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慣れない新任教員は一層苦しい。301人。07年度、全国で辞めた新任教員の数だ。10年前の7倍に上る。
05年4月、埼玉県越谷市の市立小で赴任19日目の22歳の男性教員が始業前に図工室で首つり自殺した。遺書はなかったが、初めての授業参観と保護者会の日だった。「彼は採用試験でトップ合格し、期待されていた。プレッシャーもあったかも」。同市内のベテラン教員は声を落とす。
1年目の教員は「条件付き採用」という不安定な立場だ。勤務成績が悪いと不採用もある。ベテラン教員も疲弊し、かつてのように寄り添う余裕がない。東京都内の小学校の20代の新任女性教員は「周りの先生に相談したくても、忙しそうな姿をみると遠慮してしまう」と明かす。
西東京市の市立小で06年、1年目の25歳の女性教員がうつ病になった末、命を絶った。公務災害の申請理由書によると、研修で市教委幹部から「頑張りが足りないと3月31日で分限免職」と言われていた。保護者の対応を巡り、職員会議で全員の前で謝罪させられたこともあった。
自殺を図る1週間前、福岡県に住む母の携帯電話に届いたメールには、こうあった。「こんな気分になるために一生懸命教師を目指したんやないんに…おかしいね」=つづく
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毎日新聞 2009年1月28日 東京朝刊