長崎市の新市立病院と日赤長崎原爆病院の統合問題をめぐり、市と県の各案を検証している同市のプロジェクトチーム(PT)は27日、市議会厚生委員会で、県案を受け入れた場合、市民病院職員の退職手当などで多額の経費が生じ、市案に比べて市の財政負担が2倍以上になるとの収支計算結果を明らかにした。西日本新聞の取材に対し、矢野右人県病院事業管理者は「退職金は市がいずれは支払うべきもの。同じ土俵で比較していない」と批判した。
市PTによると、病院開設10年後までの市負担額の累計は、市当初案で19億円、病床数や医師数を増やした見直し案で16億円。一方、指定管理者制度の導入や予定地の変更を伴う県案は、医師を含めた400人超の職員に対する退職手当(約48億円)や着手済みの買収用地に対する補償費(約15億円)などが新たに必要となり、市の負担が43億円に上るとしている。
一方、矢野県病院事業管理者は、同日の委員会に参考人として出席。市の見直し案について「県が提案する高機能病院に近づいている。ただ、戦力となる後期研修医(専修医)を30人も新規に確保することは不可能に近い」と指摘。その後、委員に医師確保の根拠をただされた市側は「医師確保は現時点で相当厳しい。病院の指導者の質を上げたり、長崎出身者に呼びかけて何とか実現させたい」と述べた。
=2009/01/28付 西日本新聞朝刊=