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【東京】

日本で獄死した韓国の詩人 尹東柱の存在知って

2009年1月27日

詩集を手に「顕彰事業を通じ尹東柱を知ってほしい」と語る柳さん=豊島区で

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 立教大(豊島区)は今年の創立百三十五周年を機に、戦時中に同大に留学していた韓国の国民的詩人尹東柱(ユン・ドンジュ)=一九一七−四五年=を顕彰する奨学金の創設を検討している。六十四回目の命日を前に二月十五日、学内で追悼の集いが開かれる。教職員や卒業生でつくる「詩人尹東柱を記念する立教の会」は、日韓交流や平和につながるよう「奨学金や集いを通じ尹東柱の存在を多くの人に知ってほしい」としている。 (松村裕子)

 尹は、朝鮮半島が日本の植民地支配下にあった一九三八年、現在の延世大学(ソウル市)に入学し、その後、創氏改名を体験。クリスチャンで、四二年にミッションスクールの立教大に留学、十月には同志社大に転校した。

 四三年、ハングルで詩を書いたため治安維持法違反で逮捕され、四五年二月十六日、福岡刑務所で二十七歳で獄死した。戦後、日本でも詩集が発行され、高校の国語の教科書で詩人茨木のり子さんのエッセーの中で詩が紹介されている。

 奨学金は、日韓友好の懸け橋になる韓国人留学生を対象に想定。昨年、初めて開かれた追悼の集いにあわせて発足した「立教の会」が提案し、同大が百三十五周年を機に取り組む奨学金の充実計画の中に盛り込んだ。

 奨学金の詳細は詰まっていないが、韓国出身の柳時京(ユ・シギョン)同会事務局長は「日韓交流や平和活動のための研究をする留学生を応援したい。日韓交流にかかわる日本の学生にも対象を広げられれば」と希望。「過去の歴史に対する一回きりの謝罪より、日本人が植民地支配の犠牲になった韓国人を弔い続けることが、さらなる相互理解につながる」と継続的な顕彰事業の意義を語る。

 集いは午後二時から同大チャペル。礼拝に続き、尹がよく口ずさんだアリランなどを参加者全員で歌うほか、立教時代に作った詩や子どもをテーマにした詩の朗読が行われる。大村益夫・早稲田大名誉教授の講演もある。資料代は千円、学生は五百円。問い合わせは事務局=(電)03(3985)2696=へ。

 

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