相も変わらず、みんなの輪の中心にいる風早。
彼女の傍に行きたいのに、なかなか近寄ることもできずソワソワしていた。
黒沼、大丈夫か?
爽子の顔は真っ赤だ。
風早は心配になってきた。
みんなの輪から抜け、黒沼の席に近づく。
「黒沼、大丈夫? もう無理しない方が…」
と声を掛ける。
爽子は、頬を赤く染め、トロンと潤んだ瞳で俺を見つめる。
「風早クン…」
まずい…色っぽすぎる−−
ダメだ、こんな黒沼を他の奴らに見せるわけにはいかない−−
と思った瞬間
トン
爽子が風早の肩にもたれかかる。
ドキン−−高鳴る胸。
黒沼、こんなの反則だよーー!
「黒沼…?」
そっと爽子を見つめると…
「風早クン… 具合、わるい……」
- 458 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/11(木) 18:10:27 ID:Pgu9eug7
- 初めて飲むのに無理するから。
とにかく、ここから連れ出さないと。
「矢野、ごめん。黒沼、具合悪そうだから、家まで送ってくよ」
「うん、お願い…ってか、その状態の爽子を連れて帰ったら、爽パパやばくない?」
「あ、そうだよな」
あやねがニヤリと笑う。
「大丈夫。あたしンちに泊まるってことにするから、
風早なんとかして」
矢野の不敵な笑みは気になったが、
とにかく、黒沼を楽にさせてやるのが先だ。
「悪いな、矢野」
「いいのよ、気にしないで。
爽子をよろしく。ジェントルメン♪」
一言多いっつーの。
でも、矢野の申し出はありがたかった。
顔色はそんなに悪くはない。
少し休ませれば大丈夫だろう。
とにかく、一刻でも早く黒沼を休ませたかったので、
近くのホテルに入る。
- 459 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/11(木) 18:11:03 ID:Pgu9eug7
- 「ご…ごめんなさい…迷惑かけて…」
具合が悪いと言いながら、謝り続ける爽子に
大丈夫だから…と優しく声を掛ける。
ベットに横たわらせ、苦しくないように胸のボタンを少し開けた。
「ぅ…ん…」
いつもは隠れている滑らかな肌が、チラリとのぞく。
ベットの端に座り、そっと背中をさする。
爽子の表情が、少し楽になってきたようで安心する。
「ん……、風早クン?…」
「具合はどう? 顔色もよくなってきたね」
顔はまだほんのり赤く、ポヤンと潤んだ瞳をしている。
寝乱れた髪、少し開いた胸元に、ドキマギしてしまう。
こ、こんな時に、何考えてるんだっ、俺っ!!
視線をそらすように、起き上がった爽子の横に移動した。
「風早クン、ごめんなさい…
せっかくの楽しい時間を…私のせいで…
台無しにしてしまって……」
また謝ってるよ。。。まぁ、そこが爽子らしくて可愛いンだけど。
「いいんだよ、気にしないで。
俺も、黒沼と二人っきりになりたかったし……」
照れ隠しのため、思いっ切り笑う。
「風早クン、…好き…」
爽子の目から、涙がハラハラと落ちる。
「く、黒沼!?」
- 460 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/11(木) 18:11:46 ID:Pgu9eug7
-
風早クン、びっくりしてる。
そうだよね、突然泣き出したりして。
でも、体がフワフワしてて、なにもかも止まらないの。
涙も言葉も。。。
「風早クンが大好きなの。
風早クンは、いい人で… 爽やかで… 尊敬できる人で…
誰からも好かれてて…」
初めて口にしたアルコールのせいなのか、おしゃべりになってしまう。
だめ、これ以上しゃべったら、何を言ってしまうか分からない。
本音が出ちゃう。わがままを言ってしまう。
風早クンに嫌われてしまう−−
でも、止まらないの…
「最初は話せるだけでよくって…、風早クンみたいになりたくて…
でも、だんだん欲が出てきて…風早クンの特別な人になりたくて……」
「風早クンの好きと私の好きが、一緒だって分かったとき…
本当に嬉しかったの…」
いつになく、あふれる想いを口にする黒沼。
頬は赤く、潤んだ瞳で俺を見つめる。
そんな黒沼の一語一句を聞き逃すまいと、耳を傾ける。
- 461 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/11(木) 18:12:21 ID:Pgu9eug7
- 「風早クンといると…私、どんどん…欲張りになる…」
「こんな…私なのに…今だって…」
だんだん、黒沼の声が小さくなっていく。
「みんなとの楽しい時間に…酔っ払ってしまって……
いっぱい迷惑かけてるのに… まだ、笑顔を見せてくれるし…」
「黒沼…」
「いつも言ってるけど…俺は、黒沼が思ってるような奴じゃないよ?
俺だって黒沼といると欲張りになるし、ふつーにスケベだし」
自分で言って、ちょっと凹む。
「こんな俺、イヤ?」
黒沼は、ぶんぶんと大きく首を振り、
「イヤじゃないよ。…どんな風早クンだって大好き」
「じゃあ、おんなじ。俺も、どんな黒沼だって好き」
黒沼を優しく見つめる。
「…そんなに優しくされると、わがままになっちゃう…」
「言って、わがまま… 聞きたい…」
「…私を、嫌いにならないで…」
顔が熱い。赤くなるのが自分で分かる。
「そんなの、わがままのうちに入らないよ。
嫌いになんか、なるわけない」
はっきりと答える。
「もう一つ、言ってもいい?」
潤んだ瞳で風早を見つめる。
「爽子…って呼んで?」
ずりーーっ!そんなのわがままじゃないよーー!
いくらだって呼んであげる。
むしろ、俺のお願いだよ!
そっと爽子の肩に手をまわす。
「爽子…」
「嬉しい…」
風早の肩に、そっともたれかかる。
「爽子…?」
そっと顔を覗き込む。
スーっと気持ちよさそうな彼女の寝顔があった。
- 462 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/11(木) 18:13:32 ID:Pgu9eug7
- すっかり安心しきって眠っている爽子に、
嬉しいようなガッカリしたような、複雑な思いを抱いたまま、
そっとベットに寝かせる。
「襲っちゃうよ…」
髪をそっとかきあげる。
ほんのりピンク色をした肌が見える。
酔った勢いとはいえ、黒沼からたくさんの言葉をもらえた。
可愛いわがままも聞けたし、
今日はこれでよしとしようか…
と、自分も寝ようとした時、
「う〜ん…」
爽子がモソモソと動き出した。
「…暑い…」
爽子がワンピースのボタンを外しだした。
ビックリした!
でも、彼女をとめることができなかった。
イヤ… とめたくなかった…
スルリと服を脱ぎ捨てると、また眠りについてしまった。
キャミソールから伸びる手足。
体全体が、ほんのりピンクに染まっている。
規則正しい呼吸とともに、上下する二つの膨らみ。
色っぽい姿に、ボーーッと見とれていると、
「しょーたクン…好き…」
ふわりと微笑んだ。
えっ!? 名前!?
スーと幸せそうな寝顔の黒沼。
「ね、寝言なのかな…?」
「その夢の中に、俺もいるんだよね?」
「大好きだよ、爽子…おやすみ」
そっとキスする。
終わり
■
この後、風早がすぐに眠れたとは思えませ〜ん。
案外、爽子の寝相が悪かったりとか… それはないかww
口調とか高校生のまんまですね…汗
二十歳になってもまだ、こんなことやっているのか風爽…
設定ミスっす。。。
私の中の爽は、いつも積極的ですな〜。
もうすぐ本編ですね。楽しみwktk
- 463 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/11(木) 19:28:44 ID:L4qiAXAH
- GJ!!
最後の脱ぐシーンの風爽が(・∀・)イイ
- 464 :名無しさん@ピンキー[]:2008/12/11(木) 22:42:54 ID:IMp6fUlu
- 風爽+ケントの3Pって邪道?
- 465 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/11(木) 22:58:06 ID:Flmj49FT
- >>457
GJ!!続きが超読みたいです
>>464
邪道じゃないよ
そういうのもかなり読みたいです
初めに注意書かけば問題ないかと
- 466 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/11(木) 23:26:35 ID:XWJsIXUG
- なんかうぷ祭りですね〜
職人様たくさん降臨でうれしいです。
>>464
ここはエロパロだし、全然ありですよ〜
注意書入れれば苦手な人は見ないだろうし。待ってます
- 467 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/12(金) 08:02:58 ID:ZWg+kxyA
- >>464
凄い読んでみたい
うp、待ってます
- 468 :464[sage]:2008/12/12(金) 08:27:44 ID:vm/wsFEh
- 私じゃこんな神のような文章書けないです(・∀・;)
でも妄想だけはしっかりしてますw
多分童貞だろう風早。
ケントにテクを教わる、みたいな流れとかww
- 469 :464[sage]:2008/12/12(金) 10:15:10 ID:vm/wsFEh
- エチーに持ち込む前まで書いてみました。
お目汚しですみません。
初めて書いたので色々とおかしいかも・・・
まだ全然続きを書いてないのですが、こんな感じで宜しいのでしょうか?
ご意見お願いします。
- 470 :464[sage]:2008/12/12(金) 10:17:00 ID:vm/wsFEh
- ※風爽+ケントの3Pです。
苦手な方はご注意ください。
「あのモテモテ君がまさか童貞だったとはね」
吹き出しながらニヤニヤとこちらを見るムカツク野郎。
やっぱりこんな奴に相談なんてするんじゃなかった・・・
「で、俺にテクを教えてほしいわけですか」
ケントは風早の肩に手を回し、未だに笑ってる顔で
風早の顔を覗き込んだ。
「だからそう言ってんだろ!」
風早は顔を真っ赤にしてケントの腕を振り払った。
「そんなに怒っちゃ爽やか君が台無しだよ〜」
『風早君は爽やかで!憧れで!尊敬で!』
誰が爽やかだ!
俺だって普通にスケベだ!
- 471 :464[sage]:2008/12/12(金) 10:18:26 ID:vm/wsFEh
- 今までたくさんの女の子に告白されたけど
未だに付き合った女性はいない。
つまり童貞。
雑誌に女の子の本音特集が載っていた。
『アダルトビデオみたいなエッチは嫌』
「えっ、AVって普通じゃないんだ・・・」
困った風早は相談する相手を考えた。
「龍は・・・そういう話題できなそうだし、ピンなんてもってのほか!!」
相談できそうな相手を必死で考えて
結局最後の一人に出たのが
「・・・ケントか」
あいつは黒沼に気がありそうだからイヤだけど
黒沼のために!!
「はっ?」
聞こえなかったのではない、あり得ない言葉に驚いた。
「だからぁ〜そういうのは実際に見ないと分かんないでしょ?」
両手をやれやれという風に挙げ、ケントは固まってしまった風早を見つめた。
「俺が実際に指示してあげるから風早はその通りにやってみなよ」
- 472 :464[sage]:2008/12/12(金) 10:19:35 ID:vm/wsFEh
- とりあえず書いたところまで。
改行が多かったかな orz
- 473 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/12(金) 21:02:34 ID:UF+gVaph
- おおうぷ祭ですね
もうすぐ発売だしねえ エロパロ板に来れるくらいの
いい年だけど胸がぎゅるぎゅるするよ>>439
本編っぽい胸きゅん感になんか苦しい。恋かw
>>457
これは良い酔い爽 爽子は照れ隠しとかしないからくっついた後は
超ストレートなデレ期がくると信じてる。
>>464
ケントと爽子の組み合わせ好きだ。3Pとかエロパロ板ならではだよねえ
楽しみ
うぷ祭の中便乗
エロではないんだけど風と爽子が付き合うようになって
数日後ぐらいにクラスバレしたらどうなるかなと妄想して書いてみました。
- 474 :1[sage]:2008/12/12(金) 21:10:59 ID:UF+gVaph
- 授業終わりのベルとともに、風早は周囲の一緒に帰ろうコールを振り切って
爽子のもとにとんできた。
「黒沼、一緒に帰ろ」
にっこにこと嬉しそうに言う風早のお尻にぶんぶんとちぎれんばかりに
振られる尻尾が見えて、あやねは乾いた笑いをもらした。
ちづはにやっと笑ってわざと爽子をぎゅっと抱いた。
「爽子はあたしらと帰るの。坊ちゃまはサッカーでもしてなよ」
むうぅっと仔犬のようにむくれる風早と、笑いながら爽子を抱いてるちづ、その腕の中で戸惑っている爽子を遠巻きに見ていたクラスメイトが気を取り直して訊ねた。
「あ、あのさ、風早…なんで貞子と一緒に帰るとかいってんの?てかこの状況何?」
そんな勇者の質問に風早はあっさりと答えた。
「え、俺たちつきあってるもん、『彼女』と一緒に帰って何かおかしい?」
この爆弾発言に一気にクラスメイトは騒然となった。
- 475 :2[sage]:2008/12/12(金) 21:14:15 ID:UF+gVaph
- 「え、マジ?」「冗談きっついよー(笑)」
「え、え、何?どっきり?」「ありえないっしょ」
などと周囲は驚愕と揶揄の声が満ちた。
そんな声などまったく受け流し風早は爽子を
ちづの手から奪い返してにこっと笑った。
「黒沼、かえろ?」
爽子がぽっと赤くなりながらも頷き、
ちづとあやねに非礼を詫びると二人はぷっとふきだした。
「わりーわりーちょっとからかっただけだってば」
ちづが手を振りながらそう言うと風早もにっと笑って言った。
「そうそう、お前らはずっと黒沼独占してたんだから、帰りくらい返せよな」
そんな会話が交わされている間に周囲の衝撃第一波がさり、
ひそひそと様々な憶測の声が満ちた。
大半が信じられないという驚きのものであったが中には爽子に対する
無意識の侮蔑や悪意が混ざっていた。
「ちょ、あんたら」と何か言おうとしたちづとあやねを制止して風早は言った。
「俺、マジだから。黒沼のこと何か言う奴は俺が許さないから。」
- 476 :3[sage]:2008/12/12(金) 21:17:55 ID:UF+gVaph
- その真剣な言葉に根は単純で悪意のないクラスの大半の人々は黙り込んだ。
しかし風早大好きな一部の人々はまだ信じられない、
信じたくないと声を潜めて噂を続けた。
その中の一言が風早の耳を捉えた。
「同情?ならわかんなくもないけどね」
風早の低い声がそのさえずりを止めた
「−違う…!」
怒りの交じったその声に風早大好き隊は焦った。
「じょ、じょーだんだって、そんなに怒んなよ」
爽子がかばってくれてる…!と感動し、
周囲も爽子をかばってるんだなと納得しかけたとき
ダメ押しのひそひそ声がした。
「かわいそうな子に弱そうだもんね、かぜ…」
たぶん風早ガールズの嫉妬交じりの呟きだったのだが
風早の本気の怒り声がそれを遮った。
「違うってんだろ。」
風早を見ると蒼ざめて深刻な顔をしている。
- 477 :4[sage]:2008/12/12(金) 21:21:26 ID:UF+gVaph
- ヤベ、怒らせたと怯える周囲の目は次の瞬間、一斉に点になった。
風早が爽子の手をぎゅっと握り思いつめた眼で言ったからだ。
「違うよな!?同情とかじゃないよね?
…俺がかわいそうだから付き合ってくれてるんじゃないよな?」
周囲と爽子は一気にカキンと石化した。
そんな事気にも留めずに風早は縋るような熱っぽい眼を爽子に向けた
「俺のこと…好きだよね?」
爽子も視線を外せなくなり、かぁっと赤くなりながらもこくっと頷いた。
なんだかんだ言っても爽子は風早にはとことん甘い。
「ちゃんと言って。」
まっかっかになりながら、爽子はそれでもしっかり声を絞り出した。
「すき。」
風早はそれを聞いたとたん、爽子の華奢な体をぎゅっと抱きしめた
「うん。俺もすき。」
展開されるゲロ甘ワールドに周囲は呪われたように動けなくなった。
石化したままの周囲の中でいち早く正気に返ったのは龍だった。
- 478 :5[sage]:2008/12/12(金) 21:27:35 ID:UF+gVaph
- 「しょーた…。はやく黒山を離してやんないと窒息する。」
その言葉にちづとあやねもはっと気付いた。
「黒沼、ね。」
冷静なつっこみをいれるあやねの傍らでちづは本当に恥ずかしさと息苦しさに
きゅうっとなっている爽子を風早の腕からひっぱりだそうとしている。
「ちょ、風早離せってば、爽子死んじゃうだろ」
「やだ、また吉田とってくもん」
「とらねーよ!いいから一旦離してやんなって、ほんとに爽が死ぬ」
そんな子供じみたやり取りを見ていたクラスの面々はなんだかバカらしくなって
やがてぽちぽちと帰る者、部活にいく者などが出始めた。
最後まで諦めの悪かった一部の女子も爽子を軽く睨むと
−もっとも爽子にはそんな視線に気付く余裕はなかったが−
バカバカしそうに軽く溜息をついて出て行った。
「あ、俺も部活行くから。じゃな。しょーた、マジ黒山苦しそうだぞ。」
龍のその言葉にようやくしぶしぶと風早は爽子を離した。
- 479 :6 終わり[sage]:2008/12/12(金) 21:33:52 ID:UF+gVaph
- それから爽子机はなぜか恋の成就を願う女子の参拝所になったり、
爽子の薬草ガーデンは貞子ガーデンとして恋愛成就及び成績向上に
効果があるとされ、日々訪れる者が絶えなかったりするなど
爽子の座敷童的貞子伝説に新たな1ページが加わったそうな。
おわり
以上小ネタでした。
明日発売の本編しだいではもやもやを抱えた職人さんが
また大挙して渡来してくれるやもしれませんね
- 480 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/12(金) 22:00:53 ID:ZWg+kxyA
- GJ!!
- 481 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/12(金) 22:02:41 ID:g7JH3FZ6
- GJ!!
エロなしでもおもしろいね
- 482 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/12(金) 22:04:42 ID:ZXEK5gwF
- わろた
文章うまいw
- 483 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/13(土) 00:33:59 ID:XTCZiT9b
- 今ケント×爽子の陵辱(未遂予定だけど)書いてるけど
爽子が可哀想で進みません じゃあ書くなって感じですがw
爽子を穢すのって 尋常じゃない背徳感があってエロいもんだからつい
- 484 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/13(土) 18:27:34 ID:1n+yrTVV
- >>483
見てみたい!!
楽しみに待ってます
- 485 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/13(土) 20:45:39 ID:DePxq3Mw
- 発売日おめ!また1ヶ月が長いよ…
>>453
待ってます!すさまじく読みたい!
- 486 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/13(土) 20:46:54 ID:DePxq3Mw
- ↑違えた…
>>483さん宛です
- 487 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/14(日) 03:32:42 ID:LmcwLoz0
- ちづと龍の初めては
普段の部屋で話してる時ふと龍を愛しく感じて
本能のままにせまっちゃって
満足したあと我にかえりテンパるちづを龍がなだめるのがいい
上手く言葉に出来ないorz
- 488 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/14(日) 08:12:20 ID:pM6Y7L5t
- 何となくわかるよ!
- 489 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/16(火) 20:30:55 ID:fsVkQ6i3
- >>470さん、続き待ってます。
>>483さん、うぷ待ってます。
- 490 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/16(火) 22:09:35 ID:e3bWgGZI
- ノシ
私も待ってます
- 491 :名無しさん@ピンキー[age]:2008/12/17(水) 22:53:30 ID:jnQ5Yjzd
- 今か今かと待ってますよ
- 492 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/17(水) 23:31:45 ID:oXEVEJzS
- 焦らしプレイですね
- 493 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/18(木) 01:56:50 ID:UeqD900E
- ある程度まとまってからと思ってたけど
保守代わりに投下
以下注意
・長いです。短くできずにすみません。
・ケント×爽の陵辱もんです(未遂だとは思うけど、まだわかりません。
なり行き次第です)
・風爽以外はNGな方、爽子かわいそう系が嫌な方は題名をNGワードで対応お願いします
・五月雨投下なので投下なさる方はぶったぎってもOKです
- 494 :横恋慕1(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/18(木) 02:04:52 ID:UeqD900E
- 最初は同情だった。
報われない無理目な恋をしているあの子が可哀想だなと思った。
基本女の子はみんな幸せでいて欲しい俺は
あの子を助けてやってるつもりだった。
でもあの子は予想以上に健気で良い子でいじらしかった。
固い笑顔ばかりかと思っていたら
ふわりと見せた自然な笑みは極上級だった。
あの子があたりまえに無理めな恋に破れたとき
あんまり哀しそうに泣くからつい口走ってた。
「おれにしとく?」
その言葉に驚いたのはたぶん自分自身だった。
その後もっと驚くどんでん返しが待ってたわけだけど。
まさかあの「みんなの風早くん」があの子に恋をしてるだなんて、
誰一人として予測してなかっただろう。
- 495 :横恋慕2(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/18(木) 02:08:00 ID:UeqD900E
- 最初はそりゃあ周囲はうるさかった。
特に風早ガールズは聞くに堪えない陰口を堂々と言い放っていたけれど。
彼女の親友たちがしっかりサポートしていた事、
そして当人はその陰口が聞こえないわけではないだろうけれど、
それ以上に大切なものを手に入れた喜びでそんなものを寄せ付けないといった様子だった事、
何よりあのモテモテ王子があの子へのべた惚れぶりをまったく隠すそぶりもなかった事で
いつしかバカらしくなったのであろう彼女達はそれぞれにまたアイドルを見つけていった。
俺だけが取り残されている。
恋愛なんて簡単だと思っていた。
あの子みたいに心の底から搾り出すような涙を流したことも、
ふうわりと心の底から立ち昇るような芳しい微笑みを浮かべた事もない。
好きになったら迷わず口説き、嫌になったらすぐさよなら。
それで良いと思ってた
けど、あの子の心の底からの涙を見た後、
もう一度手の中を見たら俺はなんにも持ってない。そんな気がした。
- 496 :横恋慕3(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/18(木) 02:11:22 ID:UeqD900E
- 『俺、もうすぐ誕生日なんだよねー、貞子ちゃんからはなんもないの?』
こんな軽い冗談をあの子が真に受けるとは思わなかった。
…ほんとはちょっと期待していたのかもしれないけど。
律儀に彼女は用意してきた
「つまらないものですが…」
そんな事をいうもんだからつい苛めたくなった。
「あれ、『つまらないもの』をくれるんだー。
ひでーな、貞子ちゃん。俺たちお友達でしょー?」
案の定、貞子ちゃんは慌てだした。
「つまらないものっていっても、その、私はいいと思ったけど、
師匠はどう思うかわからないし…」
この子こんなに騙されやすくてこの先の人生は大丈夫なんだろうか。
俺は一抹の不安を覚えながらもおかしくて笑った。
「嘘嘘。貞子ちゃんが一生懸命つくってくれたんでしょ。ありがたく頂くよ。」
貞子ちゃんはしばらく固まった後、いきなり涙ぐんだ。
「ちょ、ちょっとどうしたの、なんか悪いこと言った?」
彼女は首を振って答えた。
「うれしいな、と思って。」
そして、いつも手作り怖いと言われてきたので…と続けた。
あー…確かに、この子を知る前の俺ならそう思ったかもなあと思う。
だってなんか呪われそうなんだもんな。
- 497 :横恋慕4(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/18(木) 02:14:40 ID:UeqD900E
- でもこの子は普通の子だった。
ちょっとしたことで感動して、
バカがつくほど真面目で固くて、
不器用なだけのただの女の子だった。
「…いや、ほんと嬉しいよ。知ってる?
今や貞子ちゃんグッズは幸運を呼ぶお守りみたいに言われてるんだよ。」
「しゅ、」
「しゅ…?」
「出世した…!」
「…ぶふっ。出世って。」
噴出した俺に貞子ちゃんも釣られてふんわりと笑った。
−あ、あの笑顔だ。
蕾が一瞬だけ柔らかくほどけるような。
「…貞子ちゃん、よく笑うようになったね。」
「え、そ、そっかな。」
なんか喉がイガイガする。
「−風早のおかげ…とか?」
とたん面白いくらい赤くなる。
血の気の薄い蒼白い普段の顔色が、鮮やかに紅に染まった。
花…みたいだ。
「あのさ。−風早のどこがそんなにすきなの?」
今度は喉がひりひりしだした。風邪だろうか。
貞子ちゃんは真剣に考えてから、一つ一つ数えるように答えた。
「えーと、いつでも平等に接してくれて、優しくて、
ちゃんと、私を見てくれて…」
彼女は今度はもっと真っ赤になって俯いた。
- 498 :横恋慕5(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/18(木) 02:19:36 ID:UeqD900E
- 「…すきなとこがたくさんありすぎて、わかんない」
―あーなんか、胸まで痛くなってきた。
なんとなく吐き気までしてきたような気がする。
「じゃあ、何で好きになったの?きっかけは?」
少し考えて彼女は微笑みながら言った。
「さわこ、って呼んでくれた…から。
みんな私のこと『貞子』が本名だと思ってたのに、
風早君は私の名前知ってたんだよ。」
…何それ。
そんな風に、貞子ちゃん笑うの?
それは反則の笑顔じゃね?
俺、見た事ないんだけど。
「−何だよそれ。」
笑おうとして、笑えない。
「お、おかしい、かなあ。」
「うん。おかしいよ。」
おかしいよ。そんなの、先着順じゃん。
「でも、あの時、私の世界は変わったんだよ。
…いつも風早君は私の世界をかえるきっかけをくれるの。」
ねえ、だから貞子ちゃんずるいよ。
そんなに甘くていい匂いのする笑顔なんて
誰にも見せたことないじゃん。
誰にも。
俺にも。
- 499 :横恋慕6(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/18(木) 02:23:57 ID:UeqD900E
- 「…ずりーよなあ。そんなん。」
「ずるい?」
何が?ときょとんと彼女は首をかしげた。
「そんなん、早いもんがちじゃん。
俺だって貞子ちゃんと同じクラスなら知ってたっつーの。」
良い人…!さすが師匠…!とか呑気に君は感動しているけどさあ。
俺なんかすごくいきなり風邪が酷くなってきてんだけど。
泣きそうなぐらい苦しいんだけど。
「俺だって、貞子ちゃんと同じクラスだったら…−同じクラスだったら」
「?」
「―きっと貞子ちゃんの事構い倒してたよ。貞子ちゃん面白いし。」
「面白い…ですか?」
そ、そっかなーと照れながらもどっか嬉しそうな彼女から目線を逸らし
俺はそっとつめていた息を吐いた。
- 500 :横恋慕7(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/18(木) 02:26:25 ID:UeqD900E
- 俺、今なに言おうとしたんだろ。
思わず口元を覆う。
『爽子って呼んでくれたんだよ』
そんなん、俺だってそうしたよ。
『いつだって平等で、優しくて』
そんなん、下心があったからに決まってるよ。
『ちゃんと私のこと見てくれて』
…俺だって、絶対見てたよ。同じクラスだったら飽きるほど見てた。
『いつだって、私の世界が変えるきっかけをくれるの』
なんで、俺じゃないの?
ずるいよそんなの、俺だって貞子ちゃんに優しかったじゃん。
俺のが先に出会ってたら
出会ってたら…?
「−ごめん、ちょっと用事思い出した。俺帰るわ。」
気分でも悪くなったのかな、と心配そうな彼女がちらっと目に入ったけど
俺にはそれをフォローするだけの余裕はなかった。
- 501 :横恋慕 一旦終わり[sage]:2008/12/18(木) 02:28:26 ID:UeqD900E
- 今回はココまでです
- 502 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/18(木) 14:38:01 ID:rxTsl69x
- GJ!GJ!!
お〜次も楽しみ
待ってたかいがあった
- 503 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/18(木) 17:31:21 ID:d1nc7Jb+
- 続き待ってます
- 504 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/19(金) 00:57:06 ID:oiqby0en
- 期待!
- 505 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/19(金) 02:08:06 ID:Df/7HgOw
- GJ
KENTいいっすねー
続き楽しみにしてます
- 506 :横恋慕8(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/20(土) 19:34:46 ID:a5qsD4d4
- >>494−500 の続き
…やっぱりあんな去り方よくないよな。
少し落ち着くとそんな後悔が襲ってきた。
去り際に見せたあの子の心配そうな顔がちらついて、胸が苦しい。
あの子に一言フォローを入れたら早く帰って寝よ。
あの子が帰ってなきゃいいけど。
そう思いながらクラスに取って返すと、もう人は誰もいないようだった。
あーあの子も帰っちゃってたか。
じゃあ明日フォローを、と帰りかけたとき部屋の奥に人影が見えた。
長い髪にあの子だと気付く。
声をかけようとドアを開けようとした時、もう一人いるのに気付いた。
風早とあの子が話しているんだ。
そう気付いた瞬間手が止まった。
教室の引き戸を少しだけあけると二人の会話が聞こえた。
『なあ、黒沼。…俺のこと、好き?』
彼女は微笑みながら、うん、と頷いた。
『うん、じゃなくて…ちゃんと、言って?』
彼女はぽぅっと赤くなって困ったように笑った。
『言ってよ。聞きたいんだ。』
『う、うん…風早君、だいすき…。』
心臓がばくばくいってる。
- 507 :横恋慕9(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/20(土) 19:40:33 ID:a5qsD4d4
- なんでだよ。なんで、なんであそこにいるのが俺じゃないわけ?
俺だって、貞子ちゃんに優しかったよ
俺だって浮いてるあの子をなじませてあげようと思ったよ
俺だって
俺だって君を可愛いと思ったんだよ…。
二人の会話は続いた。
『じゃあさ、−キス、してよ。』
『え、あの…こ、ここで…?』
『うん。』
戸惑った顔で躊躇う彼女に風早は続けた。
『…ほっぺで、いいから。』
少しの間の後 彼女がそっと背伸びして風早の頬に唇を寄せたのが見えた。
はぁ、と溜息が一つ漏れる。
知りたくない答えを眼前に突きつけられたら絶望するしかない。
恋心に気付いたとたん失恋ってアリ?
立ち去ろうとしたとき、風早の声が聞こえた。
『黒沼…髪、ちょっと上げて?』
反射的に覗き見ると
彼女は不思議そうな顔をしながらもしなやかな黒髪をひとまとめにして上にあげた。
漆黒の髪と目に痛いほどの白い首筋の対比が鮮やかでごくっと息を呑んでしまう。
風早はその首筋に唇を落とした。
『…あ…っ』
彼女は思わず出たと言う感じの甘い声に自分で驚いたのか頬を瞬間に染め
瞳をゆっくり伏せた。
『お返し。−俺のって印、ね』
- 508 :横恋慕10(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/20(土) 19:49:21 ID:a5qsD4d4
- 俺はそっと戸を離れて走りだした。
やばい。
あれは、やばい。
セックスしたことがないわけじゃないのに。
女ってあんなだっけ?
女って、−あんなやらしい顔をするもんだったのか?
その夜俺ははじめて夢で魘された。
夢の中まであの白い首筋と、甘い声が追ってきた。
寝苦しくて眼を覚ました時気が付いた。
そっか、あの子を抱けばいいんだ。
====================================
今回はここまでです。
ピーピングケントはとんでもない結論に達したようです
- 509 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/20(土) 20:32:24 ID:c2ZLVyqm
- うわああああああああ
キュン死する
超GJ!!!
- 510 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/20(土) 21:01:56 ID:QsDoZG9w
- キュン死ぬ・・・・
- 511 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/21(日) 13:03:25 ID:t38vwCv8
- やばいよやばいよー
いいよいいよー
GJ!
- 512 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/23(火) 16:10:27 ID:ymJmCR6Q
- 職人さん待ちの呟き
本スレでちょっと前に爽子はエロイ説が出てたけど
あれは納得できる。しかもピンの指摘のとおり
マニアックな色気だと思う。高校生くらいでは触れたらダメだよあの色気はw
てか風早と爽子がくっついたら普通にエロエロバカップルになっても
おかしくないと思う。それくらい爽子はエロイ。
風早は寧ろよく耐えてると思う
爽やかの塊である風早やモラルの強い爽子が恋愛の持つ狂的な
エロティシズムに振り回され、いけないと思いつつ我慢しきれなく
なっていく姿はエロイと言わざるを得ない。いけないと思いつつってのがいい。
ていうか本誌では絶対無理だろうからせめてココでは見たいw
- 513 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/23(火) 21:00:03 ID:+iV9o4h+
- >>512
うんうん、自分も思ってたよ〜、あのピュア漫画でw
爽子の色気はすごいよね。
モラルの強さからもだけど、儚さからでる陰の色気も持ってるような気がする。
風早のちょっと異常なまでの爽子への執着とか独占欲はそこに起因してるようにすら思える。
誰かが爽子に触れるの異常に嫌がるし。
もちろん爽子の内面もすきなんだろうけど。
それにしてもみなさん文才ありますね。
いつもGJありがとう!
- 514 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/23(火) 22:36:41 ID:ymJmCR6Q
- 陰の色気…!そうそうまさにそれだ!
色気ってどこか陰があるのが一番エロイ
爽子のどこまでも健全で健気な魂が光とするなら
あの儚さと陰に起因する色気が影で
風早はそのギャップにやられてるとも思うよ
つかピンの言うとおりマニアックで渋いw趣味だ
親父趣味とも言えるw
千鶴が色気ないのは陰がないからだよなあ
でも書きようによっちゃ千鶴もエロくできそう
メスライオン捕食系みたいな色気w
- 515 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/24(水) 01:04:58 ID:A1atMPBF
- だから、こんなに風爽に萌えるんだな
納得した
やのちんは、ねっとりテクニシャンだと思うのは私だけだろうか
ピン矢野とか読んでみたい
外堀からじわじわ確実に仕留めにかかる矢野、罠に思いっきりかかるピンw
- 516 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/24(水) 22:12:09 ID:E+ZybqtC
- むしろ矢野ちんは可愛い人だと思うよ
冷静で物事よく見てて自分は周囲の人間より大人じゃないの
って思っちゃってるとこが可愛い。
馬鹿にしてたピンにそういうとこ付かれて動揺し陥としてやる…!
な矢野ちんが見たいw
自分の中では
爽子は一歩間違えば男を破滅に誘うがけっぷちヤバ色気
千鶴は無邪気な大型肉食獣っぽい野生の色気
矢野ちんは小悪魔なようでいて実は可愛いタイプ
くるみは素でどSクイーンwM男を呼び寄せるよ!
