【エルサレム前田英司】イスラエル南部のスデロト近郊に29日朝、パレスチナ自治区ガザ地区からロケット弾1発が撃ち込まれた。28日夜にはイスラエルと、ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの「停戦」後初のロケット弾攻撃があり、イスラエル軍はこれを受け、ガザ南部ラファ付近を報復空爆した。ガザ情勢は「暴力の連鎖」に逆戻りする懸念を深めている。
ロイター通信によると、アッバス・パレスチナ自治政府議長の出身母体ファタハ系の武装組織「アルアクサ殉教者団」が28日夜のロケット弾攻撃を認めた。イスラエルは「ガザからの攻撃はすべて『統治者』のハマスに責任がある」と主張している。軍によると、空爆の標的は武器製造に関係する金属加工所という。
一方、中東歴訪中のミッチェル米中東特使は28日、エルサレムでイスラエルのオルメルト首相と会談した。29日にはヨルダン川西岸の自治区ラマラで、アッバス議長らと会談する。特使はガザを訪問せず、イスラエルや米国が「テロ組織」と認定するハマスとも接触しないという。
毎日新聞 2009年1月29日 19時14分