「北が崩壊すれば治安維持に兵力46万人必要」
米国CFRの「北朝鮮急変のシナリオ」
米国の外交問題評議会(CFR)は、28日に発表した「北朝鮮の急変に対する備え(Preparing for Sudden Change in North Korea)」と題する報告書で、オバマ政権は北朝鮮の急激な崩壊よりも北朝鮮の政治形態の変化を追求することが必要だ、と勧告した。また、米国は北朝鮮の急変を収拾する過程で韓国に主導権を渡し、統一韓国の出現を支持すると表明しなければならず、中国を含む周辺国の利害関係が相反しないよう緊密に協力することが必要だ、とも記した。
◆統一に備え中国との対話を推進すべき
CFRは52ページにわたるこの報告書で、▲米国の対応能力の向上▲統一韓国に対するビジョンの開発▲中国との「静かな対話」推進および東北アジア安全保障機構の推進-を直ちに始めるべきだと主張した。
具体策としてCFRは、6・25(朝鮮戦争)当時、北朝鮮内で命を落とした米軍将兵の遺体発掘作業を再開することで北朝鮮と接触する窓口を維持し、北朝鮮軍の動向を把握することを勧めた。遺体の発掘は、ブッシュ前政権下で中断している。また、韓国の統一がなされても38度線以北には米軍基地を設置しないと約束することも、中国を安心させる方法になり得る、と紹介した。
この報告書を企画・支援したCFRのゲイリー・サモア研究室長は、ホワイトハウスに新設される「大量破壊兵器およびテロ防止調整官(次官級)」に起用される可能性が高い。また報告書の作成者の一人であるコロンビア大のジョエル・ウィット先任研究員は、クリントン元政権時代、国務省の北朝鮮担当官だった。従ってこの報告書は、オバマ政権の対北朝鮮政策で基本資料として活用される可能性が高い。
◆最大46万人の治安維持兵力が必要になる可能性も
同報告書は、金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康が悪化した場合のシナリオとして、▲金総書記の息子や彼の義弟に当たる張成沢(チャン・ソンテク)氏らが権力を握る「よく管理された継承」▲金総書記と関係がない新しい政権が立ち上がる「闘争的継承」▲北朝鮮の完全な崩壊につながる「失敗した継承」-の3種類を予想した。「よく管理された継承」が成功した場合、北朝鮮は経済改革や国際社会との協力に乗り出すことができる。しかし「闘争的継承」では、さらに抑圧的・閉鎖的な政権が生まれる可能性がある、と同報告書は予想した。
また同報告書は、北朝鮮が急変した場合、6個から8個の核兵器を作ることができる核物質、4000トンのNBC(核・生物・化学)兵器、弾道ミサイル開発計画に対する速やかな管理が最優先課題になると見通した。その一方、同報告書が明らかにしたところによると、米国国防科学院は、北朝鮮崩壊後に抵抗運動が展開された場合、北朝鮮の治安維持のためイラク駐留米軍の3倍に相当する最大46万人の韓国軍・米軍が必要になるだろうとみている。
ワシントン=李河遠(イ・ハウォン)特派員
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