(彼女が風早とうまくいかなかったのはSとSだからだと思ってますw)
- 517 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/25(木) 09:36:59 ID:6/WwNa3W
- >>516
それを文にして投下するんだ
さあ、さあ
個人的にはM男とくるみが見たいww
- 518 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/25(木) 19:07:14 ID:QQiOalS+
- 龍が他の誰かに恋する展開きてほしいなあ
最後は千鶴と同じように何らかの形で恋破れて千鶴のとこに戻ってきてほしい
若しくは千鶴が引き戻す展開でもいい
龍が誰かさんに恋焦がれている間、千鶴がイライラするのがみたいw
- 519 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/26(金) 20:59:40 ID:+7bt1tKf
- 職人さん帰ってこないかな…
- 520 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/26(金) 21:31:22 ID:3mk80Apa
- まあ師走で忙しいからね。
保守しながら待ちましょ。
本編の性格上職人さんは女が多そうだし
そしたら情緒的なストーリー長めのもんが多くなるし
ひとまとめになるまで職人さんは投下を控えてるんだよ
以下雑談
全然話は違うし、嫌いな人にはごめんだけど
スクイズの言葉と爽子って立場とか清らかさとかにてるなーとか
なんとなく思った。
まあ爽子がnice boatするとは思えないけどw
- 521 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/26(金) 22:18:26 ID:SX16cw0+
- 爽子は無意識のうちに色気をだしてそう。
果たして風早は、密室でふたりきりになったときとか我慢できるのか…?
- 522 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/26(金) 22:26:22 ID:DOv3uJtW
- >518
龍が千鶴以外に惚れる展開が想像しにくいかなあ。
実際に【千鶴ひとすじ】って言ってるからね。
千鶴が龍のことを好きだと自覚してないからなおさら。
ここに投下されてた、龍にラブレターが来たと思い込んで
一人であわあわする千鶴が私のイメージっぽい。
- 523 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/26(金) 23:34:06 ID:z14gl8d/
- 自分は文章書くの苦手なもんで、申し訳ないけど職人さん待ち…
でも516さんな色気分析?もおもしろいねーw
爽子エロスに納得。
言動は天然で幼さもあるけど、きれいな心と芯の強さから醸し出す色気と、
脆く儚い色気両方兼ね備えてる。
風早は我慢できないと思うw 付き合いだせば、案外すぐに一応手だけは出しそうw
爽子が応えられるかはまた揉めそうだけどww
- 524 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/26(金) 23:53:50 ID:gpHP0OuT
- 爽子は天然だけど馬鹿じゃないから色気があるんだと思う。ちゃんと考えて悩める子だし、単純そうでダメなものははっきり言えるし。
そういう奥深さ(?)が色気として表れてるような気がする。
なんだか本誌で黒風降臨してからエロ妄想がスムーズになったし、職人さんもエロをたくさん書いてくれるようになって嬉しいw
切ない展開だったけど黒風はとっても好きだなー
- 525 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/27(土) 14:03:22 ID:zthrGp5r
- 爽子にキスした上にあまりの可愛さに思わず胸も揉んでしまって、
顔を真っ赤にして慌てるスケベ風早がみたい。
- 526 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/27(土) 16:35:50 ID:DXFFPrR2
- 職人さん待ってます!
- 527 :横恋慕11(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/27(土) 18:06:20 ID:oZmGIdqo
- 526タンの召還に答えたわけじゃないからねっ勘違いしないでよねっ
今から出かけるのでこんな中途半端な時間に間違ったツンデレキャラにて投下>>494−500 >>506-508の続き
ケン爽陵辱っぽい カプ注意
前回まではケントが爽子のエロ気にやられ…いや恋に落ちるまでだったので
ケント視点でしたが、今回より普通視点となります。(微妙にケント寄り視点かも)
=======================================
翌日寝不足のまま三浦が学校に行くと、
爽子が何やら可愛い小袋を千鶴やあやね、
そしてほしいと言った隣席周囲の人間にまで配っていた。
千鶴が早速あけて美味しそうに食べているものをみれば
どうやら手作りのチョコレート菓子らしい。
「どうしたのいきなり」
爽子はぽっと赤くなりながら嬉しそうに言った。
「師匠が、ああ言ってくれたから…」
「ああって?」
「手作りのものが喜ばれてるって…。よかったら、その師匠の分もあるので…」
爽子は三浦にもそう言って小袋を渡した。
- 528 :横恋慕12(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/27(土) 18:12:43 ID:oZmGIdqo
- 三浦がそれをぼんやりと礼を言って受け取ると爽子がおや?という顔をする。
「どうかした?」
いつも無駄にハイテンションな三浦がぼんやりと返事した事と
昨日の三浦の去り際とが爽子の中で結びつく
「あの、もしや体調でも…」
三浦は手を振って否定しようとして、途中で言葉を止めた。
「いや、なんともな…」
いきなり言葉を止めた三浦に爽子は心配そうに顔を向けた
「…実はさ、悩み事があってさあ。よく眠れないんだよね。」
「悩み事…!」
「―貞子ちゃんに相談に乗ってもらえたら助かるんだけどな。」
爽子は一瞬固まり、次の瞬間勢い込んで首を立てに振った。
「わ、私にそんな大役が務まるかどうかわからないけど、私でよければ…!」
ああ、そういえば人の役に立つのを至上の悦びとしてる子だっけな。
三浦はくすりと笑いながら待ち合わせに指定した場所で思う。
ここはめったに人が来る事のないカップル逢引の穴場で三浦もよく利用した場所だった。
そんな子につけこんじゃって、普通に悪人だよなあ俺。
三浦は自嘲的に暗く笑った。
- 529 :横恋慕13(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/27(土) 18:15:44 ID:oZmGIdqo
- 良心はまだやめろとちゃんと疼き続けてくれるのだけど、
じゃあ諦めるのかと問いかけるといきなりその訴えは黙り込む。
あの甘く芳しい微笑みも、くらくらするような甘い声も、
ふるりと忍び込んでくるようなエロい顔も全部隠してた貞子ちゃんが悪いんだよ。
三浦が考えているうちに待ち人が慌てたようにやってきた。
「す、すみません待たせてしまって…!」
「いや俺が早く来すぎてたんだよ」
どんだけ逸ってんだよ俺。
三浦は内心の苦笑を抑えた。
「あの、それで相談とは」
「あ、ちょっと人に聴かれたくはないから…」
あ、そうだよね、悩み事だもんね、と爽子は神妙な顔で
三浦に導かれるまま資材庫の扉の内側に入った。
酷いよね貞子ちゃん。
その無防備さは死ぬほど残酷。
自分がきれいだからって人もそうだなんて思っちゃダメだよ。
三浦は爽子に気付かれないようにかちゃりと鍵を閉めた。
- 530 :横恋慕14(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/27(土) 18:21:54 ID:oZmGIdqo
- 「あの、これ良かったら」
爽子は水筒からこぽこぽと温かい飲み物をコップに注ぎ三浦に手渡した。
「…なにこれ。」
「ハーブのお茶です…。精神安定などに効用がありますので…」
緊迫感の欠片もないとぼけた言葉に、ああ、そう…などと生返事をしながら
口にそれを含む。
「…あ、いい匂い。」
三浦が思わず洩らした言葉に、爽子は嬉しそうに笑った。
普段固い表情の多い爽子の笑みは蕾がほろりと解けるような感じがする。
三浦は無意識にぎゅうっと胸を抑えた
「あの、やっぱり具合が…?」
「…どこも悪くないって。」
「あ、あのじゃあそのお茶が口にあわなかったのかな…」
ハーブって好き嫌いわかれるもんね…やはり緑茶にすべきだった…などと
ぶつぶつ呟いている爽子に三浦は言った。
「いや、うまいよ。…これもうまいし。」
そう言って三浦はさっき爽子がくれたチョコレートを取り出し、
ひとつ口に放り込んだ。
嬉しそうに頬がぱぁっと紅潮する爽子に三浦は続けた。
「うん、ほんとにうまいよ。−味見してみる?」
「いや十分に味見は…」
爽子の言葉は途中で遮られ、そして飲み込まれた。
- 531 :横恋慕15(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/27(土) 18:28:35 ID:oZmGIdqo
- 何が起こったのかわからず爽子が目を見開く間にも、
その柔い唇は貪るように弄られる。
強くなったり弱くなったりしながら何度もそれは繰り返された。
爽子の見開いた目から苦しさのあまりに涙が滲み出た時、
ようやく三浦は爽子を解放した。
状況がつかめず、ただ奪われた酸素を取り入れるために
短く荒い息を繰り返す爽子に三浦はなんでもないことのように言った。
「キスの時は眼を閉じるんだって風早はおしえてくんなかった?
あ、そっか風早はチェリー君か。もてもてのくせに彼女作んないからだよなあ。
処女と童貞の組み合わせなんて最悪だねぇ。セックスがちっとも気持ちよくないじゃん」
「し、ししょ、何を」
「そんな色気のない呼び方、もうよしなよ。
今から俺たちセックスするんだしさ。」
軽い口調で絶望的なことを告げられ爽子は一気に蒼ざめた。
現実感がないほど、唐突な展開に事態を完全に理解は出来なかったが、
このままでは取り返しがつかない事になる事だけはわかった。
爽子は狭い室内でも三浦から身を遠ざけるようにしながら
後ろ手でドアを開けようとした。
「!?あかない!?」
- 532 :横恋慕16(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/27(土) 18:37:19 ID:oZmGIdqo
- 「逃げちゃだぁーめ。いいじゃん、一回くらい。
風早と違って俺はうまいよー。そうだ男のツボ教えてあげるよ。
風早も悦ぶと思うなあ。」
三浦は爽子の手をぎゅっと掴んだままぐいっと彼女の体を引いた。
細く軽い爽子は羽のようにあっけなくゆらりと揺らぎ、
あっという間に爽子の華奢な体は三浦に組み敷かれていた。
爽子は資材庫に無造作に置かれた古い大きなテーブルの上に
両手をおさえるように貼り付けられた。
三浦は片手で抑えているというのに爽子の二本の手はまったくその力に対抗できない。
(嫌だ怖い…!)
爽子は本能的に怯え、小さく震えた。
「あーそんなに怖がらないでよ。
爽子ちゃんだって初めて、ってわけじゃないんでしょ?」
爽子は涙を浮かべながら首をぶんぶん振った。
「お願い、やめて…っ」
爽子と風早はまだ、そんな関係ではなかった。
お互いの気持ちを確かめ合い、十分なほど求め合ってはいたが、
風早は爽子の歩むゆっくりとした恋愛ペースにあわせると言ってくれたのだ
=============================================
出かける時間にて続きは深夜
- 533 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/27(土) 20:52:31 ID:DXFFPrR2
- キター!!
ありがとうございます!
イイ所ですんどめ…
続きが早く読みたいです
- 534 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/27(土) 23:09:01 ID:n/iH2WAn
- 横恋慕さんの投下までの暇つぶしに、読んでくださると嬉しいです。
これから投下の話は、龍×千鶴の>236の話の続きっぽくなっています。
またエロまで持っていけなかったけど、
なんとなくそんな雰囲気に持っていけました。
次こそは……!
龍ちづNGさんはタイトルNGでお願いします。
- 535 :君に触れたい。1[sage]:2008/12/27(土) 23:11:17 ID:n/iH2WAn
-
初詣は毎年、龍と行く。
毎年約束をしなくても、いつもの時間に龍の家に行けば、準備万端の龍が待っているはずだ。
いつもと何ら変わらないけれど、二人の間柄は去年とは違う。
龍の気持ちを、泣きじゃくった耳ながらも千鶴はしっかりと聞いている。が、しかし、一向にカレカノの雰囲気にならないのが、この二人だった。
「おっちゃーん、龍、いる?」
いつもと同じように店に顔を出すと、龍の父親が返事をくれる。
「おお、ちづちゃん。昨日まで手伝い有難うなー」
毎年のことだが、長期の休みに入ると千鶴は龍の家業のラーメン屋を手伝う。昨日で年内の営業を終えたが、龍の父親は掃除のためか、カウンターの中にいた。
その礼の言葉に、いやなんの、と照れながら階段を上がろうとする背中に、再び声が掛かる。
「……いやほんと、ちづちゃんがうちの娘だったらなあ!」
前にも聴いたことのあるセリフ。徹に片思いをしていた時だ。儚くも破れた恋だったけれど、そうして気付いたことがある。龍だけは、失いたくないと。
「……あたしも、そうなりたいよ!」
照れ隠しが、逆に大声になる。瞬間、龍に聴こえたかもしれない、と顔を赤らめた。
引き戸を開けると、はやりそこには出かける準備を整えた龍がいる。
さっきのセリフが聞こえてたのではないかと龍の表情を伺うが、その無表情からは何も読み取れなかった。
「んじゃ、行ってくる」
「おっちゃん、またねー」
「おう、気を付けてなー」
毎年繰り返されてきた会話は、やっぱり今年も変わらない。それが心地いい。
「相変わらず人多いねー」
神社に近づくにつれ、人口密度が上がる。徐々に、人を避けながら二人で並んで歩くのが困難になってくる。
今年は特に人出多いな、などと考えながら、冷たくなってきた手に息をかけていると、急に龍が立ち止まった。千鶴も同じように足を止めるが、龍は何も言わずに立ち尽くしている。訝しげに見ていた千鶴が口を開く。
「……なに」
「ん」
龍はひとことだけ言うと千鶴の手首を掴み、そのまま自分のダウンジャケットのポケットの中に千鶴の手を収めてしまった。
そして龍の手が同じように入って来て、ポケットの中で重なる。
「りゅっ」
あまりの突然な出来事が、千鶴の声をひっくり返す。そんな声に龍の言葉が被る。
「手袋くらいしてこい、バカ」
いつにも増してぶっきらぼうなのは、照れているからだと分かる。それが分かる自分が嬉しい。
「バカって、…アンタも手袋してないじゃんっ」
軽口を言い返しながら、千鶴は大きな手に包まれる温かさを感じていた。
- 536 :君に触れたい。2[sage]:2008/12/27(土) 23:13:21 ID:n/iH2WAn
-
賽銭を投げ願い事をし、去年は飲みそびれた甘酒を堪能し、新年を迎えた後におみくじを引いて互いの結果を罵りあう。
毎年恒例の行事だが、違うことと言えば、往復する間、千鶴の手は龍のポケットに入ったままなこと。そして歩を進め、龍の家の前に着いて、千鶴が感じた感情。
離れ難い、というその初めての気持ちに千鶴が戸惑っていると、龍が口を開いた。
「……上がってくか?」
「うん!」
間髪いれずに返事をして、龍に苦笑いされる。家は近所だから、いつだって帰れる距離だ。龍と出かけていることを知っているわけだし、多少遅くなったとしても家のほうでも心配はしないだろう。
店に入ると、やけに静かなことに気がつく。
「あれ?おっちゃんは?」
「商店街の忘年会……もう新年会か」
「あ、そ……」
二人きり、ということに慣れているはずなのに、なぜか千鶴に緊張が走る。
前みたいにキスされんのかな、と過ぎった頭を振る。いや、何かを期待しているわけじゃないんだあたしは。
自分に言い訳しながらいつもの癖でベッドに座り、即座に後悔する。ってか、これじゃあ誘ってることにならないか?いやだけど今座るとこ替えたら超怪しいし。って、なんでキョドってんのあたしっ!
「千鶴?」
「にゃっ、にゃにっ!?」
思考回路が混乱を極めていた矢先に呼ばれ、回らない舌で答えると、龍が吹き出した。
「にゃにって………ぶっ」
「な、なに笑ってんのさ!……あ、こら、笑うな!笑うなって言ってんの!」
くつくつと笑い続ける龍に自分の緊張が見透かされていたような気がして、千鶴はクッションで龍をバシバシと叩く。それを手でガードしながらも笑い続ける龍。そして、その笑いが千鶴にも伝染した。
二人でひとしきり笑い終えると、どちらからともなく手をつなぐ。
目を瞑るタイミングなんて勉強したわけじゃないのに、2度目のキスは前回よりもスムーズだった。
不思議だ。兄弟みたいに育った相手が、こんなに大切になるなんて思ってもみなかった。そしてその相手の唇がこんなに心地いいなんて。髪や頬を撫でられるのが、こんなに安心するなんて。
誰かに教えられた訳じゃないのに、顔の角度を変えている自分に驚く。鼻がぶつからないように、なんて、自然の成り行きで、考えてするものじゃないんだ。
自然の成り行きは、その後もやってきた。龍が自分の身体をベッドへと倒したのだ。流石の千鶴も、付き合っている男女が「そういうこと」をすることくらいは知っている。知ってはいるが。
いやいやちょっと待て、それはいくらなんでも早い気がする。そんな思考が千鶴を支配する。
「りゅ、龍っ」
「……ん?」
唇が離れた隙に、呼びかける。とりあえず、こっちに(今は)その気がないことを伝えなくてはならない。
「あ、あのさ」
「いや?」
先回りして言われると、言葉に詰まる。
「いや、……イヤじゃないんだけど……」
「だけど?」
「ま、まだ早いような……」
「そっか」
そのあっさりしすぎるくらいの引き下がり具合は、逆に拍子抜けするくらいだ。龍は横たわったままの千鶴を起き上がらせると、ぽんぽんと千鶴の頭を撫でた。
「俺は結構前から我慢してた」
そんなことを微塵も感じさせなかったクセに、唐突に本音を言う龍に戸惑う。だって、キスだってあれ以来してなかったじゃん。そんな千鶴の感情を余所に、龍が話し始める。
「中学のとき、暴れ馬だった千鶴を本気で負かしたの、どうしてか分かる?」
「……ああ、アンタに負けたアタシの黒歴史ね……」
喧嘩100連勝を目の前にして龍に戦いを挑み、あっさりと負けてしまった千鶴の古傷だ。当時の感情が蘇ったのか、屈辱オーラに包まれる。
「アンタに勝てば100連勝だったのに……!」
「他の男にあれ以上千鶴を触らせたくなかった」
力こぶを掲げようとした千鶴の腕が途中で止まり、驚きの顔で龍を見る。
「龍」
「もし俺を負かせば、千鶴は次の誰かと対戦したろ?いくらアイツらが千鶴を女としてみてなくても、喧嘩しながら千鶴に触れるのがイヤだったし……」
「アンタ今自然な流れで喧嘩売った?」
そういいながらも、龍がそんな気持ちでいてくれたことを嬉しく思った。もしかして我慢ってその時からかもしれない、とも思ったが、本人に確認するのは止めておいた。
『あの時負かされたの、チャラにしてやってもいいかな』
いつになるかは判らないけど、いつかきっとその日が来る。それまで龍を我慢させることが、千鶴にとってあの時に負けた仕返しになるのかも、と、内心で小さく笑った。
了
- 537 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/28(日) 01:15:58 ID:NNnpX+cK
- >>527 >>535
いっつもスレ巡回では真っ先に見に来ているのに、うっかり寝てしまった日に限って…!!
二人ともGJGJGJぅぅぅぅぅうう
続き期待してます 全裸で
- 538 :横恋慕17(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/28(日) 01:52:00 ID:iGuSaUdn
- >>537今夜は寒いから風邪ひくなよ
>>532続き
実際爽子は風早の施す深く濃厚な口付けにようやく慣れ、
その快感に酔う事を覚え始めた程度だった。
それでも爽子はその先にあるものを決して無視していたわけではなく、
いつかはあける事になるその扉を、できることなら風早と開きたいと
胸の奥で大切にその疼きを育てていた。
その深奥の扉が今無残な形で踏みにじられようとしている。
(風早君…っ助けて…)
泣き始めた爽子の表情にサディズムを強烈に煽られながらも
三浦はそのことに気付いた。
「…え、まさか、まだシタことないの…?
うそだろ、あんだけエロいオーラ撒き散らしといて…。」
三浦は本当に衝撃を受けていた。
あの、放課後の教室での二人の秘め事には尋常じゃないエロスが漂っていた。
なのに、本当にこの二人には体の関係がないというのだろうか。
衝撃のあと、じわりと幸福感が三浦を包んだ。
じゃあ、少なくともこの子の『初めての人』には、なれるんだ。
- 539 :横恋慕18(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/28(日) 02:03:33 ID:iGuSaUdn
- そしてそのままこの二人の仲が壊れてしまえばいい。
そこに漬け込む余地ができるなんてさすがに楽天的な俺でも思わないけど
…少なくともこの子の『特別』には、なれる。
三浦はあいた片手で呼吸に合わせて上下する爽子の胸をやんわり刺激した。
びくんっと爽子の体が三浦の体の下で跳ねた。
「爽子ちゃんさあ、こないだ教室で風早とイイコトしてたでしょ。」
話しながら爽子の制服のリボンをしゅるりと外した。
赤いリボンがはらりと哀しげに落ちた。
三浦はそのまま片手は爽子のブラウスのボタンをぷちぷちと外した。
第3ボタンまで外したところで再度爽子の桜色の唇に自分の唇を覆いかぶせ、
震える唇をこじ開け生ぬるく蠢く舌をねじ込んだ。
苦しそうに身をよじりながら逃れようとする爽子だが、
慣らされた舌は三浦の執拗な口付けに反応し勝手に絡んでいく。
「…んっく…んんぅ」
ちゅぷっと口腔内の粘液が銀色の糸を引いて離れた。
三浦は熱い息を満足げに吐いた。
やっべぇ キスだけなのに俺すごいことんなってる…体が燃えるみたいだ。
- 540 :横恋慕19(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/28(日) 02:13:42 ID:iGuSaUdn
- 三浦の唇はそのまま爽子の白い首筋へと移っていき、
ちゅっと音を立てて吸い付いた。
「…ぁあっ…!」
「そうそう、そんな感じの甘い声で喘いでた。…めちゃくちゃエロかった。」
三浦は少し笑いながら言った。
「あれみてたらさー勃ってきちゃってさ。…あの日何回も爽子ちゃんで抜いたよ。」
「ぬ、抜くって?」
「あ、知らない?こうやって…」
と三浦は爽子の片手の拘束を解き、自分の性器に触れさせた。
爽子が触れた箇所から甘い痺れが電撃のように広がる。
三浦は怯える爽子の小さな手にそれを握らせた。
そして熱い息と共に言った。
「…はぁ…っ…自分で動かすんだよ。イクまで。」
三浦はうっとりと爽子の羞恥に染まる耳に囁いた。
「爽子ちゃんのHな顔とか声とか体とか想像しながら、何回も。
…すっげー気持ちよかった。…だからさ、俺のになってよ。」
- 541 :横恋慕20(ケン爽陵辱)[sage]:2008/12/28(日) 02:33:12 ID:iGuSaUdn
- 爽子は呆然と三浦を見た。
この人は一体何を言い出したのだろう。
爽子は懸命に小さな体の全力で抗いながら
途切れ途切れに言葉を搾り出した。
「わ、わたしは風早君と」
「別れなよ。別れて、俺にしなよ。俺の」
三浦はその言葉を口にするだけで、ぶるりと恍惚感が身を駆け巡った。
「俺だけのカノジョになってよ。」
(続く)
−−−−−−−−−− キリトリ −−−−−−−−−−−
今回はここまでです。
少し字数が余りましたので(PK2だと1回500字前後しか投下できない)
小ネタ カプは風爽 龍ちづ前提で。
ある日の事。
女の子同士のパジャマパーティを開催中での出来事。
夜も更けていい感じでみんなナチュラルハイになってくると
思春期の女子らしく恋愛話になる。
そんな中千鶴が赤い顔でようやくと言った感じで話し出した。
「あのさっ…そそそ、その気にさせるにはどうしたらいいのかな」
あやねは飲んでいたお茶を噴出し 爽子はその気…?と疑問符を浮かべ
あやねにこっそり解説してもらったあとぽっと赤面した。
−−−−−−−−−− キリトリ −−−−−−−−−−−
おっと字数が尽きたようだ。
- 542 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/28(日) 02:58:12 ID:NNnpX+cK
- ミ`ー‐、
`⌒丶、'ー-、_ + 十
 ̄\―ヽ._ 二_‐-
\ \  ̄ ‐-  ̄二二_ ―_,r'⌒ヽー、
 ̄\ ̄ \‐- ╋__..ニ -―― ´ ̄ __... -―一┘
+ ニニ ー--\ ⌒Y´ ̄ `丶 __,. -‐二´  ̄ ― +
 ̄\ ! =,. -‐ 二_
_ ヽ.._ ノ
 ̄ 〉 ー- ノ三二 + 待ってたかいがあったぜ
十  ̄―/ ,' /二  ̄ _
ニー/⌒∨ / 二/ /⌒'l  ̄
_ / l /二 / ,イ |二_
/ /| / .ノ 〈. ′ / | _|__ ╋
 ̄_/ _/_ヽ_, .__,/ | |_
彡ニ ,ノ __( )_ 〈__ 三ミ +
+ `⌒  ̄ V''V ― ⌒
- 543 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/28(日) 03:07:03 ID:Msidjy74
- ちょw落ち着けw
>>538
ありがとうありがとう
待ってた甲斐がありました
激怒した風早乱入とか…ないかなw
- 544 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/28(日) 03:23:22 ID:iGuSaUdn
- >>535
龍ちづ(;´Д`)スバラスィ ...ハァハァ
ちづ可愛いなあ 風爽とはちがうじれったさがなんかこうくすぐったくていいねえ
541の小ネタの続き
「千鶴ちゃんはそのままでもすごく、か、可愛いと思うよ…!そのままで
いればいいと思う…!」
爽子は拳を握り主張し、千鶴は可愛い奴…!と爽子を構い倒した後、ポツンと言った。
「別にそういうことしたいわけじゃないけど、でもあたし、足には自信があるけど
色気にはいまいち自信がないっつか…。ずっと幼馴染やってきてるからきっかけがつかめないつか」
頬杖をつきながらいいかげんに聞いていたあやねもその呟きで、あ、意外と真面目な
悩みなんだと向き直った。
「まあ、あの朴念仁相手だしねえ…。」
あやねはふむ、としばらく考え、どうしたらいいんだろうとオロオロしている爽子に言った。
「爽子。アンタ、見本みしてやんなよ。」
「…ええええっ!?わ、私が!?そういう大人な分野はあやねちゃんの方が…!」
しかしあやねはびしっと言った。
- 545 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/28(日) 03:44:21 ID:iGuSaUdn
- 小ネタ続き
「ちづみたいなビギナーにあたしの真似ができるわけないでしょ。相手のタイプも
だいぶ違うしね。風早なら龍の親友だし、タイプもあたしの相手よりは近いでしょ」
少し躊躇していた爽子は千鶴のすがるような眼をみて、うん、とキッパリ頷いた。
「役に立てるかどうかはわかんないけど、精一杯やってみるよ…!」
大好きな親友のために 一肌でもふた肌でも脱ごうと思う爽子。
「え、でもどうすればいいの…?」
首をかしげながらあやねにそう問うとあやねはさらりと言った。
「簡単よ。いつも風早を誘う時みたいにやってみればいいのよ。」
「さっ誘うって…!」
真っ赤になる爽子ににやりと笑いながら、あやねは言った。
「いいからやってみなって。風早狼化スイッチがあるんでしょ?さ、あたしを
風早だと思ってやってみな」
赤くなりながらも爽子は千鶴にもう一度眼をやると覚悟を決めた。
そしてすっとあやねの前でかがむとあやねの腕に手をそえ、胸の辺りから
彼女を見上げるようにした。そのまま爽子はあやねをみつめ小さな声で
囁くように言った。
「…すき。」
一瞬その場の時間が止まった。
そして
- 546 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/28(日) 04:18:51 ID:iGuSaUdn
- 次の瞬間 あやねは真っ赤になった。
「あっあやねちゃん!?」
あやねは冷や汗を隠しながら気丈にも言った。
「アンタ、それ風早にほんとにしてるの?」
ぽっと頬を染めながらこくんと頷く爽子。
あやねはその瞬間心の底から風早に同情した。
この色気は、やばい。女でもなんかこう変な気分になりそうだわ。
ヘタレだのなんだの貶してごめん。
風早、アンタよく耐えてるわ…。
心配げな爽子をよそに千鶴はそっか、と感心しながら真似しようとした。
「す…だぁーだめだあああ!そんなこといえるかあああ!」
うん、アンタのキャラじゃないわね…。どっちにしろビギナーのちづにこれは
荷が重過ぎる。
爽子は千鶴の様子をみて 役に立てなかった…と一瞬落ち込んだあと
そうだ!と顔を輝かせた。
そしてごそごそとクローゼットの中から(注:爽子んちだった)
赤い紐を取り出し、千鶴の手首にぐるぐる巻きつけた。
「…なにこれ。」
「私はあんまりうまく縛れないんだけど…」
あやねは盛大に噴出した。
ちょっとあんた達なんつうプレイしてんのよ!!!!
てか爽やか王子と純情姫のウブコントカップルでしょうがあんた達は!
- 547 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/28(日) 04:32:36 ID:iGuSaUdn
- あやねががま蛙みたいに汗をたらたらと流してるのも知らず
爽子のトンでもレクチャーは続いた。
「あとね、これが参考資料。大事なところに付箋がはってあるから…」
千鶴が手に取ったそれはいわゆる『エロ本』
「ちょっと待った!爽子これはどうしたの!」
あやねはフリーズを強制終了させ、千鶴からその本を取り上げた。
これも風早がよこしたんなら今からでも別れさすか…とあやねが不穏な事を考えていると
爽子があっさり答えた。
「荒井先生が、洗濯のお礼にとくれたので…」
男性の心をもっと学びたいと相談したら…と続きあやねは眩暈を覚えた。
ピンもさぞかし困ったのだろうけど…けど。
あやねは大きい溜息をひとつついた。
結局 千鶴にとっては何ら有益な情報はないまま勉強会は終わりを告げた。
しかしそんな悩める千鶴は龍が千鶴の無防備な寝顔や、何の警戒もなく
摺り寄せる体や、すらりと伸びた足が溌剌と駆け回る姿に日々我慢を
強いられていることなど知る由もない。
結局のところ爽子が一番最初に言った『そのままでいればいい』という
アドバイスが一番有効だったのだ。
(おしまい)
以上小ネタでした。
- 548 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/28(日) 09:42:24 ID:GK3o4PoS
- GJすぐる………!!!!
- 549 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/28(日) 12:00:51 ID:DsSBZtcq
- >>527
>>535
お二方共、GJ
幸せな気分で正月越せそうです
- 550 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/28(日) 23:52:42 ID:siznR7rZ
- 職人さん方GJすぎる!!
仕事で疲れた私の癒しです。
職人さん方ありがとう。。。
- 551 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/29(月) 01:31:41 ID:PjGJcCL/
- >>535
千鶴がかわいすぎてドキドキするw龍ちづはいつの間にか押し倒されてそうなとこがたまらない
- 552 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/29(月) 23:06:49 ID:cTi3DZtA
- 神職人様今日も待ってます!
- 553 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/30(火) 03:38:35 ID:Voxbmqq8
- 書いてみたけど無駄に長くてしかもエロくならかった・・・
- 554 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/30(火) 03:46:18 ID:357eC5um
- お願いします!!!
