2009年1月24日 10時58分 更新:1月24日 13時20分
【北京・浦松丈二】中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、製造元の「天洋食品」(河北省石家荘市)が回収、保管していたギョーザ約15万食が08年4~6月にかけて複数の地元国有企業に横流しされていたことが分かった。複数の関係者が24日明らかにした。同省唐山市の「唐山鋼鉄」従業員が同5月にこのギョーザを食べて中毒症状を訴え、病院に運ばれていた。横流しは、地元政府機関が経営難に陥った天洋食品の救済のため国有企業に購入を指示したもので、改めて食の安全をめぐる中国のずさんな管理が浮き彫りになった。
唐山鋼鉄では同5月ごろ、会社側から福利厚生として従業員や家族らに天洋食品製「中華deごちそう ひとくち餃子」が数万袋の規模で無料配布された。中国では08年1月に日本で発覚した同社製の中毒事件が大きく報道されておらず、従業員らは危険性を知らされずに食べたとみられる。
関係者によると、地元国有企業を監督する河北省国有資産監督管理委員会が唐山鋼鉄の親会社、河北鋼鉄集団側に冷凍ギョーザの購入を指示。同集団を通じて複数の傘下製鉄会社の従業員に無料配布、または販売された。
日本政府は事実関係を中国側に問い合わせているが、中国側は「事実関係を把握していない」と確認を避けている。
中国では同6月にも同社製の冷凍ギョーザを食べた4人が中毒になった。関係者によると、この4人も河北鋼鉄集団の傘下の「承徳鋼鉄」(同省承徳市)の関係者だという。
横流しされたギョーザは日本で中毒事件が発覚する直前まで天洋食品で製造していたギョーザと同じ製品であり、安全性は確認されていなかったという。