消費者金融業者などからの借り手が、利息制限法の上限を超えて支払った「過払い金」の返還を求める際、どの時点までさかのぼって請求できるのかが争われた訴訟の上告審判決が22日、あった。最高裁第一小法廷(泉徳治裁判長)は「時効は取引終了時から始まる」との初判断を示し、最終的な借り入れや返済から10年以内であれば、すべての過払い金の返還を求められるとした。
過払い金をめぐっては最高裁が07年、請求権が民法に基づくもので、10年間の時効が適用されると判断していた。しかし、10年間のスタートが過払い金が発生した時点なのか、取引が終了した時点なのかについては下級審で判断が分かれており、この問題をめぐる最後の大きな争点とされていた。
第一小法廷は判決で、借り入れの際に交わす「基本契約」の趣旨から、最後の返済が終了するまでは返還を請求しないことが合意されていると指摘。取引が続いている限りは、時効が始まらないと判断した。消費者金融やカード会社の場合、ほとんどの貸し付けはこのような契約に基づいて行われているという。
この訴訟は、82年から05年まで東日本信販(東京)と取引を繰り返していた東京都江東区の男性(56)が、過払い金など約320万円の支払いを求めて起こしていた。一、二審とも原告側の請求を認め、東日本信販が「170万円分は時効が成立している」と主張し、上告していた。(中井大助)