- 555 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/30(火) 04:37:59 ID:BIKAkcbH
- おお〜
私も待ってますよっと
- 556 :滑稽ラブ[sage]:2008/12/30(火) 04:47:36 ID:Voxbmqq8
- 553です。
待っていてくれるようですのでだらだらと投下してみます。
ちょい積極爽子と、いっぱいいっぱい風早で。
筆者はSなんでいっぱいいっぱいな風早好きなんです。
一応、ラブラブ設定です。
なんだろう。もちろんエロパロなんだけど、
すごーくエロくもなく、
なぜこうもリアルな滑稽さを追求してしまうのか。
自身の経験が滑稽だからか。なんなんだ。
- 557 :滑稽ラブ 1[sage]:2008/12/30(火) 04:51:05 ID:Voxbmqq8
- 最近の自分はなんだかおかしいと、爽子は感じていた。
風早とデートを重ねるたびに、ドキドキしすぎて話も上の空になってしまう。
7月に入り、暑さが増してきたため、薄着なのは仕方ないとして、
どうしても、自分よりたくましい風早の腕や喉元、
広い背中を間近で見ると、触れたくてたまらなくなってしまうのだ。
「あのね、わ、私・・・変態かもしれない・・・」
消え入るような声で真っ赤になりながらそう告白した爽子に、
あやねは卒倒しそうになった。
これから風早とデートだという爽子に突然呼び出されたと思ったら、
泣きそうな顔でこの相談だ。
とりあえず、詳しく話を聞いてみることにした。
「・・・つまり、爽子はもっと風早が欲しい、ってことなのね」
あやねにはっきり言われ、爽子はますます真っ赤になると、
泣きそうな顔をしてあやねを見た。
「や、やっぱり変かなぁ?」
その様子があまりにもかわいくて、あやねは思わず吹き出してしまう。
「変じゃないわよ。好きなら当然のことだもの。
相手のことをもっと知りたくて、もっと触れていたくて、全部欲しいって思うものよ。
・・・・風早に、そういうことは伝えてみたの?」
爽子は驚いたように両手を顔の前で振って否定した。
「まっ!まさか!そんなの、恥ずかしくて言えないよ・・・
変な子だって、思われちゃいそうで・・・」
少し呆れたため息をつきながら、あやねは苦笑した。
「だーかーら、変じゃないってば!風早だって、同じこと思ってると思うよ。
素直に言ってみればいいじゃない『触れて欲しい』って。
そんなんで嫌いになったりするやつじゃないと思うよ」
「そ、そうかなぁ」
戸惑いながらも爽子は、半分納得したようにうなずいた。
風早とのデートに向かう爽子をあやねはにこやかに見送る。
「それにしてもあいつ・・・今まで我慢してやってたのね」
あやねは風早の努力が並大抵のものではなかっただろうことを思い浮かべ、
少しだけ彼を見直した。
- 558 :滑稽ラブ 2[sage]:2008/12/30(火) 04:55:30 ID:Voxbmqq8
- 「まいったな・・・急に降り出すなんて」
海辺で遊んでいた二人は、突然の雨に慌てて近くのコンビニの軒下に入った。
風早は、止みそうもない雨を見てため息をつく。
薄手のワンピースを着ていた爽子の服は、雨で体に張り付いて、
下着のラインが浮かび上がっていた。
見てはいけないと思いつつもついつい風早の目は釘付けになってしまう。
「と、とりあえず服乾かさないと!」
理性で何とか視線をそらしつつ、風早は着ていたシャツを爽子に羽織らせた。
「え、私、寒くないよ?」
きょとんとした顔で爽子が風早を見上げる。
「いいの!着てて!」
爽子の上目づかいに負けないように、風早は強引に爽子の肩を押さえた。
爽子は風早の強引さに一瞬首をかしげ、その後ふと見下ろした自分の胸元に
下着のレースが透けているのを確認したらしく、
耳まで赤くなって押し黙ってしまった。
なんとも気まずいことに、目の前にいかにもそれらしきホテルがいくつも建っている。
海辺で遊んでいた分には気づかなかった(というか気づかない振りをしていた)が、
この状況では否が応にも目に入ってくる。
風早はできるだけそういうことは考えないようにしてきた。
もちろん、爽子とそういうことをしたいと思わないわけではない。
というかそういうことをしたいと思わない日はないくらいだ。
けれど、自分が望めば彼女は拒否できない性格だとわかっていたし、
だからといって彼女に無理強いをしたくなかった。
『そいういうのは、お互い自然にしたいと思ったときにするものだよな』
そうは思いつつも、いつまで自分が我慢できるのかは定かではなかった。
- 559 :滑稽ラブ 3[sage]:2008/12/30(火) 04:58:52 ID:Voxbmqq8
- 気がつくと、ホテルの入り口に立っていた。
「・・・・・えっ?!」
あまりにも予想外な展開に、風早は思考が停止しそうになる。
隣には、しっかりと風早の手を握った爽子が意を決したような目でホテルを睨んでいた。
「じゃ、じゃぁ、いきます!」
爽子は喉をごくりと鳴らすと一歩足を踏み出した。
「ちょちょちょちょちょっと待って!黒沼、わかってんの?!」
あわてて爽子の手を引き戻して、風早が爽子の前に立ちはだかった。
「え、何を?」
「これって、その、つまり、ら、ら、・・・・ホテルだよ?!」
湯気を出しそうなほど真っ赤になりながら風早が爽子に諭すように言った。
「うん・・・・でも、風早くん、そのままじゃ風邪引いちゃうよ」
爽子も少しだけ赤くなりながら、けれども困ったように眉を寄せて言う。
確かに、風早は先ほどからくしゃみがとまらない。
爽子はそんな風早を見かねて、決死の覚悟でホテルの前まで風早を引き連れてやってきたのだ。
「こ、ここなら、きっと服も乾かせると思うの」
そういって無理やり笑う爽子を見て、風早は観念したように小さく息をついた。
彼女が自分のことを心配してくれるのはよくわかる。
そして、その彼女の純粋な想いを自分が無碍にする事ができないこともよくわかっている。
大丈夫、自分をしっかり持っていれば、どんな状況だって
自分の欲望だけで彼女を泣かせることはしない。
そう言い聞かせて、風早は、爽子を見て情けない表情で笑った。
「そうだな、じゃあ、服、乾かそうか」
- 560 :滑稽ラブ 4[sage]:2008/12/30(火) 05:03:10 ID:Voxbmqq8
- なにしろ2人ともこういうところに来るのが初めてなので、システムがよくわからない。
「料金はかいてあったからわかるけど、前払い・・・かな?」
「あ、もしかしてこのボタン押すのかも・・・」
「わ、光った。・・・これって勝手に入っていいのかな」
「誰も、いないのかな・・・」
緊張もあいまって、2人ともなぜか饒舌になってしまう。
周りから見たらさぞかし滑稽だろうと思うものの、そんなことを考える余裕すら2人にはない。
ただ、妙なテンションだったことは確かだ。
ようやく部屋に入り、一息つく。
「なんか、部屋に入るだけで一苦労だね・・・・」
どっと疲れが出て、二人は一瞬顔を見合わせると思わず吹き出してしまった。
「黒沼ビクビクしすぎだよ!」
「か、風早君だって!」
ひとしきり笑った後、ふと訪れる沈黙に、どちらからともなく目をそらしてしまう。
小さくくしゃみをした爽子に、風早が洗面所からタオルを持ち出して差し出した。
「先に、シャワー浴びてあったまりなよ。着替えもあるみたいだから」
「でも、風早君の方が寒そうだし」
遠慮がちに言った爽子に、風早はどうしても譲れないという意思を込めて
爽子の瞳を覗き込んでいった。
「いいの、おれ男だから!・・・こんくらい、かっこつけさせて」
「・・・・うん、ありがとう」
爽子は少し顔を伏せたままタオルを受け取ると、それを胸に抱きしめて浴室へ向かった。
パタンと脱衣所のドアが閉められ、一人取り残された風早は、
ひとまずぬれたTシャツとジーンズを脱ぐと、脱衣所から持ち出してきていた着替えを羽織った。
なんだか変なパジャマみたいな形で、ズボンはなく、でかいTシャツをきている気分だ。
濡れたTシャツとジーンズをソファに広げると、それ以上することもなく手持ち無沙汰になった。
ベッドに腰を下ろして何気なくつけたテレビに、いきなり洋モノのAVが映し出され、
そのあえぎ声が大音量で響き渡った。
半ばパニックになって風早はあわててテレビを消す。
『・・・音、黒沼には聞こえてないよな??』
大丈夫だとは思いつつも、つい心配になってしまう。
浴室のほうに視線を送るが、シャワーの音が響いてくるばかりで、特に変化はないようだ。
しかし、先ほどの映像は普段見ない洋モノとあって、いろいろ凄かった。
『・・・でかかったな・・・』
思わずぼんやりと先ほどの映像を反芻してしまう。
『いやいやいや!今そーゆーんじゃないから!てか、今そーゆー気分になったら困るから!』
あわてて浮かびかけた映像をかき消して、風早はベッドに仰向けに倒れこんだ。
「・・・・大丈夫か、おれ」
大きなため息とともに、風早の呟きが爽子のいない部屋に響いた。
- 561 :滑稽ラブ 5[sage]:2008/12/30(火) 05:23:58 ID:Voxbmqq8
- 「か、風早君・・・お待たせしました」
ほかほかと湯気をまとった爽子が脱衣所からひょっこり顔を出すと、
風早はベッドに仰向けに寝転んでいた。
爽子と目が合うと、あわてて飛び起き、立ち上がって爽子に場所を譲る。
「俺も、シャワー借りるわ」
そういうと、風早は、爽子と目を合わせることもなく浴室に向かった。
その風早の様子に、爽子は少し不安を覚える。
『やっぱり・・・こんなところに強引につれてきてしまって、はしたなかった、かな』
けれど、あのままだったら風早が風邪を引いてしまうことは間違いなかっただろう。
あやねの言葉を思い出して、こぶしをきゅっと握る。
『風早だって 同じこと思ってると思うよ』
それが本当かどうかはわからないけれど、爽子も何も知らない子供ではない。
風早が自分を欲しいと思ってくれるのならば、身をゆだねてもいいと感じていた。
『わたし、こんなに風早くんを欲しかったんだなぁ』
濡れたワンピースを乾かしながら、爽子はぼんやりとそんなことを考える。
あの手にもっと触れたい。あの頬にもっと触れたい。胸に頬をうずめて鼓動を感じたい。
何度もくれたキスを、もっともっと欲しい。
『もっと欲しい・・・だなんて、なんて破廉恥なの!!』
せっかく伸ばしたワンピースをくしゃくしゃに丸めて顔をうずめながら、
爽子はこれ以上ないくらいに赤くなる。
ほぼ爽子の自爆だった。
- 562 :滑稽ラブ主[sage]:2008/12/30(火) 05:27:08 ID:Voxbmqq8
- ひとまず本日はここまでで。
また明日投下します。
- 563 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/30(火) 05:34:58 ID:BIKAkcbH
- 投下ありがとう!ドッキドキするyo!私もいっぱいいっぱいな風早すきだ
読みやすくて二人らしくて可愛いな〜もう
そしていつも後押ししてくれるやのちん乙
リアルな滑稽さがキュンキュンを増殖させてくれている気がするから、いいんじゃないかな?
続き待ってます
- 564 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/30(火) 07:37:07 ID:gWSTbZYa
- 朝からいいもん見た
GJ
- 565 :滑稽ラブ主[sage]:2008/12/30(火) 12:13:05 ID:xEjRa2PV
- >>563
>>564
ありがとう
そんな君らに後押しされてさらに投下
- 566 :滑稽ラブ 6[sage]:2008/12/30(火) 12:14:35 ID:xEjRa2PV
- 風早は浴室から出ても、爽子と目をあわせられずにいた。
風早とおそろいのだっさいパジャマは爽子には大きすぎて、
鎖骨や胸元があらわになっている。
そういうところはちゃっかりチェックしたものの、
凝視してしまうとせっかくの理性がぺしゃんこにつぶれてしまいそうだったので、
風早はできる限り爽子を見ないように心がけた。
「あ、なんか飲む?」
コーヒーや紅茶が置いてあるコーナーに近寄って、
風早は爽子の返事を待たずにお湯を沸かし始めた。
「うん、手伝うよ」
隣にやってきた爽子から湯上りのいい香りがする。
自分も同じシャンプーやボディーソープを使ったはずなのに、なんでこうも違うのか、
風早はその香りだけで頭の奥がじんとなった。
「いいよ!おれにまかせて!」
無理やりそう言うと、戸惑う爽子に背を向けたまま、
風早はガチャガチャとカップを用意し始めた。
いつもとは違うその突き放したような言い方に、爽子は少しだけ傷つき、
伸ばしかけた手を下ろし、おとなしくベッドに腰掛けた。
「はい、コーヒー」
「あ・・ありがとう」
言葉少なにやりとりを交わした後、風早は爽子の隣に腰掛けず、窓際にあるソファーに座った。
二人の間にどうしても沈黙が訪れてしまう。
「あの・・・風早くん」
爽子は湯気の立つカップを握り締めたまま、勇気を出して、風早の名を呼んだ。
「急に雨降ってきてびびったよな!天気予報では全然言ってなかったのに!」
爽子の呼びかけが聞こえなかったかのように、風早はわざとらしいほどに明るく笑って、
急に立ち上がるとカーテンを開けた。
が、そこはそういうホテルなだけに、外が見えないようになっている。
「・・・・」
風早は自分の空回りに赤くなって再びソファーに座るとコーヒーを一口すすった。
「あのね、私・・・」
爽子は先ほどの続きというように口を開いて、ベッドから立ち上がって風早の座っていたソファーに近づいた。
「そ、そういえばさ!明日の英語って小テストだったよな!黒沼もうばっちり?」
爽子と入れ違いになるように風早はソファーを立って洗面台に向かった。
意味もなく洗面台にコーヒーの入ったマグカップをおくと、
風早は無理やり笑顔を作って返事のない爽子を振り返った。
しかし、そこで見た光景に、風早は目を丸くする。
「・・・・黒沼・・・?」
- 567 :滑稽ラブ 7[sage]:2008/12/30(火) 12:15:36 ID:xEjRa2PV
- 爽子は顔をうつむけて、手の甲で必死に頬をぬぐっていた。
しかし、ぬぐいきれずにぽたぽたと大きなしずくがカーペットの上に落ちる。
「・・・なっ・・・!ど、どうしたの?!」
風早には理由がまったくわからない。
あわててそばによるけれど、爽子は風早が肩に触れようとすると一歩後ずさりした。
「なんで・・・目・・・合わせてくれないの・・・?」
小さな小さな声でそうつぶやくと、爽子はまたポタポタとしずくを落とし続ける。
「こんなところに無理やりつれて来て、はしたない子だって、思ってるから・・・?」
今にも消え入りそうな声で、けれど、一生懸命、爽子は続けた。
「私、最近、おかしくて、風早君にもっとくっつきたいとか 触れたいとか
そんなことばっかり考えてて」
途切れ途切れに爽子は言うと、自分の発言に恥ずかしくなったのか真っ赤になると、
こらえきれないように口元を押さえた。
「そういうこと考えてるから 風早君が嫌いになるんじゃないかと思って 怖くなって」
風早はうつむいてしずくをこぼし続ける爽子を、たまらずに抱きしめた。
「あのさ、黒沼。・・・・引かないで聞いて欲しいんだけど」
爽子を抱きしめたまま風早はひとつ大きな息をついた。
「俺なんて、黒沼と付き合いだした頃からずっと
もっと黒沼に触れたいとかキスしたいとか それよりもっと先に進みたいとか
そう言うことばっかり考えてて、
でもそれは俺の独りよがりでそういうことしちゃいけないっていうのわかってるから、
押さえるの必死だった」
一言一言続けながら、自分の鼓動が凄い速さで音を立てているのを風早は聞いていた。
「今日も予定外とはいえ、こういうところにきてしまって、
自分が抑えられなくなったらどうしようってそればっかり考えて、
だからなるべく見ないにしてたんだ ごめん」
こんなことを言ってしまって爽子がどういう風に感じるかとても不安だったけれど、
正直な自分の気持ちを伝えるしか、風早には方法がなかった。
「黒沼に触れたら、その先に進みたくなってしまうのなんて、目に見えてたから」
自分の正直な気持ちが爽子にちゃんと届いたのかどうか心配になり、
風早がそっと腕の中の爽子の顔をのぞきこむと、爽子は涙に濡れた顔を上げて、
ふっくらとした唇をそっと開いた。
「私・・・私、平気だよ」
風早は、頭の奥がしびれるような感覚を覚える。
「風早君のものになりたい」
風早の中で何かがはじけた。
- 568 :滑稽ラブ 8[sage]:2008/12/30(火) 12:17:03 ID:xEjRa2PV
- 風早は、熱を帯びた瞳で、爽子に口付けた。
はじめはいつものキスと同じで、口先をついばむように。
そして、それが数度繰り返された後に、風早は爽子の奥深くにもぐりこむように、深く深く口付けた。
片腕で爽子の腰をきつく抱きしめ、もう片方の手で後頭部を支えて、
思わずのけぞるようになった爽子に覆いかぶさる。
爽子は、倒れてしまいそうな自身の体を必死で支えるように、風早の背中に腕を回した。
風早は、背中に爽子の腕のぬくもりを感じながら、舌で爽子の口の中にもぐりこみ、
やわらかい爽子の舌に自分の舌を絡めた。
「ん・・・・ふ・・・」
苦しそうな爽子の息に気づき、ようやくいったん口を離す。
爽子の涙に濡れた瞳と、上気した頬、お互いの唾液で艶めくピンクの唇に、
風早は体中が熱を帯びていくのがわかった。
「・・・・いいの?」
両手で爽子の頬を包み、風早はその目を覗き込んだ。
爽子はふと視線を落とし、長いまつげで上気した頬に影を作りながら、小さくうなずいた。
風早は爽子の手を引いてベッドに座ると、爽子を隣に座らせて、もう一度口付けた。
首筋に手を滑らせると、ピクリと爽子が反応する。
その髪をそっとかき分けて、風早は耳にキスをした。
「・・・んっ」
小さくこらえるように爽子が声を漏らした。
その反応がたまらなくて、風早は耳から首筋、そして鎖骨へと唇を滑らせる。
そのとき、爽子がいとおしそうに風早の髪をそっとなでた。
その髪に触れられる感触がとても心地よくて、風早は思わず顔を上げた。
「・・・黒沼」
一言そうつぶやいて、そっと爽子をベッドに横たえると、風早はその上に覆いかぶさった。
手のひらを握り締めて組み敷いて、もう一度爽子の顔を正面から見る。
その頬は上気していて、少し開いた唇からは今にも甘い吐息が零れ落ちそうだ。
誘うようなその表情に、頭はパンクしそうだけれども、やり方なんて、雑誌やAVの知識しかない。
それでも、いとおしい気持ちがあふれてきて、どうにかして爽子とひとつになりたかった。
- 569 :滑稽ラブ 9[sage]:2008/12/30(火) 12:18:05 ID:xEjRa2PV
- 首筋に胸元にキスの嵐を降らせながら、片手でださいパジャマのボタンをはずそうと試みる。
なかなかうまくいかなくて、結局は両手ではずしたところ、薄いピンクのレースのブラジャーがあらわになった。
真っ白な爽子の肌によく映えている。
「か、風早君、ちょっと は、はずかしいから電気を・・・」
爽子は真っ赤になった顔を背けながら、腕で顔を隠した。
爽子の訴えに、慌てて風早はベッド横のライトの光量を絞る。
ふと、風早の脳裏にあることが浮かんだ。
『そういえば・・・・あれはどこにあるんだ・・・・?』
爽子の髪を優しくなでながら、ベッド脇にすばやく視線を走らせる。
幸いなことに、それはティッシュ箱のすぐ横に見つかった。
少しだけほっとしながら、風早は爽子の肩を優しくなでた。
するり、とブラの肩ひもが外れる。
しかし、当然ながら後ろのホックをはずしていないので肩ひもは途中で止まった。
風早は少し焦って爽子の背中に手を回すと、一生懸命片手でホックをはずそうとした。
しかし初心者にそんなにうまくできるはずもなく、何度つまんでも外れた感触がない。
「〜〜〜〜ごめん、なんかかっこ悪くて」
風早は小さな声でつぶやくと、爽子の背中に両手を回して、無事にホックをはずすことができた。
ほろりと零れ落ちたしろい二つのふくらみに、風早は感動すら覚えた。
触れていいものなのだろうか。この手で、汚してしまわないだろうか。
ふと、そんな考えが頭を掠めた。
おそるおそる触れてみると、それは感じたことのないぬくもりとやわらかさで風早の手を押し返した。
先ほどから早くなる一方の鼓動に、風早はそのほかのものはもう何も聞こえない状態で、
無心に爽子の胸にそっと口付けた。
少し強めに爽子の白い肌を吸うと、ぱっと赤い花弁が咲く。
それが自分のしるしのようでうれしくて、風早はいくつもいくつも赤い花を爽子の胸に散らした。
中心の小さな突起に口づけると、「あっ・・・」と爽子が小さな声を漏らした。
その声がもっと聞きたくて、風早は夢中になって小さな突起を舌で転がした。
「んっ・・・や・・・あっ・・・」
そういいつつも、爽子は風早の頭を抱え、肩をやさしく支え、風早の口による愛撫を受け入れてくれている。
「んあぁっ・・・!」
風早が歯を立てないように甘噛みすると、爽子はひときわ大きな声を上げた。
上目遣いに爽子を見ると、胸で大きく息をしながらも、腕を口に当てて声を我慢している。
- 570 :滑稽ラブ 10[sage]:2008/12/30(火) 12:19:40 ID:xEjRa2PV
- 風早はいったん胸から離れて自分のだっさいパジャマを脱ぎ去ると、爽子の右側に体を横たえた。
再び首筋に口付けを開始すると、左腕で自身の体をささえ、
右腕で静かに爽子の下半身に手を伸ばす。一瞬、爽子は体を硬くしたが、
「ふ・・・ぅっ」とひとつ大きな吐息を漏らすと、ふっと力を抜いた。
風早が手を伸ばしたそこは、下着の上からでもわかるくらいにすでに爽子自身で湿っていて、
風早は自分の口付けや愛撫が受け入れられていることに感動を覚えた。
腰の横に手を滑らせて、そっと下着を脱がすと、爽子は少しだけ腰を浮かせて協力してくれた。
風早はごくりと喉を鳴らせながら右手を伸ばし、中指でそっと割れ目にもぐりこんだ。
そこはひどく暖かく、とろけるようなやわらかさで、
風早は『そこにはいったらどんなに気持ちいいだろう』と、もうそのことしか考えられなかった。
傷つけないようにそっとそっと、指を奥にもぐりこませていく。
「はぁ・・・っ」と爽子の口からあえぎ声ともため息ともつかない大きな息が漏れた。
その間にも、風早は片手で自分の下着を取り去り、
先ほど手元に寄せたコンドームを器用に片手であけ、反りたった自身のものにつけた。
そこでなんだかひとまず任務完了した気分になる。
爽子にもぐりこませた指をそっと動かしながら、風早は改めて爽子の胸元に口付けた。
いろいろな作業を滞りなく行って、ようやく集中して爽子を味わうことができる。
風早は、興奮のあまり高鳴る胸を少し沈めようと、爽子の胸に顔をうずめて大きく深呼吸した。
しかし爽子の香りが、再び風早の脳を麻痺させる。
肩で大きく息をしながらも夢中で爽子の唇をむさぼるように吸うと、爽子は少しだけ苦しそうに身もだえした。
「ん・・・ふ・・・あっ」
その隙間から漏れてくる小さな声に、風早は腰の辺りがじんと熱くなるのを感じる。
首筋に口付けながら、風早はゆっくりと爽子の足を開いた。
その間に自分のひざを割り込みながら、風早はゆっくりと自分の物を爽子の暖かい部分にあてがう。
自分の鼓動が、荒く繰り返される呼吸が、爽子のかすかなあえぎ声が、空間を支配した。
ゆっくり、ゆっくり確かめながら爽子に入ろうとするが、緊張のあまりうまく入らない。
はやる鼓動を落ち着けるためにいったん深呼吸をして、風早はふと爽子の顔を見上げた。
そのとき風早が見たのは、ぎゅっと唇をかんで、目を閉じて、ひたすら息を殺している爽子だった。
- 571 :滑稽ラブ主[sage]:2008/12/30(火) 12:22:16 ID:xEjRa2PV
- ここで一区切り。
続きは日付が変わって投下予定。
あまりエロくなくてすまん。
- 572 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/30(火) 12:25:43 ID:APkfXosy
- 初めてリアルタイムで投下に遭遇した!!
爽子かわいいよ(*´д`)
風早がいっぱいいっぱいで、こっちまでキュンキュンですよ!!
続きも楽しみにしてます!!
しかし、だっさいパジャマw
そんなにダサかったのかw
- 573 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/30(火) 21:29:40 ID:4ME3fGTa
- ちょっと見ない間に風爽が投下されてる…!!
続きも楽しみにしてます。GJ!
- 574 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/30(火) 22:02:21 ID:JH80id+x
- やばい!キュンキュンする!
描写上手いですね〜
同じく続き待ち続けてます
- 575 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/30(火) 22:16:44 ID:BIKAkcbH
- うお続きが!!
後押しならいくらでもするぞっ
GJGJ〜、続きwktk
- 576 :滑稽ラブ主[sage]:2008/12/31(水) 00:17:20 ID:AyOVZXhi
- 日付変わったので投下開始しようと思います。
>>572
確かに「だっさい」書きすぎたw
イメージは人間ドックの時とかに着てそうな検査着
>>573〜575
後押しありがd
描写上手いといってもらえてうれしい
一応サイトもちです
- 577 :滑稽ラブ主[sage]:2008/12/31(水) 00:23:19 ID:AyOVZXhi
- ちょい準備に時間がかかりそう
- 578 :滑稽ラブ主[sage]:2008/12/31(水) 01:25:58 ID:AyOVZXhi
- 遅れてすまそ
見てる人いるかわからんが
投下します
- 579 :滑稽ラブ 11[sage]:2008/12/31(水) 01:27:22 ID:AyOVZXhi
- 風早の暖かい手が、唇が、爽子の上を滑るたびに、爽子は声にならない心地よさを覚えた。
誰にも触られたことのない部分を探られることも、とても恥ずかしかったけれど、
暖かくて心地よい気持ちの方が大きかった。
誰かに触られることがこんなに気持ちいいことだと思わなかった。
いや、風早に触られるからこそだろうということは爽子にもわかっていた。
けれど、風早が爽子の足をゆっくり開いてその間に割り込んできた瞬間、本能的に爽子は体を硬くしてしまった。
『大丈夫、大丈夫』
心の中で自分に言い聞かせるのだけれど、どれほどの痛みがやってくるのか想像もできない。
また、自分がどうなってしまうのか、そういうことをすることで
自分が変わってしまうのではないか、爽子は怖くなってしまった。
けれど、自分で覚悟を決めたことだった。
爽子はぎゅっと目をつぶってその瞬間をまつ。
しかし、いつまで経ってもそのときはやってこない。
息を詰めてその瞬間を待っていると、ふと風早のぬくもりが爽子の上から少しだけ遠ざかった。
驚いて目を開けて、爽子は風早を見た。
風早は、爽子の足の間で身を起こすとうつむいて手の甲で口元を覆っている。
爽子はあわてて体を起こして、風早の顔を覗き込んだ。
「・・・風早くん・・?」
爽子はそっとその名前を呼んで、髪に触れる。
- 580 :滑稽ラブ 12[sage]:2008/12/31(水) 01:28:28 ID:AyOVZXhi
- 風早は眉を寄せて泣きそうな顔をしたかと思うと、ポツリと言葉を漏らした。
「ごめん・・・おれ、なんかいっぱいいっぱいで、
傷つけないって決めてたのにやっぱり黒沼に無理なことさせて」
爽子はその言葉に驚いて、信じられない思いでゆっくり首を横に振った。
確かに少し怖いと思ってしまったが、風早はぎゅっと目をつぶっていた爽子の表情を見て
不安になってしまったのだろうか。
違うのに。
爽子は諭すように風早の頬を手のひらでそっと包んだ。
「・・・無理なんかじゃないよ?」
そういった爽子の声が聞こえなかったかのように、風早はうつむいたまま続ける。
「怖がらせたくないのに 黒沼に嫌われたらどうしようって」
「嫌いになんて ならないよ・・・」
悲しそうにそういった爽子に対して、風早は、ひとつ大きな息をつくと、
爽子の耳もとにそっと触れた。その手は少しだけ震えている。
「俺 怖いんだ 自分が変になりそうで」
その言葉に、爽子はたまらなくいとしさがこみ上げてくるのを感じた。
私が怖いのと同じように、彼も怖いと感じているのだ。
自分が変わってしまうことが。相手を傷つけてしまわないかが。
「わからないんだ 優しくしたいのに どうすれば優しくできるか」
不安を吐露する風早の頭を爽子はそっと抱きしめた。
こんなに優しい人が、いや、こんなに優しい人だから、こんなに不安に感じてしまうのだ。
大丈夫。この人となら大丈夫。
爽子は改めて風早とぬくもりを分かち合えることを幸せに感じた。
心の底から暖かい気持ちが湧き上がってきて、風早の頭を抱きしめる腕に力を込めると、優しく言った。
「・・・大丈夫だよ。大丈夫だから。・・・名前を呼んで?」
風早は、爽子の胸元に顔をうずめながら、震える声で名前を呼んだ。
「・・・・さ わこ」
「・・・うん」
初めて呼ばれたその下の名前に、爽子は心が震えた。
微笑みながら返事をすると、風早は顔を上げて切なげに爽子の名を繰り返した。
「爽子 爽子」
そう言いながら、風早は爽子に深く口づけると、再びゆっくりとその体を横たえた。
「・・・しょーた くん」
ああ、なんていとおしいんだろう。なんでこんなにいとおしいんだろう。
爽子は悲しくもないのに涙が出てきそうになる。
その涙を見て風早がまた不安になってはいけないと、爽子は手を伸ばして風早の耳に触れた。
「大丈夫だよ そばにいてくれれば 私は幸せだから」
そういってにっこり笑った爽子の首筋に、風早は柔らかな唇を滑らせた。
- 581 :滑稽ラブ 13[sage]:2008/12/31(水) 01:29:38 ID:AyOVZXhi
- 「さわこ」
再び熱を帯びてきた二人の体は、このまま溶け合ってしまうのではないかと思うほどだった。
風早に触れられる体はどこもかしこも暖かくって、ぼんやりと夢のようで、
ただ2人の吐息だけが規則正しく繰り返される。
片手で爽子の手を握りながら、反対の手で自身に手をあてがって、ゆっくりゆっくり風早は腰を進めた。
先端が少しずつ暖かいとろみに入っていくのがわかる。
途中でその強く押し返されるような感触に、風早は爽子の様子を伺う。
「・・・・・・っ!」
「ごめんっ!」
息を詰めた爽子の様子に風早は心配そうに爽子の頬に手を当てた。
「・・・はぁっ」
爽子は一つ大きな息をつくと、口の端をあげて笑った。
「・・・大丈夫・・・続けて」
そう言って優しく微笑んでくれる爽子を気遣いながら、そっと爽子の額にキスをした。
「んっ・・・ゆっくり するから」
言いながらも、風早本人にもそれほどの余裕があるわけでもなかった。
包まれたことのないぬくもりにもっと突き進みたいという欲求で頭がいっぱいだった。
けれども、目の前に見える爽子の笑顔がかろうじて理性を引き止めてくれる。
大切にしたい。できる限り優しくしたい。
とろけそうな下腹部の快感と闘いながらも、不思議と風早の心は温かいもので満たされていた。
「ぎゅって して」
爽子ははじめての痛みに堪えながら、できるだけ風早に心配をかけないように笑顔を浮かべて風早の首元に手を伸ばした。
応えるように、風早はゆっくりと、しかし深く爽子を抱きしめる。
「爽子 ・・・あったかい」
ゆっくりゆっくり腰を進めて、ようやく自身を全部爽子の中にうずめることができて、風早は深く息をついた。
- 582 :滑稽ラブ 14[sage]:2008/12/31(水) 01:30:43 ID:AyOVZXhi
- 「翔太君 ・・・ずっと、こうして触れたかった」
ひりつくような熱い痛みを局部に感じながらも、爽子は満たされた思いでいっぱいだった。
やっと、彼のものになれた。やっと、一つになれた。
「動いて 大丈夫?」
風早はそっと身を起こすと、腕で体を支え、爽子の瞳を覗き込んだ。
爽子が小さくうなずくのを見て、少しずつ、少しずつ、風早は優しく腰を動かした。
「あ・・・っ」
まだ痛みが強く、思わず眉根を寄せた爽子の口から声が漏れてしまう。
そのたびに風早は少し動きを緩め、爽子の様子を伺いながらゆっくり行為を進めてくれた。
爽子はその風早の優しい動きに、たまらなくいとおしい気持ちになる。
「名前・・・たくさん呼んで」
あえぐようにそういった爽子に応えて、風早は爽子の頬を優しくなでる。
「爽子・・・」
切なげに眉を寄せると、風早は少しずつ動きを早めていった。
「爽子・・・爽子っ」
だんだんと腰の動きがスムーズに、そして激しくなっていく。
爽子は風早のリズムに翻弄され、頭が真っ白になっていった。
いとおしい気持ちがあふれて涙に変わり、爽子の頬を流れる。
2人の混ざり合う音が吐息が混じって響き渡った。
「爽子 俺 変になりそうだ」
眉根を寄せて、風早がいとおしそうに爽子を見つめながら、
腰を駆け上がってくるような快感に耐えながら言った。
「翔太君 わ 私、もっ」
痛みと心地よさが入り混じったようなその感覚に、
爽子は息が詰まりそうになりながら必死で風早にしがみついた。
「・・・・・っ!」
声にならない叫びをあげて風早が腰を強く爽子に押し付けた。
それが、2人の初めての最後だった。
- 583 :滑稽ラブ 15 エピローグ[sage]:2008/12/31(水) 01:31:38 ID:AyOVZXhi
- 「・・・大丈夫?黒沼」
そっと爽子の横に身を横たえ、荒い息の中そう尋ねてきた風早の顔を見て、
爽子はふっと笑った。
「ふふ。もう『黒沼』に戻ってる」
「あっ・・・ホントだ・・・」
風早は驚いたように口を手で覆って、一つ咳払いをすると、上目遣いに爽子を見た。
「もっかい言わせて!・・・大丈夫?さわこ」
「・・・はい」
そう答えて微笑んだ爽子の首に手を伸ばすと、風早はうれしそうに笑って口を開いた。
「・・・俺のことも呼んでよ」
爽子は一瞬目を丸くしたが、少し頬を染めて恥ずかしそうにすると、
まつげを伏せたままそっと言った。
「翔太 くん」
風早は、赤くなった爽子を見てたまらず抱きしめる。
「はー・・・・おれ、こんなに幸せでいいんだろーか・・・」
心の中で思ったつもりだったのに、つい口から出ていた。
風早の腕の中で爽子が小さく笑い、
「私も、おんなじだよ」とつぶやいた。
2人は、もう一度見詰め合って、もう一度、キスをした。
- 584 :滑稽ラブ主[sage]:2008/12/31(水) 01:33:26 ID:AyOVZXhi
- 終わりです。
ここまで読んでくれた人
駄文を読んでくれてありがとう。
しばらくこれないけど
また機会があったら書きます。
- 585 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/31(水) 01:44:25 ID:42S1SAI8
- 超GJぅぅぅうううううう
可愛いよう、可愛いよう
- 586 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/31(水) 16:00:48 ID:diRCIBZW
- 幸せそうな二人に、こっちまで幸せな気分になるわー
GJ
- 587 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/31(水) 20:01:44 ID:YOnHSH6L
- 年末にGJ バーチャル初体験みたいでドキドキしたよ
あと爽子ハッピーバスデイ 君に幸あれ
- 588 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/31(水) 22:18:09 ID:YOnHSH6L
- 爽子陵辱の続き書こうとおもったけど
爽子の誕生日にそんなもん書くのもなあと思ってやめた
とりあえず小ネタ
風早は頬杖をつきながらぼーっと宙をみていた。
時折面白いほど相好を崩しては、また宙を眺め、熱い吐息をついた。
「…しょーた。なんか不気味。」
龍のストレートで失礼な言葉に生返事を返した風早はぼそりと言った。
「なー…『爽子』って綺麗な響きだよなあ…」
「…は?」
「なんか、可愛くって、瑞々しくて…いい名前だよなあ」
風早はうっとりと続けた。
「おれ…子供生まれたら 絶対『爽子』ってつけるわ。」
龍はちょっと引きながらも律儀に答えた。
「…ていうか、お前、母親と同じ名前つける気か?」
とたん、風早は真っ赤になる。
「はっ母親って…!黒沼がははお…」
そこまで言って風早はぽーっと何か考え出し、また真っ赤になって
額に手を当てた。
そしてぶつぶつと何か呟いた。龍の耳が切れ切れにその呟きを捉えた。
「…やっべ…すげえ…いい、うん。」
「しょーた…妄想しすぎ」
「はっ なんで俺が妄想してるとわかったんだ…!」
「わかるって…てかさ。」
「うん?」
- 589 :名無しさん@ピンキー[sage]:2008/12/31(水) 22:33:25 ID:YOnHSH6L
- 「できたのか?」
その言葉が風早の脳に浸透するまで数秒。
そしてそれが言語中枢にまで達した時風早はそれまでにもまして
真っ赤になった。
そして 俺たち学生だから、まだ早い気がする…とか呟いている龍に
叫ぶように言った
「できてない!ちゃんと着けた…!」
そこまで言ってしまってから風早はもはや赤くないとこがないほどに
赤面し、口を押さえた。
ふしゅううーと湯気を出して風早は座り込んだ。
しばらくして風早はちらりと龍を見た。
「…あのさ。黒沼、恥ずかしがるからさ…その、吉田とかには」
龍はこくんと頷いた。
「言わない。つかそんな話しないし。」
胸をなでおろす風早。
しかし 一晩で色気を大幅に増大させた爽子の様子に異様に勘の良い
あやねが気付かぬわけもなく、爽子の二人の親友は
『爽子が大人になった日』のことはばれていたのであった。
オチはないけど強引におわりです
爽子が大人になった日の事は妄想で補っといてください
書けたら書きます。
今日は酔ってるので寝ます
- 590 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/01(木) 01:12:38 ID:ZUbh/SDj
- あけおめ
だめだ、龍に萌える
- 591 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/01(木) 03:52:54 ID:CHim4bv7
- あけましておめでとうございます。
今年も良作が読めますように。
>>588
GJGJ〜!
