指導力不足を理由に岡山県教委から分限免職処分を受けた元中学校教諭の男性(50)=岡山市=が、県を相手に処分の取り消しを求めた訴訟の判決が27日、岡山地裁であった。近下秀明裁判長は「教師として適格性を欠いたとしても、地方公務員としての適格性については十分な検討がなされておらず、処分は裁量権の乱用にあたり違法だ」として取り消しを命じた。
判決は、元教諭の授業中に立ち歩く生徒がいたり、試験問題を適切に作成できなかったりした点については「教員としての適格性を疑わせるに十分」と指摘。その一方で「公務員の地位を失うという重大な結果をもたらす処分については、教員としての適格性を欠くというだけでは足りない」とし、「学校職員など別の職への採用の可否は検討されておらず、地方公務員としての適格性を厳密に検討していない」と判断した。
判決などによると、元教諭は81年に採用され、岡山市内の中学校で約24年間、理科教諭として勤務。しかし、実験中に安全性の確保を怠ったり、教科指導に必要な専門性に問題があったりしたとして、05年度に県教委から「指導力不足」と認定された。1年間の研修後も改善がなかったとして、06年4月に分限免職処分にされた。同5月に県人事委員会へ処分取り消しを申し立てたが、県人事委も処分を承認した。
記者会見した元教諭は「教育方法に直す点はあると思うが、もう一度授業を通じて理科の楽しさを教えたい」と話した。県教委は「主張が認められず極めて残念。今後の対応については判決内容を検討したい」との談話を出した。(北上田剛)