三菱重工業は12日、日本の基幹ロケットH2Aを使い、韓国の多目的観測衛星アリラン3号(コンプサット3)を打ち上げる契約を受注、同日調印したと発表した。11年度に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げの予定だ。日本の基幹ロケットによる海外からの衛星打ち上げ受注は初めて。海外市場への参入は、日本のロケット開発の長年の目標だった。
アリラン3号は、韓国航空宇宙研究院(KARI)などが開発。三菱重工業は昨年10月、打ち上げの国際入札で優先交渉事業者に選ばれ、詰めの交渉を続けていた。契約額は明らかにされていないが、宇宙航空研究開発機構の水循環変動観測衛星「GCOM―W」と相乗りで打ち上げるため、通常の打ち上げ費用(90億円前後)より大幅に安いとみられる。
H2Aは、宇宙機構が開発し、三菱重工業が製造する大型ロケット。01年以来、14機中13機の打ち上げに成功しており、成功率は欧米ロの主要ロケットと肩を並べる水準だ。07年9月の13号機から打ち上げ業務を民営化。業務を移管された三菱重工業が、国際的な営業活動に力を入れてきた。(安田朋起)