鳥取県立鳥取盲学校(鳥取市国府町宮下、前田光夫校長)の専攻科理療科で、教諭の補助をする「実習助手」が五年以上にわたり、法律違反となる単独の授業を続けていたことが二十日、分かった。鳥取県教委は校長らの処分を検討。卒業を控えた生徒が単位を取得できない可能性も浮上し、文部科学省と県教委が対応策の協議に乗り出した。
学校教育法では、実習助手の役割について、実験・実習で「教諭の職務を助ける」と定めている。前田校長は「法令順守の気持ちが足りなかった。違法と認識していたが、安易に黙認してきた。責任は重い」と述べた。
鳥取盲学校や県教委などによると、同校は本年度、実習助手四人のうち二人が、教諭の補助ではなく一人で教壇に立った。法律では実験と実習に職務を限っているが、計週五時限の必修科目と選択科目の授業で、治療院の経営方法や治療師の役割などを講義してきたという。
二人は男性と女性で、いずれも五十代。マッサージ・針・灸(きゅう)の資格はあるが、教員免許はない。授業は二、三年生の計十三人が受けていた。
同校は、年度初めに作った時間割や授業の担当者を盛り込む「計画表」で、単独の授業についても「教諭と実習助手」という形で実態と異なる記載をしていたという。
記録がある五年前から実習助手のみの授業が続いていたが、「それ以前から行われていただろう。教員免許を持った人材の確保に苦戦していた」と前田校長。
県教委は今年一月、同校の不正を知り、実習助手がいる他の県立特別支援学校六校も調査したが、「問題はなかった」としている。
実習助手の単独授業は単位が認められない。しかし、同校では国の基準を倍近く上回る授業をこなしており、「不足分は補完できるだろう」と説明。補習も視野に入れている。
県教委特別支援教育室は「大変遺憾であり、管理監督の責任を痛感している」とコメント。「生徒には何の責任もなく、絶対に卒業できるよう一生懸命に協議し、最善の方策を早急に示したい」と話している。