中国人農業実習生7人を最低賃金以下で働かせていたとして、長崎県西海市の青果卸売業者が最低賃金法違反などの疑いで書類送検された問題で、実習生を受け入れた同市が別の実習生の失踪(しっそう)に7カ月間も気付かないなど、ずさんな管理を続けていたことが5日、分かった。同市が実習生に対する研修を十分に行ったように装って入国管理局に報告書を提出していたことも発覚。入管は、これらの市の対応について国の指針違反の可能性があるとみて調べている。
同市によると、市は2005、06年に計24人の中国人女性を農業研修・実習生として受け入れた。このうち同市の農家で研修を受けていた1人が07年5月に失踪。農家がこの事実を市に報告しなかったこともあり、市は女性が同年12月に関東地方で保護されるまで失踪の事実を把握していなかった。
失踪事件を受け、入管は同市の管理態勢を調査。同市は05年度に計画した年間235時間の実習生に対する日本語研修などについて「ほぼ計画通り実施した」と入管に報告していたが、実際の研修時間は2割程度だったことが発覚した。
市農林振興課は「(報告書虚偽報告は)実習生を集める時間がなかった。管理や指導が不足していた」としている。
=2009/01/06付 西日本新聞朝刊=