健康商品販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)」(東京都新宿区)が「円天」と称する疑似通貨を宣伝材料に多額の現金を集めたとされる事件で、同社が01年からの約6年間で2200億円以上を集め、少なくとも870億円余が未返還であることが、警視庁と宮城、福島県警の特別捜査本部への取材などで分かった。05年12月から、出金が入金を恒常的に上回っていたという。
特捜本部は、同社が資金繰りのつかない状態で会員から金をだまし取り続けたとみて、同社の波(なみ)和二(かずつぎ)会長(75)ら同社幹部と上級会員ら約20人を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑などでの立件を視野に詰めの捜査を進めている。28日は都内で第2回債権者集会が開かれる。
捜査関係者やL&G幹部らによると、同社が01年から07年4月末までに集めた金の総額は、約2264億7千万円。内訳は「あかり価格」と呼ばれる入会金約239億円、100万円を預ければ年利36%とうたって会員から集めた「協力金」が約2018億円、現金を預けると同額のポイントを保証するとうたった「円天受取保証金」が6億円超。一部は配当として会員に返されたが、約873億円が未返還だという。円天と交換された商品の価値は含んでいない。
同社は07年10月、出資法違反容疑で警視庁などの家宅捜索を受け、現在は破産手続き中。最盛期には約130億円あったとされる預金残高は、管財人の調査では、家宅捜索時に約2億2千万円しかなかったという。
波会長は家宅捜索後、複数回にわたって朝日新聞の取材に応じ、「L&Gはマスコミ報道に端を発した警察の強制捜査で全壊させられた。虚偽の報道がなければ円天市場は続いていた。金をだまし取ってなんかいない」と容疑を全面否認。現在も、家宅捜索後に開設したブログや自費出版の本などで独自の主張を続けている。