「できたのか?」は、むしろ
「あ、『作り方』知ってたんだな」の方かと思ったww
- 592 :236・535[sage]:2009/01/01(木) 17:53:37 ID:3kB5TPcW
- あけましておめでとうございます。
昨年は沢山のGJ有難うございました。
早速ですが、書き綴って参りました龍×千鶴、
完結編が出来ましたので、無駄に長いですがお読みくだされば嬉しいです。
今回はタイトルがまったく思い浮かばなかったので、
NGな方はNGIDでどうかよろしくお願い致します。
- 593 :龍×千鶴 1[sage]:2009/01/01(木) 17:55:38 ID:3kB5TPcW
-
高校最後の夏、龍にとっては高校最後の大きな試合が待っている。
この試合を最後に、龍たち3年は部活を引退し、進路に専念しなくてはならない。
「甲子園はまあ無理だとしても、せめて全道大会は出たいな」
その夢を実現するには、地区大会を制覇しなくてはならない。春の大会では、あと一歩のところで敗退している。既に正キャッチャーとしてチームの要となっている龍は、練習に余念がない。
「頑張れよ、龍!応援してっからさ!」
「……ん」
放課後、声をかける千鶴に、毎度のことながら愛想のない返事をして龍はグラウンドへと向う。その手には、『野球馬鹿野郎』と書かれた巾着がぶら下がっている。
既に1年以上も持ち歩いている所為で結構ダメージを受けてはいるが、今日も龍の大切なミットを守っている。
その巾着に視線を落とすと、千鶴は一人照れ笑いをした。
「あー、そろそろ進路決めなきゃねえー」
帰宅途中にあやねがそんなことを言い出したのは、ホームルームに配られた進路調査用紙の所為だ。3年になったばかりのときも配られたその紙だが、今回は1学期の中間テストの結果を踏まえ、再調査の為に配られたものだった。
「爽子は進学するんでしょ?」
急に話を振られ、爽子は言葉に詰まりながらも答える。
「あっ……うん……そのつもりでいる……」
「だよねー。最近風早も勉強頑張ってるみたいだし」
あやねが冷やかすと、爽子は顔を真っ赤にして下に向ける。最近、風早は爽子と同じ大学を目指し、脇目も振らずに勉強に励んでいるらしく、その成果は目を瞠るほどだ。
相変わらずの純愛っぷりに、訊いたあたしが馬鹿だった、とひとりごちて話題を千鶴に振り直す。
「ちづは?」
「アタシ?……う、うーん……」
1度目の調査のとき、千鶴はその用紙に『未定』と記入して提出した。自分は何になりたいのか、何をしたいのか。未だにはっきりしていない。
「子供好きだから、先生とかもいいかと思ったんだけどさぁ……」
「あー、それ以上言わなくても分かる」
勉強嫌いな自分が、子供に勉強を教える立場になれるわけがない。千鶴が言いたいことは、あやねにも簡単に想像できた。
「あ〜〜〜っ!いっそ、体育だけ教える先生になれたらなあっ!」
「じゃあちづちゃん、中学とか高校の体育の先生になれば……?」
千鶴の言葉を受けて、爽子なりの助言をしてみる。が、千鶴は、それも考えたんだけど、と続けた。
「でもさ〜、アタシがなりたいのは小学校の先生なんだよ。中学とか高校とか、こう、中途半端に知識つけたヤツとかはイヤなんだよ〜〜」
と、一度は教職に就こうと思った人間の発想とは思えないセリフが飛び出し、あやねは深く溜息を吐いた。
「ま、ピンみたいのでも先生になれるんだから、アンタも頑張ってみれば?」
「う、う〜ん……」
あやねがあまり励ましとは思えない言葉と同時に千鶴の肩を叩くと、千鶴は何かを考えるように口を結んだ。
- 594 :龍×千鶴 2[sage]:2009/01/01(木) 17:56:40 ID:3kB5TPcW
-
「おお、龍!お疲れー!」
練習が終わりクタクタの中帰宅して店を覗くと、龍の代わりに店を手伝っている千鶴が出迎える。龍の部活が忙しくなり始めたとき、千鶴が自分から提案したのだった。
その申し出があったときはさすがに悪いと思い断ったのだが、千鶴が断固として譲らなかったため、夏の試合が終わるまでの約束でお願いすることになった。
「ちづちゃん、もう店も落ち着いてきたから、上がっていいよ。いつもありがとな」
「なんのなんの!」
「急いで作るから、龍と一緒に喰ってきな」
「ありがとー!」
そういって、店を出る龍の背中に続く。
程なくして出来上がったラーメンを龍の部屋で戴いているとき、ふと、帰り際の話題を龍に振ってみた。
「龍は、何になりたいのさ」
「ん?」
急に放たれた話題に着いて行けず怪訝な顔をする龍に、進路調査用紙、とひとこと投げると、ああ、と思い出したように頷いた。
「野球で喰っていけるならそうしたいけど、それは無理だから」
「だから?」
「……まあ、いろいろ考えてる」
「……そっか……まあ、アタシもそうだけどさ」
話題はそれ以上広がりを見せず、ラーメンを啜る音だけが部屋に響く。互いに食べ終わって器を重ねた後、千鶴が帰宅の用意をする。
「器、下げとくね」
「千鶴」
帰ろうと器の乗った盆を持ち上げようとした時、不意に呼び止められる。顔を上げた瞬間、龍の唇が千鶴のそれに重なった。
一瞬だけ、軽く触れただけのキスだったが、久しぶりの接触だ。
「な、なにしてんのさっ」
「なにって、キ」
「いいから、言うなっっ!」
放っておくと、『キス』という露骨な単語が出てきそうで、千鶴は大声で遮った。―――そんなこと言わなくても分かってるって!
こんなキス一つでドキドキしてしまう自分が悔しい。キスなんてセリフだけでも照れてしまう自分がもどかしい。
一気に階段を駆け下りて器を返すと、
「あれ?ちづちゃん、顔、どうかしたかい?」
と龍の父親に指摘されるほど、千鶴の顔は真っ赤に染まっていた。
- 595 :龍×千鶴 3[sage]:2009/01/01(木) 17:58:21 ID:3kB5TPcW
-
梅雨のない北海道が一番過ごしやすくなる頃、龍たちの出場する地区予選大会が始まる。
いざ開幕してみると、龍のチームは思わぬ快進撃を見せていた。今年入学した1年生も結構な粒ぞろいで、代打や代走などで活躍を見せる選手もいる。
このトーナメント中、最大の敵といわれる学校と対戦するのが土曜日だと分かったとき、応援に行きたいと思った。しかし、千鶴には龍と約束した店の手伝いがある。自分から言い出したことを反故に出来るわけはない。
―――龍、負けんな。
スタンドで大声で応援する代わりに、千鶴はいつもよりも元気な声で接客をしている。
そろそろ試合が終わるころだろう、というとき、千鶴の携帯が震えた。着信の知らせだ。
今日は、千鶴の代わりにあやねと爽子が応援に行ってくれていた。恐らくこの電話は結果を知らせるためのものだ。
店主である龍の父親にひとこと断ってから、店の外で通話状態にする。
「も、もしもし?やのちん?」
向こうから聞こえてくる音の中に、歓声はない。それだけで分かる。
『……ちづ……』
「……負け、た?」
『……うん、ダメだった……』
「……そっか」
知らせてくれてありがとね、とだけ言って通話を切る。泣くな。泣きたいのはアタシじゃなく、龍だ。
きっ、と唇を結んで店に戻ると、出来るだけ明るい顔で龍の父親に告げる。
「おっちゃん!……龍、負けたっ!」
一瞬、悲しげな表情を見せた父親だったが、すぐに笑顔に戻る。
「そっか!残念だったな!」
店はまだまだ客足が途絶えない。それどころかますます混雑していく。
今日のこの店の手伝いをこなすこと。これが千鶴にとって、龍にしてあげられる最大の労いのような気がしていた。
日が落ち、夜の混雑の時間が過ぎても、龍は帰宅しなかった。そろそろ帰ってきてもいいのに、と思う時間だ。
「ちづちゃん、もう遅いし」
言外に、早く帰りなさい、という意味の言葉を、龍の父親は何度も繰り返している。
しかしその度に、龍が帰るまで、と言って、千鶴は店の手伝いをし続けた。
そして、そろそろ閉店と言う時間になり、千鶴は気付く。龍は、あの場所にいる。
「おっちゃん、アタシ、もう帰るね」
「おお、今日は本当にありがとな。気をつけて帰りな」
店を出るなり走り出し、千鶴の思う『あの場所』へと向かう。
- 596 :龍×千鶴 4[sage]:2009/01/01(木) 17:59:17 ID:3kB5TPcW
-
徹に失恋した日、龍に慰めてもらった川原に向うと、ぽつんと座る黒い影が見える。
「龍」
背中に声をかけるが、返事はない。それが、龍だという答えになっている。千鶴は息を整えながらその背中の隣に座る。
「……見に行けなくて、ごめん」
「いや……サンキュ」
唐突な感謝の言葉だが、それが店を手伝ったことに関してだと、千鶴には理解できる。この少年の不器用さは、誰よりも知っている。どうやって声をかけようか、考えに考えて口を開く。
「あのときの約束、果たそうか」
「ん?」
「アタシが徹に振られた時の!」
唐突な提案に、龍が吹き出して笑う。そういえばそんなこともあったな、と小さく呟く。
千鶴が徹に失恋した時、この川原で龍に慰められた。そして千鶴は、龍に何かあったときは自分が慰めてやると言ったのだ。
「じゃ、慰めて」
苦笑交じりで龍が言うと、龍が千鶴の太腿を枕にして仰向けに寝そべった。
「な、なにしてんのさっ」
「なにって、膝まく」
「言わなくていいっ!」
闇のお陰で見られることはないが、千鶴の顔は既に真っ赤だ。それを悟られたくなくて、そっぽを向く。
「ちょっと硬い」
「!!」
「いて」
自分の太腿が硬いといわれ、反射的に龍の頭を殴る。そんな軽口を重ねたあとで、千鶴が口を開く。
「……残念だったね」
「いや、判ってたことだし」
「……龍の最後の試合、見たかった」
「千鶴」
呼ばれて下を向くと、以前と同じように龍の唇が待っていた。龍は上半身を持ち上げて、千鶴の唇を奪う。
この間のように一瞬で終わるキスではなく、深く重なるそれに、千鶴も目を閉じて応じる。
片手で自分の身体を支えながら、もう片方の手で千鶴の頭を抱き寄せて、より深く交わろうとする唇。
そしてキスを続けながら完全に上半身を起き上がらせると、千鶴を優しく抱きしめる。
呼吸が苦しい。でも、唇は離れない。徐々に息が荒くなる自分に、千鶴は戸惑っていた。
龍の腕が緩められると、その手が千鶴の胸へと移動してくる。大きな手が、千鶴の胸を包むように揉み出す。
「ちょ、待っ……」
「いや?」
いつぞやと同じシチュエーションだ。パニクる脳は、言い訳を考える前に言葉を発させる。
「や、えーと……ここじゃ……イヤっていうか」
そんな千鶴を見透かしてなのか、逆に龍は真面目な口調で訊く。
「ここじゃなきゃいいの?」
「龍っ!」
千鶴の反応に喉で笑うと、龍は立ち上がって千鶴に手を差し出す。その手を借りて立ち上がると、龍は千鶴の手を離さないまま歩き出した。
- 597 :龍×千鶴 5[sage]:2009/01/01(木) 18:01:24 ID:3kB5TPcW
-
「ただいま」
「お帰り……って、あれ、ちづちゃん」
どこに連れて行かれるのかと思えば、龍の家だった。さっき帰らせたと思っていた千鶴が再度目の前に現れたので、父親は目を丸くして驚いた。
「おっちゃん、……あ、あの、えと」
「千鶴と上にいるから」
焦る千鶴を余所に、龍はこともなげに返事をして家の方に回る。手をつないだままなので、千鶴も龍に付いて行くしかない。店に顔を出したのは、帰ったことを知らせるだけだったらしい。
龍の部屋に入ると、灯りも点けずに再度抱きしめられて唇を重ねる。さっきと同じように優しいキスだ。千鶴を味わうような龍の唇の動きが、頭を痺れさせる。
「んっ……」
堪える声が、呼吸に混じる。龍が、続きと言わんばかりに胸を揉む。指先でその柔らかさを確かめるように、ゆっくりと。
心臓が、破裂するくらいに高鳴っているのが分かる。同時に、体温が上がっていくのも分かる。龍の唇や手の動きに翻弄されている自分が分かる。
悔しいと思うのに抗えない。段々、呼吸が荒くなる。
Tシャツの裾から中に入り込んで、下着の上から触れる手が、熱い。
「……っ」
恥ずかしさから逃げてしまいたくなるが、そうできない自分がいる。
指が、肌と布地の隙間へと入り込んでくる。すでに硬くなり始めた頂上を見つけられ、指の腹で撫でられた時、身体の芯が痺れた。
「千鶴、緊張しすぎ」
千鶴の身体の硬直具合を指摘した声が、耳元に届く。耳に吹き掛けられる息でさえ、今の千鶴を更に緊張させる要因の一つだ。
「あ、あったりまえ……」
少しでも言い返そうとした声が、龍の声で消される。
「俺も、緊張してる」
そうだった。龍も、初めてのはずだ。龍も緊張していると分かって、千鶴は少し笑う。その笑いで少しだけ緊張が解けたのか、自然と手が龍の背中に回る。
その瞬間、千鶴を膝から掬って抱き上げ、ベッドへと下ろす。着ていたTシャツを脱ぐと、薄っすらと差す街灯が、日に焼けて引き締まった肌を晒した。さすがはスポーツやってるだけあるなぁ、と感嘆の言葉が脳裏を過ぎる。
「ごめん。シャワー浴びてない」
試合の後のことを言っているのだろう。ということは、必死で闘った汗がまだ肌に残っているということだ。
「今から浴びてくる余裕もない」
あまりに正直な龍の言葉に、千鶴は笑いを堪えきれない。
「いいよ、別に。アタシも店走り回ったし」
お互い様、と言う千鶴に、龍は口付ける。
「で、でもさ」
この期に及んで躊躇を見せる千鶴は、心配の一つを告げる。
「し、下におっちゃん居るのに……」
こんなことバレたら、と顔を赤らめていると、階下から声が聞こえてきた。
「おいー、龍っ!」
呼ばれて部屋から顔だけ出すと、父親が出掛ける用意をしていた。
「父さん今から町内の集まりあるから。戸締りよろしくな」
「ん。わかった」
気付いて気を利かせたのか、それとも本当に集まりがあるのかは判らない。だけど、龍にとっては最高の父親だ。
- 598 :龍×千鶴 6[sage]:2009/01/01(木) 18:03:01 ID:3kB5TPcW
-
扉が閉じる音の後に、鍵のかかる音。もうこれで、心配事はなくなった。
脱がされたのか、自分で脱いだのかも覚えていないが、二人で裸のまま抱きしめあった。龍の腕は、限りなく優しい。
龍の唇が首筋や胸元にキスを残し、舌が余すところなく肌の上を滑り、歯が胸を軽く噛んで転がす。
くすぐったいような、気持ちいいような。感じたことのない感触が、千鶴の身体を駆け巡っている。ちょっとでも気を許せば、唇から声が漏れてしまう。
千鶴は声を抑えるのに必死だった。
龍は、誰も居ないし声出せば、と言っていたが、千鶴はどうしてもそれが出来なかった。
さっき我慢できずに出した声は、まるで自分の喉から出たとは思えないほど、甘えた可愛い声だった。それを聴かれるのは堪らなく恥ずかしい。
だけど、その封印は途中で効かなくなった。龍の指が下半身を攻めて来た時、思わず嬌声が溢れ出た。その声に反応して、龍がそこを攻めあげる。
「やっ……龍っ……やだっ……」
「ここ、すごいことになってる」
「やめて…って……やだってっ……ふぁあっ……」
抵抗すればするほど龍の攻めは激しくなり、それに伴って蜜が溢れてくる。
と、急に龍の手が止まって、机の引き出しから何かを取り出した。千鶴に背中を向けてベッドに座ると、なにやらガサゴソとやり始める。
なんだ?と思い覗き込んで目を凝らすと、龍は暗い中で避妊具と格闘中のようだった。
おっと、ここは女が口を出すところじゃないな、と野生の勘が働く。しかし、龍がどうやってソレを手に入れたのかが気になるところだ。
そんなことを考えていると、自身を上手く覆うことに成功したらしく、龍が千鶴に向き合った。
「千鶴」
名前を呼ぶと、膝に手をかけてゆっくりと開かせる。『ハジメテ=イタイ』とは聞いていたため、恐怖はあった。がしかし、それを龍に悟られるのはいやだった。
「いい?」
「そ、そんなこと訊くなっ」
千鶴の、否定のような肯定の返事を待って、龍は自分をあてがい、腰を押し進めた。
「………っつ!」
「痛い?」
「…へ、平気だからっ……ふぁっっ……」
「千鶴、力、抜いて」
言うとおりにしようとするが、なかなか下半身から力は抜けなかった。しかし、一進一退しながらも押し広げながら進入してきた龍は、程なくして千鶴の中に全てを収めた。
「マジ、死にそうに嬉しいんだけど」
龍が落としたセリフは、思わず出た本音なのだろうか。それを聴いて、急に龍への愛しさが増す。
「バカっ……!アタシだって、う、嬉しいよっ」
「千鶴」
龍が千鶴にキスをする。その首に、腕を回す千鶴。そのまま、龍の腰がゆっくりと動き始めた。
「あっ……」
いきなり深くを突かれ、声が漏れる。龍のゆっくりな動きは、痛みを徐々に和らげていく。そして、次第に声を殺すことが辛くなってくる。
「……声、出せば」
そういう龍に、ふるふると首を横に振る。しかし、その抵抗も空しく、龍の動きは知ってか知らずか、的確に千鶴の快感の場所を突いて来る。
「ふっ……ぅっ……んっ………んんんっ…」
思わず喘ぐ。痛みが快感へ。その移行が完了しそうな瞬間、龍の動きが止まった。
健全男子高校生の頑張りはここまでだった。がしかし、二人の初めては間髪入れずに2回目に突入し、千鶴の『移行』は完遂された―――。
- 599 :龍×千鶴 7[sage]:2009/01/01(木) 18:04:13 ID:3kB5TPcW
- 終わった直後の恥ずかしさといったら、いまだかつて経験がないほどだ。
千鶴は即座に自分の下着を見つけ出しては、身に付けていく。龍もそれに倣いながら、衣服を整えつつ話し始めた。
「この間の質問の答え」
「ん?」
「何になりたいかって、訊いた」
「あー。何のことかと思った」
やっと全てを身に付けて、明かりをつける。乱れたベッドが目に入って顔を赤くする千鶴に、龍がその答えを言った。
「店、継ぐよ」
ベッドの上に胡坐をかいて、龍が話を続ける。
「野球は高校まで、って決めてたし。大学行くほど勉強したいわけじゃない。オヤジの店を継ぐのが、一番の選択だと思う」
千鶴は黙って龍の話を聴いている。
「店の名前も『徹龍軒』だしな」
いまどき、子供の名前を店につけるなんてなー、と二人で吹き出して笑う。ひとしきり笑い終えた静寂に、ポツリと龍が言う。
「なんだかんだ言っても、オヤジも期待してるし」
「そっか」
「千鶴は?」
逆に質問されて、返答に困る。
「アタシは……えーと、……まだ、決めてないや」
その答えに、龍は少し笑ってくしゃっと千鶴の頭を撫でると、送ると言って支度を始めた。
将来を決めた幼なじみの背中が、いつもより少し大きく見えた気がした。
その夜、風呂に漬かりながら将来について千鶴は考えていた。
何かを考えていないと、龍との初めて(2回目も)を思い出してしまいそうだったからだ。
自分は何をしたいのか。何になりたいのか。
昔は徹のお嫁さんになるのが夢だった。今の、アタシの夢は……。
ヒントの糸口が悪かったのか、それが千鶴の本心なのか、それは千鶴本人にもわからない。
千鶴は顔を赤らめて、そのまま風呂の湯に沈めた。
―――うわっ……どうする、どうするっっ!
辿り着いた答えはあまりにもリアルすぎた。そして気付いてしまうとそれ以外に自分がなりたいものがないことも判ってしまった。
この日、千鶴が一睡も出来ずに朝を迎えたのは、「龍との初めて」だけが原因ではなかった。
- 600 :龍×千鶴 END[sage]:2009/01/01(木) 18:05:32 ID:3kB5TPcW
-
「あぁ?!お前がこの大学狙うなんざー、百万年早いわっ!」
「うっわ、コイツ、身の程を知れーっ!」
数日後、ピンが回収した進路調査用紙に、いいだけ文句を言いながら目を通していると、目に止まった用紙があった。
「真田龍……家業を継ぐ、か」
ふぅん、と鼻を鳴らして次の用紙を見た途端、ピンの顔が訝しげにゆがんだ。
「なんじゃ、こりゃ」
その用紙、吉田千鶴の提出したものには、こう書かれていた。
『第一志望……ラーメン屋』
徹に振られたときに言われた言葉、『妹だと思ってる』。
それは近い将来、現実のものとなる。
了
- 601 :龍×千鶴 [sage]:2009/01/01(木) 18:09:42 ID:3kB5TPcW
- お読みいただきました方も、そうでない方も有難うございました。
長々と書いた割にはあまり中身がなく…orz
沢山のレスを消費しましたこと、お詫び致します。
追伸:
龍が使ったのは、新婚の徹が帰省した際、大酔っ払いになり、
「龍ーっ!ちーを悲しませるなよー!」
と箱ごと渡したものだということは、千鶴にはナイショにしてください。
また萌えたら書きに来ますノシ
- 602 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/01(木) 21:52:35 ID:uMvp49dg
- す、素敵なお話でした・・・!!
- 603 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/01(木) 22:41:24 ID:IRxtHRpM
- 超GJ超GJ超GJ
おもしろかったー!締め括りがよかった
- 604 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/02(金) 15:49:31 ID:QEX5pSxB
- GJ
- 605 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/02(金) 20:53:13 ID:Zi9JZJUX
- 駄目だぁ〜、オチがうますぎる。
GJのため息が出ます。
- 606 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/02(金) 22:06:41 ID:Zi9JZJUX
- これからも、このさきも、となりで笑ってくれるなら。
ふいに彼女と目が合った。ふわり、と彼女が微笑む。
→レスNo.5より抜粋
こういう切ない言葉を読めたことに、心から感謝を。
レスNo.24 風早くんの憂鬱の感想
ピンえげつないw でも本当にこういうことしそう。GJ!
「あたしは死ぬ!いま、ここで死ぬうっっっ!」
レスNo.236 キミには到底敵わない。より抜粋
エロパロで数多の職人さんの千鶴への描写を読んで、改めて千鶴の一途さ、素直さなどが
胸にすっと入ってきました。それゆえにこの発言には噴出しましたし、君に届けが更に好きに
なってしまいました。どうしよう。
あと最後のシーンで四人のぞれぞれの描写がとてもいい感じです。GJ。
402 の作品の感想
ニヤニヤが止まらないw いやーもう、何と言ったらいいのでしょうね。その漫画から出て
きたような言葉を選べる職人さんに素直に敬意を表したい、というか「すっごく面白かった」です。
終わらせ方も秀逸です。惚れ惚れします。
→279 ヤン早 の感想
とても楽しませてもらいました。GJ
- 607 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/03(土) 10:18:40 ID:SvSMOdY5
- >>593
GJすぎてビビる 龍ちづでエチーは無理と思ってたが
こんなキュンエロになるとは
原作のちづと龍っぽいのにちゃんとエロい
キュンなのにエロい
- 608 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/03(土) 11:25:21 ID:SvSMOdY5
- 爽子誕生日にせっかくだから(?)風爽のなんか甘い感じの書いてみた
====================================
爽子は風早の腕の中で戸惑っていた
(えっと、どうしてこんな事になったのだろう)
冬の川原はひたすら寒い。
自分は大好きな人の腕の中で温かく、しかも鼓動が爆発しそうだから寒さは一切感じないのだが風早は寒くないのだろうかと爽子は心配になる。
しかし風早はそんな事まったく意にも介さず幸せそうに爽子を抱きしめていた。
なぜこんなことになったのか。
時は少しさかのぼる。
爽子は風早に誕生日に何がほしいか聞かれた。
爽子は気持ちだけで…と言いかけて彼に遮られた。
「だめ。そんなん。いつも黒沼はそうやって遠慮するけど、今度こそちゃんと黒沼が【ほしいもの】をあげたいんだ。」
なおも戸惑う爽子に風早はにこっと笑って言った。
「たまにはワガママ言っていいよ。てか、おれがそうしてほしい」
まさかわがままを言えとわがままを言われるとは思わなかったが
さわこがそのおひさまのような笑顔に逆らえたためしはない。
しかし、その場では考え付かなかったため後日返答となった。
- 609 :小ネタ2[sage]:2009/01/03(土) 11:31:11 ID:SvSMOdY5
- ほしいものと言われても…爽子は困り果てた。
風早にたくさんの物をすでにもらっていると思っていたからだ
彼は自分の世界を明るい光で満たしてくれた。
しかも想い、想いかえされる喜びを教えてくれた。
いつでも爽子は満たされていたからこれ以上ほしいものなんてない。
困った挙句に親友たちに相談すると「贅沢な悩みだ」と苦笑された。
それでも相談に乗ってくれる辺りが大好きだなあと爽子はまた感動した。
相談された親友二人も真面目に考えたがそもそもこの物欲の薄いこの子が世間的なプレゼント(指輪とか)を彼氏にねだるとは思えない。
「そうだ、爽子あんた 風早に言いたいこととかないの?」
「言いたいこと…?」
「そうそう風早って妙にもてるからさーたまには【他の子を見ないで】とか言ってみるとか。」
「そ、そんなこと言えないよ!」
「えーじゃあ爽子は風早がほかの子といるの平気なんだ」
爽子は赤くなって少し俯いた。
「へ、平気…じゃないけど…。でもそんなこと言っちゃいけないと思う…。」
風早はとても人間が好きで、だから人も彼を大好きになる。
爽子はそれを否定したくはない。
そんな彼だからこそ好きになったのだ。
- 610 :小ネタ3[sage]:2009/01/03(土) 11:36:24 ID:SvSMOdY5
- たどたどとそんな事を言う爽子を見ながら、
あやねはたまには嫉妬してあげたらあのヤキモチ王子も喜ぶだろうけどねと思う。けど別に風早を喜ばせる義理もないからその事は黙っていた。
「…でも、そっか、そういうのもいいんだ。」
爽子が何か思いついたようにうん、と頷いた。
そして相談に乗ってくれた親友たちに礼を丁寧に述べた。
12月31日
風早と爽子はいつもの川原にいた。
「結局、何が欲しいか教えてくんなかったね。」
白い息をはきながら風早が残念そうに言う。
爽子はふふっと笑った。
「今から、ちゃんと言うよー。」
「え?でも今からだと用意できないよ?」
「いいの。」
爽子は嬉しそうに微笑んで、風早の正面に立つとそっと彼の手を握った。
普段控えめな爽子のそんなふるまいに風早は赤くなって爽子をみつめた。
その視線に爽子は赤くなって瞳を伏せた。
「…あのね。私の我侭を聞いて欲しいの。」
「わ、わがまま…?」
戸惑いながらもくすっと笑って風早はいいよ、と頷いた。
「私ね、風早君が全部欲しいの。」
- 611 :小ネタ4[sage]:2009/01/03(土) 11:47:08 ID:SvSMOdY5
- 沈黙が流れ、数秒後風早は全身から湯気を出しそうなほどに赤くなった。
「くっ黒沼!?」
そんな風早の戸惑いに瞳を伏せている爽子は気付かずに続けた。
「ちょっと前から思ってたんだけど、風早君は私のことを、
とても気遣ってるでしょう?でも、私だって風早君を大事にしたいんだよ…?」
そしてダメ押しの一言が爽子のあどけない唇から漏れた。
「だいすき、だから。」
そう、爽子が思いついたのは風早に我侭を言う事、だった。
少し前から、爽子は風早が時折みせる気弱な言葉や、
時折泣きそうな顔で自分をやんわりと抱きしめる様子なんかが気にかかっていた。
『俺から離れていかないで』『…嫌いにならないで』
そう苦しそうに言われた事もあった。
離れるわけがないのに。嫌いになんかなるわけがないのに。
強いところも弱いところも全部含めて風早の一部なんだから、
爽子は風早のどんな欠片だって受け入れるつもりだった。
自分に気を使って風早が言いたいことも言えずにいるままなんて嫌だった。
わがままだなあと自分でも思うけど、せっかくの風早の申し出に便乗して自分の気持ちを伝える事にしたのだ。
- 612 :小ネタ5[sage]:2009/01/03(土) 11:51:11 ID:SvSMOdY5
- 「だからね、これからは気を使わずに…わ!?」
途中で爽子の言葉が止まったのは息も止まるほどに強く抱きしめられたからだ。
そして頭の上から風早の熱い吐息めいた台詞が聞こえた。
「…いいの?」
いいの…って何が…?ああ、気弱なところも全部見せていいのって意味なのね?
爽子はそう解釈してぎゅうぎゅうの腕の中でも僅かに動かせる頭を頷かせた。
「―もう止まんないよ?」
止まんない?何が?そう思ってると頬に彼の冷たい手がきて、
気が付くとキスされていた。しかもさらりとしたキスではなく熱く濃厚な口付けだった。
爽子の唇を味わいつくした後ようやく離れた唇は幸せそうな吐息とともに呟いた。
「はぁ…。俺、なんかもうめちゃくちゃ幸せ…」
戸惑いを伝えようとした時に、爽子は気が付いてしまった。
こ、この腰にあたる感触は…
おそるおそる風早を見上げると、彼は赤くなって謝った。
「…ごめん。」
そして爽子は気が付いたのだ。
もしかして、私は、とんでもない台詞を言ってしまったのでは…?
『風早君の全部が欲しい』『だいすきだから』
もしかしてもしかしてこれは…
ええええええっちしたいという意味に取られたのでは…!?
- 613 :小ネタ6 終わり[sage]:2009/01/03(土) 11:59:11 ID:SvSMOdY5
- いくら何でも『初めて』なのにそんなにはしたなくも大胆になれるわけもない。
「ち、ちがうの風早く…」
「やっべ…マジに嬉しい…俺だって黒沼がずっと欲しかった…」
風早は少し泣きそうな顔をしていた。
しかしそれは今まで見た、苦しそうな、何かを耐えている苦い顔ではなかった。
「…はは、おれ、ちょー情けない。でも、ごめん、嬉しい…。」
だって、黒沼が俺ほしがったことなんかないもん。
独り言みたいに呟くと風早はもう一度
ぎゅうっと爽子を抱きしめた。
爽子は、やんわりと風早を抱きしめ返しながら瞳を閉じて、思った。
風早君がこんなに嬉しそうならいいや。
こんな顔見た事ないもん。
そして物語は>>588に続くのであった。
エロなくてスマン
- 614 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/03(土) 12:32:05 ID:AY848A+V
- おおお可愛いのうかわいいのう!!
風早って結構大変そうだよね 爽やか王子であるが故に
- 615 :横恋慕21(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/04(日) 01:04:57 ID:q8I/gMLw
- >>494−500 >>506-508 >>527-532 >>538-541 続き
ケン爽陵辱っぽい カプ注意
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
三浦の言葉に爽子は泣きながら首を振った
「離して、お願い…!」
前から思ってたけど、この子の泣き顔ってエロイよなー
なんか苛めたくなる。
つついて苛めて泣かせて喘がせて…いろんな顔が見たい…。
風早しか想っていない一途さが逆に三浦を煽った。
1回壊して、俺で埋めてしまえ。
昏い声がそう囁く。
きれいなものは汚される時が一番エロイよ。そうだろ?
