◆携帯電話のパケット定額サービス。利用するとき気をつけることは。
一定料金で携帯電話のデータ送受信が使い放題になる「パケット定額サービス」。対象外の使い方があると知らず、数万~数百万円もの高額請求を受ける利用者が続出している。携帯電話各社は、通信料が高額になった場合にメールで警告するなど対策強化を進めるが、利用者も料金システムを熟知する必要がある。
メール送受信やウェブ閲覧、音楽やゲームのダウンロードにはパケット通信料が発生する。例えば、音楽なら1曲ダウンロードすると数千円。通信時間でなく、通信量で課金されるため、高速通信が可能な最新機種では理論上、1分間使っただけで1万2000円もの料金がかかってしまう。データ量の大きい音楽や動画を頻繁にダウンロードする利用者にはパケット定額サービスが欠かせない。
ただ定額の対象外もある。パソコンとケーブルで接続しての通信▽パソコン用ウェブサイトの閲覧▽海外での通信--などは、サービスの対象外か、別に高額な定額サービスに申し込まないと接続し放題にならない。通信量が過大になると他の利用者に迷惑がかかるというのが理由だ。
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「就職活動のためパソコンとつなぎ、ネットで情報をやり取りしていたら料金が120万円になった」(20代、女子学生)、「外国でネットを見ていたら帰国後13万円の請求が来た。販売店に海外で使うと伝えていたのに」(30代、自営業男性)。国民生活センターには相談が相次ぐ。
センターは07年4月、販売時の説明不足を指摘した。携帯各社は「対象外」について店頭説明の徹底や、カタログの改善などの対策を取った。
消費者団体「消費者機構日本」(東京都)は「パソコンとつなぐケーブルや、データ通信をするのにインストールが必要なCD-ROMが購入時の付属品になっているため、気軽に接続できてしまう」とインストール時の警告表示など改善を要望。ソフトバンクモバイルは08年冬から、半分以上の機種でCDもケーブルも付属しないよう改めた。
また携帯各社は通信料を確認できる専用サイトを設け、通信料金の概算ソフトを提供するサービスも始めている。
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国民生活センターは相談に対し、高額になった事情を携帯会社に説明したうえで減額を頼むよう勧めている。あっせんで請求が半減したケースもあるが、センターは「最近は販売時の説明が徹底されてきたので『聞いていない』では通用しない。減額は難しい」と注意を呼びかける。
適格消費者団体「京都消費者契約ネットワーク」(京都市)が、「契約自体に欠陥がある」として契約条項の差し止め請求を検討する動きもある。安心して携帯電話を使えるよう、分かりやすい料金体系と説明が求められている。【熊谷豪】
毎日新聞 2009年1月28日 東京朝刊