南禅寺近くの閑静な住宅街にある、日本漢字能力検定協会が所有する建物の門=京都市左京区南禅寺草川町
財団法人の日本漢字能力検定協会(本部・京都市)が京都市内で土地と建物を約6億7千万円で取得していたことが、所管する文部科学省の調査でわかった。協会側は「資料館にする」と説明しているが、土地の用途は5年以上、変更されないままだという。
文科省の聞き取り調査によると、同協会は03年7月、銀行の不良債権だった京都市内の土地約4千平方メートルと延べ床面積約1350平方メートルの建物を競争入札で取得。また、04年2月には同市内の天龍寺内の墓園に350万円をかけて石碑を建てた。
同省は「公益法人の支出として適切なのか調べている。土地と建物を合理的な理由がないまま長期間使用していない状態なら、改善が必要だ」としている。
同省の調査では、同協会の大久保昇理事長が代表を務める広告会社に対し、同協会が広報の企画や機関誌の発行などの業務委託費として、06年からの3年間で約8億円を払っていたこともわかった。同省には取引についての報告はなかったという。
同協会は朝日新聞の取材に対し、「取得した土地と建物は将来的に充実した漢字資料館を建築する目的で所有している。供養塔は協会の理事、評議員など協会の発展に貢献があった人を供養する目的で所有している。文科省の調査には全面的に協力する」としている。
同協会が実施する漢字検定は年間270万人が受けている。同協会は年末恒例の「今年の漢字」も発表している。