だから一番やらしい顔にしてあげるよ。
眦の涙を舐めとると濡れた瞳が乞う様に三浦を見上げた。
ゾクっと背骨を快感が走った。
やっべぇ…爽子ちゃん煽らないでよ。挿れる前に十分慣らしてあげたいんだからさ
三浦はこの哀れで綺麗で愛おしい生き物を穢したくて狂いそうな気がした。
これ以上爽子の欲を煽る泣き顔を見ていたらまずいと判断した三浦は爽子の体をうつぶせにした。
そして片腕で爽子の両手を押さえると
あいた手で爽子の口の中に指を入れた。
「−!!ぅぐ…っ」
くにゅくにゅと指で舌をなぶられ、苦しさと恥ずかしさとで爽子は気が遠くなりそうだった。
- 616 :横恋慕22(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/04(日) 01:08:54 ID:q8I/gMLw
- 口腔を犯され、何もいえない爽子に三浦は後ろから囁いた。
「爽子ちゃん、いや?本当にやなら、この指噛み千切ればいいんだよ。
噛み千切らないんだ。じゃあ、してもいいって事だよね?他の男とシタ女なんか風早、嫌がるだろうなー」
「んんんー!!!」
爽子は泣きながら、懸命に動かせる範囲で首を横に振った。
三浦は爽子のスカートを捲り上げた。淡い紫色の下着が露わになる。
三浦はそれに自分の局部を擦り付けた
「でも、こんなになってんのにほっとけないでしょ?ほら、入りたいって言ってるよ」」
薄い布越しでもはっきりわかるその熱に爽子の恐怖は急激に高まった。
言葉は出せなくても嫌々と懸命に体をよじる。
「俺、するよ。爽子ちゃんが嫌がっても絶対する。」
なおも儚い抵抗をやめない爽子を押さえつけながら三浦は甘く睦言のように囁いた。
「…だからさ、俺にしときなよ。俺ならあんな風に爽子ちゃんを泣かせない。」
爽子の体がぴくっと反応した。
「モテモテ君はもてた事しかないから女の子の気持ちがわかってないんだ。
よーするにガキなんだよ。…俺なら間違えないよ。」
爽子が意を決したように口腔内の三浦の指に思い切り歯を立てた。
「…つっ!」
- 617 :横恋慕23(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/04(日) 01:11:16 ID:q8I/gMLw
- 三浦は思わず手を引いた。
しかし片手はしっかりと爽子の華奢な手を抑えたままでピクリとも動かさなかった。
三浦は歯形のついた指をペロリと舐めるとにやっと笑った。
「爽子ちゃん、男って抵抗されると燃えるもんなんだよ?」
そして爽子にぴたりと体をつけると固く熱を持った局部をつけ擦りはじめた。
熱く荒い息が爽子の耳にかかり、局部の感触が下着越しに伝わってくる。どんどん硬度をましていくそれは爽子にとっては恐ろしい凶器となって爽子を絶望に追い込んでいく。
擬似セックスのような行為はまるでこれから行われる事の予告のようで爽子は無駄とはわかっていても渾身の力で逃れようとせずにいられなかった。
三浦は熱い息を吐きながら楽しそうに爽子に囁いた。
「赤ちゃん、できちゃうかもね。−いいね、そしたら産んでよ俺の子。」
その言葉にいよいよ爽子は恐慌をきたした。
「いやああっ!!!やめてっ!お願い…お願いだから…っやめて…三浦…君…っ」
搾り出すような懇願にふ、と三浦は表情を変えた。
−はじめて、名前を。
こくっと三浦の喉がなった。
三浦は腕の力を緩めて爽子を正面に向き直らせた。
- 618 :横恋慕24(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/04(日) 01:16:35 ID:q8I/gMLw
- 「赤ちゃん、できちゃ困るよねえ。いいよ。手でしてくれたら挿れるのはやめたげるよ。」
三浦は片手で器用にズボンの前を寛げた。
はじめて見る男性器のグロテスクな姿に爽子は恐怖と嫌悪を強く覚えた。
それでも最悪の事態を免れるためにそろりと三浦の熱塊に触れた。
「はぁ…っ…いいよ、爽子ちゃん…そう、そうやって動かして…」
言われるがままに爽子は上下に擦るように手を動かした。
それは爽子の手の中で生き物のように脈打ち、少しずつ形を変え育っていく。
やがて彼女の細い指がぬるりと先走りの液で濡れはじめた。
(うう、気持ち…悪い…)
爽子は吐きそうな嫌悪感に襲われた。
その心底嫌そうな表情に同情心より嗜虐心が勝ってしまい、
三浦は興奮が高まってくる。
加えてどうしようもない羞恥心で赤くなって目を伏せる様や、
それでもこの奉仕によって最悪の事態は免れると信じ、懸命に言われるがままに従順に動かす様に征服欲が煽られ、
ふわりと漂ってくる汗と石鹸の混ざる匂いにこらえきれない衝動が沸き起こった。
- 619 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/04(日) 01:18:41 ID:z5PxHLdu
- 爽子はもちろんのこと、はやとちり風早も「ばっかだな〜」と思えて可愛ぇえ
- 620 :横恋慕25(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/04(日) 01:22:19 ID:q8I/gMLw
- あー俺、マジ変態…
自嘲的に思うが、凶暴な衝動が三浦を突き上げ、それどころではない。
もっともっといろんな顔が見たい。快楽に身を震わせるいやらしい顔が見たい。
狭い入り口に自分の熱をねじ込み、この華奢な白い体の中に自分の精液をあますことなく飲み込ませたい。
自制を忘れてしがみつかれたい。細く白い足を絡みつかせてほしい。我を忘れた甘い声が聞きたい。
三浦は爽子を貫いた時に汗ばんだ肌が吸い付く感触や収縮する中を想像し眩暈がしそうなほどの興奮を覚えた。
「…ごめんやっぱだめ。がまんできない。」
三浦は再び爽子を押し倒すとぐいっと胸をはだけさせた。
そして細い首筋と胸元に音を立てて吸い付いた。
「いやぁっやだっやめっ…ああっ…!」
爽子の白い首筋に、胸元に、赤い痕が無造作につけられていく。
まるで所有印のようなそれに三浦は感動すら覚えた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
今回ここまで。次回でケント篇終わり 近日中に
- 621 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/04(日) 01:54:51 ID:pZqZZ1/G
- GJ!!!
エロイ・・!!エロ書くのうまいですね
続きが気になる〜!!
- 622 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/04(日) 11:53:20 ID:pqZiyX6Q
- >>615
GJです!
続きが読みたいよー
- 623 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/05(月) 05:49:48 ID:MrkiuUlu
- ケントいいよ〜
職人さん、gj!!
- 624 :横恋慕26(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/05(月) 22:46:54 ID:MVenrwSN
- >>494−500 >>506-508 >>527-532 >>538-541 >>615-620続き
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
爽子の白い肌を貪りながら三浦は爽子の大腿を撫で上げた。
びくんと大きく爽子の体が跳ね、三浦はそれを自らの体で押さえ込んだ。
指は滑らかな肌を辿り薄い布に包まれた秘所へと辿りついた。
そのまま指はつぷりと爽子の内側へと潜り込んだ。
「!!いやあああ!」
「ちゃんと濡らさないと爽子ちゃんが痛いだけでしょー?俺も気持ちよくないし」
爽子の秘所は恐怖に縮こまり、三浦のペニスどころか指すら受け入れる事はできなさそうだった。三浦は爽子の下着を強引に膝まで下ろした。
絶望の中でうわごとのようにやめてと繰り返す爽子の内部を少しでも潤そうと三浦はなだめるように優しく触れながら慎重に抜き差しを繰り返す。
三浦の指が爽子の敏感な箇所をすりあげたとき爽子の足が一瞬痙攣したように動いた。
「や…あぁん…っ」
その声は明らかに甘い色を帯びており、爽子自身も自らの嬌声に混乱した顔を見せた。
三浦は全身の血がかぁっと沸騰するような気がした。
やべ、あんま持ちそうもない。
- 625 :横恋慕27(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/05(月) 22:51:00 ID:MVenrwSN
- 三浦はぎり、と奥歯を噛み締めると、やわやわと動かしていた指の動きを強めた。
「んぁっ…んっ…んんぅ…っ」
甘い嬌声は受諾の印と受け取られる。
混乱しながらも爽子もそれに気付いたのか懸命に声を押し殺そうと唇を噛んだ。
その耐える姿が逆にくらくらするほど淫らだった。
少しずつ三浦の指もじゅるじゅると潤っていく。
「そろそろ、いくよ…?爽子ちゃんも準備できたみたいだし」
爽子は自分の体の変化を呪いながらも儚い抵抗を続けた。
折れそうな心を必死に奮い立たせた。
(風早君っ…風早君っ…)
閉じようとする足を開いて三浦が強引に爽子の中に入ろうとした時、声が聞こえた。
とっさに三浦は爽子の口を掌でふさいだ。
「ココ、穴場なんだって。人こないしさー。だから声…だしても大丈夫だよ。」
とくすくす笑う女の声に続き、がちゃっとドアを弄る音。そして同時に男の声がした。
「あれ、しまってんじゃん。」
爽子は何とか声を出そうとするが、三浦の掌に阻まれにくぐもった声しか出せない。
「んんー!!!」
「やべ、使用中じゃん」
「えー、じゃあ、場所かえよ?」との声のあと、気配が遠ざかった。
(ああ、もうだめ…)
- 626 :横恋慕28(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/05(月) 22:57:27 ID:MVenrwSN
- 絶望しかけた爽子の手に何かが触れた。
それは自分が持ってきたハーブティーの入れ物だった。
爽子が三浦の方をそっと伺うと彼はまだ去っていく気配に気を取られていた。
爽子は慎重にそれを引き寄せ手に取った。気配が完全に消えて、三浦はつめていた息を吐いた。
そして爽子に向き直った瞬間、ぱしゃりと生ぬるい液体が顔にかけられた。
「!?」
それがかかった瞬間に眼に激しい刺激を感じ、三浦は視界を奪われた。
一瞬事態を見失った瞬間に、どん、と突き飛ばされた。
予測しない方向からの思わず力に三浦は思わず体のバランスを崩し、よろけた。
三浦が視界を取り戻す前に爽子がドアの鍵に手をかけた。
それに気付いた三浦が爽子を掴もうとするがその前にドアは開いた。
爽子は残った力をすべて震える足にこめ、駆け出した。
後ろから三浦が追ってくるかと怯えたが、まだ視界が戻らないのか人目を気にしたのか追ってくることはなかった。
爽子は流れる涙を拭いながら懸命に走った。
乱れた着衣も気に留めずただひたすら愛しい人の姿を求めた。
(風早君っ風早君っ怖いよ助けて風早君…)
- 627 :横恋慕29(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/05(月) 23:02:40 ID:MVenrwSN
- 一方風早はずっと爽子を探していた。鞄もおきっぱなしだし、何より自分に一言もなく爽子が帰るとは思えない。何か嫌な胸騒ぎが風早を追い立てた。
「貞子?−ああ、なんか資材室のほうで見たよ。」
教えてくれた級友に短く礼を言うと風早は足早に資材室のほうに向かった。
それからほんの数分後、泣きながら爽子が風早の胸に飛び込んできたのだ。
「黒沼!?どうしたの、何があったの!?」
風早の問いには答えずひたすら泣きじゃくりながらうわごとのように
「風早君、風早君」と繰り返す爽子の尋常じゃない様子に風早は
とりあえず落ち着かせようと爽子を優しく抱きしめると背中や肩をさすった。
「大丈夫、ちゃんとここにいるから。」
えっえっと泣き続ける爽子の髪や体を撫で続けていた風早は爽子の乱れた着衣、
そしてそこからはだけた白い肌に赤い点が花のようにぽつぽつと咲いているのに気が付いた。
「−何があったの…?」
その恐ろしく冷たい声に爽子はびくっと体をこわばらせた。
「答えられないんだ。」
混乱から何も言えずに爽子は首を横に振った。
「相手は、…三浦?」
爽子は答えなかったが一瞬硬直した体がそれを答えてしまっていた。
- 628 :横恋慕30(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/05(月) 23:08:05 ID:MVenrwSN
- 爽子は怖くて風早の目を見る事ができない。
「黒沼は俺の彼女、なのに、三浦と何してたの…?」
途切れがちなその言葉が風早の燃えるような怒りを伝えてきて
爽子はますます言葉を失った。
何か言わなきゃと思えば思うほど言葉は喉に張り付いてしまう。
「…三浦は、どこ…?」
爽子はもう一度ぶんぶんと首を振った。もうあんな怖い場所に戻りたくない。
「…かばうんだ。三浦の事が好きになったの…?」
爽子ははじかれたように顔をあげた。
「ち、ちが」「俺と、」
風早はこくっと小さく息を呑んでから続けた。
「俺と別れたいの…?」
否定しようとして爽子は言葉を飲み込んだ。
力づくとはいえ、これは明らかに風早への背信行為だ。
もし、風早が誰か他の女性とこんな事をしたらと思うだけで絶望で胸がはりさけそうになる。
しかも自分の体は確かに反応した。
恐怖と嫌悪でどうにかなりそうだったのに肉体は主人の心を裏切って快楽に従おうとした。
その事実が爽子の胸を切り裂いた。もちろん心が風早を裏切った瞬間など1秒たりともない。
しかしそれを招いたのは自分の無用心さだった。
―私はこの人の側に居続ける資格があるのだろうか。
- 629 :横恋慕31(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/05(月) 23:12:30 ID:MVenrwSN
- 爽子は混乱の中それでも必死に考えた。
「黒沼…?」
「わ、別れたくなんかないよ…!」
好きで好きで仕方ない人なのに。爽子は零れ落ちる涙を拭おうともせず続けた。
「でも、風早君が、もう嫌になったんなら、仕方ない…。」
「それって別れてもいいって意味…?」
爽子は頷こうとして、頷けなかった。
正直すぎる自分の体を呪いながら爽子は泣きながら風早を睨んだ。
いや正確にはじっと見詰めたのだが鋭すぎる視線は
彼女に惚れ抜いている風早ですらたじろがせる迫力があった。
「ご、ごめんなさい。頷けない。頷かなきゃいけないのに」
ぐすっぐすっと泣く爽子に風早はきゅっと唇を噛んだ。
「黒沼。ひとつだけ聞かせて。黒沼は俺と、別れたいの…?」
爽子は力なく首を横に振った。
風早は泣きそうな顔で少しだけ笑った。
「…じゃあ、いいよ。」
爽子はその言葉に顔をあげた。
「三浦との事は、忘れるから。」
爽子はその言葉を呆然と聴いた。
混乱する頭でそれでもこれからも風早の側にいられるという事実に安堵したとき、
衝撃の台詞が耳に飛び込んできた。
「…でも三浦とはキッパリ別れて。」
- 630 :横恋慕32(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/05(月) 23:18:42 ID:MVenrwSN
- 爽子はその台詞を数秒咀嚼して、
ようやく風早がものすごい誤解をしている事に気が付いた。
そして自分の言葉足らずがいつも数々の盛大な誤解を生んできた事を思い出した。
爽子はこくん、と息を飲んだ。世界中の人に誤解されても、
この人にだけは誤解されたくない。爽子は言葉を選びながら口をゆっくりと開いた。
爽子から事情を聞いた風早は真っ青になり唇をぎゅっと噛み締めた。
風早の身から見たこともない殺気が立ち昇る。
その様子に怯える爽子をぎゅっとだきしめてひたすらごめん、と謝った。
「冷静に考えれば、そんな様子の黒沼が三浦と付き合ってるなんて思うはずもないのに。
…黒沼が二股かけるような奴じゃないって言うのは誰よりわかってるつもりだったのに。
ごめん。俺、黒沼の事になるとどうしても冷静でいられない。
黒沼が俺から離れるかもってだけで何も考えられなくなった…。ごめん。ごめんな。
黒沼は何も悪くない。悪くないんだよ。」
風早の温かな胸の感触と匂いが少しずつ爽子を落ち着かせた。
何より風早が自分は悪くないと言ってくれたことに救われた。
三浦に対する恐怖や怒りよりも自責につぶされそうだったからだ。
- 631 :横恋慕33(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/05(月) 23:23:16 ID:MVenrwSN
- 爽子は安心したとたん張りつめていた緊張が解け、ふぅっと意識が遠のいた。
翌日、爽子は風早の姿を探したが見つからない。
(お礼、言おうと思ったのにな)
風早は昨日爽子を保健室に運びこんで意識を取り戻すまで側についていてくれた。
そして爽子を家まで送っていってくれた。大丈夫と言うのに玄関先まで。
キョロキョロと彼を探しているとすっかり爽子が風早と付き合ってるのに慣れてしまった
クラスメイトが風早を見かけたと教えてくれた。
その時の様子を聞いて爽子はさぁっと蒼ざめた。
爽子はリアル幽霊…!と怯える級友には目もくれず走り出した。
「−何の話かわかってんだろ」
風早は低い声で三浦にそう言った。
三浦は少し蒼ざめながらも茶化すように肩を竦めた。
「風早にはわりーけどさ。俺も爽子ちゃん好きになっちゃったんだよね。」
「あれが好きな子にすることかよ」
「好きじゃなきゃ抱かねーだろ。…てか爽子ちゃんお前に言っちゃったんだ。
何々、どこまで聞いたの。」
三浦はにやりと下卑た笑みを浮かべた。
「俺のが上手かったって言ってなかった…?」
その言葉を聴いた瞬間風早は三浦の腹部に拳を叩き込んだ。
- 632 :横恋慕34(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/05(月) 23:29:51 ID:MVenrwSN
- 思わず身をふたつに折り、崩れる三浦を風早はすかさず蹴り上げ、
さらに腹を踏んだ。
「他に言いたい事は?」
そこにはいつもの明るく爽やかな「みんなの風早君」はいなかった。
そこにいるのは冷たい殺気を漂わせて、苦しそうな三浦を見下ろす猛禽だけだった。
ここは殴られなきゃいけないだろうなとわざと挑発した三浦も
まさかここまで風早が冷たい目をするとは想像もしなかった。
これ、マジで殺されるんじゃねーか…?
ごくっと息を飲み込んだ三浦の喉仏が上下した。
風早は三浦に馬乗りになるとその喉仏にゆっくり手を置いた。
「うちの親父に聞いたんだけど、ここつぶしたら人って死ぬんだって。」
喉仏の上にある手が少しずつ重くなっていく。
「護身のために教えてくれたんだけど、そっか、こういう使い方もできるんだよな。」
見た事もないような昏い殺気に三浦の背中に冷や汗が伝う。
そこにようやく二人を見つけた爽子の静止の声が響いた。
「やめてっ風早君だめっ」
「とめんな黒沼!」
すごい勢いでいわれ爽子は一瞬言葉を飲み込んだ。しかしひと呼吸して続けた。
「でも、だ、だめだよ!そんなことしたらだめ。」
- 633 :横恋慕35(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/05(月) 23:34:18 ID:MVenrwSN
- 「でも許せないだろ!?俺は許せないよ!」
その言葉にとっさに爽子が叫んだ。
「じゃあ私がやる!」
風早もそして風早の殺気に蒼ざめていた三浦も固まった。
爽子はとりあえず風早がとんでもないことをしでかす前に動きを止めてくれたので
ほっとつめていた息を吐いた。
しかし止めるためにとっさに言った言葉なのでどうしてよいかわからない。
とりあえず風早に押さえつけられている三浦の側におそるおそる近付いた。
そしてぺしっと頭を叩き、風早に問うような視線を向けた。
微妙な空気が流れ、毒気を抜かれた風早が言った。
「…終わり?」
「どうしたらいいかわからなくて…」
爽子はなぜかしょんぼりと答えた。
風早も三浦もなんだか気が抜けて緊張感がしゅるるるると抜けていく。
風早は憎悪を向けるのが心底不得手な爽子らしさが可愛いやら呆れるやらで溜息をついた。
その寛恕は愛しくてたまらない爽子の美点のひとつだけど、今だけは激しく三浦を憎んでほしかった。
風早が黙り込んでいるところに爽子が三浦に問う声がした。
「あの、なんであんなことしたのか…」
再度沈黙が流れた。その沈黙は三浦が盛大に吹き出したことで破られた。
- 634 :横恋慕36(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/05(月) 23:37:06 ID:MVenrwSN
- 「そんなの、したかったからに決まってるよ、爽子ちゃん天然?」
「したかったらしてもいいのかよ。黒沼の気持ちは無視かよ…!」
再度怒りに燃える風早に三浦は叫ぶように言った。
「だって仕方ないだろ!?気付いた時にはもうお前のになってたんだから。
―好きになっちまったのに、欲しくてたまんねーのに、絶対手に入んないんだ、
ムリヤリわりこむしかないじゃねーか!」
そしてそのまま爽子に懇願するように言った。
「−なあ爽子ちゃん教えてよ。…俺が先に出会ってたら、
俺を好きになった?風早と、出会う前なら俺のもんになってくれた…?」
爽子は答えに躊躇するが真剣なその目に真剣に考えねばと思った。
そして爽子は首を横に振った。
「―そんなのわかんない。」
その言葉に衝撃を受け風早は蒼ざめた。しかし爽子の言葉は続いた。
「でも、私が風早君と出会ってなかったら
きっと、し…三浦君も私に興味は持たなかったと思う。」
人に避けられ続けてるうちに避けられるのも誤解されるのも仕方がないと諦めてきた。
受けた傷は誰の迷惑にもならないようにひとりで癒やそうと決めていた。
- 635 :横恋慕37(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/05(月) 23:43:35 ID:MVenrwSN
- 手を伸ばしてもいいよ、って教えてくれたのはだいすきなこの人だった。
「風早君と出会わなければずっと、いつかみんなに溶け込めるといいなって夢だけ見ながら、
やっぱり俯いたままだったよ。」
自分に絶望した事はないけれど、そんな自分を魅力的だとも思えなかった。
「三浦君が好意を持ってくれたのは風早君が作ってくれた私だよ。
だからそんなもしも、には意味がないと思う。」
途切れがちに自分の中で言葉を懸命に探りながら爽子は答えた。
その真摯さが逆に三浦を打ちのめした。
「そんなん…わかんないじゃん…。絶対俺だって爽子ちゃんに優しくしたよ…。
そしたら爽子ちゃんだって俺のこと選んでくれたかもしんないじゃん…。」
ありえない仮定ではあったが、三浦はどうしようもなく繰り返した。
その「もしも」に縋らねば胸がつぶれてしまいそうだった。
「そしたら、あんな酷い事しなかったよ…。」
その言葉に風早も爽子も息を飲んだ。
風早の中はまた激しい怒りに支配された。
爽子は逆にもっと思考に沈み、やがて自分の言うべき言葉をみつけた。
「昨日のことは…怖かったし、思い出したくない…
−だから今は許す気にはなれないよ…。」
- 636 :横恋慕38(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/05(月) 23:49:55 ID:MVenrwSN
- 風早も三浦も言葉をとつとつと紡ぐ爽子を見た。
「でも…ありがとう、好きになってくれて。
でも私が好きなのは風早君だけなので、…三浦君のことは選べません。」
ごめんなさいとぺこっと爽子は頭を下げた。
風早と三浦は思わず同時につっこんでしまう。
「「なんで謝んの!」」
えええっと戸惑う爽子に三浦が搾り出すように言った。
「俺のこと、憎いでしょ?なんでそんな事言えんの。おかしいよ、爽子ちゃん…。」
爽子は少し考えてからぽつ、ぽつと言葉を紡ぎ始めた。
「風早君が私から離れていかなかったから…」
意外な言葉に三浦も風早も爽子をみつめた。
「それに三浦君が普通に話しかけてくれたり、笑顔の練習とかしてくれたり、
風早君に他に好きな人がいると思って、とても哀しかった時慰めてくれたりしたの、
全部嬉しかったから。なにもかも0にする事はできないよ。」
そして一息おいて続けた。
「−風早君が私をき、嫌いに」
爽子は仮定のその言葉だけでも泣きそうになるがグッとこらえて言った。
「嫌いになって、お付き合いをやめようと言われたら、言えなかったと思うけど。」
三浦は自嘲的に笑い出した。
- 637 :横恋慕39(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/05(月) 23:53:57 ID:MVenrwSN
- すげえ完全な否定じゃん。それって何をしても絶対この子の心に入り込めないってことじゃねーか。
笑い出した三浦に爽子は戸惑い、風早はこんな状況でも笑える三浦に怒りを露わにした。
「何がおかしいんだよ。」
「おかしいよ、そりゃさ。爽子ちゃん、お人よしもいい加減にしないと痛い目みるよ〜ってもう見ちゃってるか。
あーあ、もう少しで爽子ちゃんの心は無理でも体くらいは手に入ったのにな。」
おしかったなーと三浦はうそぶいた。風早は無言で今度は顔をおもいきり殴った。
爽子は慌てて風早に後ろから抱きついてその手を止めた。
三浦は切れた唇の血をペロリと舐めながらへらりと笑って続けた。
「簡単に人信じちゃダメだよ。絶対爽子ちゃんって詐欺にあうタイプだよね。」
三浦は燻った恋心に耐え切れない、いっそ燃やし尽くされればいいと思ったのだ。
どんな状況でも心底人を恨んだり憎んだりできないありえないほどの爽子の清冽さ。
どんな事が起きようと、一つでも希望があればそれを抱きしめながら立ち上がる爽子の
儚い外見に隠されたしなやかな強さを見せ付けられ、
三浦は勝手な事は承知で叫びたくなった。
- 638 :横恋慕40(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/05(月) 23:59:37 ID:MVenrwSN
- いっそ大嫌い、もう二度と顔も見たくないと言ってよ。そうしないと俺諦めきれなくなる。
「てか、俺悪いとか思ってないし。むしろのこのこ男と二人っきりになるような
無用心な爽子ちゃんが悪いんだよ。」
「お前もうしゃべんな…!」
風早の殺気は受け流して、三浦はうす笑みを浮かべながら続けた。
「そうだよ、爽子ちゃんが悪いんだよ。無防備で無用心で。よくそれでこれまで無事に生きてこれたねえ」
「…人を疑うより先に、信じちゃうのは黒沼のいいとこなんだよ…!
お前みたいなきたねーやつにわかんないだろうけどなっ」
三浦は怒りのまま叫ぶ風早を羨ましそうに見た。
わかってるよ。お前よりわかってるかもしんない。
この子はお前さえ残っていればそれ以外のすべてを失おうとも生き返れるって言ってんだよ。
計算とかなんもなく心の底からそう思ってんだ。
どんな女の子とつきあってもこんな潔い愛され方なんかされたことない。
こんな綺麗ないきもの見た事ねーよ。
「わ、私が悪いの…?」
そ、そうなの?と一瞬疑問を持ちかけた爽子は風早に怒られた。
「んなわけないだろぉ!?」
- 639 :横恋慕41(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/06(火) 00:04:38 ID:64Cryoho
- 「はっ…あまりにも自信満々に言われたからついそうなのかと」
そのとぼけた言葉にいきり立っていた風早も思わず脱力する。
「ほら、爽子ちゃんも認めた。やっぱり爽子ちゃんが悪いよ」
「まだ言うのかよ…!」
怒鳴る風早と同じくらい声高に三浦はなおも言い放った。
「ああ、言うよ、だって爽子ちゃんが悪いだろ!?」
「黒沼はなんも悪くないだろ!?」
「悪いよ!最悪だよ!」
その言葉に衝撃を受けさいあく…と呟く爽子を一瞬切なげに見詰め
ケントは溜息のように言った。
「…先に俺と出会ってくれなかった爽子ちゃんが悪いんだよ…」
その言葉に風早も爽子も何も言えなくなった。
気まずい沈黙が流れて、風早が馬乗りになっていた三浦の体から立ち上がり
ふいっと爽子の手を引いた。
「いこ。」
風早に引かれて爽子も歩き出す。
三浦はそこに打ちひしがれたように座ったまま身じろぎもしなかった。
少し進んだとこで風早は三浦を振り返って言った。
「−黒沼が許しても、俺は許さないから。もう二度と黒沼に近付くな。」
殺意のこもった視線に三浦は少し顔をあげ、苦く笑った
どこが爽やか王子だよ。ものすごい殺気じゃねーか。怖い怖い
- 640 :横恋慕 終わり(ケン爽陵辱)[sage]:2009/01/06(火) 00:19:42 ID:64Cryoho
- 三浦は去っていく二人の後姿を見送りもう一度深い溜息をついた。
俯いていると地面にぽたぽたと染みができていく。
「ははっ…俺、ちょーだっせぇー…」
知らなかったな。失恋ってマジで泣けるんだ。
三浦は殴られた痕よりも遥かに痛む自分の心に驚いた。
生まれてはじめて人に死ぬほどの恋をした。
暴走の挙句した事が許されるだなんて思ってはないけれど、
それでも祈る権利くらいはあればいいなと思う。
矛盾してはいるようだけど、どうかこの先あの子が恋に泣きませんように。
三浦は爽子の桜の蕾がふわりと綻ぶ様な芳しい微笑みを思いながらそう願った。<了>
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ケント篇終わりです。レス大量消費ですみません。
この後風早魔王のお仕置☆篇と積極☆大胆爽子ちゃん篇の融合型の1編が続きます。
でも長いです。●買うべきか。でもあの$表記が怖すぎる…
ちなみに爽子のリボンとおぱんちゅは資材室にほっぽりぱなしです。
>>614 >>619
可愛い風爽を目指したのでそう言ってくれて嬉しいです
>>621
エロイ三浦を目指したので嬉しいです
- 641 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/06(火) 00:23:45 ID:IrMTfMy/
- >>640
リアルタイムで読めましたなんかすごい文才&想像力ですね…天才すぎてビックリ。。
超GJ!!!
- 642 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/06(火) 00:26:02 ID:ay6VfJHy
- 長大力作超乙!!!!うめええ!
次も楽しみにしてます!
終盤KENTに感情移入してしまったわw
- 643 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/06(火) 00:29:17 ID:VrNCkHBQ
- 神降臨!!!
GJです!!!!
嫉妬風早編も正座して待ってます!!!
- 644 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/06(火) 00:32:14 ID:ay6VfJHy
- ちょっとメモ
★★一スレ容量は、512KBまで(ちなみに↑までで398kb)★★
職人さん方の動向によっては1000まで書けないかも
- 645 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/06(火) 00:39:34 ID:Z61jZP7f
- リアルタイムで読んだぁ〜!
おもしろかったです!
GJGJ!!
- 646 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/06(火) 06:30:06 ID:oYM1twvN
- リアルタイムで読んでたのに寝落ちしてしまったorz
ドキドキしながら読んだよ!!
GJ!!!
- 647 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/06(火) 10:06:35 ID:pqJXGqDl
- 急に職人さんが増えて嬉しい!
陵辱職人さんもそうだけど、
無理だと思ってた龍ちづ職人さんまで現れて、楽しみが増えた!
もう、神としか言いようがない!
- 648 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/06(火) 22:21:21 ID:1qGELNwG
- うおおおお!!!!
超GJ!!
めちゃくちゃドキドキしながら読んだ!!!!
文章力あるな〜、長いのに苦もなく読めたよ
続きも楽しみだ!!!
- 649 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/06(火) 22:34:18 ID:64Cryoho
- >>644
あーやっぱり創作系は1レス容量でかいもんね。
早めの次スレ移行がいいんだろうけど
おいら規制組みだから多分立てれないよorz
そして宣言する
きっと次回も大量レス消費
くるみとM男(オリキャラ予定)とかも書いてみたいし。
スレたてできるひとにおたのみします
>>647
うん龍ちづでキュンエロできるってすげえ。超読み返した!
あと亀レスだけど
>>464
ケント好きーなんで楽しみに待ってます。全裸で。
では書く作業に戻ります。全裸で。
- 650 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/07(水) 00:20:56 ID:QW1zV4gK
- そろそろ保管庫が欲しいかもな…
- 651 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/07(水) 10:13:01 ID:+TKtdiRo
- 学校始まってやっとゆっくり読めると思ってきたら
投下ラッシュでしたのねー嬉しいお年玉です
>>592
龍ちづ最高!ちづかわいい!龍かっこいい・・・!
実家を継ぐ龍に惚れてしまいました
あやねとピンもお願いしたいくらい
>>640
面白かったー!大作お疲れさまです
次のお話も楽しみにしています
そろそろコテハン欲しいです
- 652 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/07(水) 20:41:08 ID:eonpTDcA
- 保管庫欲しいね
保管してもらうのって依頼しにいかないといけないんだっけ?
- 653 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/08(木) 05:32:44 ID:hX5PsnxI
- 板の保管庫に頼むか、ここのを作るかどっちかだね
- 654 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/08(木) 06:24:43 ID:wzeMrFyt
- 踊るならイマノウチ!
龍千鶴。場面ごとに区切ったので、告白・返事・初エチーの3つになってます。
文中の結婚式とは>>417のことです。自サイト載せ予定。
今回の“告白”は、エロはないです。後の2つもお邪魔でなさそうな時に、近々投下しにきます。
ではドゾー
- 655 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/08(木) 06:26:07 ID:wzeMrFyt
- 最近、龍が妙に優しい。なんだ?
同情?
哀れみ?気づかい?
いや、龍はそんなんしない。
んー…、わからん!
やっぱ本人に聞いてさっぱりしよう。
そーだよな。そーしよ。
ガラガラッ
「おっちゃん、こんちわー!」
「おうっ、ちづちゃん!いらっしゃい!!」
威勢のいい声、湯気が立ち昇りむっとした空気。条件反射でよだれが出そうになった。
「この間は結婚式、あんがとよ!味はいつものでいいかい?」
「本当いい式だったよ!いや今日は龍に用があってきたんだ」
「あちゃー。龍なら今、買出し頼んで出てったばっかなんだわ」
「そっか。急ぎじゃないから待つよ。先に上がってんねっ」
「わるいね!帰ってきたら上がらすよ」
「いいんだ。用が済んだら味噌ラーメン食べるから!」
「あいよっ!!」
まさに勝手知ったる人の家。見慣れた階段は足元を見ないでも駆け上がれる。
「おっじゃましまーす」
律儀に龍のいない部屋に挨拶してみる。これを言うのは龍がいないときだけ。ちょっとした後ろめたさをこの一言で帳消しにする。
鞄を適当に放り出し、軽く伸びをして寛ぐ。大きく開いた窓から入り込む風が制服のスカートをばっさばっさ捲る。
勢いよくベッドに体を投げ出すと、舞い上がった埃の中に微かに龍の匂いを見つけた。心地よさに目を閉じれば、さっきまで遊んでいたやのちんと爽子の顔が瞼に浮かんでくる。
- 656 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/08(木) 06:27:16 ID:wzeMrFyt
- ―――――
「なんかさー最近、龍の奴、妙に静かっていうか優しいっていうか」
翔太と爽子の付き合いっぷりを根掘り葉掘り聞き出し、一通り笑い倒した後だ。口いっぱいにポテトを頬張りながら、呟く。
「うまく説明できないんだけど、変なんだよね」
「ふーん」
ポテトから顔を上げて二人の顔を見る。やのちんはニヤニヤ悪い顔して何も言わないし、爽子は…は、半泣きっ!?
「どしたんだよ、何か知ってんの?爽子」
「…!し、知らない」
「そんなに気になるなら聞いてみたらいーじゃん。まどろっこしいの嫌いじゃなかった?」
嬉しそうに首を振る爽子。…すっげー知ってそうで怪しいんだけど。
やのちんの言う通り。まどろっこしいのもウジウジすんのも大っ嫌いだ。
「でも、なんて?聞きづらくね?」
「そう?そのまんま聞けばいいだけじゃん」
う゛ーん。
唸るあたしに、キラキラ爽子。やのちんがコーヒーを飲み終える。
「…こわい?」
「なにがっ!?」
「聞くのが。臆病に、なる?」
「別に聞くのなんかちょちょいのちょいで…」
「じゃあラーメン食べるついでに聞いといでよ。今から」
「今からっ?ポテト食ったとこだよ!?いや食えるけどさ」
―――――
そのまま押し切られてここにいる自分。まあ遅かれ早かれ聞いてたんだし、いっか。
それより布団もっふもふー、気っ持ちいー。
傍にあったタオルケットを頭が隠れるぐらいすっぽり被る。枕に顔をぐりぐり埋めるとお日様の匂いがして、夕日と一緒に意識も沈んだ。
- 657 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/08(木) 06:28:20 ID:wzeMrFyt
- だれかが遠くでよんでる
行かなきゃ、起きなきゃ
起きたら
どうなる?
