人事や議員定数削減などをめぐり、市長と議会の対立が激化している鹿児島県阿久根市で、竹原信一市長(49)に反発する議員グループは21日、市長の不信任決議案を月内に京田道弘議長に提出することを決めた。グループは15市議のうち12人。2月上旬にも招集される臨時市議会で不信任案は可決される見通し。
可決された場合、竹原市長は「議会を解散する」と公言しており、3月までに出直し市議選となるのは確実とみられる。
反市長派の市議によると、21日の会合で不信任案の内容をまとめ、提出で合意した。不信任案では(1)竹原市長はインターネットのブログ(日記風サイト)で市議を誹謗(ひぼう)中傷するなど品位に欠ける書き込みを続けている(2)市長が教育総務課長に採用した人物は地方公務員法が禁じる「兼業」状態であった‐ことなどから、市長の資質に欠けると指摘する。
昨年12月の市議会で、竹原市長は「議会は市長不信任案を可決して、解散してもらいたい」と挑発。市長が今月12日付のブログで「議会で最も辞めてもらいたい議員は?」とアンケート投票を載せたほか、新年の市広報紙でも12市議が市政を妨害していると記載したことなどから、対立関係が決定的になった。
市議の任期は今年12月までだが、グループは不信任案提出の時期を探っていた。竹原市長は「市民のことを考えない市議会を刷新するチャンス。喜んで解散する」と受けて立つ構えだ。
竹原市長は市議を2年半務めて、昨年8月の市長選で初当選。市議時代から「議会は無駄」と批判していた。
竹原市長をめぐっては、市長選告示後もブログを更新し続けた問題で、県議や同市議の一部などが22日、公職選挙法違反の疑いで阿久根署に告発する。
■反市長派の12人 全員賛成で可決 不信任案
地方自治法では、不信任決議案は議員数の3分の2以上が出席した上で、そのうち4分の3以上が賛成すれば可決される。阿久根市議会では、反市長派の12人が全員賛成すれば可決される。その場合、市長は可決の通知から10日以内に議会を解散でき、解散しなければ失職する。
竹原市長は市議会解散を選択する意向で、出直し市議選となる見通し。改選後の市議会に再び不信任決議案が提出され、議員数の3分の2以上が出席し、そのうち過半数が賛成すると可決される。今度は解散はできず、市長は失職する。
反市長派が竹原市長を失職に追い込むには、出直し市議選(定数16)で9人以上の当選が必要となる。竹原市長を支援する市民グループも5人以上の新人を擁立する方針で、反市長派が思惑通りに当選者を確保できるかは分からない。市議選の結果が今後の展開に大きく影響する。
=2009/01/22付 西日本新聞朝刊=