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総工費280億円 豪華ホテルが含まれていた!

●109億円で買う「オリックス」はやっぱりボロ儲け

 日本郵政がオリックス子会社のオリックス不動産と結んだ「かんぽの宿」(70施設)を一括譲渡する契約には怪しい話がたくさんある。年間40億円の赤字を出す施設とはいえ、譲渡総額は109億円で、1施設当たりの平均金額はたった1.5億円。しかも、一括譲渡の物件の中には、「かんぽの宿」以外にもおいしい物件がイロイロある。首都圏にある9つの社宅もそうだし、もう1件怪しいのが、さいたま市のJR「さいたま新都心」駅前の官庁街区に立つ「ラフレさいたま」だ。都心までのアクセスが抜群にいい上、建設費だけで譲渡金額(平均)の200倍を投じた“超豪華ホテル”である。

「ラフレさいたま」は旧郵政省管轄の簡易保険福祉事業団(現日本郵政簡易保険事業本部)が2000年9月に建設した。地下2階、地上16階建てで、延べ床面積は3万5000平方メートル。187の客室と、25メートルプール、温水クア、フィットネスクラブなどの施設があり、総工費は、土地(62億円)と建物(217億円)で279億円。家具や機器類の付帯設備を含めると初期投資で軽く300億円はかかったシロモノだ。

「さいたま新都心のシンボル的存在ということで、円形のアトリウムなど細部にこだわり、設計・工事監理費だけで5億円もかかった建物です。当時の建物の施工単価が1平方メートル当たり50万円だったのに対し、ラフレは同70万円とケタ違いでした」(地元不動産業者)

 バブル時代並みのコストをかけた建物を開業から8年でタタき売るなんて、どう見てもヘンだ。そもそも建設費の原資は簡易保険加入者が納めた保険料。手放すにしても、なるべく高値で売って加入者に還元するのが当然だ。視察した社民党の保坂展人衆院議員が言う。

「ラフレは年間9000万円の赤字のうち、7割は減価償却費(6500万円)です。立地が良く、満室率は7割を超え、フィットネスクラブの会員は5000人いる。年間売り上げが22億円もあり、今後、十分採算が取れる施設です」

 ちなみに「ラフレさいたま」開業当時の簡易保険福祉事業団理事長の成川富彦氏は、旧郵政省出身。ラジオの旧エフエムジャパン(現J―WAVE)社長や財団法人逓信退職者連盟(現日本郵政退職者連盟)など関連団体に“渡り”を繰り返した典型的な天下り役人だ。

 日本郵政は取材に「一切応じない」(報道担当)という対応。そもそも、国民に理解を得ようとする発想がない。公正な入札が行われたのかが、ますます怪しくなってくる。

(日刊ゲンダイ2009年1月22日掲載)


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