「―――る、」
もぞっ
「…ん゛ん?」
「千鶴」
ねむっ…りゅう? ああ、ここ龍のベッドだ。
「もう外、真っ暗だぞ。…寝すぎ」
優しい声が笑ってる。だって布団が。頭がまだねてる。なにしにここにいんだっけ…。
「おい?」
そうだ。
「りゅう、変」
聞こえなかったのか、耳を寄せてベッドの端に龍が座る。
ベッドの軋みが、未だにまどろみの中に寝転んでいたあたしの方まで伝わってくる。
「りゅう」
「なに」
「最近…あたしにやさしくない?」
タオルケットが後頭部まで被ったままで座ると、龍がぼんやりと目の前にいた。寝起きで少し舌足らずになる。
ベッドについた半袖カッターシャツから伸びた自分の手が、龍の膝に当たりそうで眺めてた。
「なんか、あった…?」
「なんもない」
「じゃあなんでよ」
「…それ聞くためだけに来たのか?」
「そーだよ」
「………………」
「龍?」
「知りたい?なんで優しいか」
「そりゃあ…」
聞きに来たんだし、知りに来たんだし。…こわくなんかないね!
「知りたい…?」
やっと脳みそが起きた気がした。いつもと違う雰囲気に気圧されそうになる。
うん、と短く返事をする。思わず声が上擦った。
- 658 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/08(木) 06:29:21 ID:wzeMrFyt
- 「………」
にゅうっと龍の両手が伸びて、あたしの顔の横に引っ掛かったタオルケットを掴む。
「千鶴」
「わっ!」
低い声に呼ばれるように、タオルケットごと引かれた顔が顔にぶつかるかと思った。
「りゅっ…………う?いま何」
「千鶴」
おでこに声と柔らかいものが触れた。これ、って。
「千鶴」
眉間に。
「千鶴」
瞼に。
「…龍っ!」
「知りたいんだろ?」
そう。
ただ知りたいだけなのに。こわい?何が。
「千鶴」
目尻に。
「千鶴」
鼻先に。
「千鶴」
頬に。
呼ばれるたびに降るキスは止まらない。
- 659 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/08(木) 06:30:59 ID:wzeMrFyt
- 「…?」
近いよ!全部近いよ!覗くなよ!息がかかるだろっ!何だよ!??ちづちづ呼びすぎだろ!
言ってやりたいことは、すっげーいっぱいある。なのに呼ばれる度に体しか跳ねない。
「分かった?何で俺が千鶴に優しいか」
わかりたくないよ。
「…こうされるの、嫌?」
わかんないよ!嫌じゃなかったら、なに。
もうこれ以上知りたくないんだってば。
「…わかんねー…」
「言ったろ?鈍くて単純な奴がタイプだってさ」
いやいやと首を振っていたのを止め、視線を上げる。―――あたし、泣くな。
「俺は、千鶴が好きだ」
穏やかに耳に入る聞きなれた声。
「千鶴が好きだから、こうした。……千鶴が俺のこと、どう思ってるのか分かったら教えて」
「ずっと!!!ずーっと分からなくて、あたしがいつまでも言わなかったら?どーすんのさ!」
「待つよ」
真黒い、一直線な目。
「…もうずっと待ってたんだから」
ただただ、やさしい。
「これからだっていくらでも、待てる」
なに嬉しそうに笑ってんだよ。
こっちは頭ぐちゃぐちゃで苦しいのに。
「っ…………帰る。」
立ち上がると以外にもすんなり手は解けた。最初からこーしときゃ良かったんだ。
【おっしまい】
- 660 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/08(木) 17:15:13 ID:ulUHHTkX
- よくわからんなw
- 661 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/08(木) 19:51:57 ID:uH5OHET1
- おお龍ちづGJ
場面浮かぶねー。ちづは可愛いなあ。爽子はごっさエロイからエロ妄想しやすいけど
ちづは可愛いが強くてエロれない。龍ちづ職人さんはすごいな
ちづは龍に全幅の信頼をおいてるから手ぇ出しにくいだろうなあと思うと
龍の理性に涙したくなるw
ここは黒風S太君が主流だけど黒沼S子さんもいいと思わん?
SとMは表裏一体だからね。たまにはSちっくな爽子さんにMちっくな風早くんも
いいとは思わぬか
つきあってもつきあってもいつもどこかで不安がってる風早に
爽子がお仕置みたいなの
とか妄想してたら何か純粋爽子が好きな人に申し訳ないようなエロさになった。
そんなんでも投下いいかい?
- 662 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/08(木) 19:56:24 ID:EG3Advqs
- 爽子はドSだと思うのでばっちこーい!
- 663 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/08(木) 20:03:52 ID:spUbaDKd
- ををを、S爽子待っております。
S爽子新鮮だし、ぜひ見たい!
風爽だと風S・爽Mのイメージが強いけど、風単体だとM要素も結構ある。
爽子のことで一喜一憂したり、やっぱ風のほうが好きの度合いが強い感じするし。
- 664 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/08(木) 23:35:29 ID:mUDFdgkn
- なんかケータイ小説っぽいね、龍ちづ
- 665 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/08(木) 23:54:32 ID:lOD7x8gh
- >>661
たのしみすぐる
- 666 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/09(金) 00:06:04 ID:dVp1172N
- 保管庫って確か依頼しないといけないんだったよね
んで、依頼するときにしおり貼って管理人さんが作業しやすいように
協力しといた方がいいんだったっけ?
- 667 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/09(金) 01:28:43 ID:xwLqtpJ2
- >>661
お願いします
- 668 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/09(金) 07:53:35 ID:4CB98EBV
- ではできたら投下します
保管庫作ろうか試みたけどうまくいかん
まとめよんだけど何がなんだかわからない(AA略)
出来る人いたらやってもろたほうがいいな
こっちもできそうなら報告します
- 669 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/09(金) 22:09:53 ID:pwBdDHw7
- 本誌休載だけどこのスレはあって欲しい…
- 670 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/09(金) 23:10:49 ID:d7eqfv3K
- つか休みだからこそ無いと困るw
- 671 :>>654 返事[sage]:2009/01/10(土) 02:27:28 ID:HkcU5t0c
- >>661
楽しみだっ。待ってます
残りの返事・エチーを投下。返事は龍視点、エチーは千鶴視点
>>421の“固まる千鶴”が書きたくなって
色々とすみません。読みたくない方はスルーしていただけると有り難いです
ドゾー
-------------------------------------------------
やっと言えた。
どれくらい待てば返事がくるかな。
そもそも“返事”はくるのか?
明日、はないな。
一週間、は微妙。
一ヶ月、はさすがにないだろ。
怒ってそうだし、嫌われたか?………寝よ。
階段を下りると、開店準備に追われる親父の背中が見えた。
「ふわっ……おはよ」
「おう!!龍っ、寝ぼけてないで頑張ってこいよ!」
「ん」
ガラッ
元気な声に見送られて、いつも通りの学生服で、いつも通りの通学路を歩き、いつも通りの日常へと溶け込む。
残暑が厳しくて、朝日さえじりじりと地面に照りつける。早朝練習のために時間はまだ早く、他の生徒たちの姿はなかった。
“いつも通り”な筈なのに全部が違うように見えるのは、俺が変わったからか?
想いを言葉にしただけなのに、こんなにも違うものかと少し驚く。終わったとはいえ兄貴のこともあって、気付かないうちにモヤモヤと溜め込んでいたのかもしれない。
―――言えて、よかった。心底そう思う。
千鶴がどんな答えを出しても、受け止められそうだ。断られたとして、諦めるわけじゃないけど。
見慣れた校舎が木々の合間から覗く。歩き続けると、砂利を踏む音が静かに校庭に響いて、肌に纏わりついていた汗が一筋流れ落ちた。
- 672 :返事[sage]:2009/01/10(土) 02:28:32 ID:HkcU5t0c
- 先週の金曜に千鶴に想いを一方的に告げてから、千鶴の反応は期待通りというか、予想通りというか。土日を挟んで一週間がたった。
月曜、まったく目も合わさず会話もなかった。矢野と黒…黒……“ブラック”は何だか嬉しそうだった。“ブラック”には言ったことあるし、矢野には色々と気付かれてたんだろう。
火曜、月曜と同じ。千鶴の背ばかりが視界に入る。
水曜、月曜と同じ。次の授業が移動教室のとき、寝てた俺の机を蹴って起こしてくれたらしい。目が合わないのは同じだったけど、嫌われたわけではないみたい。
木曜、喧嘩かと心配してくれ翔太に、あの日のことを言う。驚いてた。千鶴のでっかいクシャミが校舎内で思いっきり響くのを、階を一つ挟んだ階段の踊り場で聞いた。少し笑った。
金曜日の今日。
「学校終わったら、龍んちの近くの公園に来な。話あるから」
帰り支度を始めるザワついた教室の中でも、千鶴の声ははっきりと聞き取れた。
「今日は部活ないから。…一緒に行くか?」
「それじゃあっ待ち合わせのっ」
不服そうになにか言いたげだった千鶴が、風船のように萎んでいく。パッと背を向けられると、分かった、とボソボソ言うのが聞こえた。
- 673 :返事[sage]:2009/01/10(土) 02:29:30 ID:HkcU5t0c
- 自分の家へ向かうのと同じ帰り道。川沿いに差し掛かると、川原は見渡す限り、焼け野原のように真っ赤に太陽に照らされていた。沈み始めた太陽の色はどこまでも続く。
ここまで二人とも無言のままだ。並ぶような、千鶴に連れ立たれるような、微妙な前後のズレを思わせながらここまで歩いてきた。
この少しのズレや距離に、意味はあるのだろうか。
「龍」
不意に千鶴が振り返った。
目的地の公園まではまだある。話しかけてくるとは思ってなかったので返事が遅れる。
「なに?」
久しぶりにゆっくりと正面から顔が見れて、たったそんな事で安心したのは俺だけだろう。
「この前のこと、……本気で言ってんの?」
「俺があんな冗談、言ったことある?」
確かにあの告白は勢いで言ってしまった所もある。それは否定できない。でも、ずっと抑えて想ってきたことだから。俺の本心。
それを疑われて、俺は少しムッとなる。つい意地悪な返しをしてしまった。
「ぅっ、それは…」
「ないだろ?」
「うん…」
水面や木々と同じように、俯く千鶴の顔も燃えてる。同じ色なのに違う。特別にきれいだと思った。
- 674 :返事[sage]:2009/01/10(土) 02:30:29 ID:HkcU5t0c
- 「あれからあたし、ずっと、ずーーっと考えてた」
「うん」
「正直、びっっっくりした。急だし、いきなりだし、…きっ、きっ、きっ…」
「うん」
「…キスなんかするし」
「ずっとしたかったから。したこと、悪いとは思ってない」
千鶴の顔が引き攣ってる。
「けど驚かせたことは、ごめん」
さっきからクルクルと変わる表情が百面相みたいで笑いそうになるけど、今笑うと飛び掛ってきそうだからやめとこう。
「今は!あたしが喋ってんの!!龍は黙って聞いてろ!」
「…」
「返事っ!」
黙ってろって言ったのに。
「はい」
「龍が知らない奴みたいでちょっと怖かった!頭ん中がぐるぐるで苦しかった!それなのに、龍は嬉しそうで…なんか腹立ってきて」
「うん」
「でも、その日から龍は話しかけてもこないし、家にも来なくて…」
「“待とう”って決めたから。千鶴をそんな風に悩ませて混乱させた張本人の俺が、のこのこ自分から話せる訳ない」
「っ」
「………もしかして“寂しかった”とか?」
「そ、そんなじゃねえっ!!!」
半分本気、半分冗談だったのが当たったみたい。
「てか寂しかったのは龍の方だろ!あたしと喋れなくってさっ!」
フフン、と鼻を鳴らす千鶴。相変わらず照れ隠しが解りやすすぎる。
「うん、寂しかった。すごい逢いたかった」
臆面もなくすらすら言えたこの口を褒めてやりたい。もう伝えたい気持ちを押し込めるのは、あの日でやめにしたんだから。
「あい!?あ、あ、あ、逢いたかった、って毎日学校で逢ってたじゃん!」
「目も合わないのは逢ったとは言えない」
「そっ、…か…」
- 675 :返事 [sage]:2009/01/10(土) 02:31:57 ID:HkcU5t0c
- 千鶴は妙に納得して、考え込むように視線を地面に落とした。長い沈黙が包む。
「……一個だけ。一個だけだけど、馬鹿なあたしにでも分かることがあったんだ」
「うん」
力を籠めた握りこぶしに千鶴の肩が少し上がる。自然と俺も体が強張る。
欲しくて欲しくて、堪らなかった答えが迫る。
「これからも、どんな関係になっても、ずっと龍と一緒にいるのは変わらない」
お互いの視線が一本の線で繋がる。
「どんな関係になっても、だ!…龍だってそう思うだろ?」
ズカズカと小石でも蹴飛ばすかのように千鶴がズレを埋める。距離は近くなって目の前に千鶴がいた。
ぎゅうぅっ
音が聞こえてきそうなぐらいに強く手を握られる。
「すきだ……すきだっ!」
近くで見る千鶴は額から足先まで、夕陽に負けないくらい真っ赤に色付いていた。
自分の目も耳も、頭でさえも、信じられなくなる。意識がふわふわ宙に浮く感覚を千鶴の掌だけが繋ぎ止めてくれている。
その小さな確かな感覚に縋りたくて、気付いたら俺は抱き竦めていた。俺の半径30センチの輪の中に、すっぽりと納まる千鶴がいる。
「本当に、それ、俺のこと…」
俺は今どんな顔をしてるんだろう。感じたことのない感覚に胸が痞えて、声が震えた。…情けね。
「龍以外に誰がいんだよ!!」
屈託のない顔で千鶴が笑って、俺もつられる。
「千鶴」
呼ぶと同時に、火照った頬を一撫でして、逃げられないように千鶴の後頭部を引く。
触れるだけのキスをした。
「…へへっ。照れんね、これ」
今までだって、これからだって、この笑顔に振り回されるのは目に見えている。でも惚れた俺が負けるのだからしょうがない。
手を繋いだままの二人で、行こう。すっかり夜に包まれた川原を並んで帰る。
【おしまい】
- 676 :エチー[sage]:2009/01/10(土) 02:34:56 ID:HkcU5t0c
- 太陽、風がそよそよ、川に芝生。な〜んて平和。
「…なにやってんだよ!あたしっ!!」
がばっと起き上がると、石投げをする小学生たちが視界に入る。
そよ風に吹かれながら昼寝しそうになってるこの状況。つい思ってることが口に出た。
「…どした?」
龍が寝返りをうってこちらを向く。
今日は珍しく野球もなくて、お互い暇で。珍しく外で昼飯食って、ボーリング6ゲームして、帰りの川原でごろ寝して。ザ・健全!SO・健康!毎日毎日毎回毎回。
「なにいじけてんの?」
草を毟りまくっていた手を取られて、むにゅむにゅ握られて遊ばれる。
う゛ぅぅ。彼氏なら彼女が悶々としてるんだから、なんとかしろよっっ!
「草くせぇ手」
…言うに事欠いてこの野郎。
「〜〜〜〜〜〜っ!触んじゃねえ!!」
不満があるわけじゃない。飯食うのも、ボーリングも、ごろ寝も、馬鹿話も、ゲームも、昼寝も。
でも自覚したとき以来、…傍にいるのに、切ない。そうなるのはあたしばっかりなんじゃないかって思って、焦る。欲がどんどん深くなるのはあたしの方なのかと。
「陽も陰ってきたし、帰るか」
龍が立ち上がって歩き出す。
「あ」
伸ばした手は一歩遅かった。
「千鶴?」
「ああ、行く行く!」
あのボーッとした表情を驚かせたい。あの余裕そうな笑みを崩したい。体温に、もっと触れてみたい。
やっぱりちょっと、切なくなるよ。
- 677 :エチー[sage]:2009/01/10(土) 02:35:43 ID:HkcU5t0c
- 部屋に入ったはいいが微妙な沈黙が流れる。決意が揺らぎそうになるから喋れ。無口め。
「…座らんの?」
「座る」
ベッドに腰掛けると、龍が不思議そうに見てきた。あたしだって自分の挙動不審ぶりに凹んでんだから見んな!
龍があたしに背中を向けたとき、思わず手が出た。また、届かないのかと思って、つい。でも龍は同じように座ろうとしただけだったみたいで、指と肘がぶつかる。
「いっ」
「!…わるい、大丈夫か?」
ジンジンと痛む手、心配そうに屈む龍がちょっと可愛かった。自分の間の悪さにウケる。
「はっ、はははははははは!!」
「…?…ち」
「龍」
龍の言葉を遮って、続ける。考えんのやーめた。
「ちょっとこっち来な」
「?」
「いいから!」
肩に手を掛けて、服を強く引いてベッドに押し倒す。その上に馬乗りになって向かい合う。
「千鶴?」
「…」
答えないで目を伏せる。龍の顔が視界に入らないようにするため。…今は見てらんないわ。
「っ」
首筋にキスをすると龍の肩が少し浮く。正直、うれしい。
触れるだけだけど、耳や喉や、服の裾を捲ってアバラや臍の上にも。
「あたしだって」
龍はあたしにキスしたとき、こんな気持ちだったのかな。
「したいから、こうするんだ」
…なんだかすっごい、エロい気分。
それでいいんだけどね。龍にもそうなってほしいからやってる事なんだし。
- 678 :エチー[sage]:2009/01/10(土) 02:38:48 ID:HkcU5t0c
- 「文句ないだろ?」
にっと笑う龍の体温が両手から伝染する。
「ない」
さてお次は……。
………………どーすんだっけ。あれ?
「?」
「…………」
固まるあたしをどう思ったのか、龍があたしを退けて立ち上がる。
『スエゼンクワヌハオトコノハジ』、なんて言葉が浮かんで消えた。
「なんか飲」
「やめんなっ!!!」
本心だよ?いや本心だけどさ、またいつもの癖でつい言っちゃったけどさ。ほら龍びっくりしてるよ、鳩に豆鉄砲だよ、鳩豆だよ。てかそれはこっちの台詞だよ、あたしが一番ビックリだよ…。
顔に血が集まるのをまじまじと感じながら、ツッコミばっかり入れてしまう。
「あ…あたし、そんなに魅力…ないのかよ…」
悔しくて、情けなくて。 顔が上げられない。
「違う…そんなんじゃ、ない」
叱るような、諭すような言い方だった。
「…本当に、」
好きだよ龍。
「いいのか?」
「いい」
―――龍が、いい。
こう言えたらいいんだけど。今、はっきり返事をする以外の器用さはあたしにはない。
- 679 :エチー[sage]:2009/01/10(土) 02:40:03 ID:HkcU5t0c
- 龍がロンTを脱いで上半身裸になる。裸なんか見慣れてる筈なのに、直視できなくなった。
大きな影がゆっくり覆いかぶさってる。
「嫌になったら言って。やめるから」
「言わねーよ…」
拗ねたように言うあたしに、龍は鼻で笑ってキスをくれる。
自分の舌で初めて感じる他人の舌。聞こえてくるお互いの息遣いや唾液の混ざり合う音に、あたしは一瞬で耳を奪われた。鼓膜が口元についてるんじゃないかってくらい、その音たちでいっぱいになっていく。
「……っ、は、ぁ…」
長くて深い口づけが終わると、子供みたいにバンザイで服を、ミニスカとブラも脱がされる。
壊れ物を扱うみたいに後ろに倒されると、気恥ずかしさから顔を背けてしまった。追うようにほっぺにも触れるだけのキスをされて思わず睨む。
「いや、かわいくて」
眉間のしわを深めながらも何も言えないでいるあたしの頭をぐしゃっと撫でて、龍は続ける。
全身もその角張った掌で撫でながら、ちろちろと舐められていく。胸までくると優しく包まれ、その頂も口の中で歯や舌に吸われた。
「…っっぅ…」
吐き出される筈の息が喉の奥で詰まる。くすぐったいような、腰の跳ねるような感覚に体はピクピクなるけど、声は出せない。
あたしは顔の上で腕を組んで唇を噛みしめた。
「頑固」
「…うるせ」
掌と舌がどんどん降りていく。臍の周りをくるりと一舐めされてから、ショーツを引き抜かれる。
びっくりして組んだ腕の間から覗き見ると、そこには自分自身の指を舐める龍がいた。視線がぶつかって見せつけられているみたいで…。あの舌に全身を舐められていたのかと思うと、下腹が疼いた。
龍の濡れた指に秘部の入り口を優しくなぞられる。
「っ!!」
ゆっくり差し込まれるとぴりぴりとした痛みが手足の先まで走った。気づくと痛さからか肘を突き、上体を少し浮かせ背中が丸まる。顎は固くなって、歯が軋んだ。
部屋の温度も上がり始める。そっと抜き差しを何度も繰り返す指が不意に折り曲げられ、ある壁を掠めたとき快感が背筋を駆け上がり口から出てきた。
「ぃあっ!?」
うろたえるあたしを無視して、龍の指はそこから離れない。
- 680 :エチー[sage]:2009/01/10(土) 02:41:05 ID:HkcU5t0c
- 「っう…ちょ、龍!まっ」
「痛みは?」
「いたっ!み?ぅあ……な、いっ…」
体を駆け上がり続ける気持ちよさが痛みを押さえ込んでいた。
この体は本当にあたしのか?呼吸が速くなるのを止められない。
「千鶴」
指は抜かれて、あたしは息を整えるのに必死だった。
惚けた頭を叩き起こして龍を見やる。縋るような瞳があたしを見つめている。
「…はぁっ…もしかして…りゅう、も…緊張してる?」
「……当たり前」
同じ気持ちでいてくれていたんだと思うと、胸が締め付けられるように温かくなる。
「今から入れるけど…やめるなら今やめといた方が」
「龍、しつこい」
龍の腕を引いて、チュッと音のするキスを頬に一つしてやる。さっきのお返しだっ!
龍の顔がまた鳩みたいになった。
「ははっ!かっわいー、龍」
苦笑した龍があたしの横に手をつき腰を進めてくる。慣らしたとはいえ、指の何倍もあるモノが身を掻き分けて入ってくるにつれて腰の痛みがズーンと重くなる。辛うじて出血はない。
耐えきれないほどじゃないけど、痛え。
「千鶴、大丈夫か?」
シーツを掴む手に力がこもるが、首をブンブン縦に振る。
「嘘つくな」
「じゃあ!!聞く、な…っ…」
「このまま暫くは動かないから。力抜いて」
「そんなん、どーやんだよ…。いっ!ぅ」
「手、貸して」
汗ばんでシーツにへばりつく左手を剥がし、龍の差し出された右手に乗せる。
龍が顔だけを手に近づけてくる。体を動かさないように注意してくれているのが分かった。
- 681 :エチー[sage]:2009/01/10(土) 02:41:54 ID:HkcU5t0c
- 「!!!、な!舐めっ」
「黙って深呼吸」
龍があたしの中指を舐め始める。指から舌のザラザラ感からうねりや強弱まで、脳に直に響いてくる。
こんな場所まで感じるなんて…初めて知った。舐められるから感じるのか、龍が舐めるから気持ちいいのか。どっちだ?
舐められる指が薬指や小指に移るにつれて、意識が奪われる。頭の芯が痺れて、自分の荒い息遣いや声がだらだらと漏れ出していってしまう。
「ぅ…ぁっ龍、やだ……こ、れ」
小さなキスが爪から手首から肘から這い上がる。迫る瞳はあたしだけを、じっと見つめて離さなかった。
「ふ、…うっ」
肩や首や耳に龍の唇が辿り着くと同時に、龍の起立したモノが根元まで埋め込まれた。
「あ!あぁ…」
「力、抜けたみたいでよかった。…痛くないか?」
目をギュッと閉じて、何回も小さく頷いてみせる。今度のは、嘘じゃない。
龍の大きな手に頭を撫でられて安心感が広がっていく。
「千鶴」
そんなに大事そうに呼ぶなよ…。
あたしだってアンタが大事だって、伝えたいのに恥ずかしくてうまく舌が回らない。だから必死に手を伸ばしてみた。薄く目を開けると、丁度あたしの両手が龍の頬を包むところだった。
「っ」
「んっ…」
触れるだけのキスをする。
言葉にならない想いは、体温ににのせて伝わればいいのに。心底、想う。
- 682 :エチー[sage]:2009/01/10(土) 02:43:56 ID:HkcU5t0c
- 「んぅ!?っぁああ」
下からの突き上げに、龍としっかり繋がっていることを思い知らされる。
「ひっ、あぁ!りゅ、うっ…ぅむ、っ!っ!」
今度は龍から深く口付けられて、止まらない性急な揺れに体がついていかない。あたしの血中内の酸素が足りなくなってきた。
「はっ!っ、む、ぐ」
やっと龍から唇が開放される。あたしは大口を開けて胃に酸素をめいっぱい取り込んだ。
さらに突き上げが増すと、体の内から湧き上がる快感が確かに在った。
「龍!ちょっ、と…ま、て…待って…」
「悪い待てない」
短くそれだけ言うと、苦しげに龍があたしを抱きしめる。
「へ?えぁっ!ふ、あっあっぁあ」
「…くっ」
「ーーーー!!」
最後は声にならず、頭の奥で閃光が走った。
無意識に気怠い腕をふらふらと持ち上げて、龍を抱きしめ返す。
肩口に顔を埋める龍の表情は読み取れなかったが、さらに抱きしめる力を強くしたのはあたしの体温を感じ取ってくれたんだと思いたい。
だんだんと呼吸も落ち着いて、龍があたしの横に寝転ぶ。喉がカラカラだ。
「千鶴が…あんなキスするから」
「あたしのせいかよっ!?」
「うん」
「おいっ!!!」
【おしまい】
長々と連投してしまい、申し訳ないです。では
- 683 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/10(土) 08:25:29 ID:ch/C2b+d
- お疲れ様です!
龍かわいい〜
- 684 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/10(土) 15:42:10 ID:xjHy2t2D
- 龍ちづ可愛いなあ。エロくても可愛いね。
昼間おひさまの下でカプみたいな。
GJです
風早と爽子は風の独占欲のせいなのか 爽子のエロ儚さのせいなのか
なんかこうあれだけピュアでしかも想いあってるのに
危うさがある気がしてその危うさがたまらず淫靡。
手をつないだだけでも淫靡
- 685 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/10(土) 16:40:30 ID:siaemQfG
- >>682
GJです!龍ちづ違和感なく書けるのすごいなぁ
>>684
爽子って相手がだれでもエロいよね
- 686 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/10(土) 20:24:03 ID:yH6xgOJe
- >>640
GJです!!!!!!
毎度ながら文章力に惚れ惚れします
お仕置き編が見た過ぎます
- 687 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/12(月) 01:12:25 ID:+IrlJC7Q
- お休み中はしずかですね
- 688 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/12(月) 12:38:53 ID:9LIJHGcq
- せっかくの連休なんで、今までの作品をまとめてみた(投稿順)
過去作品のおさらいにどぞー。アンカのうしろのやつは題とカプです。
>>3-5 無題 風爽
>>24-25 風早くんの憂鬱 風爽
>>29 無題 風爽
>>34 無題 ピンあやね
>>39 無題 風爽
>>58-62 無題 風爽
>>69-76、>>81-90 無題 風爽
>>99>>102 無題 龍ちづ
>>108-117 無題 風爽
>>123 無題 風爽(未完?
>>128ー137 黒風 風爽
>>144-152 無題 風爽
>>160-170 無題 風爽
>>176-179 無題 風爽
>>183-189 無題 風爽
>>205-214 無題 風爽
>>236-239 キミには到底敵わない 龍ちづ
>>245-247 FUNDAMENTAL LOVE 風爽
>>254 無題 風爽
>>258>>263>>269-270>>302>>399-402 無題 風爽
>>274-292>>311-319>>336-352 ヤン早 風爽
後半につづく
- 689 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/12(月) 12:39:22 ID:9LIJHGcq
- つづき
>>376-382 無題 風爽
>>391-395>>406-409 無題 風爽
>>417 無題 龍ちづ
>>432-427 無題 風爽
>>439-449 無題 風爽
>>457-462 無題 風爽
>>470-471 無題 風爽+ケント(未完
>>474-479 無題 風爽
>>494-500>>506-508>>527-532>>538-541>>544ー547>>615-620>>624-640 横恋慕 ケント爽
>>535-536 君に触れたい 龍ちづ
>>557-561>>566-570>>579-583 滑稽ラブ 風爽
>>588ー589 無題 風爽?
>>593-600 龍×千鶴 龍ちづ
>>608-613 無題 風爽
>>655-659>>671-682 告白返事エチー 龍ちづ
こうしてみると結構多いですね
これからも神職人様降臨を心待ちにしてます!!
- 690 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/12(月) 17:39:40 ID:/NZsUrrR
- わー!ありがとう!
すごい見易いです
- 691 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/12(月) 19:36:46 ID:OSGGcRsP
- gj!! ありがとう!
すごい見易い〜
これで今度から読みたい話を探さなくてもすぐ読める〜!
- 692 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/13(火) 01:08:11 ID:H6KIY8p1
- ありがとう、凄く助かる
- 693 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/13(火) 13:04:27 ID:gP3ulJhJ
- アンカちゃんとついてなかったものの補完
>>128-137 黒風 風爽
>>494-500>>506-508>>527-532>>538-541>>544-547>>615-620>>624-640 横恋慕 ケント爽
>>588-589 無題 風爽?
- 694 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/13(火) 19:18:43 ID:1v9DlUuo
- 今号の表紙なんか妙にエロかった
手を握ってみつめあってるだけなのに
なんかこうドキドキした
なんだろうなああのエロさは。
セックスしてるわけでもないのにね
- 695 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/13(火) 21:12:16 ID:fE86rGt/
- >>694
わかる!
二人の身長差とか体格差がよく分かるし、あんな純粋な二人なのに不思議なくらいエロイオーラが出てるw
煽り文も良いし、休載前に妄想掻き立てられる扉絵だったww
- 696 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/13(火) 22:22:45 ID:h41aQBkp
- なんというか、制服なのに結婚式のような雰囲気だったよね
- 697 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/13(火) 22:31:21 ID:1v9DlUuo
- とりあえず保管庫作ったよ
ttp://wiki.livedoor.jp/ekdo31/(h入れてね)
不手際はご容赦 長いのは適当に切った
規制組みにて次スレは立てれぬのでこっちはがんばったよ
次スレは建てれる人に任せた 長いのいつも投下してごめんね
- 698 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/13(火) 23:47:29 ID:jn0hP0ST
- ズワーイ
次回作にも期待
- 699 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/14(水) 11:38:54 ID:wbi9bEbL
- >>697
保管庫乙です!
- 700 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/14(水) 15:53:59 ID:6bw005sh
- >>697
保管庫乙!
- 701 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/14(水) 18:08:21 ID:ss/5lMx6
- >>697
ありがとう!!
風爽がエロくみえるのって、風早が性欲強そうにみえるっていうのもあると思うw
本人は普通といってるけど、爽子にたいする独占欲とか接し方や攻め方みてると全然普通レベルにみえないw
爽子も爽子で、散々既出だけど、本人それだけでかなりエロいし。
二人のそれが融合して、あのエロオーラって感じ。
- 702 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/14(水) 18:56:28 ID:PuFZh7TE
- なんかエロさって抑えてたり隠してる方が際立つ気がする
風早が頭の中でどんなに爽子とのあれやこれやを妄想しようと、本人目の前にしたら凄く大切に扱いそうなところとか萌えるな〜
たまに爆発してS早降臨しても、後になって自分を責めまくりそうなとこも良い
- 703 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/14(水) 20:49:06 ID:olwj4eYY
- >>701
うんわかる。少なくとも風は爽子に関してだけは
「普通にスケベ」程度では済んでない感じがするw
本人もそんな自分を知らんかったのだろうな
>>702
秘すれば花とも言うしね。風早は爽子に生々しいとこ
見せらんないとか思ってそう。
爽子自身が「秘すれば花」系の押し殺した色気だしね。
慎ましく性欲とかを自制しそうなとこが逆にエロイ
爽子はエロいヒロインつまりエロインだと思う
風爽はピュアで可愛くてもどかしくて清らか。
なのにその中に破滅的なほどのエロが内包されてるのがたまらず萌える
- 704 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/14(水) 21:08:48 ID:oI3bqPyu
- エロインてwww吹いたww
- 705 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/14(水) 21:44:49 ID:ss/5lMx6
- >>703
エロインw 真面目にいうからなおさらふいたww
爽子は性欲(というか欲求全般)あんまなさそうなんだけど、本人自身がエロオーラ発してるって感じ。
逆に風早は相手が爽子じゃなかったら、たしかに普通にすけべ程度にみえるんだよね。
それが爽子相手だと、
急に激しくなるというか生々しくみえるというか・・・
つまるところ、エロイン効果なのかな?ww
文章でもないのに長々とすみませんでした
- 706 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/14(水) 22:07:30 ID:ZhRkcCPK
- 爽子っていい体してそう!
