総合医、専門科として確立を―医学部生ら
「医療における安心・希望確保のための専門医・家庭医(医師後期臨床研修制度)のあり方に関する研究班」(班長=土屋了介・国立がんセンター中央病院長)の第7回班会議が1月28日、東京都内で開かれ、医学部生らからヒヤリングを行った。
【関連記事】
大病院と診療所の総合医をテーマにヒヤリング―厚労省研究班
「一貫した医師の生涯教育を」
専門医・家庭医制度で意見交換―厚労省研究班
後期研修の見直し議論がスタート―厚労省研究班
舛添厚労省「指導医の評価手法を」
慶大の「総合医調査研究チーム」は三つの研究班に分かれ、米、英の家庭医(GP)制度のメリットなどを紹介し、日本国内の新しい総合医の在り方を提案した。
同チームの医学部生らは、米国の家庭医制度のメリットとして、▽健康診断と医療行為(予防、治療)が切り離されない▽検査項目が患者ごとにカスタマイズされ、無駄がない▽電話、メール、手紙などのリマインダーで健診を忘れることがない―などを挙げた。その上で、「(日本でも)グループ診療などもぜひ取り入れてほしい」と述べた。
英国の医療制度の問題点としては、▽アクセス制限(費用対効果が低いとNHSが考えている医療は、GPの紹介状がないと専門医にかかれない)▽医療費の二度払い(プライベート医療を利用する人は税金のほかにプライベート医療費を払う必要がある)▽専門医にかかるまでの待ち時間(緊急性の低い人は長く待つことになる)−などを指摘。一方、「英国から学べること」として、▽第三者機関の設立▽患者データの蓄積▽GP育成―を挙げた。
その上で、「日本版総合医は専門科として確立すべき」「医療情報のデータベース化、情報システム一元化などを推進し、日本を医療情報大国にすべき」などと提案。その理由として、▽世界でも類をみない超高齢化社会、行き過ぎた臓器別専門分化、地域医療の崩壊(などの社会情勢)▽学会ごとにプログラムの偏りがある▽系統的なトレーニングの機会がない―などを挙げた。
東大、慶大、東京女子医大などの医学部生らがメンバーの「医師のキャリアパスを考える医学生の会」は、同会が理想とする「いい医者」の条件として、▽うまい(腕がいい、思いやりがある)▽えらい(自らの意見を発信する、大きな影響力がある)▽つよい(リスクをとる、逆境に耐える)−を挙げた。
続いて、その「いい医者」を養成するためのカリキュラムについて言及。「最低限の医学知識は教科書やウェブ検索で(独学で)身に付くと思う。現場での実地体験が講義より有用なこともある」との見解を示した。その上で、「勉強会、研究室(での研究や体験)、グループ学習(ディスカッション)、読書などの活動も単位として認めてほしい」として、▽必修はテストのみとする▽講義、実習はすべて自由参加にする▽臨床実習への参加条件を、臨床医学テスト、CBT(共用試験)、OSCE(実技)の合格とする―などを盛り込んだカリキュラムを提案した。
【NHS】
National Health Service。イギリスの国営医療サービス事業。
更新:2009/01/29 15:42 キャリアブレイン
新着記事
総合医、専門科として確立を―医学部生ら(2009/01/29 15:42)
1月28日の中医協(2009/01/28 22:13)
医療実調、単月と年間併せて実施−中医協(2009/01/28 21:54)
注目の情報
PR
記事を検索
CBニュース会員登録メリット
気になるワードの記事お知らせ機能やスクラップブックなど会員限定サービスが使えます。
一緒に登録!CBネットで希望通りの転職を
プロがあなたの転職をサポートする転職支援サービスや専用ツールで病院からスカウトされる機能を使って転職を成功させませんか?
【第46回】長谷川博史さん(日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス代表) かつては死に直結するイメージを持たれていたエイズだが、近年、医療の進歩でHIV陽性者の予後は長期化しており、長期の服薬や高齢化によるさまざまな健康問題などが生じている。こうした中、日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププ ...
医療法人社団斗南堂・八王子クリニック(東京都八王子市)ミディアム・テンション≠大事に仕事と家庭を両立 医師・看護師の厳しい労働実態が社会問題化し、医療現場の環境改善が重要な課題になっている中、「生活を大切にしながら働ける」医療機関が、東京都八王子市にある。医療法人社団斗南堂・八王子クリニックだ。 ...
WEEKLY