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【社説】政府は法と秩序を守るべき

 今回ソウル市竜山区の第4再開発地区で起こった爆発・火災事故の真相が、徐々に明らかになりつつある。ビルに立てこもって機動隊と対峙(たいじ)した住民らの取り調べを行っている検察は、この地域で店を借りて営業を行っていた自営業者のうち6人が1000万ウォン(約64万円)ずつ出し合い、合計6000万ウォン(約380万円)を闘争のための資金として準備していたことを明らかにした。全国撤去民連合会(全撤連)と自営業者らはこの資金を利用し、空気銃で発射するためのゴルフボール1万個、20日分の食料、発電機を回すための燃料が入ったドラム缶20本、シンナー20リットル缶60本、バリケードを築くための特殊工具などを購入していたという。彼らは屋上に見張り小屋を築くための金属製の板や仮設物などを引き上げるため、クレーンまで動員した。さらに焼酎の空き瓶にシンナーを入れて作った火炎瓶400本、ジュースなどの瓶に塩酸を入れた塩酸瓶50本も用意していた。

 工事現場用のヘルメットをかぶりマスクをして立てこもった住民らは、鉄パイプを溶接してY字型にした大型の投石機で火炎瓶を飛ばした。そのため漢江大通りを通り過ぎる車は、火の粉を避けながら進まなければならなかった。容疑者らは屋上から下にいる機動隊員らに向けて煉瓦を投げつけ、シンナーを振りかけた。大都市ソウルの中心部が、まさに内戦の現場にでもなったかのようだった。このようなことが米国や日本の大都市の中心部で起こったとしたら、各国の政府はどのような対応を取っただろうか。またその国の人たちは誰の責任だと指摘するだろうか。

 全撤連は過去にも今回と同じように、重武装して見張り小屋を築くような抵抗を何度も重ねてきた。1995年には京畿道竜仁市水枝地区で10カ月、99年には水原市権善区で4カ月、2003年にはソウル市銅雀区上道洞で16カ月、03年には高陽市一山東区楓洞で20カ月、05年には烏山市細橋洞で2カ月にわたり行われた。竜仁市内にある家具商店街では、今も13カ月にわたりバリケード闘争が続いている。全撤連は鉄パイプで銃を自作するだけでなく、農薬の噴霧器を改造して火炎放射器も作っている。水原市権善区では大砲のようなものまで登場した。烏山でのバリケード闘争では、現場を片付けていたアルバイトの大学生に火炎瓶が飛んできて火が付き、焼死するという事故も起こった。

 都市でのゲリラ戦と何ら違わないこの暴力闘争は、絶対にこれ以上放置してはならない。ソウルだけで今後450カ所の再開発、65件のマンションやビルの建替え、26のニュータウン、467の都市環境整備事業が進められている。政府は再開発を行う組合と自営業者との対立を仲裁する制度と仕組みを準備する必要があるだろう。権利金や内装のために数億ウォン(1億ウォン=約640万円)の費用を投じた自営業者に対し、わずか1000万ウォン(約64万円)や2000万ウォン(約128万円)程度の補償金しか支払えないような再開発のやり方は、今後見直すべきだ。

 何よりも重要なのは、わずか数人のデモ専門家が都市の中心部にあるビルを占拠し、幹線道路に向かって火炎瓶を投げ、1000万の市民が住む都市を戦場のようにしてしまうことを、これ以上放置してはならないということだ。政府は今回の事件を昨年の米国産牛肉輸入問題のように大きくしようとする勢力に対し、断固として対応すべきだ。政府が法と秩序、そして国民の安全を守り抜くことができないなら、国民は決して政府を信じて頼ろうとはしないだろう。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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