巨乳とかわかりやすい色気ではないけど、
女から見てもおぉと言うような爽やかエロと言うか…
胸はでかくなさそうけど、「巨乳」より「美乳」って感じ。
ガリガリで痩せ過ぎに見えるけど、意外とゴツゴツではなく柔らかそうというか…。
爽子みたいに見た目地味な子ほど、実はいい体してたりするし。
なんかオヤジみたいに下品な話でスマソ
- 707 :夜勤明け ◆GpMDEyOdbo [sage]:2009/01/15(木) 03:02:43 ID:9iDNmqEK
- 休載してるけど爽やかに爽やかじゃない物を投下してみる
カプは風×爽
横恋慕(494〜)の続き。風早篇
コテハンつけてみたよ NGワードはこれで。
- 708 :夜勤明け ◆GpMDEyOdbo [sage]:2009/01/15(木) 03:13:56 ID:9iDNmqEK
- 【もしここにほしいものを一つだけくれるツボがあったら何を望みますか?】
よくある雑誌の心理テストを持ち込んだのが誰かははっきりしなかった。
しかし試験前の自習時間、ずっと勉強を続けるのはM気質でもないと無理な事で
気分転換と称されたそれは瞬く間にクラス中に広がった。
「俺は使っても使っても金の減らない財布がいいな。」
なんて軽いものから
「どれだけ食べても太らないケーキがほしい」
なんて切実な乙女の願いまで多種多様の答えが出た。
「風早は?」
きゃいきゃいと明るい喧騒の中でクラスメイトと共に
それを楽しんでいた風早にその問いが突然まわってきた。
「俺ぇ?」
風早は笑いながら少し考えた。
「−箱、かな。すっげーきれいなの」
「箱?そんなもんどこにでも売ってんじゃん。欲のない奴だなー」
「んじゃ、世界一綺麗な箱にする。そんで俺にしか開けれないの。
そんなん売ってねーだろ」
風早は、ははっと笑った。
「何入れとくんだよ」
級友の素直な疑問に風早自身も素直に答えた。
「何いれとこっか。」
「決めてないのにほしいのかよ。変な奴」
- 709 :十月桜2 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo [sage]:2009/01/15(木) 03:17:50 ID:9iDNmqEK
- 「うん。だけどさ、世界一綺麗な箱なんだから世界一綺麗なもん入れとくよ。」
「そんなもん持ってんのかぁ?」
笑いながらの級友の問いに風早は軽くもってねーと返した。
風早がニコニコと笑いながらしかしそれ以上話を続けようとしなかったので、
友達の興味はあっという間に他の友達の答えに移っていった。
その時風早は鼻腔の奥で微かに桜の香を感じていた。
―――――――――――――――――――――
また、見てる。
風早は三浦がこっそり視線を送るその先に眼を向けた。
あの日、爽子に近付くなと釘を刺して以来風早の剣幕を恐れたのか、
罪悪感からか約束どおり三浦は必要以上に彼女に近付く事はなかった。
勘の鋭い幾人かはそれを不自然に思ったようだが、
大多数の人間は三浦が気まぐれに爽子に興味を持ち、
そしてまた興味を失ったのだろうと理解した。
しかし風早は三浦が時折爽子に気付かれないようにそっと彼女をみつめているのに気が付いていた。
唇が言葉を発さずともその視線は何より雄弁に彼の気持ちを語っていた。
- 710 :十月桜3 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo [sage]:2009/01/15(木) 03:21:09 ID:9iDNmqEK
- さすがに見るなとは言えないよな。
風早は苦く笑った。
あいつを許すつもりは欠片もないけどさ。
風早は溜息を押し殺してその視線を追った。
三浦が躊躇いながら、そぉっと息を殺すように爽子に向ける
その視線の熱は風早の痛みを正確に突き刺した。
あれはほんの少し前の自分だ。
風早は思う。
みつめるしかできなくて、振り向いてほしいと願い、
そのくせ振り向かれたらどうしてよいかわからず眼を逸らす。
じりじりと小さな炎に焼かれ続けるような痛みに焦れていたあの時の自分だ。
俺と三浦にどれだけの差がある?
ただ俺が先に黒沼に出会えただけ。
その差しかないんだ。
風早の思考をカシャンという音が破った。
爽子がペンケースを落としたようだった。
あ、次、移動教室か。
風早も腰を上げ、ついでに爽子のペンケースを拾ってあげようと眼を向けた。
慌てて拾う爽子の手元からコロコロと消しゴムが転がった。
その消しゴムは三浦の足元に転がっていき、彼はそれを拾った。
風早も、そして爽子も一瞬息を呑んだ。
三浦は固まりながら自分をみている爽子にそれを手渡した。
「はい。」
- 711 :十月桜4 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo [sage]:2009/01/15(木) 03:25:28 ID:9iDNmqEK
- 爽子は一瞬言葉を失いながら目を逸らし小さくぺこっと頭を下げてそれを受け取った。
そして先に行った友達を追って駆けていこうと三浦に背を向けた。
三浦は行こうとしたその背中に言った。
「…ごめん!」
爽子は思わず振り向いた。
「言ってなかったよな。…ごめん。許してくれるとは思ってないけど、
ごめん、って言いたかった。」
…きっと勇気を振り絞って謝ってくれたんだろうな。
震える語尾が爽子にそれを伝えた。
爽子はその事が嬉しくて思わず微笑んだ。
それは陽だまりのように優しい笑みだった。
「−うん。」
三浦は少しだけ笑った顔を作った。
千鶴が爽子を呼ぶ声がした。その声に爽子は振り向き、
軽く三浦に眼を向けてからもう一度振り向くと今度こそ駆けていった。
三浦はその後姿をずっと見ていた。そして風早もそれを見ていた。
―――――――――――――――――――――
いつも風早と爽子のデート代わりの帰り道は
会話と笑い声に満ちた楽しいものだった。
たとえ会話がなくても、優しい雰囲気に包まれた温かなものだった。
しかしその日は違った。
- 712 :十月桜5 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo [sage]:2009/01/15(木) 03:31:45 ID:9iDNmqEK
- 風早はほとんど言葉を発さず、爽子の声にも短い返事を返すだけだった。
「風早君…あの、何か怒ってる…?」
風早はその言葉にはっとしたように爽子のほうを向いて、
その不安そうな表情にきゅっと唇を噛んだ。
風早は爽子の腕を掴み、その手を引きながら早足で歩き出した。
「あ、あの」
歩き続けながら振り向きもせずぼそっと風早は答えた
「…なに?」
「どこいくの?」
「―おれんち。…嫌?」
「いっ嫌じゃないよ!嫌じゃないけど…」
−少しだけ、風早君が怖い。
爽子は声には出さずに風早の背中を見詰めた。
掴まれた腕は強く痛かった。
―――――――――――――――――――――
「お邪魔します…」
と深々と頭を下げる爽子に風早は、ははっと笑う。
「誰もいないからそんなに緊張しなくていいよー」
爽子もほっとしたように笑う。
もう互いの両親には紹介済みではあったが、
やはり風早の家族に会うのはいまだに緊張する。
爽子はふ、と首をかしげる。
この時間に風早の共働きの両親がいない事はさほど珍しい事ではない。
しかしいつも帰ったとたん風早に懐いてくる
賑やかな弟がいないのは珍しい。
- 713 :十月桜6 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo [sage]:2009/01/15(木) 03:38:03 ID:9iDNmqEK
- 「弟さんは?」
「学校の行事で泊まり。はりきって荷物つめてったよ。」
風早が笑っていることに爽子はほっとする。
いつもと違う感じがしたのは気のせい、だよね?
風早の入れてくれたコーヒーを飲みながら、
話をしていると普段の穏やかな空気が流れて爽子はほっと息をついた。
「な、腕相撲しない?」
風早がいたずらっ子のような眼で楽しそうに聞いてきた。
「ハンデ、あげるからさ。黒沼は両手使っていいよ。」
「いいの?私結構、力あるんだよー」
くすくすと笑って両手で風早の手を握れば風早もははっとマジで?なんて笑う。
はしゃぎながらスタートのかけ声と共に二人は力をこめた。
結果、両手VS片手だったため爽子もそこそこ粘ったがやはり風早が勝った。
「黒沼の腕ってほっそいよなあ」
風早は爽子の腕を握りながら言った。
風早の眼には昏い陰があったがそれに爽子は気付かなかった。
「ねえ振りほどいて見てよ。」
子供みたいだなあ。可愛いって思っちゃ失礼かな。
そう思いながらくすっと笑って爽子が腕を動かそうとしたがまったく動かない
「ふふ、やっぱり無理みたいね。」
- 714 :十月桜7 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo [sage]:2009/01/15(木) 03:43:41 ID:9iDNmqEK
- うん、ってニコニコ笑いながらも風早は離そうとしない。
「?風早くん…?」
腕を離す様子はなく、力が強くなる。
「か、ぜはや…くんっ痛いよ離してってば」
爽子の言葉が聞こえないかのように風早は呟くように言った。
「黒沼のこの細い腕で男に勝てるわけないんだよなあ。」
その言葉に爽子は三浦にされた事の記憶がよみがえり、
思わず本気で振りほどこうとした。
「やだっ…風早君離して…!」
「俺が怖い…?」
爽子はびくんと顔をあげた。
たまに風早君は知らない人のようになる。
それが怖いと思うことも本当だけど、
でもなぜだかそれを言ってはいけない気がした。
爽子はなんと答えていいかわからず風早をみつめた。
風早は少し哀しそうに歪んだ笑みを浮かべた。
「黒沼は細くて小さくてすぐ壊せそうだね。誰かが壊そうと思ったら簡単だよ。
だから…!」
風早は爽子の真っ直ぐな視線を避けるように眼を伏せて言った。
「…だから誰にも見られちゃ嫌だ…。」
- 715 :夜勤明け ◆GpMDEyOdbo [sage]:2009/01/15(木) 03:48:04 ID:9iDNmqEK
- 今回はここまで。次回は日曜の夜当たりにUP
1番最初に題名入れられなかったけど題名は十月桜
ちなみに本文には一切関係ないwなんとなく爽子のイメージの花なんで
- 716 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/15(木) 06:15:34 ID:EohW3pgl
- GJ!!!
嫉妬に狂った風早萌える!
文才ありますね!凄い!
- 717 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/15(木) 07:57:04 ID:F/UnikD3
- GJ、おもすれー
上手く書けてて羨ましいかぎり
- 718 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/15(木) 23:51:11 ID:zr5NG74O
- 読んでて切ない〜〜
続き楽しみに待ってます!
- 719 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/16(金) 02:37:59 ID:MdVLN0YP
- それぞれのキャラがほんっとにらしくて引き込まれる
続きが読みたいー!
- 720 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/16(金) 12:30:40 ID:Iz2Q8xk7
- 続き楽しみにしてます〜
- 721 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/18(日) 01:08:12 ID:QfA27+mR
- 続きに期待してます。
新しいのもね
- 722 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/18(日) 05:45:30 ID:Qp0bLZB8
- 今日休みだし眠れなくてつらつらと考えてた。
本スレで呟くと叩かれそうだからこっちで
風早は可哀想だけどもう爽子しか好きになれない気がする。
爽子に(言葉は悪いけど)強制支配されたという感じ。
もしこのまま風爽が離れたままだったら、
風早は一生恋愛(つかっぶっちゃけ欲情)できないんじゃないかな。
ありえない仮定だけど爽子がもしくっつく気がなかったとしても
責任とって風に想いを遂げさせてやるしかない気がする
- 723 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/18(日) 06:29:14 ID:ba99DW9d
- 逆に爽子と結ばれなきゃ恋愛する意味ねーとか言って女遊びに走るかもね。
そんで数年後同窓会で再開するも、変貌した風早に一同びっくり。溜まりに溜まった想いが爆発して爽子を襲う風早・・
妄想すまんw
- 724 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/18(日) 08:14:49 ID:UHGJpvDh
- 荒む風早www
- 725 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/18(日) 09:38:36 ID:qsEXeyPk
- ぜひそれを作品として世に出して下さいwww
- 726 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/18(日) 09:57:48 ID:Qp0bLZB8
- >>723
ちょ、ちょー見たいww
爽子で思いを遂げ元のさわや風早に戻ったら
やはり爽子は除霊ができるとの噂にw
- 727 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/18(日) 18:07:04 ID:qsEXeyPk
- 神降臨マダカナマダカナーwktk
- 728 :名無しさん@ピンキー[]:2009/01/18(日) 21:04:12 ID:9w1t7ryU
- なんか上で同窓会で再会のこととか書いてあったから
のりで書いてみたんだけど
かなり長いしエロあんまない
ちょっと実験的に投下していいっすか
んでみんなの反応見て続き書くの決めようかと
そんなんなし?
- 729 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/18(日) 21:07:05 ID:80XWLPv/
- >>728
アリ!!読みたいです
- 730 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/18(日) 21:07:31 ID:8qxryQuk
- >>728
待ってます!
- 731 :名無しさん@ピンキー[]:2009/01/18(日) 21:13:39 ID:9w1t7ryU
- ガチャッ…
鈍い音と共に、ドアが開く。
狭い玄関に、青年はフラフラしながらスニーカーを脱いだ。
どうやら少し酔っているらしい。
青年はそのままベッドにうつむせで倒れ込んだ。
ギシッ、と軋む音が暗い部屋に響く。
青年の首筋からは、かすかに甘い香水の匂いが残っていた。
しばしの間、静かな時間が暗闇のワンルームに流れる。
と、その時ジーンズのポケットが振動した。
ポケットから携帯をおもむろに取り出すと、青年は受信メールを開く。
「今度はいつ会える?(*^^*)」
青年は何も見なかったかのように無表情で携帯を閉じ、立ち上がると
冷蔵庫を開けた。
見事に何もないそこには、二、三本のビールと500mlのミネラルウォーターがおもむろに置いてあるだけであった。
青年はミネラルウォーターを取り出し、ごくっごくっと喉を鳴らしながら飲んだ。
冷蔵庫の黄色い照明に照らされたその青年の顔は小さく、まだ少し幼さが残ってはいたものの
端麗さが見てとれる。
虚ろではあるが大きな瞳は、明らかに青年のチャームポイントだった。
それらは、青年がいわゆる世間で「イケメン」と呼ばれる類だと窺わせる事を容易にさせていた。
青年は栗色の髪の毛を軽く掻くと、ペットボトルを元に戻し、冷蔵庫を閉めた。
そして今度はベッドに腰かけ、サイドテーブルにあるライトを着ける。
六畳の部屋に、薄黄色い光が灯った。
青年は無造作に投げていたバッグから、おもむろに一通のハガキを取り出した。
青年のその光のない瞳は、ある文字をずっと見つめていた。
「平成ОО年度北幌高校卒業生合同同窓会のお知らせ
総合幹事・黒沼爽子」
- 732 :風梅2[]:2009/01/18(日) 21:15:35 ID:9w1t7ryU
- すんません題名いれてなかった!
風梅です
続き
「かっぜはや〜!!」
「あ、ジョー!おはよ」
指すような冷たい風の吹く寒さの中で、学部の掲示板を見ていた青年に、緊張感のない顔をした青年
――いや、明らかに少年にしか見えないのだが―――が声をかけた。
2限からというものの、夜更かしが身に付いている大学生にとっては少しきついものがある。
青年は受講している授業が休講になっていることを望みながら、休講一覧を見ていた。
「ちぇっ休講なってなかったかぁ。あ、風早さぁ昨日あれからどしたの??」
「なんのこと?」
「もーはぐらかすなよぉ!恵子ちゃんと帰ったじゃんか〜。巨乳の!」
ジョーと呼ばれる少年は、ポカポカと青年を叩きながら、「巨乳」という言葉に少し力を入れて言った。
青年は少しとぼけたように、
「べつに?向こうが酔ったっていうから送っただけだよ」と言った。
しかし少年は退かない。
「うそだぁ!したの?!しただろ?!
言っちゃえよぉ〜どうやったら女の子とそうなれるのか
俺にもテク教えてくれよぉ〜」
簡略化が容易そうな少年のあどけない顔に浮かぶ、涙目の表情。
青年は思わず声に出して笑った。
それはとても穏やかな笑顔であった。
周りを一気に優しく包むような。
周りを一気に太陽の下へ導くような。
容姿は変わっても、その太陽のような笑顔は昔となにひとつ変わらない。
風早翔太 20歳。
東京に来て二回目の冬であった。
――――――――――――――――――
- 733 :風梅3[]:2009/01/18(日) 21:32:10 ID:9w1t7ryU
- 「翔太ぁ〜」
巻き髪でお姉系の女の子が甘えたように風早に声をかける。
「あ、カヨちゃんおはよ〜!」
ジョーがデレっとしながら話しかける。
「ね翔太、次授業ある?抜けない?」
ジョーを完全にスルーして、その女の子は極上の上目遣いで風早を誘う。
「…今日俺バイトないから、夜なら」
風早がニコッと笑う。
その無邪気な笑顔に、女の子は完全にノックアウト。
頬を赤らめさせながら、
「じゃあまたメールするねっ♪」
「カヨちゃんまたね〜」
見えていないのかどうなのか。
また完全にジョーをスルーして、花を飛ばしながら女の子が背を向けて離れた瞬間
風早の顔からその無邪気そうな笑顔が消えた。
(簡単だよなぁ、女の子なんて)
風早は踵を返し、心の中でつぶやいた。
そうだ、簡単だよ。
女の子なんて、ちょっと優しくして、見つめて、甘い事言えばすぐ落とせる。
「あ〜なんかいまあやねを思い出したなぁ…」
遠い目をして、なぜか少し顔を赤らめながら、ジョーは空を仰いだ。
ドクン
風早の心臓がその一瞬跳ねた。
あやね
矢野あやね。
高校三年間クラスメートだった女の子である。
同じくクラスメートで、中学から一緒だった吉田千鶴と仲が良かった。
また千鶴とは幼なじみで、同じく中学から一緒だった龍も含めて、そのメンバーではよく集まっていた。
そして、あと一人。
風早の胸が強く収縮した。
風早、龍、千鶴、あやね。
あと一人、それまでの自分を大きく揺さぶった女の子。
。
- 734 :風梅4[]:2009/01/18(日) 21:34:05 ID:9w1t7ryU
- 長くて綺麗な黒髪
華奢な身体
強い目つきの中には溢れんばかりの優しさが詰まっていて
いつも自分のことよりまず人のことを考える
笑顔が誰よりも可愛くて
びっくりするほど前向きで素直で従順で
俺なんかには眩しくて仕方のなかった女の子。
その名前は彼女のためにあるとしか思えない、その女の子
(爽子)
光が失われた瞳の中で、あの時の記憶がまた蘇ろうとしていた。
――――――――――――――――――――
「おわらん・・・・・・・・」
ちょんまげ頭に、上下は高校生のころのジャージ。
目の下にはクマをたっぷり作って、大きな瞳は寝不足からか赤く腫れ、可愛い顔の面影はひとかけらも見当たらない。
「くそっあのハゲ・・・・・」
胡桃沢梅、20歳。
東京の某美容専門学校生である。
今日までにレポートを提出しなければ、冬休みを円上して学校で講師とマンツーマンで授業を受けなければいけない。
わざわざ北海道から東京まで出てきてまで入った専門学校。
普段なら、レポートをわざと出し忘れたいくらいその制度はとてもありがたかったものだが、今回は違う。
梅は机に置いてある一枚のハガキを手にとった。
平成ОО年度北幌高校合同同窓会
総合幹事・黒沼爽子
「みんなに会いたいもんね」
梅はまた勢いよくパソコンと向き合い、根性でレポートを続けた。
- 735 :風梅5[]:2009/01/18(日) 21:44:48 ID:9w1t7ryU
-
「オツカレ」
栄養ドリンクを片手に、化粧の濃くて派手な女の子がやってきた。
綺麗なネイル。
いーな、どこの神色だ?
魂が抜けきった顔でかろうじて頭を上げる。
「…………………あやね………………」
「ぎゃはははは!!なにその顔!!」
ピシッ、と、梅の額に十字の血管が出る。
「うっさいな!間に合ったんだからいーじゃん!」
笑いで目に涙を溜めながら、あやね―――矢野あやね―――は続けた。
「あはは、や、ごめんごめん、あははっ、良かったね間に合って。
祝いで今日飲み行こーか」
「よっしゃ〜飲みまくってやる!」
梅とあやね。
高校卒業後、ふたりが再会したのは偶然にも、この専門学校の入学式であった。
ふたりは高校のころこそお互い相容れない仲ではあったが、今では周りも認める親友同士である。
お互いはっきりものを言うタイプだが、感情的で頑固者の梅を
あやねが時に優しく時に厳しく上手にあやす、という関係性が思いの外合っていたようだ。
梅にとっては、こんなにも心を許せて自分の事を話せる存在は初めてであった。
まあ、化粧水のメーカー聞き出す為に高1の時本気で脅された事は水に流そう。
「楽しみね同窓会。今年も爽子が幹事だし、期待して損はないね絶対」
ビールを呑みながらあやねが言った。
「去年はピンが酔って暴れて大変だったよねー、なんなのアイツ。あれじゃ彼女なんか一生無理だねー
ちづちゃんも一緒になって暴れてるし、真田はもくもくと呑んでるしさーもーめちゃくちゃ」
「あぁ、あいつらね…ほんとにね…バカだよねえ」
笑いがふたりを包んだ。
「爽子は自分が楽しむより先に人の世話ばっかりしてたしね。
見た?あの子、ピンと千鶴が一緒に踊り出した時、二人の活躍の場!とか言って
店員に照明が二人にあたるように頼みにいってんの!ほんと変にくそまじめだよねー」
あやねが愛おしさを満面に出して笑う。
つられて、梅も笑う。
「爽子ちゃんか…元気かなぁ。あーみんなに会いたい」
「あの子たちは地元残ってるからね。会おうと思えばすぐ会えるのはうらやましいかな。」
あやねは空になったグラスにビールを足した。
「だね。てか真田とちづちゃん婚約したんだって?スゴイね、そのお祝いもすんのかな」
「多分ね。あの二人が結婚か。ラーメン屋継ぐんだし絶対毎日ラーメンだよ
んで子供もラーメンだよ」
親友の朗報に、あやねはとても嬉しそうにビールをつぐ。
そうして、たわいもない会話が続いた。
- 736 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/18(日) 21:47:25 ID:Qp0bLZB8
- おおお風爽かと思ったら風梅なのか!
風爽愛あるレイプコースかと思ってたら意外な展開
うーむ梅なら確かに荒み風も受け入れるかも
爽子は幹事ができるほどに成長したのか
- 737 :風梅5[]:2009/01/18(日) 21:48:20 ID:9w1t7ryU
- ふと、ふたりの間に沈黙が流れる。
「…………あやね」
グラスを置いて、梅があやねを見る。
「…爽子ちゃんは………」
全て察しているように、あやねは穏やかに、優しく微笑んで口を開いた。
「まだケントと続いてるみたいよ」
「・・・そっか」
柔らかく微笑んで見せた梅その顔には、少しの切なさが浮かんでいるようだった
- 738 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/18(日) 21:51:00 ID:80XWLPv/
- 今までにないタイプの話でおもしろい!がんばれ!
- 739 :風梅6[]:2009/01/18(日) 21:53:35 ID:9w1t7ryU
- 「ん、…翔太…ぁ…」
居酒屋の裏倉庫―トイレの扉の奥に位置している場所―で
甘い女の声がしている。
女を壁に押し付け、抱き合う形で男が女の肌を玩具のように弄んでいる。
右手は耳、首筋から腕、背中、腰、太ももに指を滑らせ、撫でる。
そして身体を離すと、もう片方の手で露になった胸の先端にある突起の周りに、指で円を描く。
女の肌は焦れったさからか紅潮し、男の指を自分の敏感な所へ導こうと
上半身と腰をいやらしく動かす。
「やらしいね、カヨちゃんは。触って欲しいの?こんなとこで」
耳元で囁かれる声が、余計女を高める。
「あっ…ぅんっ…やだ、焦らさないで…っ」
くちゅっ。
「何もしてないのにもーこんな溢れてるよ?どーして欲しいの?」
男は、顔を紅潮させた女とは正反対に余裕の顔をして見つめながら
一旦指を充分潤った秘所から離し、わざと太ももの付け根を撫でる。
「やっ…ぁっ…触って………なかもぉ、指で…んぅっ!」
男の唇が女の嘆声を乱暴に塞ぐと同時に、親指で女の敏感な突起を掴み
強く揉みしだいた。
二本の指は勢いよく膣に吸い込まれて、出し入れする度にぬるっとした液体が指に絡み付き
女の太ももと男の手を光るように濡らす。
「やっ…ふ…ぅっ…ク、イ…っイっちゃうよぉおっ…」
その瞬間、勢いよく出し入れされていた指が抜かれた。
「まだだーめ」
この場には到底似合わない、あの無邪気なニコッとした笑顔。
女は腰をぴくっぴくっと痙攣させながら、その悪魔のような顔を全身で感じていた。
- 740 :風梅7[]:2009/01/18(日) 21:58:59 ID:9w1t7ryU
- 「ちょとあたしトイレ…」
梅が気持ち悪そうに席を立ち上がった。
「大丈夫?飲みすぎだよ。あたしも化粧直しするから一緒にいこ」
梅を介抱するように、あやねは店員にトイレの場所を聞き、奥に進んだ。
「なんでアンタそんな酒強いの…」
梅が怪訝そうに、顔すら赤めていないあやねに聞く。明らかにあたしより飲んでるだろ!、と心のなかで突っ込みを入れる。
あやねは少し考え、にやっと悪い顔になると、
「梅。女ってのはね、逆に酒に飲まれる男を食うくらいの心意気がないとだめなんだよ」
ふふん、と強気に言うあやねは、梅には魔女にしか見えなかった。
小悪魔っつーか、むしろ魔女だろう。
(骨まで吸いとられそうだな…)
と、梅は思った。
梅にはいま彼氏がいない。
いや、正確に言うと、いた事がないのだ。
その容姿から幼少時代よりかなりちやほやされてきた。
自分でも可愛いことはわかっていたし、自慢であった。
でもそれを利用して男の子に付け入ろうなん思ったこともやったことも1度もなかった。
中学時代、いわゆるグループのなかで、あのささいな誤解が生じるまでは。
でも誰も、梅自身を見てくれる人などいなかった。
いつの間にか、梅が無意識に創り上げていた「くるみ」を、みんな疑うことなどなく見ていた。
そんな中で、一人の少年だけは違った
わたしを、わたしとして見てくれていた
風早だけは、違った。
- 741 :風梅8[]:2009/01/18(日) 22:13:50 ID:9w1t7ryU
- 彼がだいすきだった。
他の誰よりも、絶対にわたしが一番すきだった。
彼を誰にも奪われないように、必死に試行錯誤をした。
必死に裏工作をして、計算して。
そんな時、あの子に出会った
すぐわかったよ、風早があの子の事すきだってこと。
風早バレバレなんだもん
悔しかった。
許せなかった。
何とかして二人を引き離そうとしたけど、
わたしの計画は全部覆されていった
そう、何の計算もしてない、
素直にただ「すきという気持ち」に。
風早はその気持ちであの時わたしから離れて真田からあの子を連れ去った。
あの子は今までずっと押し殺して来たわたしの気持ちを
その気持ちを共有してるからこそ優しく優しく受け入れた。
そして、一緒に泣いていた。
あの子はわたしに教えてくれたんだ
「伝える」ことがどんなに相手と向き合える方法か、どんなに自分がしあわせな気持ちになれる方法か
それまでのわたしはきっとしあわせじゃなかった
どんなに可愛くても意味がない
風早がわたしのこと好きになってくれなきゃ意味がない
あらゆる女の子を近付けないようにして
わたしは風早がわたしのこと好きになってくれるまで気持ちを押し殺して
わたしがちゃんと「伝え」なきゃ
風早と向き合うことすらできなかったのに
- 742 :風梅9[]:2009/01/18(日) 22:21:36 ID:9w1t7ryU
- だからわたしは風早に告白出来た
あの駐輪場で、ほんの少しの間でも風早がわたしと向き合ってくれたから
わたしは「しあわせ」になれたんだと思う
あれ以来わたしはかわいこちゃんキャラを自分からぶち壊した。
まぁもうどうでもよくなったってのもあるんだけど、一番の理由は
あの子の前で素の自分になれたあの時が
風早に正面から向き合ったあの時が
一番 自分のことをすきになれたと気付いたから。
あの子に
爽子ちゃんにありがとう って
本気で心から思ったんだよ。
でも悔しいからお礼なんか言わないし
応援なんか絶対しないよ
風早がすきになる女の子なんかだいっきらいだし わたし
でもあのふたり、両思いのくせに二年なっても何も進展してなくて
風早は元気ないし
爽子ちゃんは何かクラスで注目されてるとかなんとか
あんたら何やってんのよ
バレンタインのわたしのあの時の意地悪には
もっと自信持ってよって意味があったってこと気付かなかったわけ?
- 743 :風梅10[]:2009/01/18(日) 22:22:12 ID:9w1t7ryU
- 風早も風早だよ
なんで元気ないの?
爽子ちゃんが人気になるのがいやなの?
そんなこどもみたいなこと思ってないで
早く告白して爽子ちゃんを守ってよ
爽子ちゃんがもっといろんな人にいっぱい好かれるように
ちづちゃんやあやねちゃん以上に、風早が背中を支えてあげればいいじゃん
わたしは風早の笑顔が見たいんだよ
そんな顔見たいために諦めたんじゃない
ねぇ 風早
ねぇ 爽子ちゃん
――――――――――――――――――――
爽子ちゃんを怒鳴った日は悔しくて涙が止まらなかった
爽子ちゃんはすぐ手を伸ばせばあの笑顔を手に入れることが出来るじゃないか
なのになにしてんだよ
風早にあんな顔させやがって
ふざけんなよ
風早を笑顔にできるのは爽子ちゃんしかいなんだよ
ねえ 神様
お願いだからもう風早にあんな顔させないで
あの太陽のような笑顔を
一気に周りを照らすあの笑顔を
早く彼に取り戻させて下さい
- 744 :名無しさん@ピンキー[]:2009/01/18(日) 22:26:11 ID:9w1t7ryU
- 携帯からつくってパソコンに転送したから、
まさか10までいくとは思わなかった・・・
スレ汚しごめん。
しかもエロあんまなくて・・
需要あればこの先も書きたいし
エロもっと書いてってなったらいっぱい入れていきます
同窓会ではあやね・ピンのスピンオフも載せたいと思ってたっす
- 745 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/18(日) 22:31:20 ID:2/YhLGM6
- >>744
つ・つづきたのむ
- 746 :名無しJDG1[]:2009/01/18(日) 22:32:19 ID:MbHYS2Vq
- >>744
よかったです!続きぜひみたいです〜
- 747 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/18(日) 22:32:43 ID:ba99DW9d
- GJ!
なんか新しい感じでいいよいいよー
風爽の神も続き投下されるかもだし、今日は幸せだw
- 748 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/18(日) 22:32:59 ID:80XWLPv/
- >>744
個人的にはおもしろかったです!
続きも読みたいなぁ。
風爽の同窓会での再会とか。
こういう未来ってちょっとリアルだよね。
あやねと梅が仲良くなってたのもヨカッタ。
- 749 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/18(日) 22:43:12 ID:YRuRxX98
- GJ〜
ぜひ続きが見たいです
- 750 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/18(日) 22:48:46 ID:8qxryQuk
- GJでした〜
あれもこれも続きが気になりすぎて
色々手につかないww
- 751 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 00:01:29 ID:+GYMdsXb
- なんか風は爽子と結ばれなければ 超覚めた眼で女抱いてそうだな
とか思ってたから誠化も納得
それを救うのは梅なのか。切ないがそれもアリかもしれんね。
いずれにせよちゃんと爽子に引きずる想いを殺してもらえよとは思うけど。
爽子は三浦とくっついたのか。風梅終ったらそっちも書いてほしい。
- 752 :十月桜8 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo [sage]:2009/01/19(月) 00:12:54 ID:+GYMdsXb
- 708−714続き
「あ…っ風早君、何?怖いよ…っ」
爽子は短い息をあえぐように繰り返しながら言った。
爽子の眼は爽子の制服のリボンで目隠しされており、手は風早の制服の
ネクタイで結ばれている。
『もう誰も見ちゃだめだよ。俺以外みちゃダメ。』
そう言いながら風早は爽子の視界を赤いリボンで奪った。
そしてさらに自分のネクタイを解いて彼女の手首を一くくりにしてそのまま
ベッドへと押し倒した。
とさっと爽子の軽い身体は軽く弾み、ベッドはきしりと音を立てた。
何も見えない世界は爽子の感覚を鋭敏にしていく。
「か、かぜはやくん、やだよ、これ解いて」
声はなかったが風早の動く気配と慣れ親しんだ彼の匂いを追いながら
爽子は懸命に言った。
「やだ。解いたら逃げるもん」
楽しげにすら聞こえるその声音に爽子は混乱した。
どうして風早君はこんな事を…?
