築地市場(中央区)の移転先である豊洲地区(江東区)の土壌から発がん性物質が検出されたのに都が公表していなかった問題で、都は27日、築地市場内で市場の各団体代表者への説明会を非公開で行った。
説明会終了後の都の記者会見によると、市場関係者の出席者は水産、青果の卸売業団体代表など約30人。会の冒頭、比留間英人・中央卸売市場長が「情報が後出しになり申し訳ない」と陳謝し、市場の移転方針に変わりないことを強調した。出席者からは「情報をもっとオープンにしていれば問題はなかったのではないか」などの意見が出たという。
出席した東京魚市場卸協同組合の伊藤宏之理事長は終了後、「都は今回はすぐに説明したが、こういうこと(情報隠し)がもし二度三度と続けば、我々と都の信頼関係は危うくなる」と話した。
また、傍聴に来ていた仲卸の山崎康弘さん(39)は「都の説明には納得できない。きちんとした情報を公開してほしい。不信感が募った」と不満を述べた。
一方、都はこの日、新市場予定地の地層でこれまで「汚染物質をさえぎる」と説明していた粘性土層の中からも、ベンゼンやヒ素などが検出されていたことを明らかにした。移転予定地の所有者である東京ガスの調査で判明したもので、既に07年5月の専門家会議に報告されていた。
専門家会議は粘性土層についても有害物質の有無を調査するよう求めており、都は「今後、新市場建設作業の中で土壌を掘り起こした際に調査する」と述べた。【江畑佳明】
毎日新聞 2009年1月28日 地方版