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総工費600億ウォンの刑務所、開所のめど立たず(下)

 今年1月現在、華城職業訓練刑務所には入所者が一人もいない。29人の刑務官が配置されているだけだ。彼らの任務は、がらんどうの刑務所を警備し、所内にある20億ウォン(約1億4200万円)相当の最先端の教育設備を管理し、水道管が破損しないよう、入所者がいない部屋で1日に1回ずつ暖房を入れるというものだ。政府は今年1月から2月にかけて同刑務所の暖房に使われるガス料金が、2500万ウォン(約177万円)ほどになると予想している。

 これについて行政安全部は「刑務官の新規採用計画が白紙撤回されたが、既存の刑務所の人員の配置を適正なものにし、余った刑務官を華城職業訓練刑務所に配置すれば、十分やっていけるだろう」と主張した。企画財政部も「“効率的な人員の配置”はすべての省庁における基本的な方針だ。法務部だけが例外ではない」と話している。

 ところが法務部は「そうでなくても先進国に比べて刑務官の数が不足しているのに、既存の刑務所の刑務官の中から充当していたら、ほかの刑務所の運営はどうしろというのか。刑務官を新規に採用しなければ、華城職業訓練刑務所の開所は不可能だ」と反論している。

◆「幽霊刑務所」が増える可能性も

 華城職業訓練刑務所だけでなく、今年中に完成する予定の刑務所3カ所も、同じように省庁間の対立で開所できないのではないか、と懸念する声が出ている。今年中に完成するのは慶尚南道密陽市の密陽刑務所、全羅南道海南郡の海南刑務所、江原道寧越郡の寧越刑務所で、いずれも一般刑務所だ。

 法務部は3カ所の刑務所の建設費として300億ウォン(約21億3000万円)ずつ計上している。これがすべて完成すれば、1カ所の刑務所に約150人ずつ、計450人ほどの刑務官を配置しなければならず、このうち少なくとも200人は新規に採用しなければならない、と法務部は主張している。このため、公務員の増員を凍結する政府の方針が適用された場合、3カ所の刑務所も開所するまでに難航を極める可能性が高まることになる。

 漢城大行政学科の李昌遠(イ・チャンウォン)教授は「国の資金を投入する事業は政府全体で考えていかねばならない。“与えることになっていたものを与えない(刑務官を新規採用しない)ため、開所できずにいる”という主張は、省庁の利益だけを考えた縦割り行政の弊害だ」と指摘した。

 法務部の矯正企画課の関係者は「遅くとも3月までに華城職業訓練刑務所を開所し、ほかの3カ所の刑務所も予定通りに開所できるよう、行政安全部や企画財政部と協議を進めている」と話す。一方、行政安全部の関係者は「政府の省庁内部、また省庁間における人員の再配置を通じ、早期に問題を解決していく」と述べた。

チョ・ベッコン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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