「まことちゃんハウス」訴訟 赤白模様の外壁撤去などを求めていた住民側の訴え棄却
漫画家・楳図 かずおさんの自宅をめぐり、周辺住民が赤白模様の外壁の撤去などを求めていた裁判の判決が28日、東京地方裁判所で開かれ、東京地裁は、住民側の訴えを棄却する判決を言い渡した。
「まことちゃん」などの作品で知られる漫画家・楳図 かずおさんがトレードマークとする赤と白がシンボルの通称「まことちゃんハウス」。
東京・吉祥寺に建つ家の前には、28日も写真を撮りに来た人たちが訪れていた。
「まことちゃんハウス」を見に来た人は、「すてきだと思います。『グワシ』と思いました」と話した。
しかし、近隣住民の間からは「景観が破壊される」との反発の声が上がっていた。
2007年、住民は「これは明らかに色彩の暴力であり、形の暴力」と話していた。
住民らが外壁の撤去などを求めていた注目の裁判で、楳図さん本人も出廷する中、判決が言い渡された。
東京地裁は、「原告らに不快の念を抱かせるとしても、(原告らの)私生活ないし平穏生活権を、限度を超えて侵害するものということはない」として、原告らの請求を棄却した。
判決について、楳図さんは「ありがとうございます。人生の中のドラマの一瞬って感じがしました。それだけに、無心で(判決を)聞いてはいたんですけど。凝縮した時間だったと思いました」と話した。
楳図さんの家の目のようになっている2つの窓が、原告側が「外をのぞき見る可能性がある」と訴えてきたものだが、28日の判決で、裁判所は「外をのぞき見る可能性は低い」と判断し、プライバシーを侵害するものではないとした。
28日の判決を受け、原告側は「一度も話し合いに応じてもらえず、心ならずも裁判という形を取りました。原告らの主張が認められなかったことについては、誠に残念です。判決内容を検討したうえ、控訴するか決めたいと思います」とコメントした。
また、近隣住民は「わたしは気にならない。気持ち良く迎え入れてあげれば」、「そんなに迷惑をかけるほどのものではなかったと思います」などと話した。
楳図さんは「無理やり仲良しっていうのではなくて、間を置くのも仲良くする方法かと思いますので、当たらず障らずと言ったら変ですが、気を配りながら生活させていただきたいと思います」と話した。