日本漢字能力検定協会、6億円邸購入…5年半公開せず
日本漢字能力検定協会が購入した建物の門(京都市左京区南禅寺草川町で)
公益事業では認められない多額の利益を上げていた財団法人「日本漢字能力検定協会」(京都市下京区、大久保昇理事長)が約5年半前、京都市左京区・南禅寺近くの閑静な住宅地に、土地と建物を約6億7000万円で購入していたことがわかった。文部科学省の調査に対して、同協会は「資料館として使用する」と説明しているが、実際には、住宅地のまま、土地の用途変更を行っていない。同省は、このままでは「漢字検定や普及・啓発活動」などと定めている同協会の事業内容に違反する可能性があるとして、購入の経緯などについて調べる。
同省などによると、同協会は2003年7月、左京区の約3500平方メートルの土地と、茶室や居間、寝室などを備えた日本家屋(延べ床面積約1300平方メートル)を購入した。同省が購入目的などについて尋ねたところ、同協会は「漢字に関する資料を展示し、広く一般に公開する予定だが、公開時期は未定」と回答した。
京都市によると、住宅から資料館に土地の用途変更をする場合に必要な手続きも行われていないという。同省は長期間、公開していないことについても、説明を求める方針だ。
また、同協会は04年2月、右京区の天龍寺塔頭・宝厳院の墓園に、「財団法人日本漢字能力検定協会」と刻んだ石碑などを建立した。これについて、同協会は文科省に対して「協会の発展に貢献した理事、評議員の供養塔」と説明しているが、同省は「協会の事業として認められるかどうか、詳しく調査したい」としている。
同協会は年約270万人(07年度)が受検する「日本漢字能力検定」などを実施。土地などが購入された03年度の事業総収入は、02年度より約10億円多い約68億5000万円。支出は約66億8000万円で、約1億7000万円の利益が生じ、同省が検定料の引き下げなどを指導した。
同協会は、読売新聞の取材に対し、「文科省の調査に全面的に協力しており、質問には答えられない。調査結果は皆さんに報告する」としている。
(2009年1月29日 読売新聞)