爽子の内心の疑問に答えるように風早は言った。
「これはお仕置。」
「おしおき…?」
爽子ははっと息を呑む。
三浦に身体を弄られたとき、風早は爽子は悪くないと抱きしめてくれた。
けれど爽子は自分の無防備さや無用心さをひそかに責め続けていた。
- 753 :十月桜9 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo [sage]:2009/01/19(月) 00:17:31 ID:+GYMdsXb
- 風早も、実は爽子に怒っていたのだろうか。
責められても仕方ないと思いながら、爽子はそれに酷い痛みを感じた。
「−俺以外に酷い事されちゃった、お仕置。言ったよね、
俺めちゃくちゃ独占欲強いって。」
そう言いながら風早は爽子に口付けた。
それは酷く優しい、麻薬のように甘い口付けだった。
そして爽子に触れたその唇は確かに笑みの形を作っていた。
「俺、今すげー嬉しい。…なんでかわかる?」
爽子は混乱して答える事はできずただ呆然と風早の言葉を聴いていた。
爽子の返事は聞かず、そもそも聞く気もないように風早はあっさり続けた。
「今、黒沼の世界にいるの俺だけなんだよなぁ…。」
爽子の鋭敏になった聴覚は風早の幸せそうな溜息を捉えた。
(風早君は怒ってるの?喜んでるの?でも…どうして…)
嬉しそうなの…?と掠めた思考は綺麗に吹き飛んだ。
自らの下半身からスカートがずるりと脱がされる感覚がしたからだ。
「やっ…風早くんっ!?」
「脱がせとかないと、汚れちゃうからね」
まるで普通の挨拶みたいに、風早の落ち着いた声が言った。
「やだっ…恥ずかしいよぅ…っ」
- 754 :十月桜10 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo [sage]:2009/01/19(月) 00:22:14 ID:+GYMdsXb
- 視覚では確認できないが感じる外気で下半身が下着1枚のみ残して
むき出しにされたことを教えた。
自らのはしたない姿を思い、爽子は羞恥で気が遠くなりそうだった。
「大丈夫、すごいエッチで可愛いから。」
爽子は全身の血がすごい勢いで回り始めたような錯覚を覚えた。
「ほんと、可愛い…。食べちゃいたいな」
風早に耳元で囁かれて爽子はビクと身体を硬直させた。
耳にかかる息と風早の甘い声は暗闇の中で際立って淫靡に響いた。
「…黒沼。俺のこと感じる…?ちゃんとどこにいるかわかる…?」
鼻先で触れるか触れないかの距離で風早は囁き
時折爽子の薄く桃色に息づいた耳や頬に口付けを落とした。
その度に爽子の華奢な体が揺れた。
「…あ…っ…か…ぜはやくっ」
風早は爽子の柔らかい耳たぶをそっと食んだ。
「んんっ…!」
「なんで黒沼ってどこもかも甘いの?…砂糖でできてるみたい。」
風早が爽子の耳介にねろりと舌を這わせれば
少女の可憐な身体がぴくぴくと小さく震えた。
爽子の頬と唇は桃色に熟し、徐々に男を誘う色香を放ちはじめていた。
風早は誘われるように濡れた唇をやわやわと噛んだ。
- 755 :十月桜11 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo [sage]:2009/01/19(月) 00:27:25 ID:+GYMdsXb
- 「んっ」
漏れた熱い息と声に惹かれてそのまま柔らかな唇に乱暴に舌を差し込んだ。
どれだけ繰り返しても爽子との口づけに飽きる事はないなと、
風早は爽子の熱い口腔とマシュマロのような舌を味わいながら思う。
いつも深く口づけ甘い舌を味わっていると爽子の身体は例外なく熟した果実のように蕩けだす。
爽子はそうなるといつも恥ずかしそうに身をよじり、風早の視線から逃れるように眼を伏せた。
その慎み深さが返って男の本能を煽るのに。
瞳に浮かぶ羞恥の色が布で隠されて見えないのを少し残念に思いながら
風早はその布の上から彼女の瞳に口付けた。
「…っ!」
「何か、反応すごいね。…いつからそんなやらしい身体になったの?」
爽子は桃色の頬をさらに紅に染めた。
「い、言わないで…っ」
爽子は荒く短い息をつぎながら必死で言った。
爽子の黒い髪が白いシーツの上で彼女の華奢な体を儚く守るように
扇のように広がり、ブラウスのみ身につけた白い身体が浮き上がる。
汗ばむ肌は頬と同じように薄く桃色に色づき、
呼吸と共に爽子の香を送ってくる。
- 756 :十月桜12 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo [sage]:2009/01/19(月) 00:32:18 ID:+GYMdsXb
- 熱を封じ込めようとでもするかのように膝をもじもじとすり合わせる爽子は
狂気の淵に誘うほど淫靡だった。その淫らさに風早の理性は完全に殺された。
「だめだよ、ちゃんと見せて。」
風早は爽子の膝にそっと手を差し入れて両足を開いた。
「!!やめて!」
「−なんで?黒沼は俺の、なのになんで拒むの?」
爽子の眼を覆う布が潤と濡れてくる。
しゃくりあげる呼吸が彼女の啜り泣きを伝えた。
「恥ずかしい…」
「何が…?」
爽子の言葉に下着を見ると薄い布に染みができはじめている。
風早はごくっと息を呑んで爽子の唇を再度貪った。
そしてそっと下着の中に手を入れ、つぷんと指を差し込んだ。
「!っぅあっ…ひぃあっ…!」
そこは熱くしっとりと濡れており、さわり心地が良かった。
まだ、男を受け入れた事もないのにそれは貪欲に風早の指を飲み込もうとする。
爽子は身をよじって風早の愛撫から逃れようとした。
「あっあぅ…こんなの…やだぁ…っ」
爽子は風早といつかそうなる事はぼんやりと夢見ていたが、
その夢はこんな怒りと混乱に彩られてはいなかった。
もっときちんと愛されたかった。
- 757 :十月桜13 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo [sage]:2009/01/19(月) 00:42:31 ID:+GYMdsXb
- 風早は爽子の哀しい声にはっと身をおこし、彼女から指を抜いた。
一瞬風早は切なげに眉を顰めたが、くっと喉の奥で昏く笑った。
「大丈夫だよ、今日は抱いたりしないから。
−だってこれはお仕置なんだもん。そうだろ?」
爽子は一瞬風早の体温が遠ざかるのを感じた。
ほっと息をつく間もなくまた身体がビクンと跳ねた。
無傷だったブラウスのボタンが少し乱暴に外され
ブラジャーのフロントホックがぷちん、と外されたのを感じたからだ。
爽子はむき出しになった胸に冷たい液体がたらされたのを感じて声をあげた。
「あぅ!?」
- 758 :十月桜14 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo [sage]:2009/01/19(月) 00:43:57 ID:+GYMdsXb
- 風早が爽子の胸にコーヒー用のミルクポーションをたらしたのだ。
柔らかで少し控えめな白い乳房と桃色に息づいた先端が
白いミルクで陵辱されていく。
風早はこくっと息を飲んでその美しさに見蕩れた。
この綺麗で淫靡ないきものが何で他の男に見られたりなんかしたんだ
風早は怒りとも嫉妬ともつかない衝動に突き動かされて震える先端を口に含んだ。
「あああっ…!…ぜ…はやく…っ」
冷たいポーションを風早の熱い舌が舐め取っていく。
視界も腕の自由も奪われた爽子は
その感覚だけがすべてになっていった。
(続く)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
今回はここまで。今続き書き中。最後のパーツを埋めたらUP
日曜夜って言ってたからできたとこまで投下するよ
- 759 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 00:51:26 ID:Tu5smLoo
- 超乙!いいね!黒風得ろ杉でいいね!
続き待ってるよー
- 760 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 00:53:03 ID:/ECuMaIg
- GJ!夜勤もお疲れ様です!
- 761 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 00:58:00 ID:ydmjEAFi
- ウヒョーなんかスゲーエロい
GOGO黒風〜!
続きが楽しみすぎます><
- 762 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 01:00:02 ID:xcqtMAbz
- 乙です!GJすぎる!!続きも楽しみにしてます
本当に神職人さんだな…
- 763 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 02:47:39 ID:KZkQuxaK
- 風爽お仕置き編、
風梅編
続きが楽しみ過ぎて待ちきれな〜い
- 764 :風梅11[]:2009/01/19(月) 03:52:20 ID:yEPOef7V
- それからしばらくして風早には笑顔が戻った。
わたしが世界で1番すきな笑顔。
風早に愛おしく触られる爽子ちゃんはなんて幸せものだろうか。
涙は流れ続け、そうして枯れた。
ふたりが別れたと聞いたのは、高校3年の夏だった
噂は色々あった。
風早の同情だったとか爽子ちゃんが弄んだとか
理由が、少し分かる気がしたのが哀しかった
わたしはその時思った。
いま、風早が弱音をぶつけられる相手はいるのだろうか
ひとりで全て抱え込んでいないだろうか
誰か一人でも 彼を優しく包んであげれる人はいるのだろうか
でもわたしは風早のところに走れなかった
蚊帳の外でフラれたわたしに何が出来る?
彼の笑顔を取り戻すことは、わたしには絶対出来ないと痛いくらいわかっていたから。
涙は出なかった。
本当に枯れたのかはわからないけれど、1滴も出なかったんだ。
わたしは、胸がポッカリあいたようにただただ焦燥感だけを感じていた。
あれから、風早とは話すことは減った。
いや、わざとわたしから避けていたのだ。
\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\
爽子ちゃんは、2年の文化祭から少しずつ変わっていった
ドがつくくらいの謙虚さは変わらずだったが、何よりよく笑うようになった。
毎回テスト前に行われていた「爽子のテスト対策講座」は口コミでどんどん有名になり、
その笑顔はいつしかみんなを癒すものへと変わってった。
もちろん髪型はあのままだし、無理やり笑うとやっぱまだ怖かったけど
でもそれも含めて、みんなが爽子ちゃんをすきになってた
ただ、彼女を支えているのはもう風早ではなかった。
爽子ちゃんは風早と同じくらい、人を惹き付ける才能を持ってる。
ただそれに気がついていないだけで。
彼女は、とてもキラキラと輝き始めていた。
- 765 :風梅12[]:2009/01/19(月) 03:59:21 ID:yEPOef7V
- 「うえっ」
「こら梅!もうちょっとだから我慢しな」
トイレにつくと、あやねが後処理など全部やってくれた。
・・・魔女なんて言ってごめん。と梅は心の中で思った。
あやねはいまトイレに行っている。
と、ガタッという鈍い音が聞こえた。
「・・・・・・・?」
吐いて頭がすっきりした梅は、その音がするほうに足を進めた。
トイレの奥には行き止まりに見せかけた凹んだ空間があった。
そこは荷物がたくさん置いてあって、倉庫の踊り場のようであった。
普通なら死角になって誰も気付かないだろう。
しかしその時は違った。
「んっ・・・・ふぅっ・・・・・ん」
「もっと奥まで咥えなきゃだめじゃん。ホラ」
「んんんっ!!ふ、あ」
「そう、ちゃんと裏筋にも舌絡めて。カヨちゃんだけ気持ちよくなってずるいよね?」
「ふっう・・・・っんむぅっ・・・」
女の頭を乱暴に動かす男。女は、そんな酷い仕打ちにも感じているのか、恍惚の表情で夢中でしゃぶり続ける。
ぶちゅっずちゅ、ちゅぱ、ぢゅっ
その空間に、いやらしい音が響く。
梅は、積み重ねられたダンボールの隙間から高鳴る胸と同様に、ある違和感を感じた。
もちろんこの状況にもだが、それだけではない。
男の背中。
声。
何より、彼が醸し出すその雰囲気に。
「しょ・・・・翔太く、も・・・・あたしダメ・・・っお願いっ・・・・」
「んーじゃお願いしなきゃね。どうして欲しい??」
梅の心臓が大きく高鳴った。
「カヨのここに・・・・っ、翔太くんのこれを、奥まで・・・っ挿れてください・・・・っ」」
女は男の太く熱い棒を自らの濡れそぼった場所に挿れようとする。
にこっと笑って女の手から自身のモノを冷たく奪うと、、男は女の手を壁に突かせ、お尻を突き出せた。
女のそこは、さんざん焦らされたせいでピクピク痙攣し、今もなお愛液は溢れ続けてる。
「もっと開いて」
男は冷たい声で活き立った熱くて太いモノを女の入り口にあてがった。
そして、わざとそのほぐれた淵の周りをモノでゆっくりなぞる。
「やっ・・・焦らしちゃやだぁっ・・・・・」
女は腰をくねらせ、男の熱いモノを膣に導こうとする。
「ホンット、やらしーね」
男は笑いながら女を見下ろし、一気に腰を進めようとした。
「うめー?」
梅ははっとした。
あやねが呼んでいる。
「くーるーみーざーわーうーめ!どこー?」
「い、いま行く!!」
梅はそのまま走って通路に戻った。
- 766 :風梅13[]:2009/01/19(月) 04:20:38 ID:yEPOef7V
- 「どこにいたのよ」
「い、いや、別に?さっ飲もう飲もう!早くもどろ!」
顔は見えなかった。
梅の胸は、さっきよりも更に激しく激しく鼓動する。
でも、わたしが彼を見間違うわけがない。
梅と別れたあやねは、帰りの電車のなかで、ボーッと外を見つめていた。
高校生の時もあやねは美人だったが、卒業して2年がたった今、その美貌は更にますます磨かれている。
地元北海道の満天の星空にも比べ物にならないくらいのネオンが、キラキラと輝いている。
キラキラ輝いているもの。
あやねはそっとつぶやいた。
「・・・・・・アイツ、今年の同窓会にはくんのかな」
風早と爽子は、ああなるしかなかった。
お互いがきっといろんな意味で幼かった
湧き出てくる新たな感情を対処しきれなかったのだ。
みんなの人気者になっていく爽子を見て、嫉妬心と独占欲を抑えられなかった風早。
そんな風早の態度を一生懸命理解しようと
一生懸命風早に自分の愛情を伝えようと風早に接していた爽子。
爽子は風早がだいすきだった
あたしらよりも、誰よりも風早のことが1番すきだったんだ
でも風早はそれが信じることが出来なくなっていた。
爽子を二人だけの世界に閉じ込めておこうと必死になっていた
そんな変わり果てた自分の考えに、1番驚いていたのは風早自身であろう。
爽子が風早を捨てるわけがなかったのに
爽子が風早を嫌いになるわけがなかったのに
なぜ彼はあんなに不安になることがあったのだろうか。
しかしながら、お互い成長し合える関係こそが爽子には必要だった。
ふたりの溝はだんだん深くなり、次第に爽子は風早の前では笑えなくなっていた。
それはあたしもちづも、クラスメートでさえも感じていたはずだ。
でも、何も言えなかった。
仕方の無いこと
爽子は風早の「モノ」ではない。
あの笑顔は風早の「モノ」ではないんだ。
- 767 :風梅14[]:2009/01/19(月) 04:29:36 ID:yEPOef7V
- それからしばらくして。
「ちづちゃん、あやねちゃん・・・・あのね、私ね、・・・・・風早くんとお別れした・・・・・」
精一杯笑顔を作って、爽子はあたしらに報告した。
目を真っ赤にして、今にもまた泣いてしまいそうな顔で。
あたしとちづは無言で爽子を抱きしめた。
強く、強く抱きしめた。
華奢で小さな身体。
この身体に、今までどのくらいの辛さをひとりで抱えていたんだろう。
あたしたち何もしてあげれなかった。
ごめん、爽子。ごめんね・・・・・
あたしはずっと我慢してたってのに、ちづが泣き出すからあたしも大声を上げて泣いてしまった。
爽子はびっくりして、オロオロしながらあたしらにテイッシュを渡してくれた。
こんな時にも、自分より先に相手を思いやれるとても優しい子。
そして数ヵ月後。
爽子はケントと付き合いだした。
告白は、ケントから。流れとしてはとても自然なものであった。
ケントは、大きく包むように爽子が成長する道を照らし
時にはまじめな考え方をして悩む爽子を街に誘い、笑わせ、元気を与えていた。
爽子も、そんなケントにいつしか心を許すようになっていっていたのだ。
付き合うようになってからも、その都度適切な距離を見定めて爽子をいつも見守っていた。
必ずしもいつもとなりに居る事が相手の為になるとは限らない、と。
しかし何かあれば誰よりも先に全力で爽子を守る。
そのおかげか、爽子はたくさんの人といろんな話をする機会が増えたし、
人に感謝されることにも慣れ、自分を卑下することもだんだんなくなっていっていた。
ますます笑顔が増えた爽子を見て、ケントは心から喜んでいたようであった。
誰のせいでもない。
これが道だったんだ。
あやねは梅のことを考えた。
梅は、爽子と風早が別れた後も何も行動に移すことなく、むしろ以前より距離を置いているように見えた。
当時からあやねはそれに気付いていたが、敢えて何も言わなかった。
梅も、風早のことを口にしようとしない。
同じ東京にいても、友達として会おうともしない。
あやねも、東京に出てきてからは誰からも風早の話を聞いた事が無かった。
卒業前にジョーと同じ大学だとは聞いたけど、それだけ。
忙しくてめったに地元に帰れないあやねは、そのことをちづや龍に聞く機会さえなかった。
爽子やちづ、龍やピンの話は出ても、風早のことには一切触れない梅を、あやねはただ黙って見ていた。
- 768 :風梅14[]:2009/01/19(月) 04:31:54 ID:yEPOef7V
- 去年の同窓会には、風早も来ていなかった。
ジョーは来るなりすぐでろんでろんに酔っ払い、ずっとあやねに絡んでいたが、すぐに親が迎えに来て連行されていた。
なんて情けないやつなんだ。
龍は知ってか知らずか風早のことを「バイトがいそがしいんじゃねえの」と言い、
千鶴は「向こうで東京エンジョイしてんじゃねーの、ぎゃははは」と酒より料理を頬張っていた。
爽子は少し悲しそうに、「残念だね・・・みんな揃うと思ってたのにな。」
と微笑み、トイレに行ったケントを心配して席をたっていった。
あやねはとなりで黙々と料理を食べる梅を見つめると、これ以上何も聞けなくなっていたのだった。
みんな、それぞれ新たな道を進んでいる。
(でも、梅は・・・・?)
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
取り合えず今はここまでです
またすぐ投下します
明日まで休みなんで・・・
梅の気持ちは勝手に私自身が作っちゃったから、
実際みなさんが梅の想いを本編でどう受け取ったかに
よって共感できない場合もあるよね・・・
あと、爽子のがちゃんと自信を持つようになるって場面も、
みんなの想像と違ったかもしれない。
できるだけ考えて書いてみたんだけど、気に障ったらごめんなさい。
エロというより完全に物語になってしまった。
なんかごめんなさい。
しかもまだだいぶ長くなりそう・・・・
でも自己満で投下させてくださいw
ないわwってなったらスルーしちゃっていいんで・・・
自分梅がけっこう好きで、身体だけじゃなくてちゃんと
幸せになってほしいんだよなあ。。。
- 769 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 05:45:30 ID:1balNj8N
- >>758
すごく良い!エロい!続き楽しみに待ってます!
- 770 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 05:48:50 ID:eQyf1hwS
- 風梅すっっっっごくおもしろい!!!
読みたい続き〜!!!!
楽しみすぎて寝れない!!!
- 771 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 06:43:42 ID:/ECuMaIg
- >>768
おつです!今までにないタイプの話でおもしろい
風早は失恋したら、CFYのユキちゃんみたくなりそうと思ってた。
風爽って付き合いだしてからも大変そう、というか風が。
今の風みてると風が爽子すきすぎて、自分で自分の気持ちに押し潰されそうだなーって。
だからこの話は妙にリアルでせつない。。
風梅もアリだね〜
- 772 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 07:17:11 ID:KZkQuxaK
- 風って失恋したら、ずるずる引きずって、未練タラタラになりそうなタイプだしね。
- 773 :風梅15[]:2009/01/19(月) 16:52:11 ID:yEPOef7V
- 梅は、あの居酒屋の前に立っていた。
あやねには帰るふりをして、駅からまた引き返してきたのだ。
確証などなかった。
でも梅の勘がそう言っていた。
違うなら違うで構わない。
でももし当たっていたら。
ガラガラッ
扉が開くたび、梅は心臓が飛び出そうになる。
しかし、その人物は一向に出てこない。
次第に、出てくる客や道端でのナンパも多くなってきた。
しかし梅は待ち続けた。
もし誰かに、何の為にいまここにいるのか、と尋ねられても
梅は答えることが出来ないだろう。
今、梅の頭にはひとつのことしかなかった。
もし、あの男が風早だったとしたら。
その時だった。
「ちょ、めっちゃ可愛いじゃん!!何してんの?ひとり?俺らと飲もうよ〜」
2人組の男が梅に声をかけてきた。
今までと同じように完全無視。しかし今回はそれでは済まなかった。
「ちょ・・・っ!」
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
「翔太ぁ、ゴメンね?怒ってる?」
上目遣いで、カヨは風早の腕を引いた。
「なにが?」
「だって・・・・・カヨが声だし過ぎっちゃって人に見られたから・・・」
しゅんとして、とカヨは媚びるように風早の腕に抱きつく。
風早は会計を済ませながらそのままドアを開けた。
「翔太ぁ・・・・・」
カヨの不安そうな顔が風早を見上げる。
風早は無表情だった。しかし、にっこりと穏やかな笑顔を見せると、
「うん、じゃあ今度は俺の言うことなんでも聞いてね」
その無邪気な少年のような笑顔に、カヨは思わず顔を赤らめ、同時に安堵を撫で下ろした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「離してっていってんじゃん!」
店を出た反対方向の道から、女の子の声が大きく響いた。
「翔太?」
一瞬、青年は足を止めたが、そのまま女に引かれるように進んだ。
「ね、これからどうする?今度はゆっくり・・・・・」
先刻までの淫靡な行為を思い出すかのように、女は身体をくねらせ、青年にぴたりとくっつく。
と、青年は腕に絡みついていた女をゆっくり離した。
「ごめん。今日はここで。」
- 774 :風梅15[]:2009/01/19(月) 17:14:02 ID:yEPOef7V
-
(あたしに気安く触ってんじゃねーよ!)
梅は精一杯の抵抗を見せたが、小柄な梅に男2人の力では敵わない。
男達はニヤニヤ笑いながら梅を連れて行こうとする。
強く奪われた肩は、ビクともしなかった。
「わっなに、お前」
突然、梅は、自分の肩に重く圧し掛かっていた力が取り去られるのを感じた。
「ごめん、この子俺の連れなんだ」
その顔は穏やかに笑ってはいたものの、梅の小さな肩に乗っていた男の腕を強く掴み、男達をまごつかせていた。
「・・・・・んだよ、ひとりじゃねーのかよっ」
「行こうぜ」
男達はバツの悪そうにその場から離れていった。
梅は、自分の肩にまだあの鈍い重さが残っているのを感じながら、ゆっくり彼を見上げた。
「・・・・大丈夫?胡桃沢」
わたしを呼ぶ、低い声。
最後に名前を呼ばれたのは一体いつ頃だっただろうか。
「あんなふうに抵抗したら逆効果だよ。だめじゃん」
優しく包むような笑顔。
しかし梅は感じていた。
違う。
わたしがずっと守りたかった笑顔は、こんな今にも消えそうに悲しく笑うものではない。
「・・・・・・・なんで泣くの?」
風早は静かに、低く尋ねた。
「あ、軽蔑しちゃった?さっき変なトコ見られたもんなー」
あははっ、と乾いたように笑う彼に、梅は何も言わなかった。
梅の大きな瞳からは、涙が流れていた。
枯れたはずのそれは、止まることなく、彼女の柔らかい頬を濡らし続けた。
ただ真っ直ぐ、彼を見つめて。
- 775 :風梅16[]:2009/01/19(月) 17:16:53 ID:yEPOef7V
- ------------------------------------------------------------
「ちょっと!」
寝転んで漫画を読んでいる龍に、千鶴は一喝した。
「漫画読んでんなら笑うなり泣くなりしろっていってんじゃん!もくもくと読むなよ!」
あーーーいらいらする!と、千鶴は頭をがーっとかきむしった。
「今いいとこなんだよ、邪魔すんな」
「えっまじで!ちょっとあたしにも見せてよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
パラッ
「・・・・・・・・・・・ちょ、早い」
・・・・パラッ.........・・・・パラッ
しばし静かな空気が流れた。
千鶴は不覚にも真剣に漫画に引き込まれた自分をさっと我に返し、言い放った。
「はっ違う!!そーじゃなくって!!引き出物!どーすんのさ!
そろそろ決めないとあたしが母ちゃんに怒られるじゃん!」
と、なにやらパンフレットなるものを龍の顔に突きつけた。
相変わらず無表情でじーっとパンフを見つめていた龍だが、
「・・・・・ないとだめなの?」
「えっいや、あたしもよく知らないけどさ!」
千鶴と龍。
幼き頃よりお互いを支えてきた二人は、来年の春、結婚する。
高3の卒業式の前夜。
千鶴はいつものあの堤防に腰掛け、ぼーっと暗い海を眺めていた。
と、ザッザッという砂利が鳴る音が聞こえた。
「何してんの」
もう部活は引退しているはずなのに、龍は引退してからもこうして走っているようだった。
軽く呼吸を置いて、龍は千鶴の隣に座る。
いつものように隣で感じる龍の存在は、千鶴にとってとても落ち着くものであった。
- 776 :風梅17[]:2009/01/19(月) 19:07:39 ID:yEPOef7V
- 「高校生活も明日で終わりなんだね。あっというまだったなーと思ってさ」
「うん」
龍は静かに言った。
「いろいろあったね。1、2年はよく爽子とあたしと矢野ちんで龍んち行ってさ。
んで風早も呼んでからかって・・・・・あっ修学旅行、
風早ってば爽子と同じ班になりたいからってピンにすごい媚び売ってたよね
ほんとあいつ・・・」
「うん」
「・・・・・・・・・・・爽子、この3年間ですごい変わったよね。よかったよね。」
「うん」
「・・・・・・・・・・・爽子、地元の大学の教育学部だって……ケントと同じ大学。」
「うん」
「・・・・・・・・・・・・あの二人が終るなんて思わなかった…」
静かに波は音を立て、冷たい風はふたりの頬をくすぐる。
「って、あたしがしんみりしても仕方ないか!」
ははっ、と千鶴は笑ってみせる。
龍はキラキラと輝く暗い海を眺めながら、千鶴の頭をぽん、ぽん、と触った。
龍の体温が優しく伝わってきて、千鶴は心がじんわりと温かくなるのを感じた。
龍は、なぜこんなにもあたしを安心させれるんだろう。
こうして龍といると、千鶴は自分がまるで子供時代の小さな女の子に戻った気分であった。
そう感じることに、安心感からか少し泣きそうになりながら、千鶴は続けた。
「矢野ちんも爽子も、これから将来にむかって勉強してくんだよね。
なんっかあたしだけ置いてきぼりなかんじで実は結構寂しかったりしたんだけどさ。
でも、あたし焦るのやめたよ。ゆっくりやりたい事考える。
あたしにしか出来ないこと探すんだ!」
「龍が作るラーメン食べに行くからね!味噌ラーメン、あれスープの煮込み具合で
味変わってくんだからちゃんとレシピ覚えろよっ」
龍は黙って海を見ていた。
千鶴はそんな龍の横顔を見ながら、にかっ、と微笑んだ。
「さ、そろそろ帰ろっか。母ちゃん最近うるせーんだ」
「千鶴」
千鶴が立ち上がろうとした時、龍の大きな腕が静かに千鶴を包んだ。
いきなり抱きしめられて、千鶴はびっくりしている。
「へっ、りゅう?なんだよ、どーしたの」
龍は何も言わない。
(・…なんだよ・…)
大きな龍の身体。
暖かい龍の体温。
龍の心地よい心臓の音を聞きながら、しばらく千鶴は全身でその暖かさを感じれるようにそっと目を瞑った。
ザザン・・・
波が穏やかに堤防に打ちつけられる。
- 777 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 20:08:01 ID:KZkQuxaK
- 続きキテル〜(・∀・)
wktkしながらさらに続き待ってます
- 778 :風梅18[]:2009/01/19(月) 20:43:41 ID:yEPOef7V
- 「結婚しよっか」
龍の突然のその台詞に千鶴はとても驚いたが、龍はとても優しい顔をして千鶴を見つめていた。
「・…龍」
「終わらない関係だってちゃんとあるよ。」
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
漫画を片手にいつのまにかベッドに大の字で寝てしまっている千鶴に
龍は優しく毛布をかけた。
「うーんうーん、あれ、・・・キマイラァ」
「いねえから。」
うなされて寝言を言う千鶴に、冷静に突っ込みを入れながら
千鶴が持ってきた引き出物のパンフレットを パラパラと見た。
すると、千鶴が書き出している式の出席者リストの紙があった。
ささやかな式なので大勢は呼べないが
千鶴と龍のかけがえのない大切な人たちの名前が書かれてあった。
黒沼爽子・矢野あやね・風早翔太・荒井一市・胡桃沢梅・城ノ内宗一・三浦健人・・・・・・
龍は、静かにその紙を机に置いて、大きく息を吐く。
そして、1年ほど前―――卒業してジョーが同窓会の為に帰省した時に
言った台詞を思い出していた。
龍は、帰省もせず、あまり連絡もつかない風早のことを聞いてみたのだ。
「え、風早??東京行って結構変わったよー!髪染めて雰囲気変わったのもあるんかな?
とにかく楽しそうだよ風早!いっぱい女の子に声かけられてるしさあ〜うらやましいよなー
あ、そうだあやね同窓会くる?連絡つかないんだよ〜
こないだエラーでメール返ってきてさ、 携帯紛失でもしたのかな〜」
ジョーは能天気にラーメンをおいしそうに食べながら、龍の質問に答えていた。
その的外れな答えに、龍はその時つい先ほどまで徹龍軒に来ていた
健人と爽子を思い浮かべていた。
ふたりは仲よさそうに龍のラーメンを食べると、そのまま爽子の家へ行くという。
そう話す爽子の笑顔は、とてもしあわせそうであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー―
(しょーた)
(しょーたなら、大丈夫)
龍は信じていた。
そして、確信していた。
風早なら、時間はかかっても必ず前に進める、と。
- 779 :名無しさん@ピンキー[]:2009/01/19(月) 20:48:13 ID:yEPOef7V
- スレ汚しごめん。。。
丁寧に書こうとしたら20レスこえちゃうね・・
なんとなく龍ちづの話も入れたくて、ちょっと脱線させたけど
書いてしまった
残りは風梅の場面に戻って、同窓会、爽風2年ぶりの再会、とかに
するつもりなんですが
要望あったらおねがいします!
こんなエロ入れて、とか
最後に、この風梅が長くなってしまってほんと申し訳ない。
- 780 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 20:50:18 ID:U/SoJnsP
- >>758
乙です
夜勤もお疲れ様です
夜勤明けさん、今までにも何度か投下してくれてましたよね?
多分これかなぁ・・・ってやつ、全部好きで何回も読み返してます
ヤン早万歳\(^o^)/
- 781 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 20:54:21 ID:KZkQuxaK
- ラブラブな爽健を見て、
荒れ狂う風×慰め受け入れる梅
見たい…
- 782 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 20:56:20 ID:eewVMNw+
- >>779
GJ!!
変わってしまった風早がせつねぇ…
やっぱ風梅だから風爽endではないよな…
しかし風は爽じゃないとダメな気ガス…
とにかく続き期待してます!!
- 783 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 21:02:11 ID:fZWPQy4X
- あたしも風を元気にするのは爽じゃなけゃできないと思う。
でも、梅がどう動くかも気になるから頑張って下さい
- 784 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 21:05:30 ID:U/SoJnsP
- >>779
乙です
自分も正当カプ以外はどうしても違和感感じてしまう方ですが、
荒れる風の描写がすごくイイ(・∀・)!!です
- 785 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 21:11:23 ID:5GmX5jEw
- >>779
丁寧に書かれているので切なさも一入です
切ない風爽が好きだけど、この話だったら風梅もアリアリだぁ
ただ風が爽自身に思いをちゃんと殺してもらえますように
風の傷が癒えますように…祈ってます
- 786 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 21:31:00 ID:Tu5smLoo
- てすてす
- 787 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 21:55:54 ID:Tu5smLoo
- 容量が残り少なくて気になって眠れなくなりそうなので
次スレ立てたよ
ここが埋まったらつかってね
君に届けでエロパロ★2
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1232369648/
- 788 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 22:10:15 ID:KZkQuxaK
- >>779
爽子を思い出しながら、他の女を抱く風早…
思わず「爽子…」と名前間違えてしまう風早。
こんな展開見てみたい。
- 789 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 22:47:45 ID:ydmjEAFi
- >>779
GJです!
続きキニナル!
あと…ケン爽ストーリーも読みたい
- 790 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/19(月) 23:34:24 ID:/ECuMaIg
- >>779
おもしろかった!
丁寧だからむしろいいと思った。
風爽へ思いをはせるちづに、龍が「終わらない関係もある」っていったのがすごくせつなかったな〜。
あと荒れた風早とは対照的に、ケントと幸せになっている爽子がなんとも…
十分楽しませてもらってるので、要望はとくに。。
続き待ってます!
- 791 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/20(火) 00:40:16 ID:LGtYc4HX
- いやいや!!!丁寧でいいよ〜!!!
もうGJGJGJGJ!!!!!
長くなってもいい〜!っていうか長くなってほしい〜!!!
- 792 :名無しさん@ピンキー[sage]:2009/01/20(火) 00:54:28 ID:LGtYc4HX
- >>788
同じく〜。
他の女を抱きながら「爽子・・・」って呼ぶ・・・せつない。
見たい・・・。
- 793 :風梅19[]:2009/01/20(火) 02:52:36 ID:71//d07W
- みなさんレスくれてありがとうございます!
でもやっぱりCFYと似ちゃう場面がある・・・
みなさんの要望、ちょこちょこ入れていきまつ!
ありがとでした!
以下・続き
「俺が泣かしてるみたいじゃんか」
風早はわざと明るく言う。
そして、にっこりと笑ってみせた。
「久々だね。胡桃沢。東京出てきてたんだ?」
梅ははっと我に返って、溢れていた涙を小さな手でぐいっと拭った。
「・・…風早」
梅は改めて風早を見上げた。
自然な色だった黒髪は、明るい栗色に染められていて、
高校の時も締まっていた身体つきであったが、今はそれよりも少し痩せているようだった。
人懐っこそうな雰囲気や優しそうな面影は変わっていないように見える。
しかし、梅はそのなかで明らかな違和感を感じた。
今目の前にいる青年は、自分が知っている男の子ではない。
そんな思いが拭えなかった。
風早なのに、風早じゃない。
当時の風早と明らかに違うもの。
風早が失ってしまったもの。
その瞳に、光は、ない。
梅が黙っていると風早は梅に歩み寄った。
その時、梅はドクンッと自分の心臓が跳ねるのが分かった。
風早の、ごつごつしていて細い指が、梅の目に残っていた涙を拭ったのだ。
顔を覗き込むように風早が優しく微笑む。
梅は思わず顔が赤くなった。
風早はそれに気付いているのかいないのか、今度は頬全体を撫でる。
「…胡桃沢、ほっぺあったかいね」
優しい口調。
優しい笑顔。
なのにわたしを見るその瞳は、冷たい。
梅は思わず下を向いた。その瞳から目を逸らすために。
「・・…風早、彼女いるのにこんなことしちゃだめじゃん」
風早から離れ、梅は平静を装った。
ふは、と、風早は梅から視線をいったん落とし、嘲笑した。
「彼女なんかいらないよ、俺は」
「え?」
「俺だけのものにならない女なんて、欲しくも無い」
そう言い放った彼の瞳は、鋭く、更に冷たく、梅を捕えた。
- 794 :風梅20[]:2009/01/20(火) 03:31:41 ID:71//d07W
-
――――ゾク
梅は、その瞬間本気でこの目の前の男に恐怖心を感じた。
そして、同時に深く暗い悲しみが、梅の心を驚くべき速さで侵食する。
梅の胸は強く強く締め付けられた。
あの太陽のような優しい笑顔は?
真っ直ぐにただただ誰かを想えていた気持ちは?
彼は、この2年間、1歩たりとも前に進むことが出来なかったんだ。
光ある未来を、彼は見つけられていない。
むしろ闇が、彼をどんどん奥深くへと飲み込んでいった。
深く、深く。更に深く。
戻る道すら彼は見つけられなかった。
気付いたときにはもう、彼の光は闇に奪われていたから。
「ほら、彼女なんていなくても女の子とは遊べるしね」
彼は笑う。
「・・・・・・かぜはや・・・・」
弱弱しいかすれた声が、梅からこぼれる。
「結構もてんだよねおれぇ。高校んときも色んな子と遊んでたらよかったなーって、ちょっと後悔・・・」
「風早!!」
思わず梅が大声をあげる。
「・・・・・・はい。何?」
相変わらずの乾いた笑顔。
その笑顔に、もはや梅は何の魅力も感じなかった。
梅は、彼を強く見上げた。
「……無理なんだよ」
梅の震える瞳には、再び涙が溜まっていた。
「そんなふうにいくら自分を傷つけたって、爽子ちゃんは戻ってこないんだよ!!」
ドクンッ
風早の表情がゆがんだ。
光こそないが、その瞳には明らかにさっきまではなかった色が見られる。
彼のその様子は、馴染みある時の風早を梅に一瞬見せた。
しかし、すぐにその様子はさっきまでの彼に取って代わる。
「…なに言い出すかと思ったら。いま爽子は関係ないじゃん」
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