国の医療費抑制策として、高齢者が長期入院する療養病床の削減方針を巡り、県保険医協会(松本和美会長)が県内の医療機関にアンケートしたところ、回答した医療機関の9割近くが、救急体制を維持するには現状以上の療養病床数が必要だと考えていることが明らかになった。
アンケートは昨年10~11月、急性期医療を担う県内の110医療機関に送り、37機関の回答を得た(回答率33・6%)。療養病床の廃止・削減で救急医療体制が確保できるか、との質問に対し「現状を維持すべき」「増やすべき」の合計が89%を占めた。また、症状が安定した患者の転院先について、46%が「不足して苦労している」と回答。同じく46%が「充足はしていないが何とか受け入れてもらっている」と答え、受け皿となる後方病院の病床確保に苦慮している現状が浮かんだ。
厚生労働省は療養病床を巡り、治療の必要は低いが、受け入れ先がないなどの理由で入院が長期に及ぶ「社会的入院」の解消を掲げ、35万床あった療養病床を12年度に15万床とする目標を立てた。しかし、自治体などの反対もあり、22万床を存続するよう昨年に方針転換した。【八田浩輔】
毎日新聞 2009年1月27日 地方版