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【社説】サムスン電子、半導体・携帯電話に続く「神話」を

 サムスン電子が2008年10-12月期に9400億ウォン(約600億円)の営業損失を出した。同社の赤字は2000年7-9月期に四半期ベースでの業績発表を始めて以来初だ。赤字幅も当初予想の3000億ウォン(約190億円)台をはるかに上回った。部門別では半導体が5600億ウォン(約360億円)の赤字、液晶ディスプレーが3500億ウォン(約220億円)の赤字、携帯電話が1600億ウォン(約100億円)の黒字だった。携帯電話部門の黒字は前年同期を70%も下回った。

 サムスン電子の業績が予想を下回ったのは世界的な景気低迷が原因だ。サムスンの競合各社も大半が苦しい状況に直面している。DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)の場合、世界5位の独キマンダが最近破たんし、6位の台湾・南亜科技は営業損失が売上高を上回る寸前だ。液晶ディスプレー部門の営業損失率(売上高に占める営業損失の比率)はサムスンの営業損失率8%に対し、世界3位の友達光電(AUO)は44%に達する。携帯電話世界最大手のフィンランド・ノキアは08年10-12月期の営業利益がサムスンと同様に前年同期比で70%減少した。このため、サムスン電子が相対的に善戦したとの評価も聞かれる。

 しかし、サムスンの業績悪化には構造的な要因もある。同社の営業利益は04年の12兆200億ウォン(現在のレートで約7690億円、以下同)をピークに、05年が8兆600億ウォン(約5150億円)、06年が6兆9300億ウォン(約4430億円)、07年が5兆9400億ウォン(約3800億円)、08年が4兆1300億ウォン(約2640億円)と減少の一途をたどっている。売上高は伸び続けているが、営業利益は逆に縮小している。これが同社の根本的な問題だ。こうした傾向が改善されなければ、今回の世界的な景気低迷の影響を受けなくても、遠からず成長の限界に直面しただろう。

 サムスン電子はDRAM、半導体、液晶ディスプレー、携帯電話に続く新たな成長分野をつくり出せずにいる。半導体、液晶ディスプレー、携帯電話は先行メーカーと後発メーカーで技術力の差が大きくない。資本力さえあれば、後発メーカーがいくらでも先行メーカーに追いつくことができる。サムスン電子がまさにそうして日本企業を押しのけ、DRAMと液晶ディスプレーで世界最大手となった。現在は逆に日本、台湾、中国の企業がサムスンのそうした戦略をまねている。他社に先駆けた大規模投資でシェアを拡大してきたサムスンのやり方も通じなくなってきている。

 サムスン電子が今後も世界の一流企業としての地位を守っていくためには、半導体と携帯電話の「神話」を乗り越えなければならない。既存の製品を改善、改良することから一歩踏み出し、新たな市場をつくり出せる新たな製品を投入すべきだ。同社は現在、栄光の神話の終点に近づいている印象だ。まさに今、新たな神話が誕生するかどうかにサムスンの未来、そして韓国経済の一部が懸かっている。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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