「試し腹」の元ネタについて
ジュピターインターノベルズというダウンロード販売サイトに出ている「斜陽の格子」というオンライン官能小説に「試し腹」という用語が登場しているのを発見した。
その設定によると、
・舞台は中国南部、雲南省西部の村「拓朴村」。
・女性が出産可能な体であるかを検証するため、「試し腹」は一族の男子によって行なわれる。
・多くの場合は、叔父と姪の間で行なわれるが、父と娘、兄と妹という組み合わせもある。
・「試し腹」によって出生した「試し子」は、多くの場合家族として扱われず、一生、奴婢同然の扱いを受けるが、その待遇は家長の決定に左右される。
・「試し子」は、成長を望まれず、早々に病死でもしてもらいたい存在である。
ネット上で見られる『朝鮮の「試し腹」という風習』の説明と酷似している。また、小説の舞台が「拓朴村」といい、中国よりもむしろ朝鮮を連想させる「朴」という字が含まれていることに注意したい。
一方、ネット上で出典とされることが多い「朝鮮風俗集」「ソウル城下に漢江は流れる 朝鮮風俗史夜話」には、直接的に「試し腹」を示す記述はないことが判明しているが、韓国の農村入り口などにあるトーテムポール「チャンスン」の由来説話として、実の娘を犯して、最終的には処刑された張大臣の話が載せられている。
材料は不足しており、実にあやふやな推測となるのだが、この「張大臣」の話に、ポルノ小説の引用を結合させて生成されたのではないかと。
むろん、逆に事実があって、そこに小説の内容をくっつけたという可能性もないとは言えないが、現時点では、上記の見解が妥当ではないかと考える。